第二百九十八話 中級ダンジョン 一階層目ボス 戦後処理 機械素材
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いつもいつもお待たせしていると言うのに感謝しかありません。
これからもりあダンをよろしくお願いいたします!
「さーて、まずは一体パパッと解体しちゃおうか!」
興奮し気味に優太が言うと、ふわりと羊が逆さ釣りのような体勢で宙に浮く。優太がレビテーションをかけたからだ。
そして剥ぎ取りナイフを取り出し、一気に捌きに掛かる。
「おお~……めっちゃやる気じゃねーかっていうか手際がいい」
「そりゃ待望の新食材だもの! 気合入っちゃうよ!」
鼻息荒く秋彦の言葉に答える。
その様子を見てジュディ重要な事を思い出した。ボスモンスターを倒したことで出現した報酬と言うべき宝箱の存在だ。
「あ、そういえば宝箱開けなきゃ……」
「僕料理してるから開けてていいよ! 僕にとってはこっちの方がお宝だしね!」
「わ、分かったわ。羊毛とかもきっちり分けてね。お肉だけしっかりやって他の素材は雑っていうのは無しよ?」
「分かってるって! 僕だって探索者なんだから!」
「……了解、開けてるからね」
すごい勢いで皮をそぎ落とし、肉を取り出しにかかる。もはや新しいおもちゃを与えられた子供のように熱中していて、折角のボス撃破の報酬である宝箱の中身に対して興味を失ってしまっているようだ。
「……優って前からああだっけ……?」
「ちょっと違ってる気がするわね、どうしたのかしら?」
「今商店街活気あっていい感じだからな。また盛り上がりに貢献できそうなものがでてきたから嬉しいだけだろ、あいつは地元の商店街が大好きだからな」
「あ、そういう事ね」
優太の猛烈な勢いに若干引き気味だった女子二人はそれで納得した。
自分が幼いころにあった商店街の盛り上がりが大きくなってからは絶えて久しかった半年前、今優太の実家がある仲町商店街は空前絶後の大注目及び大盛況である。たとえそれが一時だけであろうとも、今が最盛期に近い状態であるのは明白だ。
そんな自分の愛する商店街が今空前絶後の注目されている勢いを優太はまだ絶やしたくないらしい。
もっとこの盛況ぶりを盛り上げたい、この祭りの様な賑わいをまだ楽しみたい、そういう思いがあるからこそ、新しい燃料になるであろう羊肉に対して興奮しているのだろう。
翻って宝箱の中身は予測出来ないし、毎回同じものが手に入る訳では無いので商店街を盛り上げるための物にはならない。そういう意味でも優太にとっては興味が失せているのだろう。
「成程ね、良いわねそういう郷土愛っていうの」
「それにほら、新しい肉っつったら蔵屋敷のオヤジさん喜ぶぜ。ほら精肉店の」
「……あのコロッケが美味しい所?」
「そうそう、羊肉が手に入るようになったとありゃ、カッシーがまた美味いジンギスカンのたれとか自作してくれるかもしれないしな」
「柏君が? 良いわねそれ、彼も料理スキルのレシピ本いろいろ持ってて美味しいタレ売ってくれてるもんね」
肉屋の蔵屋敷夫妻は探索者とかかわりを深くしているが夫妻自体は探索者では無い。なので基本的にはまず秋彦と優太の小中学時代の同級生であり、蔵屋敷夫妻の息子である蔵屋敷 柏が魔物の解体や料理スキルを覚えて夫婦にレクチャーして運営している。
今夫婦が作成している総菜の味付けやオリジナルのタレの作成は、元はと言えば柏が作ったものだ。彼はこの肉屋の発展に大きく貢献している。
そして中谷商店街連合という地域専属探索者のチームメンバーでもある。二足の草鞋を履いている状態ではあるが、本人は割と楽しんでいるようだ。
「そうそう、さーてそろそろ宝箱開けようか」
「そうね。今回はどんなものが手に入るのかしら!」
「……楽しみ」
早速秋彦がいつも通り現れた大きな宝箱を力いっぱい開く。
いつも通り内容を漁る。まず目につくのはカネーだ。妖精商店で使用できる通貨だが、今までにないほどに大量のカネーだ。とりあえずこれは四人で山分けするとして、問題はそれ以外に入っているものだ。
例えば時計だ。腕時計や目覚まし時計のような形ではない。小さな鎖と留め具がついていることからこれは懐中時計だろう。大きさも丁度紳士服の懐にあるポケットに入りそうなくらいの大きさだ。だが時計の鎖や留め具はおろか文字盤も針まですべてにおいて金色をしていた。重さも手に取るとわかるがこのサイズにしては変に重い。
アナライズで確かめる。
【黄金の懐中時計】
≪すべてが黄金で出来た懐中時計。とても貴重な代物である。その時計は正確に時を刻み、決して止まる事は無い≫
「うん……?」
「……え?!」
「あ、あら? そ、それだけなの?」
三人の間に何とも言えない微妙な空気が流れ出す。まさかこんなところに来てハズレを引いたとでもいうのだろうか?
「でもこれ魔法力は感じるぞ。何もないってことは絶対にないと思うんだが……あ、そうだペネトレイトしてみよう」
思い立った秋彦がペネトレイトを行うと、少しだけ手ごたえがあった。もう一度説明を見返すと、たった一文だが救いのある言葉が追加されていた。
〈機械素材〉
「ほぉ……これ自体はやっぱり魔力を帯びているけどただの時計なのか……」
「だけど、今後機械的なレシピ本に機械工作的なスキルが導入された時にその素材として使えるって事よね?」
「……そう取るのが自然だと思う。このアイテムはいい。凄くいい」
「ええ、今正に私の会社が必要としている物よね、今後の発展に対しての方向性が見えてきたわ!」
「……更なる発展の鍵……!」
盛り上がる女子陣。
機械鎧なんていう物を研究しているジュディや、機械による工業化による探索者達の更なる強化は今後の日本の発展にさらに寄与するに違いない。
しかしそんな喜び合う二人をしり目に秋彦はため息をついた。
「だなぁ。にしてもまさか道具にまで隠蔽がなされているとは……改めて思うが報告したらしばらくペネトレイトの魔法石を作りまくらないといかんなこれ……」
今回秋彦は道具にも看破を使用し、その道具の本質を明らかにした。だがこれにより道具にも看破を使用しなければ必要になる情報が開示されないと言う事実が明らかにもなった。
最早看破は中級ダンジョンにおいて必要不可欠な魔法だ。そして看破は無属性魔法。つまりほとんどの探索者が持とうと思って持てない魔法だ。
そうなるとしわ寄せが来るのは当然秋彦だ。日本ではいまだに秋彦以外の無属性魔法使いは確認されていないのだから、魔法石を作る役目を追うのは当然秋彦になるのである。
「うわぁ……やりたくねぇ……」
ダンジョンアタック後の報告は探索者の義務だ。
秋彦は今から、何と報告すればいいのか、頭を悩ませることとなった。
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