第025話 「なら友達だな」
遅くなりましてもうしわけありませんな ミケ乱です。
昨日、アップ予定だったのに今日になってしまって本当にごめんなさい。
では続きを
「ユーフィディア・A・D・バウンテッドと申します。以後、お見知りおきを」
目の前に「美少女」って言えるほどの金髪で碧眼の女の子が居た。
ふわふわにウエーブが掛かった金髪、くりくりした大きい瞳にお人形みたいな整った顔、髪からチョコと出ているエルフ特有の尖った耳、ライトグリーンと白のゴスロリに近い服装。
見るからにお姫様というのが似合う美少女が目の前にいる。しかも、バウンテッドと言う苗字を使かえるのは王族だけだ。
彼女が王族って事は、ハイエルフだから美少女なのだろう。年も今の俺とそう変わらないくらいだ。
「セフィーランス・フォン・フォーレストです。よろしく」
無難に俺は挨拶する、王族だからと硬くなることはないな。同じようなエルフだから気にもしない。
俺たち以外はメイドだけだったりする。父様やお爺様は、今ごろ執務室で俺が倒した盗賊から押収した書類を検討してるのだろう。
ちなみになぜこんな事になったかというと、遡ること30分前のことだ。
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勝負が付いた頃に、扉をノックする音が響く。
「旦那様、お客様がいらっしゃいました」
「うむ、こちらへ案内しなさい」
「了解いたしました」
どうやら俺たち以外にもお客がくるのだろう。周りのメイドたちが少しあわただしい。
親戚なのか分からないけど身分は上なのだろう。用意してるお茶とかが少し高級なものが多いからだ。
しばらくすると、再びドアからノックが響いてくる。
すぐさま扉が開かれていく。
そこには美少女と一人のメイドが入ってきた。メイドはどこか出来ると思わせる気配をさせている。
しかし、それよりも一番に目を引いたのは美少女の方だった。容姿は最初に述べたように美少女だ。
これでは俺がロリコンではって思うが断じて否。可愛いものは可愛いって言えるのだよワトソン君(誰?)
もし、これで誰かがロリコンと言うならそいつらは唯の嫉妬でしかない。正直に可愛いと思えばいいのだから。
「これは、ようこそおいでくださりありがとうございます。ユーフィディア姫様」
「御機嫌よう、フォーレスト卿。今日は、お招きいただきありがとうございます」
「あまり気をはらなくていいのですよ。一応親戚同士なのだから」
「ありがとうございます。大伯父様」
ちょっと待て、親戚って俺の家系って王族なのか?なんともいえない顔で父様を見上げてると父様が説明してくれた。
どうやらフォーレスト家は、勇者と初代女王との子供の妹が嫁いだ先だった。
世代を重ねては家と王家の兄弟争いを避けるために、長子以外は四家に嫁ぐ事が多かった。
家出や失踪以外は殆どがそうしてきたのも多い。フォーレスト家は王家の血筋を色濃く受け継いでいる。
王家とつながりも良好で、こうやってお姫様を預けるのもあるくらいだ。
ちなみに、前王とお爺様は兄弟なのだと言う。今の次期当主である長男は幼馴染の四家の娘を貰っている。
母様は、ちょっと複雑な事情があるからと教えてもらえなかった。
そして冒頭に戻るんだが、どうやら俺に興味がわいたみたいだ。
お姫様と言っても彼女がまだ子供っていうのは変わらない。同じ世代の子が城にいるか怪しいところだ。
「セフィーランス様は、日ごろどんな事をしていますの?」
「セフィーでいいよ。俺もユーフィ様って呼ぶからそれと様はいらないから」
「では、私も様は要りませんわ。ユーフィでいいですわ」
「わかった。なら友達だな」
「え?・・・そうですわね」
一瞬、驚いた顔しているユーフィは直ぐに笑顔になる。家臣は多く殆ど友達と言うやつが居なかったのだろう。
ユーフィ付きのメイドもなんとも微笑ましそうに見つめている。王族ってのはそういう意味では孤独なのかもな。
「っと、日ごろ何をしてるかって言ってたね。魔法の勉強と剣の訓練かな。後は、本を読むこともしてるよ」
「それは凄いですわね。本はどんなのをお読みになりますの?」
「色々と読むけど歴史かな?ほら、英雄記録とか勇者の活躍とかが載ってる本」
「英雄記なら「初代の栄光」とか「勇者奇行」とかは読んだことありますわ」
二つは、歴史書と言うより少し盛り込んだ小説やラノベみたいな作りをした物語だ。読者を飽きさせないためのフィクション系の物語だったりする。
真実を隠し勇者を祭り上げるために作った本だとわかるからだ。別の歴史書にもいい所しか書かれていなかった。
「その二つは面白く読ませていただきました。ユーフィはどこが良かったですか?」
「私は。勇者様が初代王妃の姫様を救出する場面が一番良かったですわ。その時の勇者様が凛々しくて私は憧れましたわ」
「僕は、勇者が難易度高い迷宮を行く謎解きがよかったと思いますよ。これでも冒険者でもありますから」
「あの場面は苦難が凄いですわね。私もアレは凄く心躍らされましたわ」
なんか分かりやすい子だと思った。英雄に憧れ恋に恋する乙女って感じだ。
多分、本とかでしか知りえない恋とかに憧れているのだろう。俺としては真実を言う気がない。
本の中に一つだけ興味深い本があったからだ。「英雄実録」と言う書籍だった。
本としてはあまり出回っていなかったらしいが、当時の友と一緒に勇者がこっそりと書いた書籍らしい。英雄自ら書いたんかと論争にまで発展している書籍だ。
「英雄実録」は、前半を友の人が色々と勇者のお茶目な部分を書いている。そして、最後の方に当時から問題になっていた勇者が書いた文があった。
コレを勇者が書いたと言って、天界語だとか暗号だとかいろんな意見が出てきていた。解読はされず勇者以外読める者がいなかった。
俺には読める馴染みのある文字だったからだ。その文字は「日本語」だった。
俺や同じような勇者なら読めただろうこの文字、内容はおいておくが当時の大変だったことが文面から伝わった。
「ユーフィは英雄になりたいのかな?」
「それは無いですわ。でも私は、あの王女様みたいになりたいって思いますわ」
冗談っぽく言ってみるとぱたぱたと手をふって否定している。王女様は民に愛され慈愛に満ちた方となっている。
実際は、結構おっとり屋さんでドジっ子属性だと勇者は書いていた。勇者も手を焼くほど大変だったらしい。
でも一生懸命だったので勇者が惹かれ、後に結婚したのだと書かれていた。
「セフィーは英雄に憧れませんの?なってみたいとか?」
「僕の考えだけど英雄ってなるものじゃなく、なってしまうモノだと僕は思うよ」
「なってしまうもの?」
「自分で英雄だ~って言っても誰も信じない、でも英雄みたいな事をして周りがそう認めて初めて英雄になるんだと思うよ」
「難しいですわ」
「理解するには難しいよ、でも行動しないと英雄ってのはなれないって事だよ」
夜更けまで俺とお姫様の会話は続き、その後は覚えていなかった。
子供の体では朝まで待てないって事だ。でも、朝になったらひと波乱が待ち受けていた。
つづく
今回は、考えていませんでした、
では次回をよろしくお願いします。




