第三十九話 買取と実食
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「ううー、緊張するなー!」
「なんでエミーが緊張してんだよ……?」
「だって探索者の中でも頭一つ抜けてるアッキー達がどんだけ稼げるのか見てみたいじゃん!? 強くなってアイドルを守る使命もそうだけど、それでアイドルを支える資金とかにも……うへへ」
ものすごいにやけ面でエミーは天井を見ている。口からよだれたれてるし、本当に残念な奴め。
「私としては、ここまで来たら最後までって言うのがある感じかな」
「あたしは報酬のウサギ肉をぜひ食べてみたいです!」
「僕もお肉食べたいなー」
奏と言葉、そして石崎も話に乗ってくる。奏は義理の様だが、言葉と石崎は食い気で付いて来ているようだ。石崎はともかく言葉はそんなキャラだったのかと、クラスメイトの新しい一面を発見する。
「言葉、お前そんなキャラだったのか……?」
「だって、魔物のお肉ってすごくおいしい上に、強くなれるんでしょう!? しかも魔物肉は熟成要らずですぐおいしいなんて……そんな夢のような食材食べてみたいじゃないですか!」
「僕もいるのはそこだね。まさか剣を振る以外に強くなる方法があるとは……」
熱弁する言葉に乗る真崎。強くなることにこだわっている彼が、食べることで強くなるという【魔物食材】に興味を持つのは当然の事だったか。
『買取番号、12番でお待ちの南雲様、買取カウンター2番までお越しください』
アナウンスが来た。どうやら査定が終わったらしい。
さっそく買取カウンターへ急ぐ。
「お待たせしました。それでは内訳の方とそれぞれのお値段を説明させていただきます」
さっそく内訳を聞く。
まず大量にあったウサギ。解体していない研究サンプルとして売る分が40匹。研究サンプルとして売られるものは初級ダンジョンの物なら一律1万円での購入になるらしい。グレイウルフ1匹も同じだが、バルカンだけはボスモンスターなのでボス価格で10万円になるとの事。
つまり51万円が、サンプルとしての金額。次に捌いたウサギの分。
肉は肉屋に持っていき、魔物肉と言う事で価格は百グラム千円。そして毛皮は毛皮の加工業者へ持っていき、加工されるとの事。防寒だけでなく高い防御力も期待できるので一匹から得られる毛皮で大体2万円。また、ホーンラビットの角や、ブレードラビットの耳は、武器としての加工が期待されるので、単体価格1万弱で売れる、と言うか売るらしい。
肉は今回一匹につき、肉が約2.5キログラムで20匹分を売りに出し、ホーンラビット10匹、ブレードラビット10匹の内訳なのでホーンラビットの角10本とブレードラビットの耳20本となる。
つまり肉だけで50万、毛皮が40万、角と耳を合わせて30万。占めて120万円となる。
先ほどの稼ぎと合わせると171万円となる。
「うごわぁ……これだけあればアイドルグッズをどんだけ買える事か……」
「ひえ……ひ、ひゃくななじゅういちまんえん……」
「すごい……初級まで行けばこんなにお金になるんだ……」
「うおー、これは凄いねー」
「これは驚いた……こんな値に……僕も解体覚えよう」
外野で見ていた5人はかなりざわめいている。
しかし秋彦達は思いのほか冷静だった。
「この前の依頼8連が40万だったし、やっぱ稼げるな。二人で割っても85万5千円か。これは税込みですか?」
「はい。売値の時点で税込みですのでご安心ください」
「分かりました。ではこれでお願いします」
「承りました。ではこちらにサインを。あ、チーム名を記入してくださいね」
「分かりました」
秋彦がさらさらとチーム名を書く。
チーム名【アッキーダンジョン探検隊】の名を……
秋彦の顔は真っ赤だが、優太は満足げだ。書き終わって振り向くと、クラスメイトは無言で顔をそらしていた。エミーは肩が震えている。
「……なんだよ」
「何でもないっす……ぅ」
「と、ともあれこれで終わりでしょ? さっそく肉の実食しようよ!」
秋彦の低い声にエミーが答える。が、声が震えている。エミーの声が震えているのを察して言葉が本音8割、話題逸らし2割の発言をする。
「おーそうだな! 肉楽しみだぜ!」
「うんうん! タレとか買ってさ、焼いてみようぜ!」
「よし、そうと決まれば善は急げだ! 行こう!」
「いこーいこー」
他のクラスメイトもみんな乗って慌ただしくその場からいなくなる。畜生本当に覚えてろよあいつら。
優太の強い押しにてこのチーム名が決定してしまったのだが。うかつに「何でもいい」なんて言ったのがそもそもの間違いだった。まあ中二病の如くな訳の分からない名前になるよりかましだったのかもしれないが。
………………………………
その後、7人は秋彦の家に再集合。やる事はもちろんウサギ肉の実食である。
特にテンションが高いのは言葉である。わざわざネットでレシピを探し、自分が作ると言ってきかない。料理人が着るコックコートに前掛け、バンダナまで用意して来た。あまりの気合の入りように秋彦もビビる。
「え、実家は料理屋か何かか?」
「いいえ、親も会社員ですよ。これはあたしの趣味なんです!」
「お、おおう……」
「でもアヤの料理はおいしいんだよ。何でもお母さんの料理がおいしくないらしくて……自分で作るようになってハマったんだって。それ以外は完璧らしいんだけど……」
「うわー……ご愁傷様だよ……」
