第三百三十九話 クリスマスパーティー 保護者会 秋彦 優太 茜
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
だと言うのに一日投稿を忘れておりました、大変申し訳ございませんでした。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「こんばんは皆さん、楽しんでいらっしゃいますか?」
「アハハ、気取っちゃってもう。でも楽しんでるわよ〜」
「ご招待頂きありがとうございますってね」
「父さん母さん、あのなぁ……」
正直気が進まないのをおして来たというのにいきなりのご挨拶を喰らう秋彦。モンスターキラーズに挨拶して、ビューティフルドリーマーに挨拶して、この人たちに挨拶しないわけには行かない、レインボーウィザーズの保護者会である。
両親という事で最初に声をかけたが、流石に実の両親という事で割と気安い感じだ。思わず頭を抱えるという物である。
「にしても今夜のお料理美味しいわね〜ジュディちゃんにいいとこ見せようって奮発した?」
「ターキーはそうだけど母さんが食ってるのはただの魔物食材の料理だから違うよ。そうは言っても中級ダンジョンで出てきたコカトリスってやつだからうまさも段違いだろうけど」
「おお、これが! 道理でいつも秋彦が持って帰ってくる食材よりも美味しいわけだ」
「ああ……またそんなかきこんで……はぁ、もういいやほっとこう……」
再びガツガツと貪る秋彦の両親。本当に遠慮がない。まあ遠慮されたせいで大皿が空にならないのもそれはそれで問題なのでいいのだが。
ちなみに秋彦と優太の両親は、頻繁にダンジョン産の魔物食材を食べているので一度もダンジョンに潜っていなく装備が一切整っていないのに下手をしたら入門級のダンジョンを攻略した探索者よりも戦闘力が高かったりする程ではある。
今の情勢を鑑みると弱いよりはいいのだが、実戦経験もない人が探索者よりも強いのはどうなのかという気はしている。
「あ、おじさん達もいらっしゃいませ」
「おう、さっき仕事が終わったから邪魔させてもらってるぜ秋坊」
「遅れちゃってごめんねぇ」
どうやら他のチームと話をしている間に石動夫婦も来ていたらしい。
「いえいえ、むしろ仕事終わった後で疲れているでしょうに、来ていただけて嬉しいです。食べ物も飲み物もいっぱいありますんで、楽しんでってくださいね」
「おう! お言葉に今日はいっぱい飲ませてもらうとするぜ!」
「父ちゃん! ああもう恥ずかしいよ全く……」
「あはは……」
優太の父である陽介は、流石に秋彦が幼い頃から付き合いがあるだけあって割と遠慮がない。母の静香は呆れて天を仰いでいたが。
「えっと、気を取り直して……こんばんは巌さんに陽子さん。ささやかな席ですが楽しめていますか?」
「どうも、もちろん楽しんでいるよ、あの南雲秋彦主催のパーティーに招待して頂けるなんて光栄だとも、なあ?」
「ええ、本当に」
物静かに返事をする茜の両親であり、政治家としても今注目を浴びる人物である巌、陽子夫妻。普段余り接点はないが、逆に言えば、こんな時でなければ会うことも無いので一応呼んでみた人達である。
多忙の身でもあることも承知していたが、正直来てもらえるか心配だった人達だ。実際は招待を喜んでもらえて、ちゃんと来てもらえたが。
「ビューティフルドリーマーは桃子君がリーダーを務めていることから知っていたが、モンスターキラーズも居るのは驚いたよ」
「え、ご存じでしたか?」
感心したように話す巌さんに思わず驚きの声が出る。秋彦としては何の接点もなさそうなのに、クラスメイトチームであるモンスターキラーズを知っていたのは意外だったからだ。
「当然だ。彼らはチーム名通り、地方都市奪還作戦の中でも多くの魔物を倒して功績を上げたチームだからね。地方都市奪還作戦中に名を上げた探索者チームの中でも早い段階で名前が出る方だと思うよ」
「な、なるほど……それもそうですね、ははは」
当たり前だと言わんばかりの解答に思わず相槌を打ってしまったが、秋彦はモンスターキラーズがそんな有名人になっているとは知らなかった。思わず乾いた笑いと冷や汗が出て来てしまう。
「うふふ、貴方はまたそんな意地悪を言って。大丈夫ですよ秋彦さん、この人の言ってる事は気にしないで結構ですよ。有名と言っても、メディアに取り立たされたとか言う話ではありませんから」
「え、それは一体?」
心の中で首を捻っていたのが顔に出たのか、陽子さんが助け舟を出してくれた。すると厳さんが茶目っ気を含んだ顔で後を引き取る。
「何、簡単な話だ。我々は探索者には依頼をする側の立場だ。有能有名な探索者には調べもつけるし、実績も洗うと言うものだ。業者は信用の出来る者を雇いたいしな」
「あ、ああ成程。有名人って言っても世間的に有名って言うか依頼者側としてって話ですか」
