第三百十七話 コウザンイシツツキ
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これも皆さまからのご愛顧の賜物です。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
交戦の気配を感じ取った5匹のコカトリスが、大声で鳴きながら遮二無二突っ込んで来る。だがその突撃スピードがかなり早い。
やる事がわかりやすい分、戦闘力の高さは純粋な実力で勝負する構えのようだ。ならばこちらもと、秋彦はその構えに応えるように、掛け声と共に連続の突き攻撃を繰り出す!
まだまだ本気では無いもののかなり素早く、力強く出した突きだが、コカトリス達は上手く避けて、避けきれない攻撃を喰らい、すぐさま秋彦とジュディペアと間合いを詰めてきた。
連続の突きで早くもコカトリス1匹の首が飛んだが仲間のコカトリスは全く怯む様子も見せない。
「うお! 油断してたわけじゃ無いけどあっさり間合い詰められた!」
「流石にこれだけ覚悟を決められると辛いわね!」
思わず驚きの声が出てくるが、既に5匹から4匹に減ったコカトリスは半分通り囲むように並び、一斉に息を吸う動作を取る。となれば次の行動は容易に想像がつくというものだ。こんな時のために作っていたアクセサリーを思わず握りしめる。
「来るぞ! そいつを作った俺を信じろー!」
「早速の出番よ、頑張って頂戴アクセサリー!」
そして一斉に放たれる石化ブレス!
息というよりは灰色の霧を口から吐かれている様な感じだ。だが妙に生暖かく、臭い。後微妙に目に染みる。
「うわ、くっさ! てか目に染みる!」
「いやああああ!! もう最悪!」
秋彦は顔を顰めるに留まったが、女性であるジュディにはかなり生理的嫌悪があったらしく、悲鳴に近い声を出していた。
とはいえそれだけだ。コカトリスの石化ブレスの本命の効果である状態異常、石化の付与効果は秋彦達には全く出ていなかった。
とりあえずいつまでもまとわりつく様なブレスを払うべく、秋彦はマジックバッグからアイテムを取り出し一振りする。
それは軽い一振りだったが、その一振りに反応するかのように周囲に突風が吹き込み、それが石化ブレスを吹き飛ばした。
「うお〜、まさか使う日が来るとはなこれ」
「それなあに? 小さい箒?」
「おう、シルフの手箒って言ってな。手に持って振ると風吹かせる魔法のブロウの効果が有るんだ。ジュディ達と出会う前に初級ダンジョンで手に入れたもんだ。ブロウ程度でも息散らす程度ならこの通りだ」
「話には聞いてたけど役に立つのねそれ。とりあえずブレスが来たらお願い……ね!」
石化ブレスを破られたコカトリスは通常攻撃、あるいは石化攻撃に切り替えたらしく嘴から突っ込んできた。
それを軽く躱すと、躱しざまにコカトリスの首を一撃で刎ね飛ばすジュディ。動きが自然かつ美しく、秋彦には舞を舞ったかの様にさえ見えたのは少々贔屓目だろうか。
だが見惚れてばかりもいられない。石化が通じないとわかった途端、先程まで4匹しかいなかったコカトリスは10匹以上に増えた。司令塔のコウザンイシツツキは数で押す作戦に切り替えたらしい。
「ん、まあ、良いんだけどさ。持って帰る肉が増えるだけなんだし」
少し後ろに跳び、持っている槍が最も有効な距離になる位置につき槍を振るう。一振りごとにコカトリスの首が宙を跳ねる。別に首を飛ばさなければいけないわけではないが、後で売る事を考えると状態はなるべく綺麗な方がいいだろうという判断である。
「さて、こっちは石にならないし、数のゴリ押しも無駄っぽいから大丈夫だけど……」
「優と茜がコウザンイシツツキをなんとかしてくれないと終わらないのよね。あっちは大丈夫かしら?」
先程から銃声がちょくちょく響いていたことから交戦中である事はわかるが少々長引いている気がする。
少し心配になってきた所だが、それは杞憂だったらしい。その直後にコカトリスの後ろから大きな風が吹く音と、自分達の後ろから発砲音が聞こえてきた。
