【episodeZero】鉱山
二日ほど更新のお休み貰っててすみませんでした。
「ここか?」
「はい。ここが、レアメタル鉱山です」
変態悪魔、ヴィネルの依頼を依頼を遂行するため、私たちはヴィネルの案内でここに来ていた。
レアメタルは、有用にも関わらず取れる量が非常に少ない希少金属。
だが魔界には、その希少金属が大量に取れる鉱山があり、それがここなのだと。
「それで、そろそろ教えてくれない?あんたが言う、問題ってなんなのさ?」
「まあ、よくある話なのですがね。この鉱山に、面倒な魔獣が住み着いていまして。それを何とか対処して欲しいのですよ」
「別によくある話では.......ああ、そういえば、魔界には魔獣が多いんでしたっけ」
魔界は他の地域に比べて食料が豊富なため、魔獣が多い。
中には、今の私たちすら対処出来ない、恐ろしく凶悪なものもいる。
だが、ここにいる魔獣は、群れるが弱いタイプ。私たち三人なら、問題なく蹴散らせる。
「あ、鉱山にあまりダメージを与えないでください。レアメタルが取れなくなるので」
「レアメタルなんだから丈夫なんでしょ?少しくらいいいんじゃない?」
「お前、自分の魔法の威力考えろ。間違いなく世界トップクラスだぞ。何でも砕けるわ」
「照れるなあ」
あまり褒めてはいない。
「んじゃまあ、あたしがやっちゃっていい?」
「どうぞ」
「破壊はするなよ」
「しないしない。こうすんの。《死の呼び風》」
フランが魔法を唱えると、奇声を乗せた風が、鉱山に吹いた。
直後、内部の生体反応が恐ろしい速度で減っていった。
「.......え?」
「ま、ざっとこんなもんよ」
「さすがと言っておく」
「相変わらず凄まじいですね、フランの魔法」
「いや、ちょっと待ってください。なんですか今のは、あんなのあり!?」
《死の呼び風》は、フランが作り出した、元素魔法と精神魔法の複合魔法。
自らの声を乗せた風を、指向性を持たせ、かつ広範囲に発生させる。
そして、その声は『聞くと死ぬ』。
抵抗出来ない者は等しく死に絶える、恐ろしい魔法だ。
「さて、もういいな。帰るぞ」
「あー、ちょっと待って。まだ終わってないんだよね」
「なんだと?どういう事だ」
「どうもさー、中にまだ人がいるみたいなんだよね。魔獣じゃなくて、人」
人が中にいる?
気配感知を働かせてみると、なるほど、確かに感じる。
「ちょっと前に気づいて、魔法の対象外にしたけど、なんでこんなところにいんの?危うく殺人犯になるところだったよ」
「鉱山での労働者か.......?いずれにしろ、行ってみる必要があるな」
※※※
中に入ると、あちこちに道具が散乱していて、お世辞にも綺麗とは言えなかった。
まあ、鉱山などこんなものだろう。
「さて、どっちだ」
「反応はあっちからだね。あそこの坂から行けそう」
「では行きましょう.......ヴィネルさん、暗闇に紛れておしり触らないで!」
「えーー」
生体反応に向かって歩みを進めると、そこには.......
「お、女の子?」
小さな少女がいた。
「ひっぐ.......うう.......お母さん、どこぉ.......」
「迷子?こんなところで?」
「.......おい、大丈夫か?名前とか言えるか?」
「うええん.......お母さん.......」
答えないか。
さて、どうしたものかな、これは。
「取り敢えず、外に連れてく?」
「そうだな。放っておくわけにもいかないだろう」
「そうですね、後でお母さんを探して―――ッ!?」
話していると、天井からガララッという音が聞こえてきた。
何かが崩れたような音だ。
そして、子供のちょうど真上に、示し合わせたかのように瓦礫が降ってきた。
「あ、危な.......」
「《保護結界》」
「《灼熱光線》」
「《転移》」
フルーレティアが結界を展開して全員を守り、私が念の為に瓦礫を破壊し、最後にフランが余裕を持って転移魔法で外に逃げる。なかなかのチームワークと言えるな。
「あっぶなー!」
「もう少しで、この子に瓦礫が当たっちゃうところでしたね」
「まったく.......あなた、なぜこんな所にいるんですかねぇ?」
「.............うう」
さて、ではそろそろ、疑問を聞いておかないとな。
「おい、変態悪魔」
「出来れば名前で呼んで欲しいんですがねぇ」
「じゃあヴィネル。お前、なんの為にこんなことしたんだ」
「.......なんの為とは?」
「とぼけるな。ここ、レアメタル鉱山じゃないだろ」
そう。
私は確信する。ここは断じて、レアメタルが取れる鉱山などではない。
「え?どゆこと?」
「考えてもみろ。レアメタルがどれだけ有用なものだと思っている。貴重な資源を魔獣に奪われて、それを客人である私たちに対処させるだと?どう考えたって不自然だろ。私たちが野蛮な存在で、鉱山が崩壊でもしたらどうするつもりだ。普通は街の精鋭を集めてぶつけるはずだ」
「.......たしかに妙ですね?」
「それに、散乱していた道具が古すぎた。ずっと使われていないようだったぞ。.......正直に言え、ここは廃鉱山だな?」
「.............」
「それに、その子供だ。廃鉱山なんて危険な場所、普通は封鎖している。子供が入れるはずがない。......何が狙いだ」
「ふふふ.......戦闘力、観察力、推理力、その他.......基準値クリアですねぇ。さすがはイスズ様の眷属と、その仲間のお二人」
ヴィネルは不気味な笑みを浮かべると、子供から目を離し、私たちに向き直った。
「あなたのおっしゃる通り。ここは十年も前に廃棄された廃鉱山です。レアメタルなんて取れません。魔獣の住処になっていたのは本当ですが、別に大したことでもありませんでした」
「それで.......その大したことをあたしたちにさせたのはどーゆーわけ?」
「テストですよ」
テストだと?
「あなた方が、私たち悪魔族と魔人族を従えるに相応しい方々かどうか、見極めたかったのですよ。で、悪魔王様や魔人族長さんと相談した結果、このようなテストを設ける形になったのです」
「なるほどな。それで、合格なのか?」
「それはおいおい」
「そうか。.......で、最後の疑問なんだが。その子供は誰だ。ただの子供じゃないだろ」
「お察しの通りよ」
第三者の声にギョッとして振り向くと、そこには子供の姿は無く、代わりに、
「こんにちは。試すような真似してごめんなさい」
悪魔王アネットがいた。
なるほど、こいつが変身魔法で化けていたのか。
これでスッキリした。
※※※
翌日、私たちの部屋へ悪魔王と魔人族長がやってきた。
「昨日のテストの結果か?」
「ええ、そうです。僕たちとヴィネルで話し合って、メリット・デメリットなどを考慮し、決めました」
「そうか。では、答えを聞かせてもらいたい」
「はい。我々は.......」




