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転生吸血姫と元勇者、人類を蹂躙する  作者: 早海ヒロ
第五章 魔王誕生編
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【episodeZero】意気投合

「《消えぬ炎(イモータルフレア)》!《重力刃(グラビティブレード)》!《破壊光線(ブレイクレーザー)》!」


 青い炎がいくつも燃え上がり、陽炎のように揺らぐ刃が飛び、赤い光線が着弾し、命中箇所を粉々にした。


「アーッハッハッハッ!!あたしに歯向かおうなんざ六百年早いね!!」

「わははははは、やるではないかフラン!そうだもっとだ、もっと撃て!!」

「ちょ、ちょっとお.......二人とも落ち着いてよお.......」


 フランの魔法も私の魔法も火を吹き、周辺をボロボロにする。

 私はたまに近接戦闘に移行し、相手をボコボコにしている。

 フランも好戦的な目で相手を見つめ、今も広範囲に高位魔法の雨あられを降らせている。


「さあもっと来い、魔獣共!!私とフランの前に、何百匹襲いかかってこようが変わりないわ!!」

「変わりないわーー!!」

「だから二人共落ち着いてよお!」



 ※※※



 私たちは、魔獣の群れに襲われている最中だった。

 ハイエナ型の魔獣で、一体一体が雑魚じゃない厄介なのが、二十匹もいた。

 こんな所で魔獣に会うとか、滅多にないはずなんだが。やはりフランは、不幸を呼び寄せる体質か?


 とんだ地雷娘押し付けられてしまったと思った.......のだが、それはフランの魔法が炸裂するまでの話だった。

 実際、フランの魔法の才は凄まじかった。

 この私すら遥かに凌駕するその腕前は、天才な私すら惚れ惚れするレベル。

 その魔法で魔獣を蹴散らし、追い詰め、気がつけば私も参戦して、逃げる魔獣を追いかけ回していたわ。

 早い話、私とフランは互いの凄さを見たせいでハイテンションになっていたのだ。



 最後の魔獣を駆逐し、その素材と肉を剥ぎ取り、リンカに任せて焼肉を始めた。


「わはははは、フラン、私はお前を誤解していたぞ!あんなかっこいい大規模魔法まで使えるとは!また魔獣が出たら、別のも見せてくれ!!」

「フィリスこそ!あたしほどじゃないけど、すっごい魔法も使えるし、しかもパンチとかキックもめっちゃ強かったじゃん!!アハハハ、もっと魔獣出ないかなー!」

「ふ、二人がおかしいよお.......テンションが変だよお.......」


 リンカめ、失礼なことを言うやつだ。

 フランのあの魔法、素晴らしい。私も見習わねば。

 天才な私は、『人から吸収する』という術の大切さも知っているのだ。


「どうだ、フラン。このまま私たちと一緒に来るというのは?私は大歓迎だ」

「ええっ!?」

「んー.......パパを振り切れるかな.......流石にあたしが旅立つなんて話したら、監禁してでも止められるだろうし.......」

「ふむ、一応お前もエルフの姫だからな。確かに立場というものはあるだろうな、うん」

「エルフ族は、吸血鬼族と違って世襲制だからねー。まあ、あたしは女王とかなりたくないから、妹のティアナに譲る予定だけどさ。あ、これ内緒ね」

「じ、自由だね、フランちゃん.......やっぱり、フランちゃんとフィリスちゃんってちょっと似てる.......」



 ※※※



「あ、見えてきたよ!あれだよね、竜人族の街!」


 リンカの声で目を凝らすと、確かに遠くに街が見えた。

 周囲にいるのも竜人族ばかりだし、間違いなさそうだ。


「そうみたいだな。.......一応言っておくがフラン、中では流石に問題を起こすなよ?」

「アッハッハッ、分かってるよ!」

「まったく.......大丈夫か?」

「言っておくけど、フィリスちゃんもだからね?」

「いやいや、何を言っているリンカ。この私が.......」

「 フ ィ リ ス ち ゃ ん も だ か ら ね ? 」

「.......ハイ」


 .......私はリンカに逆らっちゃならんというのを思い出した。


 検問を抜けて街に入ると、その建設技術の高さに少し驚いた。

 綺麗な石造りの街並み、芸術性すら感じる。


「うおおおおあああーー!すっごーーい!カッコイイー!」

「ちょ、ちょっとフランちゃん、落ち着いて!」

「リンカ、手伝え。そいつ押えておこう」


 フランを羽交い締めにしながら、竜人族の長、竜皇の住まいがある街の中心部に向かった。


「ん?.......何者だ?」

「エルフ族の遣いの姫君、フラン・フォレスターと、護衛の吸血鬼族二人だ」

「どもー!フラン・フォレスターです!」

「.............なんで護衛が雇い主を羽交い締めにしてるんだ?」

「気にしないでくれ、アホ姫がアホな行動をしないように抑えてるだけだ」

「.......そ、そうか.......」


 若干引いてる門番だが、とにかく証明書やら何やかんやを見せて通してもらった。


 通された応接間で暫く待っていると、扉が開き、一人の巨漢と、対照的とも言える小さな女の子が入ってきた。


「君たちが、エルフ族の遣いだね。ようこそ、竜人族の街へ。私は竜皇、ヴェルガー・ドラグレイだ。今回は本当に助かったよ、ありがとう」

「いえ、私たちは護衛をしただけですから」

「ふむ、吸血鬼族とは珍しいね。エルフ族と吸血鬼族は交流があったのかい?」

「いえ、私たち二人は旅をしているので。.......というか、なんで私が応対を.......フランちゃんがやることだよ、これ。エルフ族なんだし」

「えー?だってあたし、こーゆー時何言ったらいいのかとか知らないし!」

「おい、それで良いのかエルフ王族」


 いや.......こいつの場合、『知ってるけどやらない』が正確なんだろうな。


「ははは、構わないよ。エルフ族の長女がお転婆という話は、結構有名だからね」


 有名なのか。いよいよ大丈夫かエルフ族。


「さて.......目的のものを見せて貰えるかな?」

「あ、はい。こちらです」


 収納系のマジックアイテムを渡すと、竜皇は中を確認し、暫くすると、


「うん、確かに。本当にありがとう、これで妻の容態も良くなるよ」


 と、ほっとため息をつきながら言った。


「さて、今日は泊まっていってくれ。こちらで部屋を用意してあるからね。.......彼女達を案内してあげて」

「わかりました」


 ずっと竜皇の後ろに控えていた幼女は、竜皇の言葉に頷いて、私たちの方にとてとてと歩いてきた。

 十歳くらい.......だろうか。何故こんな子供が、竜皇と一緒にいるんだ?


「か、可愛い.......!」

「見た目に騙されない方が良いよ。その子は年齢こそ見た目通りだけど、竜人族最高の結界術師で、魔法竜騎士団の第三席に就く天才だからね」

「えっ」


 なるほど。

 竜人族の中での天才というわけか。こんな子供でも騎士団とは、やはり世界は広いものだ。


「で、でも、それでも可愛い.......」

「.......彼女、大丈夫かい?」

「気にしないでくれ、ただ単に異様に可愛いもの好きなだけだ」


 こいつの部屋、自作のぬいぐるみだらけだからな。

 エルフの村でティアナを見た時も、寝起きでなければ頭を撫で回していたことだろう。


「はじめまして、おさんかたのあんないをおーせつかりました」

「わあ、礼儀正しいねぇ!」

「うちのティアナの方が礼儀正しいはずだよ!」

「変なところでシスコンを発揮するな」


「ワタクシ、フルーレティアともうします。どうぞよろしくおねがいします」

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