第三百二十七話 抵抗力
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
じゃ、手筈通りに頼むぜ」
「ええ、二人とも死なないでよね?」
「うん、大丈夫……の筈」
優太発案の作戦、段取りをしっかりと確認し、その上で今回初の三人前衛体制である。秋彦と優太組と、ジュディ単騎である。通路の端と端へ行き、準備は万全だ。
「よし、じゃあ行くか」
「ひええ……言い出したのは僕とは言え、まさか僕が前衛に立つことになるとはね」
「ビビってる場合じゃねーぞ親友。思惑通りなら死にゃしねぇんだからさ」
「うん、とりあえず二人ともこれね」
優太が秋彦とジュディ、そして優太自身にもファイヤーエンチャントを掛ける。
「オッケー、じゃあこれで準備万端だな?」
「ええ、そのはずよ」
「……私は極力相手の火球の撃ち落としに専念する。スキルレベルアップだと思って頑張る」
「おう、任せた」
「頼りにしてるわよ!」
任された事に何処か得意げに胸を張る茜。
「じゃあ……いっちょやるか!」
「「おー!」」
掛け声と共に秋彦と優太、そしてジュディが一斉に飛び出す。
向かってきた事に反応してアンデッドが炎の壁を前面に出して追い払おうとする。だがこの壁は前面に対して範囲は広い物の、先程危うく受けそうになった攻撃を見る限り、壁ぎりぎりまで行けば両端にそれぞれ人一人づつ位のスペースがある。それを理解した上でまず第一波を躱しきる。
だが第二波はアンデッドとレインボーウィザーズの距離が狭まっているため、壁状に攻撃する特性上両端の隙間はどちらかにしか埋められない。
それはつまり右か左か、どちらかを必ず狙い打つ事になり、確実に二手に分かれた内のどちらかは確実に攻撃を受ける事になる。秋彦と優太組かジュディか。
第二波目、狙われたのは……秋彦と優太組だった。
魔防壁を持つジュディを狙っても、火傷にできない上で押し止められるか押し返されるかになると踏んだか、あるいは魔防壁を持っていない秋彦達を狙ったのか、あるいは単純に頭数の多さを狙ったのか。いずれにせよ秋彦達左側の壁は隙間なく完全に塞がれた。
迫る炎の壁、当たればもしかしたら即死に繋がるかもしれない攻撃である。だが、なんの対策もなく二人でいたわけではない。
「親友頼む!」
「よしきたぁ! こーい!!」
杖で防御の態勢をとりながら、炎の壁に対して受ける姿勢を見せる。そして迫る壁が、優太を直撃する!
壁の方が質量が大きく見えることで少々意外に見えるが、杖での防御で鍔迫り合いが出来ており、壁は優太が受け止める形で止まった。
「ぐぐぐ……えーい!」
しばらく受け続けていたが、気合いと共に優太が壁を押し返す。押し返されたからなのかは定かではないが、炎の壁の第二波は消えてしまった。
「大丈夫か親友」
「平気、火傷にはなってないよ。読み当たったね」
「ああ、よくやったぞ!」
元々この作戦は優太がこの階層のフロア効果の効果を良い方向に受けられる程に炎に対する適性が高い事が発端になった作戦だ。
優太の読みとしては、優太自身がフロア効果の恩恵を得られるほどの強めの炎に対する適性があり、元からの適正には当然その系統に対する抵抗力もあるはず。それに加えて炎属性を付与するファイヤーエンチャントで更に炎属性を強く付与すれば、状態異常の火傷になる可能性を極力抑えられるかもしれない。
今回はフロア効果によって状態異常無効装備を持っていても、火傷だけはなる可能性が出て来る階層だ。だが炎属性の攻撃を受ければ無条件で火傷状態になる訳ではない。
ならば可能性は有りつつも、その可能性を極力無くした人が盾になる事で擬似的に状態異常に対する盾になるのではないか。と言うのが今回の作戦だ。
ちなみに、万が一優太が何度も攻撃を喰らい火傷状態になったとしても、炭化火はあくまで火傷状態の人を耐性を無視して即死させる技である。そしてこの技自体には火傷状態を付与する能力は説明上では無い。
その間は炭化火からは秋彦が盾になっている間に持ち合わせていた火傷を治すポーションで回復を図る予定だ。
秋彦と優太が無事第二波を凌いだ事でジュディが先行して敵の最前線までやって来れた。ジュディはまず、敵前衛を追い払う役をやっているヘルフレイム・スケルトンに切り掛かる。通常スケルトンの様な骨しかないアンデッドには打撃攻撃の方が有効なのだが、魔法力を込めた武器ならば炎にも攻撃が通るので、今回は魔力撃での斬撃を行う。
しかし割り入る様にジュディにファイヤー・ジンが火球での攻撃を浴びせようと炎を形作ろうとするが、その度に茜が良いタイミングで銃撃による妨害を入れてくれる。
しかし、上手く敵陣に切り込んだジュディを焼こうとサラマンダーが息を吸い込み始める。
「やだ、ブレス攻撃?!」
サラマンダーの行動に身構えたのは前回の階層での記憶が蘇ったのもあるが、実際に受けてみて気づいた事があったのだ。
ブレス系の攻撃は直線的な動きではあるが、息を吐き出す行為だ。要は気体を吐き出すため壁で一方を防御しても空気の流れ次第では壁を張っても範囲次第では防ぎきれない可能性が出てくる。
そして吐かれた息とは、思った以上にしつこく身体に纏わり付く。それは前回の石化ブレスで思い知った。ブレスの中に長くい続ければ火傷状態を付与されることは間違い無いだろう。
「親友、俺は先にアンデッド潰す、足止め頼む、ブレスなんて吹き飛ばしてやってくれ!」
「え!? あ,そうか了解!」
突然場を任されて狼狽えるが、言われてみれば確かに、留まったブレス攻撃程度なら一撃で吹き飛ばすブロウの強化版であるハイ・ブロウを使える優太はブレス攻撃に対しては割と強い。
事実、前に出た途端に放たれたサラマンダーのブレス攻撃はハイ・ブロウの前にあっさり吹き散らされた。
「やった! 危なかった……」
「親友ナイス!」
本来この攻撃は魔物達の陣地まで相手が深く入り込んだ時に用意されていた反撃手段だった。それを上手く無力化出来た事で、敵陣に深く入り込んだ秋彦達を追い払う事ができなくなった魔物達。
後は簡単だ。ファイヤー・ジンの遠距離攻撃もヘルフレイム・スケルトンの中間距離の敵を追い払う牽制攻撃も、サラマンダーの距離を離す為の近距離攻撃が機能しなければ、懐に三人も入りきられた時点で終了である。
距離感という点においてはなかなかの強敵であった物の、この手のコンボはどこかが崩れれば破綻するのが世の常だ。
こうして、中級ダンジョン第三階層での初戦を見事制し切ったのだった。
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次回の更新は3/24(木)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