奥を覗いてみると、壁に銃弾で縫い止められるかのように撃たれたコウザンイシツツキがいた。同に大きく開いた風穴を見る限り死んでいるのは確実だろう。
「お待たせ、仕留められたよ」
「……後お願い」
優太と茜が満足げに声を掛けてくる。
………………………………
時間は少し巻き戻り、優太と茜。
前に出ているコカトリスVS秋彦&ジュディが派手にぶつかり合う中、二人は思わぬ苦戦を強いられていた。
「えい! この! くそ!」
「……また外した。あまり弾に余裕があるわけではないのに」
2人が相手にしているのはコウザンイシツツキ。コカトリスを呼び出し石化ブレスで相手を石にして、石突つきで大ダメージを与えるコンボの要でありコカトリス達のリーダー的存在。逆に言えばこいつさえ倒せれば、後はもう増えないコカトリスをゆっくり狩っていくだけなのだが、流石にリーダーは一筋縄ではいかないらしい。
まずコウザンイシツツキはコカトリスと比べてもかなり小さい。コカトリスがニワトリっぽい見た目に反して小学生並みの背丈をしていてデカいというのも確かにあるが、サイズとしては普通のキツツキと同程度なのでは無いだろうかと言える大きさだ。
そんなサイズの魔物が戦闘力の大半を素早さに割り振ったように速く動くのだ。なかなか捉えられない。
また動きが速いせいか炎魔法での攻撃は簡単に振り切られてしまった。一応薄暗い中の光源確保にはなったから無駄ではなかったが、攻撃にはならなかった。
ならばと風魔法で攻撃してはいるものの、その素早さと小ささが相まって捕まえられずにいる。
「困ったね……当たんないよあれ」
「……闇雲に攻撃しても無駄かも。既に貴重な弾を三発も無駄にしている。これ以上の無駄な消費は避けたい」
茜の表情が曇る。
確かに実戦では初使用の武器とはいえ、DPを使用してちゃんと銃の使用が出来るように銃器術を取得し、レベルだって上げてきた。
この銃はダンジョンのボスの眷属が持っていたものであり、ダンジョンの産物だ。弾はまだ量産が利かないのだ。消耗品とはいえあまり無駄遣いしたくはない。
せめてこちらに向かってくるなら良いのだが、コウザンイシツツキは石化した相手以外に攻撃はしようとしないらしくコカトリスの後ろから離れようとせず、それがさらにコカトリスが遮蔽になってますます銃を当てづらくしていた。
「腹立つなー、どうしたものかな……うん?」
「……風?」
頭をひねる優太。そこにダンジョンには普段吹かない風が吹いた。
なんだと思って敵のいる手前、秋彦とジュディがコカトリスと戦っている所を見ると秋彦が小さな箒を持って、灰色の空気、おそらくはあれが石化ブレスであろう空気を吹き飛ばしていた。
「……箒?」
「あ、懐かしい、シルフの手箒だ」
「……何それ?」
「教えてなかったっけ? あれ持って振ると風を起こす事ができるの。ブロウレベルだからそんなに強くは無いけど……あ」
茜は存在自体を忘れていた様だが、優太が効果の説明をする。
そして閃いた。
「あのさ、速く飛ぶ物って横風の影響を受けるよね」
「……速ければそれだけ影響は大きい。まして生き物なら体勢を崩すかも?」
「だよね、やってみようか。僕が風魔法であいつを動かさせて、そこから更に僕がハイ・ブロウを打つよ」
「……上手く体制が崩れるか……はわからないけど遮蔽の外に出るなりしてくれれば私が仕留められる」
「やろう!」
「……うん」
即興の作戦であったが、その効果は覿面だったと言えるだろう。
コウザンイシツツキは優太の風の攻撃魔法を躱すが、直後に吹いた突風に体勢を崩し、制御を失って壁に激突。壁にめり込んで身動きが取れなくなっていた所を更に狙い打ったのだ。
こうして、後衛2人は思わぬ形で苦戦した物の、今回も無事勝利を収める事ができた。
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次回の更新は2/17(木)とさせていただきます。宜しくお願い致します。




