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更なるランクアップ・3

 さて。そんなわけでランクアップ試験を受けるに辺り、リーダーとしてミハイルがギルドに話を聞きに来ていた。オーリーも特別なランクアップ試験の推薦者ということで、同じくギルドにいる。


「オーリーさんの推薦で特別ランクアップ試験を受ける、と伺っています。オーリーさんに推薦されるなんて優秀なパーティーなんですね」


 ギルドの受付嬢が笑顔で応対しながら褒めるが、ミハイルは褒められるほどのものなのかよく分かっておらず、ありがとうございます、と無難に答えた。

 ここでもオーリーは、ミハイルのリーダーの資質を見ていたのだが、やはり良い素質を持っている、と内心で頷く。

 受付嬢の褒め言葉は半分本気だが、半分は煽て目的でもあった。若く可愛い女性に褒められるというのは、古今東西、老若問わずに男の鼻の下を伸ばすものだ。その伸び具合が褒められて照れる程度のものなのか、調子に乗るほどなのか、でまた変わる。

 オーリーの予想では、ミハイルは精々照れる程度で調子に乗ることは無いと踏んでいたが、照れもしなかったのは、良い意味で予想外だった。だが、それくらい慢心しないリーダーではないと、直ぐに心が折れるか鼻の高さが折れる冒険者になりかねない。

 そこから気づいて実力を上げてのし上がって来られる者は、一握り。大概、こういう褒め言葉で調子に乗るやつは、気づかないまま、増長して実力以上を求められるところに赴いて、命からがら逃げてくるか命を落とす。命が助かった者は大抵プライドが折れて大人しくなる。いや、冒険者を辞めていく。

 こういう時に謙虚な者は、己の実力を理解しているからこそ、無茶もしなければコツコツとランクアップしていき、冒険者として名が通るほどに成長する。

 ミハイルがリーダーで、心根が変わらなければ、このパーティーは高ランクの仲間入りも直ぐに果たすだろう。


「なるほど、オーリーさんが推薦するだけはありますね」


 ミハイルは受付嬢の言葉に首を傾げるが、受付嬢の言葉をオーリーはきちんと理解している。受付嬢も、ミハイルの資質を見極めていたからこその言葉だ。


「では、特別ランクアップ試験の説明に入ります。あなた方は、ランクアップしたばかりなので本来なら、暫くランクアップ出来ません。これもギルドのルールで。ランクアップしたばかりの冒険者は一ヶ月は次のランクアップ試験が受けられない、というものです。

ですが特例はあります。特例の場合は条件を満たせば、一ヶ月も経たずにランクアップ試験が受けられます。今回はその特例にあたりますね。一つは高ランク冒険者の推薦があること。一つは問題を起こしてないこと。冒険者登録をしてから日が浅いので、問題は起こしてなかったですね。高ランク冒険者の推薦は、オーリーさんなので問題ありません。

問題を起こしていなくても、高ランク冒険者の推薦は中々もらえないものですから、それを貰える時点で見所があるということ。この二つの条件を満たしているので一ヶ月後ではなく直ちにランクアップ試験を受けられます。

では、特別ランクアップ試験の内容ですが。一つは、依頼として薬草採集。ランクが上がるための試験ゆえに、薬草採集もハードルが上がります。それからギルドにて手合わせですね。戦闘出来るメンバーとギルドマスターあるいはサブマスターと手合わせをする、というものです。この二つの試験に合格すれば、二つ上のランクアップということに決定します。以上」


 受付嬢の説明に、ミハイルは頷いて了承した。

 先ずは薬採集のちに、手合わせということに。相手はサブマスターとのことだった。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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