第059話 「兎に角これは俺預かりでいいね?」
どうも~月影ミケ乱です!
暑い夏休みが終わり、食欲の秋に向かいつつ今日この頃。
暑い場所では、四季がないので悲しいばかりです。フルーツは珍しいのが多いけど。
この次期は、風邪になりやすいので皆さんも気をつけてくださいね。
では、続きをどうぞ~
ワイバーンを倒した後、俺とシーリアン達はワイバーンが居た岩の突起に来ている。
他のワイバーンが居ないか確認しながら、慎重に近づいていく。
途中に食われた魔物の一部や血の固まりがあった。どうやら、岩近くの魔物は襲われ離れたらしい。
犬がマーキングするように、ワイバーンは自分の食べた魔物の血を残す。
その血に寄ってきた魔物も狩り取られ血を残す。血の匂いが強ければ強いほどワイバーンの強さがわかる。
魔物図鑑にワイバーンの資料に書かれている。SSOではありえない事だがワイバーンの近くは魔物が多かった。
「これってワイバーンがやったことだよね?」
サナリアが独り言のように言う。誰もが違うといえないでいる。
俺はオーク戦の時に慣れているが、普通に狩りをしてもこんなにはならない。
ホラーハウスやスプラッターの映画くらいだろう。他の三人は少し顔色が悪いくらいだ。
その中で、マシだったのはシーリアンだけだ。一応冒険者として働いた事もあるとか。
解体をするときは血だらけになることもある、素人ならありうる事らしい。
「とにかく岩の上に行くしかないな。あそこに上れるよね?」
「はい、問題なくあそこに上れます」
山間の谷と言っても、突起岩のところまで狭い坂道がある。
普段から使ってないとわからないほどの狭い道、登り始めに岩が門みたいになっている。
遠目には、そこに岩があるだけの場所にしか見えず、坂も同じく近づかないとわからないほどだ。
地元だけが知っている場所なのだろう。俺も子供の頃はよく裏道や近道を探し回ったものだ。
下からは突起した岩だけだが登れば祠があって広く、横幅はだいたい20メートルくらいの広さだ。
ワイバーンが2匹以上いても問題ないくらいだ。でも、ここには一匹だけしか居なかった。
変わりに3つの卵が見つかった。どうやらワイバーンの卵らしい。
「やっぱり、あのワイバーンは雌だったか」
「え?どういう事ですか?」
爬虫類の中に、子育てをするために雄から離れる雌が居る。雄の近くで卵を産むと食べられてしまうからだ。
卵を守るためために、一人で卵を産み育てると言う行動に出る。
多分ワイバーンも悪食だから離れて卵を産んだのだろう。亜種だから行動が動物的になる。
「なるほど、でもどうするのです?この卵?」
「割ってしまうのがいいけど、騎獣にするのがいいだろう」
「騎獣ですか?でもワイバーンですよね?」
「珍しくないさ、ランドラも同じ竜種だからな」
ランドラは「ランニングドラゴン」と言う騎獣、亜種の竜種で一番人間に使われている魔物だ。
二足型竜で翼のない草食系竜、ダチョウみたいに足が長く速度も速い。
力も強く馬の3匹分の働きをする。バケツ一杯の草と水で約2日間働く。
問題は値段も高く、馬4匹買う金額と同じ値段になる。
貴族や王族が伝令として使う事が多い。大手の商人もたまに使う程度だ。
「兎に角、これは俺預かりでいいね?」
「そうですね、いいと思います」
「異議なし」
「私達じゃ判断できませんから」
インベントリーに入れてから里に戻る。戻ったらすぐに里長が俺の所に来て討伐できたか真顔で聞いてきた。
すぐに倒したことを伝えてから証拠の頭を見せた。里の人はみんなびっくりする。
ワイバーンが討伐されたのを知って、一気にお祭り騒ぎになった。
そして、そのまま宴へと突入した。連日なのに飲めや歌えやとドンチャン騒ぎになっていく。
俺に、酒を飲ませようとする里長は女性陣に撃退され、俺は程なく女性陣のおもちゃになっていた。
酔った勢いでされるがままになり、一線以上は越えないようにけん制はした。
たまに「ショタ、はぁはぁっ」って言う人も居たが、やばそうだったのでその人は気絶させておいた。
気絶した人もいたけれど、誰も気にしなかった。酔って倒れる人も居るから問題にもならなかった。
翌日は、前回よりも死屍累々状態の宴会の後だった。朝まで飲んでいた人もさすがにダウンしている。
里長や女性陣は全開と同じく問題ない。どんだけザルなんだろうな、この女性陣は。
里長から金貨200枚とギルドに討伐依頼完了の証明する書類を貰う。これをギルドに出せばポイントとしてくれるらしい。
王都のギルドには出現の報告はされている。この書類は他の冒険者が撃退を偽れないようにするための物。
「では、俺はこれで帰ります。一応ギルドに報告もありますから」
「そうか。では、シーリアン達を連れて行ってくれないか?」
「どうしてです?報告なら書類だけでいいのでは?」
「これは、里長全体の意思だ。今回のワイバーン討伐の金額が少ないからだよ」
「でも、それは仕方ないのでは?」
「君には里に食料を持ってきてもらった。脅威も取り除いてくれた恩人へのお礼なんだよ」
「でも・・・」
「大丈夫だよ。これは彼女達の意思でもあるから」
「そうですか・・・・」
里長の意思もシーリアン達の意思も固いようだ。仕方ないので連れていくことにした。
三人を連れて、一路王都に向かう事になる。ワイバーンを狩った事で騒動が待っているとも知らずに。
つづく
SSO知識:騎獣&ランドラ
騎獣は移動用としてSSOでは色々と出ています。「調教」スキルと「騎乗」のスキルが必要。
レベルが高いだけ強い騎獣を使うことができる。誰もが夢見るドラゴンも高いスキルがあれば可能になる。
ランドラ:亜種竜種で気性が穏やかな魔物、馬の約3倍の働きをする。
飼う負担は馬より効率的、バケツに野菜と水だけで2日は働くことが出る。
では、次回もよろしく。




