第080話 「お手頃な道具だからだ」
どうも~月影ミケ乱デス!
今回はちょっと短め~
では続きをどうぞ~
王都から一週間の距離、小高い丘と森に囲まれた村がある。
オウカの村と呼ばれる場所で、特産は丘に生えてる花で薬やお香の材料となる。
森には魔物がいるが、この花が生えてる所は魔物は寄り付かない。
花の匂いが森に居る魔物の嫌いな匂いだとか、一部の魔物以外は寄り付きもしない。
馬車にまで匂いが入って来る、シーリアンはその匂いを珍しく匂う。
「不思議な匂いですね?」
「魔物が嫌う匂いだけど、人間が飼う奴らはあまり効かないらしい」
「従魔や召喚獣ですか?」
「人の魔力が魔獣達を保護する感じになるからだ。布で顔を覆っているのと同じになるんだろう」
「ミャ~ン」
「白竜も匂いを嫌ってないのは俺が育ててるからな」
「は~不思議ですね」
「町の特産で「解毒薬」や「魔除けの香袋」の材料だからな」
「薬剤師」や「錬金術師」で作られるもので、「魔除けの香袋」はDランク以下の魔物を寄せ付けない。
安く持続時間が長いから王都では、行商人や一般人の間で人気のある商品だ。
過去にDランク以上に効くような薬ができるかと、濃度を揚げればいいと思ったプレイヤーがいた。
でも、出来たのは「魔寄せの香水」っと言う魔物を寄せつける道具だった。
薬も強すぎれば毒になる、その言葉を体現した薬と言えた。
「ここ以外にもこの花はあるけど、効果持続の長いのはここのが一番だからな」
「冒険者じゃあまり意味が無いアイテムですね」
「そうか?護衛仕事には必要だ。戦闘回数を極力減らすのは当然の事だ」
「それはそうですが・・・」
「それに俺たちみたいに魔導具を買えない奴らには、お手頃な道具だからだ」
「そうですね、でも私達は使わなくても隠れるのは得意ですからね」
「シーリアンは闇属性魔法が使えるからな、魔法ばかりに頼っていたらいけないけどな」
「たしかにそうですね、わかりました」
魔法も万能ではない、極力見えにくい闇属性魔法でも魔力を感じる人には意味がない。
また、魔眼や魔力感知能力が長けた魔法使いなら簡単に見つけられるからだ。
魔力操作4~5程度ならすぐに見つかる、俺みたいに10レベルなら見つかりにくくする事も可能だ。
隠匿や気配断ちと同時に使えば、目の前で動かない限り見つかる事もない。
最近は身体強化以外に魔法の訓練もしている、殆どは魔力操作と魔力増加の繰り返しだ。
俺は魔力操作の練習だけはしている、体中の魔力を自在に扱う事ができたらそれを段々と狭めるようにする。
体から腕全体に、腕全体から手に、手から指に、指から指先にと段階を踏ませている。
シーリアン達は四苦八苦しながら手まで出来るようになった、そのお陰か魔力操作が3から5まで上がっていた。
魔力操作ができるだけで運用や効率があがり、近接格闘が得意なシーリアンの破壊力が増した。
まだ加減が難しいので、殴るたびに魔物の顔パンはやめてほしかった。
他のやつらも怖がっているから、ブツブツ言いながら自分の拳をみないで俺も怖いから。
「それでオーガですよね?強いのですか?」
「強いかな、普通のオーガでもC~Bランクの魔物だからね」
「最近は近くの魔物は弱いのが多いですから、少しは歯ごたえある魔物と戦いたいです」
「あ~でも赤いオーガには行くなよ、僕が相手するから」
「赤いオーガって普通と違うのですか?」
「赤いオーガはレッドオーガだと思われてる、シーリアンでも倒せるかもしれない。でも、油断したらこっちが殺られるからな」
「私は戦ってみたいですね、どれぐらい強いのか」
「いや、ダメだ。気になる事があるから今回は僕が倒す」
「残念ですよ、その代わりまた模擬戦してください」
「ああ、わかったわかった」
最近のシーリアンは戦闘狂に近い行動をするな、並の騎士では相手にもならないほどだ。
もっぱら俺か父様が相手になってる、俺も武術を使うから受け流しやカウンターで応戦してる。
我流に近い野戦用の格闘のシーリアンより、単純に対人戦闘に特化した武術の種類が多い俺の方が有利なだけだ。
「さて、一応町長に話通しておかないとな」
「そうですね」
「ミャ~?」
「白竜はお留守番」
「ミュ~・・」
馬車が町に入るとそのまま町長の家へと向かう、規模的にはそんな大きく無いがのどかで住みやすい町だ。
特産の薬や香袋とかもちらほら見える、ここも食糧問題はあるみたいで食べ物屋は肉オンリーなのが見える。
町長の屋敷は普通の民家より大きいくらい、優しそうな町長もそこら辺にいる住民と同じ感じがする。
ギルドから来たのを伝えたらすごくよろこんでいた。出現した場所を聞いた後は宿を取るだけになった。
つづく
SSO劇場「ルンと白竜物語」
ル「今日もお仕事~♪明日もお仕事~♪」
白「ミャ~ミャミャミュミャ」
ル「白ちゃんおかえり、またお留守番?」
白「ミュ~ミャミャ」
ル「マスターのために強くなりたいですか?それはわかりますが・・・」
白「ミャ~ミャ」
ル「たしかに魔物を倒すと強くなりますけど・・・」
白「ミャ~!!」
ル「戦いに行くと?分かりました。私が指導します!」
白「ミャ~!」
(その日、ゴブリンやコボルトの数が少なくなった。何故かレベルが15になっていた白竜をみて首をかしげる主人公だった。ちゃんちゃん。)




