第六十一話 魔石加工
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
今日最後の話題であるスキルと装備の分配の話になった。まだ分配していない装備は東京地下鉄の1階層ボスの宝箱の中身だ。
と言っても、ここら辺はもう誰が何を取るかはたいてい決まっている。
マジカルスカートとゴブリンロードコスチュームは桃子が。ウインドボウは茜が手に入れることになっている。
ゴブリンロードソードとゴブリンロードシールドはジュディが装備することになっているので、後は破眠リングと毒蛇ベルトをどうするかだけだ。
「じゃあ、まず破眠リングだけど、これどうする? 動けないと一番困るのって誰だ?」
「やっぱりジュディさんかな。盾役が動けないって言うのは致命的だと思うよ」
先ず破眠リングの装備者の相談。やはりジュディが持っておくべきではないかという話になる。
盾役がいざという時に動けないのは確かに怖い。というか最悪チームが壊滅しかねない。前衛はただでさえ数が少ない上にもう一人の秋彦も防御が固いわけではないからだ。
しかし、ジュディも少し思うところがあるようだ。
「うーん、確かにそうなのかもしれないけど……今も一応魔法の装飾品持っているのよね私。その上でもう一つ持つって言うのもちょっと申し訳ない気がするわ」
「そういえばジュディって面白い物持ってるよな。挑発ネックレスだっけ?」
「ええ、そうよ。もっとも、これは入門ダンジョンにも出てくるもので、妖精商店にも置いてある物なんだけどね。早い段階でこれを持っていたから三人体制でやれてたところがあるから」
そう、ジュディは入門ダンジョンの段階で運よく魔法の装飾品を拾えていたのだ。だからこそ盾役という形を自分が選んだともいえる。尚、性能はこのようになる。
【挑発ネックレス】
≪綺麗な金のネックレスに鈴がついたような見た目をしているが、ついている鈴の音を魔物が聞くと、魔物の闘争心を煽り、つけている人間を優先して攻撃するようになるネックレス。知能の高い魔物には効果がない。特殊効果:ターゲット集中(小)≫
今となっては妖精商店で買えるといっても、当時この装備はとてもありがたく、これがあってこその三人体制だったらしい。
もっとも、東京での反乱における決戦時には持っていなかったようだが。仮に持っていても連続で攻撃受けてたら死にかねないので使えないともいえる。
「そうはいっても、最悪一人が動けるっていう状況考えてもジュディが適任じゃんか」
「……持ってて」
「うーん、そうね……分かったわ。使わせてもらいます」
決定だ。まずはジュディが二つ目になる魔法の装飾品を持つことになった。次は毒蛇ベルトだ。
「じゃあ次こっちだな。これは親友使いなよ」
「え、でも前衛の秋彦が使った方が良いんじゃない?」
「あのな……俺の装備見ろよ。かなり初級ダンジョン産の装備で埋まってんだぞ? 肉体力足りねーのどう見ても親友じゃねーか」
秋彦が改めて装備を見せる。武器はマジカルランス、防具は血染めの衣装は別格の代物として、腕は武人の手甲、足はサイレントシューズ。足りないのは頭と腰の装備だけだ。装備はそろいつつあるといえる。
それに対し優太が持っている初級ダンジョンの装備は魔術師のローブとマジックシールドだけだ。数にして秋彦は四つ。優太は二つだ。
確かに緊急性が高いのがどちらかと言われれば優太の方だろう。
「俺ら同じレベルなのに装備の差で結構なことになってんじゃん。頼むから持っといてくれよ」
「そうそう。ユータンは後衛の盾役も兼ねてんだからさ。魔法使いが本業なのに肉体力が装備込みで500行ってるんだし」
「……優に持っていて欲しい」
さらに同じ後衛組からも援護射撃が入る。
なんだかんだ優太の肉体力は、魔法が専門なのに500になっている。攻撃能力ではなく、防御能力故でだ。万が一前衛と後衛が分断されたときに真っ先に盾役になるのは必然的に優太となる。尚のこと持っておいた方がいいだろう。
「う……うん……分かった」
優太が受理し、これで装備の受け渡しも終了。
最後にスキルの取得の相談だ。これからの戦いに備え、持っておくべきスキルや、どのようなスキルがあるかなどのスキル構成さらに追及していく。
「とりあえず俺、感知系は全網羅するつもりで取るわ。前に出る以上危険感知だけじゃ足りねえ。こっそり敵を調べてくるってことも、今後必要になるかもしれないないし。だから【気配感知】とか、桃子も持ってる【魔力感知】とか、あとこれだ。【戦闘力感知】と【生命力感知】いるな。初見で強いか弱いかの判別ができるようになるのと、相手があとどれくらいでやられるかがわかるようになるコレ。絶対いる。というか必要性を感じた」
まず最初に挙手をしたのは秋彦だ。やはり今回うっかりオークと鉢合わせた時や、オークとの戦闘の際にダメージを受けているかどうかがわかりづらかった事に、思う所があった。
そして優太も新しいスキルが覚えられるようで声を出した。
「あ、見てこれ。【魔石加工(炎)】のスキルが習得できるようになってる!」
その言葉にその場の全員が優太に集まる。
「おー、本当だ。てかこんなのあったんだ」