奏のフォローに優太も同情気味だ。親が料理屋をやってる優太からすれば、作る飯のまずい親というのが想像しづらいらしいが。
「南雲君は料理をあまりしないんですね。台所が妙に綺麗で使われた形跡そのものがないもの。出来合いの総菜が多いみたいですね。ゴミ箱にパックがたまってますよ?」
「おう、まあね……ってかあんまり人の家の冷蔵庫を覗かないでくれー!」
料理のことになると普段のおとなしい言葉はどこへやら、ぐいぐい来る。
「で、何を作るんだ?」
「今回は味を見るために、シンプルに塩コショウのみのステーキにしようと思います」
歓声と拍手が上がる。
「皆さんは座っていてくださいね、ここはあたしの場所なので!」
「いや、俺の家なんだけど」
「言葉の綾、物のたとえです!」
そういうと台所で作業を始める。鼻歌交じりですごく上機嫌だ。というか楽しそうだ。
手持ちぶたさになって優太がやはり手伝いに行こうとしたら、奏に止められる。
「アヤが料理してるときに近づいちゃだめよ? 猛烈に怒るから」
「えー? なんでー?」
「……たぶん、料理してるときに親に変なものでも混ぜられたんじゃない?」
「あー、納得……」
言われて座りなおす。確かにそんなことやられた経験があるなら料理は自分一人だけでやるとなってもおかしくない。
しかしそうなるとやはり暇だ。声を上げたのはエミーだ。
「しゃーねーな。じゃあ出来るまでなんかゲームでもすっか?」
「ゴメン、この人数で出来るゲーム家にはない。俺は一人用ゲームばっかりでパーティーゲームやらないからさ」
「ふっふっふ、そういう時の為に、人生ゲーム持ってきたんだぜ」
「お、エミーってば用意良いじゃん」
「7人もいりゃね。誰か参加できなくなるテレビゲームよか、こういうボードゲームの方がいいってもんよ!」
………………………………
「みなさーん! お待たせしましたー! 料理が出来ましたー」
「お、了解だ。ほら、ボード片付けろって、メインのお出ましだぜ」
「あー、せっかく一位で上がれそうだったのにー!」
「よかったー、どん尻で終わるところだったー」
料理が出来たようで、ボードを片付け、料理を並べていく。
しかし、このウサギ肉のステーキ。ものすごくいい香りがする。
「はい、ウサギ肉のステーキと、ウサギ汁も作ってみました!」
もう一度歓声と拍手が上がる。
実際ウサギ肉のステーキもウサギ汁もものすごくおいしそうだ。よそわれたご飯を順に回し、最後の一人に回りきった所で、言葉が音頭を取る。
「それでは皆さん、両手を合わせて……いただきます!」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
まずはステーキを切り分けて口に入れる。
ウサギ肉はここにいる全員、言葉も含めて初めてだ。かなり赤みが残っているが、これで食べられるのだろうか?
だが口の中に入れた瞬間、そんなことは何の問題ないことがわかった。
うますぎる。なんだこれは。何に似ているといわれれば鶏肉だ。癖があまりないが、獣っぽい感じはある。しかしその癖がいいアクセントになっていて、普通の肉屋では味わえないようなワイルドな味わいがたまらなくいい!
あまりの美味さに肉と米をかき込む手が止まらない!
しばらくかき込んで、一段落ついた所でウサギ汁を一口すする。
これがまた美味い!
正直見た目からして、ウサギ肉入りの味噌汁だとばかり思っていたが、味噌汁とはまた違い、ウサギの出汁が出ていて、これが味わいの深さを出している。
ただ、ウサギ汁の肉は小さい骨がやたらと多く、少し食べるのに苦戦してしまう。小動物の宿命ともいえるものだろう。おそらくこの骨がウサギ汁の出汁となっているから取ってくれとも言えない。
まあいい、それも楽しみの一つとしよう。
「うま、うまーい!!」
「はむ! はむ! んぐ! んぐ! おいひぃ!」
「ハー……幸せ……」
「なにこれうますぎんだけどマジで!」
「て、手が止まらない……! んん!」
「ああ、味見の時も思ったけどおいしすぎる……!」
みんな思い思いに感想を述べながらほおばっている。真崎だけは全くの無言でものすごい勢いで食べている。
正直秋彦も、これなら焼いて食べるくらいはしてもいいと思うほどに美味しかった。
後はもう無駄口の一つもなしにひたすら飲み、食べ続けた。
………………………………
それからしばらく、無くなっては言葉に追加を作ってもらい、また食べを繰り返し続けた。結局今日一日だけで7人で食べたとはいえウサギ肉は半分になってしまった。全員揃って食いすぎである。
当然食後は全く動けず、食いすぎた腹をさすり、うんうん唸り続けることになった。
だが、これを受けて、秋彦と優太以外は、一つの決意をすることになる。
「俺、絶対強くなる……強くなって、こいつらを、今度は自力で倒して捌いて食う……」
「お金だけじゃないわね、探索者って……」
「幸せな苦しさです……次もあたしが料理しますからね……」
「ぶえー……もうダメはいらないー……」
「ああ、これはモチベーションになる……」
結局彼らが家に帰れるまでに消化し切ったのは夜遅くになってからだった。
皆様からのご愛顧、誠に痛み入ります。
ぜひ評価感想の方を頂戴したく思います。そうしたら私はもっと頑張って作品を展開できますので。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!




