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転生吸血姫と元勇者、人類を蹂躙する  作者: 早海ヒロ
第五章 魔王誕生編
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【episodeZero】怒り

昨日の更新、諸事情で出来なくてごめんなさいm(_ _)m

「フィリスちゃん、そっち行ったよー!」

「分かってる!どりゃああああ!」


 リンカが追い立てた一匹の羊のような姿をした魔獣を、私は力任せにぶん殴って頭を砕いた。

 最近、好んでぶっ飛ばしてる魔獣だ。弱いし脆いし、おまけに肉は美味くて羊毛も採れる。


「おー!流石フィリスちゃん!」

「ワハハハ、そうだろう!さて、毛を刈るぞ」

「うん!」


 リンカと共に旅を始めてから、結構な時間が経った。

 まあ、どれくらいの時間かは分からん。吸血鬼、というより長命種は、基本的に時間にルーズだ。

 ルーズと言っても、約束の時間とか日にちは守るが、時間感覚はかなり大雑把だから、もう旅を始めてから一ヶ月なのか一年なのかは分からん。まあ、三年は経ってないだろうなー、という程度。

 それ故に、長命種は自分の年齢を覚えてないやつも多いからな。


「うん、ちゃんと羊毛採れたね!お布団にする?クッションにする?それとも.......ま・く・ら?」

「.......なんだその言い方」



 ※※※



 正直私は、旅を舐めていた。


 そもそも私は、自分が料理も洗濯もテントを立てるのも出来ないことをすっかり失念していた。

 肉を焼けば焦がし、魚は生焼け、洗濯をすれば服が擦り切れ、テントは立てる時に支柱が折れた。


 もうはっきり言おう。リンカがいなければ今頃野垂れ死んでいたかもしれない。

 こいつが旅路における、戦闘以外の全般をやってくれてるおかげで、私は生きながらえている。


「フィリスちゃん、出来たよー。羊肉のステーキ」

「うおおおおおお!!」


 ステーキだー!美味しそー!

 うむ、美味い!


「ほらほら、食器片付けるからねー。はい、お茶」

「おお.......温まるう.......」


 いやー、リンカがいなければ危なかった.......



 .............なんだか、リンカに依存しすぎているような気がするぞ?

 もう、リンカがいなくなったら旅を続けられない感すらあるんだが。ていうか実際そうなんだが。

 このまま依存し続けて、私は良いのだろうか.......


「フィリスちゃん、デザート食べるー?」

「食べるー!」


 まいっか!



 ※※※



「種族は.......吸血鬼か、珍しいな。まあ通行料も払ってくれたし、問題ないな。通っていいぞ」


 数日後の夜、私達はエルフの村を訪れていた。

 エルフの村といっても、エルフが大半というだけで、異種族がいないわけじゃない。

 少し見回しただけでも、ドワーフやダークエルフ、竜人もいる。


「おお.......これがエルフか。凄いぞ、吸血鬼の里では感じたこともないような強い魔力を感じる!それに、なんだか良い匂いが.......おお、あっちにはっ.......」