「あ、これあたし知ってる! それぞれの属性がLv15を越さないと習得できないやつだ。よくわかんなかったし放置してたけど」
「うん、でも今ならわかる。炎属性の魔石、今の僕なら加工して使えるよ!」
「おお?! そりゃどういう事だ!?」
「えっとね、今の僕なら、こんなことができる……!」
そういって右手をペンか何かを持つように構えると、そこには鉛筆のような形をした橙色の物が現れていた。
「え、それは何?」
「これ? 僕の魔力で作った魔法文字を書くペンみたいなもんだよ」
確かにこのペン状の物は優太の魔力オーラの色である橙色をしている。最初に魔法を習得して以来、普段意識はしていないし、見ようと思わないと見えないものだが、魔法を習得している全員にオーラはある。まさにその色だった。
「どうもLv15になるとこれが作れるようになるみたい」
「へー、そうなんだ。じゃああたしたちもいずれはそれ作れるんだね」
「あー、ちょっといいかね?」
舞薗父が、気まずそうに割り入ってきた。
「あれ? どうしました?」
「いや、娘から話を聞いた時もよくわからなかったが、レベルが上がったら使えるってどういうことなのかね? 始めに魔導書を使って魔法に関する知識を全部頭の中に埋め込まれると聞いていたのだが」
「ああ、それですか? なんという事は無いですよ。例えていうなら小学生1年生に、小学校、中学校、高校、大学すべての教科書をいきなりどどんと与えたって、因数分解は出来ないってことです」
今の魔法使いはほとんどが魔法の教科書全てを頭に埋め込まれ、忘れないようにしたものだ。だが、今優太が言ったようにあらゆる教科書参考書を与えたとしたって、天才でもない小学1年生に因数分解が解けるかと言う事だ。出来るわけがない。
出来るようになるには、初歩的な1+1と言った足し算、引き算に始まり掛け算、割り算、筆算、方程式といった具合に何度も反復練習を行い、十分に慣れ、理解したうえで次のステップに進む必要がある。
つまり、魔力が使用という反復練習を行われたことで鍛えられ、十分に使用できるようになった時に、埋め込まれた魔導書の知識が、更なる知識を思い出すかのように使えるようにするのだ。
「鍛えきれてないのに次の知識を思い出そうとしても頭に靄が掛かったみたいになって思い出せないんだよね」
「うんうん、で、レベルが上がって使える魔法が増えると靄が晴れたかのようにパーッとわかるようになるんだよね」
「……うんうん」
「な、成程……」
後衛組が妙に盛り上がっているが、一応舞薗父も納得はしたようだ。
「おーい、話を戻すけどで、そのペンがどうしたって?」
「あ、忘れてた。でね? このペンはね……書いた人間の魔力を刻むことができる訳なんだけど。これを……」
そういいながら優太は共有のマジックバッグから赤い魔石を取り出す。
「例えばこの炎の魔石に……」
と言って優太が魔石に魔力で作ったペンで何かを書き出した。
……いや、何かではない。それは秋彦達にはあまりにも見慣れた物。魔法文字だ。
魔法文字は魔導書を読んだときに読み書きを習得した物だ。主に魔法を使う時に読む言葉である。
優太はその魔法文字をさらさらと魔石に書いてゆく。そして書きあがったらしく、魔石を机の上に置いた。魔石にはこう書かれている。
『炎よ、我が命に従い、我が敵を焼け』
あまりにも懐かしい。高速詠唱を取得したことによりすっかり読まれなくなった炎魔法、フレイムの全文だ。これが円を描く様に書かれている。
「こう書くでしょ?」
「……あれ、これ、フレイムの詠唱じゃん」
「そうそう、ところで巌さんは、魔法使えないんですよね?」
「ん? あ、ああ。使えないが……まさか?」
「……ちょっとお庭に出ましょうか」
優太はにやりと笑うと、魔石をもって舞薗父を庭に出させる。
つられて全員外に出た。
「ねぇ、茜ちゃん。何か燃やしていい物ってある?」
「……ごみを持ってくる」
茜が急いで部屋からごみ袋を持ってきて、中身を庭の一角に置いた。周りに何もないところにごみだけ。
「じゃあ巌さん。こちらへ」
無言でふらふらと、手招きする優太の元へ向かう舞薗父。緊張からなのか興奮からなのか。
「じゃあ、これをもって、燃やす位置だけよく見て、一言発動と言うか、発動と念じるか、円の中心を押すかしてください。燃やす目標は念じるかよく見ててくださいね?」
「う、うむ……は、発動!」
その言葉と同時に、優太が魔石に書いた魔法文字が赤く光り、ごみが燃えた。魔法を使えない舞薗父が燃やしたのだ。
「こ、これは……!」
「これが、魔石を加工して生まれ変わった【魔法石】です。今はまだ既存の魔法を使えるようにするだけですが、いずれはもっと効率よく魔法のエネルギーを使えるように加工できるかもしれません」
「す、すごい……!」
「成程、【魔石加工(炎)】てのはそれをもっとうまく色々出来る様になるスキルなんだな」
「だと思うよ。まあそれを踏まえて、レベル上がってスキル取得にも選択肢増えたし、もうちょっといろいろ考えてみようよ」
その場の全員が拍手をする。
これが、のちに魔法によるエネルギー革命の産声となったのだが、それはまた後の話である。
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