それを言われてようやく飲み込めた。
有名と言ってもそれは探索者の間でも世間一般の知名度でもなく、探索者を雇う側、つまり依頼者の立場に立った時に有名な様だ。
「ええ、特に私達の様に多くの土地を所有していると、その土地にダンジョンができる可能性も高いから、お抱えの探索者と契約をするケースもあるの」
「地方都市奪還作戦以前から活躍している探索者は実績も十分だが、その実力に対する信用故に契約料金が高いケースも多い。奪還作戦後の探索者は実績が乏しい分契約料金が少ないが、実績が乏しいと言う事は信用に欠ける所もあって雇う側としては難しいのだ。」
少し重たい溜息が巌さんから出る。
どうやら実績としては、地方都市奪還作戦前から既に活躍していたチーム、地方都市奪還作戦の初期から名前が上がっていたチーム、高速道路解放戦線終了後に参加したチーム、参加していないチームの順で実績的には高く評価されているらしい。
そして、攻略の詳しい全貌が分かっていない間から奪還作戦に参加したチームは、情報収集班が取ってきた乏しい情報を元に戦い抜いた経験からか、依頼の成功率は変わってくるらしい。
だがその信用故にあちこちからダンジョンの絡む依頼には引っ張りだこにってしまい、必然と手が回らなくなる。
なので、必然的に実績ある探索者達は、秋彦達のようにギルドからの要請には応えず、自分の受けたい依頼か自分の知り合いからの依頼しか受けない様にするか、依頼料金を吊り上げて依頼者に手を引いてもらうかの二択になるのである。
知り合い以外の依頼を受けない方式は、基本的に他者からの要請によって受ける依頼自体が無くなるので自分達のペースで依頼をこなしていけるが、代わりに依頼は他の誰でも受けられる依頼となり、当然依頼料はそれ程多くならないし報酬も決まった金額でしか来なくなる。
一方金額を吊り上げる方式だと、当然吊り上げただけ報酬は多くなる物の、吊り上げた依頼料を払われたらどんなに忙しくても、またどんなに難しい依頼でも文句言わずにやらなきゃいけなくなる。また、著しく有名なチームだと、依頼を優先的に受けさせる為にギルドに指名料を出す事で、依頼を優先的に行う様働きかけるケースもあるらしい。
企業や金持ちが依頼をする事ができる方式が必然的に後者となるわけだが、吊り上げられた依頼料や指名料という所も加味すると、一回の依頼で100万を越すケースもあり、個人どころか法人でもそう軽々と出せる金額ではなくなってくる。
だが、だからと言って地方都市奪還作戦の実績の無い探索者に依頼をしようと思うとそれはそれで苦労するのだ。
何故なら彼等には一般人にわかりやすい強さをアピール出来る物がない。
確かにギルドのランクを初めとして、入門級制覇、初級制覇等の大まかな実力はわかるが、それだって、初級ダンジョンを一回したのと、初級ダンジョンを複数攻略したのとでは、レベルも経験も段違いだ。
増してダンジョンと縁がない依頼者である一般人には見分けが付かない。何せダンジョンに入ったことがないと言うことは、ダンジョンウォッチすら持っていないと言う事だ。
感知技能は当然ないから強いかどうかも分からないし、レベルや持っている武器や防具の戦闘力も分からない以上、強さに関しては探索者側の自己申告を信じる他ない。
そうなると必然と探索者を騙る詐欺師も出てくるのである。
例えば依頼料の持ち逃げ、依頼品の偽物を渡すといった悪質な事件も秋頃はかなりニュースで報道されたし、最近だとギルドから発行されるライセンスでもある迷宮探索許可証を偽造されたというニュースもあった位だ。
ギルドとそう言った詐欺師、犯罪者集団(闇ギルドとの関連は不明となっているが、大多数は闇ギルドの事だと信じている)との戦いは今も水面下で行われている。今やニュース番組ではそう言った捕物のニュースはかなりの頻度で流れてくる。
そう言った事情から、実績のない探索者は数は増えている物の、身内にそれらを見分けられる探索者が居ないと安心して雇えないケースが増えているのだ。
「そうだったのですね……ある程度内情は知ってたつもりでしたが想像以上に大変だったんですね」
「そうさ。そして、君達の様な知り合いからの依頼しか受けないタイプの探索者とこう言った形でコネクションを作ることができる場は重要なんだよ」
「あー……あの地方都市奪還作戦の間にあった企業とのパーティーって……」
秋彦は納得したように頷いた。あの時は訳もわからずとりあえず参加していたあのパーティーの意味を遅れながらに理解した。
「勿論そんな探索者さん達と企業とを繋いで、少しでも多くの実力者に相応のお仕事をしてもらえる様にする為だよー」
「もちろんそれだけじゃないけどね」
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