第三百三十話 ダンジョンアイテム検分 魔導書と入門ダンジョンの現在
累計PV数677万突破いたしました!
これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「よし、じゃあ改めて手に入れた物の内訳見て行こうか」
「オッケー! えーっと、じゃあまずはこれかな……えーっとね……あ! 見て、これすごいのが入ってたわよ!」
優太の声にジュディが即座に一階層目で持ち帰った宝箱を開く。しばらくゴソゴソと物を探っていたが、驚きの声と共に物を取り出した。
取り出したのは本だ。それもいくつもある。レシピ本とは違う取り出された本、それは探索者に取ってはあまりにも馴染みのある本であった。
「これ……魔導書じゃん!」
「本当だ!」
「な、何?!」
「嘘! とうとう普通に宝箱の中から出てくるようになったの!?」
「……驚いた。普通に出てくるんだ」
いきなりの大物登場に場のボルテージが上がっていく。
これまで魔導書といえば、入門編でダンジョンの案内人達が読ませてくれるだけの物であり、読み終わったらすぐに回収してしまうことから基本的にダンジョンの外で読める物ではない。
つまり魔法が使えるようになりたければ入門級のレベルとはいえダンジョンに入って命を危険に晒さないといけなかった。
唯一の例外としてレインボーウィザーズが所持していたのだが、一時的に地方都市奪還作戦の時に貸し出した時も反響はすごかった。
レベルが上がった事によって新しい属性の魔法を覚えられるようになるからだ。レベル1の段階では一つか二つの属性しか魔法を覚えられなくても、レベルが上がれば多くの系統を習得できるようになる。その可能性があった。
それが今こうしてレインボーウィザーズの所持している魔導書とは別の魔導書が手に入ったのである。
ダンジョンに入らないままに魔法を習得したい人、あるいはレベルが上がって新しい属性の魔法を習得したい人たちにとっては喉から手が出るほど欲しい物だ。
それが今こうして出て来たという事に対してテンションが上がらない方がおかしい。
「ほっほう、これは初っ端から飛ばすじゃないか……」
「これはすごいですよ! 最近は入門ダンジョンに入っても案内人が出てこなくなり、案内人から初めにもらえる迷宮収集物も貰えなくなったと聞いておりましたので」
「成程、中級ダンジョンでは普通に出現するアイテムになった事でどこでも読めるようになったことから、もう最低限魔法は習得してから迷宮に潜る前提となった訳ですね……」
「入門そんな事になってたんだ……」
興奮しっ放しの買取と道具検分役の事務員から、意外な事実を聞いた。最近すっかり潜らなくなっていた入門ダンジョンも、知らない所でゆっくり変化していっているらしい。
確かに、当時秋彦と優太だけだった頃から少しも変化していなければ、今となっては当たり前に生産されており、値段も多少高い程度の下着系の装備だけでも突破できてしまうかもしれない。
装備を普通に整えたらそれこそチュートリアルにさえならない手応えかもしれない事から、探索者のレベルに合わせてダンジョンも変化していっているという事なのかもしれない。
「次行くわよ。えっとね……あら、これはこの場では売れないわね」
ジュディはそう言うと両手一杯に機械のような金属類を抱えて机に置く。機械系の素材アイテムだ。
正直ごちゃごちゃといっぱいあって、どれがどれだか見分けがつかない。だがこれはレシピ本と組み立てられる技術者がいればたちまち金の成る木に変わる可能性がある代物だ。
秋彦たちにとってはさっぱりだが、組み立てる気とスペース、運用する手腕が有ればどれほどの物が生まれるか想像がつかない。
とは言え数も種類も多いであろうこれらにいちいちアナライズやペネトレイトしていては帰りが深夜になってしまうだろう量だ。
「これ全部にいちいちアナライズとペネトレイト掛けるのやなんだけど」
「はいはい、お任せください! こんな時のために僕がいるんですからね!」
ずずいと道具検分役の人が前に出てくる。
「今まで秋彦さんがアナライズやペネトレイトで揃えてくださったデータはダンジョンウォッチで共有されていますからね。既に一度調べがついている物は私の方で見て判断して選り分けます。まだ一度もアナライズとペネトレイトを行っていない物を並べますので、そちらにだけ鑑定に使う魔法をしていただければと思います」
「え、分かるんですか?」
「そりゃもう、それが道具検分役の仕事ですから!」
どうやら彼が未鑑定の道具と鑑定済みの道具を分けてくれるらしい。成程それならば時間と労力が節約できると言う物だろう。
「とりあえず私が選り分けておきますので、皆さんその間に別な物を見ていて下さい。本当は一緒になってみたいですが、そこは仕事ですからね」
「分かりました。宜しくお願い致します」
言うや否や手際良く道具の整理に取り掛かる。やり慣れているだけあって手つきがいい。
「じゃあ彼もああ言ってる事だし、次行こうぜ」
「ええ、まだまだ道具はいっぱいあるわよ! じゃあ今度は……」
再びガチャガチャと宝箱を漁る。
その様子を見てふと気になったので明彦がジュディに尋ねる。
「なあ、随分ガッチャガッチャ漁ってるけど、そんなに中身いっぱいあるのか?」
「ええ、いっぱいあるわよ〜、ただし、大半がカネーなんだけどね」
「あ、あ〜、妖精商店でだけ使える通貨の」
「そう、おかげでその中から特殊な魔道具探すのも一苦労なのよね。言葉通りかき分けて探しているんだから!」
どうやらやたらガチャガチャ言っていたのは大量にあるカネー通貨だったらしい。出し惜しみでも何でもなく探していたようだ。
「じゃあ先にカネーの集計やっちまおうぜ、その方が埋もれている道具も探しやすいだろうし」
「そうね、そうしましょうか」
「でしたら私の出番ですね、買取役という事で集計や会計も得意分野ですので」
今度は買取役の事務員がずずいと出て来た。どことなく嬉しそうである。
「100カネーとかみたいなのばっかりだから数は多いのですが、宜しくお願い位致しますわ」
「ええ、お任せ下さい。カネーの両替も承りますので」
「おお、そりゃ有難い。あんまり大量にあると持ち運び鬱陶しいしな。俺らもバケツリレーの要領で運び出し手伝うからな」
「ええ、お願いね」
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次回の更新は4/4(月)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