「もー、フィリスちゃん!はしゃがないで!まずは宿探しとご飯!」

「.......はい」


 素直に従って、私達は宿を取り、今夜の寝床を確保した。

 自然の良い香りがする、良い宿屋だな。


「じゃあ私、余った羊毛とか色々売れるもの売ってくるね。フィリスちゃん、美味しそうなご飯屋さん探してきて」

「分かった」


 .......里では私がリンカを引っ張り回していたような気がするのだが、旅立って以来、本格的に私はリンカの尻に敷かれてる感が否めないな。

 まあ、もう半分諦めているが。


 外に出て飯屋を色々回ってみた。

 結論、ここは野菜しかない。

 肉の「に」の字もないぞ。.......そういえば、エルフは種族そのものが菜食主義だと聞いた覚えがあるな。


「.......私、肉が食いたいんだが」


 吸血鬼族の主食は、言うまでもなく血だが、別に血しか飲めないわけでも、血からしか栄養が補給出来ないわけでもない。

 ただ、他の種族よりも血を美味く感じるだけ。むしろ、『血肉を作る』という意味で肉を食う方が好きという者が多い。


 そもそも、吸血鬼同士の血は飲めないし、吸血鬼は他の種族との交流も少ない希少種だから、私も獣や魔獣以外の血は飲んだことがない。

 魔獣の血は結構美味かった。


「ふむ、どうするか.......ん?」


 一軒、なにやら繁盛している店があるな。

 行ってみると、どうやら飲み屋のようだった。

 ここで良いか。どこも野菜なんだし、どこでも同じだろ。


「いらっしゃい!.......おお、お客さん、吸血鬼族かい?珍しいな」

「よく言われる。.......後で連れを呼んでくるから、二席確保してくれ」

「はいよっ!」


 ふむ、流石エルフ。店も机も、何もかもが木を始めとした自然のもので作られている。


「ほい、お通しお待ち!ご注文は?」

「野菜炒めとニラ玉。あと、果実酒を適当に二瓶ほど」

「ほいほい、野菜炒めにニラ玉、果実酒ね!」


 お通しは.......漬物か。苦手では無いが、別に好きでも.......


「.............うっっっっま!?」


 おいおい、なんだこれは!?

 里で食ってた漬物、あれはなんだったんだ?野菜クズで作ってたのか!?

 それほどに美味い。


「あ、お客さん。そいつはお代わり無料だが、いるかい?」


 これが無料だと!?


「.......ぜ、是非」

「かしこまりぃ!」


 漬物に夢中になっていると、料理が出てきた。

 野菜炒めとニラ玉、これもまさか.......


「美味ああああああ!!」


 肉より美味い野菜なんて初めて食ったぞ!

 私、玉ねぎ苦手なのだが、全然食べられる。


 .............おお、酒も.......酒美味すぎないか!?


「な、なあ。この酒は物凄く高いんじゃないのか?美味すぎるんだが.......私、そんなに金ないぞ」

「んあ?まあ.......これくらいだな」


 安!?

 なんだエルフ!凄いぞエルフ!これならっ.......


「この店のオススメメニュー、全部くれ!あと酒もう三瓶追加で!!」

「おお!お客さん、景気がいいねえ!」


 おおお、野菜で腹を満たすことになる日が来るとは!

 エルフ凄い!私、今日からエルフになる!



 私はそのまま、そこで二時間ばかり飲み明かした。


「ワハハハハハハハ!ワハハハハハハハ!エルフって素晴らしい!!私今日からここの子になる!肉なんていらない!」

「うおおお!新たな同胞か!?」

「吸血鬼がエルフに!!パンチが効いた話題だねえ!」

「ふははははは、もっと野菜持ってこーい!」


 もう私は、完全に酔っていた。ハイテンションだった。

 これだ、これこそが旅の醍醐味ってやつだ!

 さあ、もっと酒を.......



「フィリスちゃん?」



 .......その声に後ろを振り向くと、笑顔のリンカがいた。


 一気に酔いが覚めた。


「フィリスちゃん.......私さ、ご飯屋さんを()()()()()って言ったよね?なんで先にご飯食べてるのかなあ?」

「あ。.............ま、待て。違うぞリンカ。これはだな.......」


 なんだこれ。

 リンカが、怖い。

 ずっと笑顔なのに、何故か怖い。

 何故怖いのか、天才的頭脳を持つ私が分からないのがまた怖い。

 恐怖で動けない。


「しかも、こんなにお酒飲んで、勝手に食べて.......ねえ、フィリスちゃん。フィリスちゃんは自分を天才天才って言うけど、もしかしてアホの子なのかな?」

「.......いや.......あの.......」


 ゆっくり近づいてくるリンカが超怖い。

 見ると、周りのお客もめっちゃビビってる。


「こーんなに食べて.......お金足りなかったらどうするの?ねえ.......フィリスちゃん.......ねえ.......」

「ひえ.......あ、あの.......すみませ.......」

「どうして怖がってるのフィリスちゃん?私は怖がらせるつもりは無いんだよフィリスちゃん?ちょっと怒ってるだけだよフィリスちゃん?完全に私のこと忘れてお酒を飲んでた事を、責めてるわけじゃあ.......ないんだよフィリスちゃん?」

「ひいいいいい!」


 この日以来。

 私は絶対にリンカを怒らせないようにしようと決めた。

 ついでに、あんまりリンカには逆らわないでおこうとも決めた。

怒ってると笑顔になる女の子って大好きです。



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― 新着の感想 ―
[良い点] この頃の魔王様…まだ魔王じゃないとはいえ、まったく覇気とか威厳とかがない…あれ?今もあるかな…あるよな… [一言] これからも頑張ってください
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