第024話 「お爺様やりますか?」
どうもミケ乱です
今回は、ちょっと短くなったのでどうしようかと考えていました。
っと言うより昨日今日と仕事が忙しかったのであまり書けなかったのもあります。
ではつづきを。
屋敷内は豪華に見えて、まるで自然と落ち着くように配置された家具や調度品は古く見えるがしっかりと手入れされている。
館に住む人の人柄が見えるほどにゆったりとした雰囲気が屋敷全体にあった。同時に古いルールに縛られる頑固さも感じた。
規則正しく動くメイドを見てるとルールとかしっかりしてるのだろうと想像してしまう。
いかにもと、言うくらい大きい扉の前まで来てメイド長のイングスさんがノックをする。
「アーティック様、セフィーランス様をお連れいたしました」
『入れ』
「失礼いたします」
扉の向こうからすこし渋い声が聞こえてると同時にイングスさんが扉を開ける。
重苦しい感じの扉は、ゆっくりと開くと執務室みたいな部屋だった。貴族なら仕事部屋として使われる事が多い。
部屋の奥にいかにも高級そうな椅子に座ってる老人がいた。そして、その横には父様より年上に見える男女が立っていた。
反対側に老人より若い程度の女性が椅子に座っていた。どう見ても当主と次代の二組が目の前にいた。
老人以外は、父様を見る目は穏やかに近い瞳をしていた。久しぶりに会った感じなのだろう。
だが、老人は凄く睨みつけている。恨みというより何かを許してない瞳だった。
「お父様お母様、お元気でなによりです。兄上も義姉上も久しぶりです」
「元気にしていたのですね、アーティック」
「久しいな、ずいぶんと出世してしまったみたいだけど」
「出世というより貴族の膿がすこし無くなった程度ですよ」
「それでも国のためになるからいいことだ」
老人以外は軽く雑談するみたいに話し出す。俺はじっと全体をみていたのがよかったのだろう。
俺の方をみている老人が俺のお爺様だ。まるでどう声かけていいのか分からない内心おどおどしているのが分かる。
口を開こうとするが思いとどまったり考えたりして結局口に出来ないでいるからだ。
俺は目の端に見えたチェス盤を見つけて、それを持ち上げるとお爺様の前に持っていった。
「お爺様やりますか?「ウォーデュエル」」
「うっうむ、やっやってみるか」
俺の行動が意外だったのか、他の家族はびっくりした顔でみている。メイド長さんは平常心なのか俺に椅子をもって来てくれた。
足りない分は厚めの本を何冊か重ねて高さを調整してくれたり、なにげに凄いぞこのメイド長さん。
「ウォーデュエル」も最初は配置をしていく。知略戦略はあまり考えると面倒な面うまくいくと楽しく思えるからだ。
そうしてると布陣が決まったみたいだ。俺は堅実に攻めにも守りにも出来る配置をする。
お爺様は攻撃主体の配置みたいだ、速攻性はあるけど奇策に弱い点がある。
最初はお爺様の猛攻が効いていたが、途中からナイトを使った奇襲を仕掛けて前線を孤立させる。
そのとき周りが静かになり俺とお爺様の緊張が走る、奇襲により拮抗していた戦力が一気に瓦解したからだ。
そこから押しつけるようにしてから相手を潰していく、お爺様もあわてて防御陣を組もうとする時には駒の殆どを取っていた。
あとはアーチャーとナイトで潰していきチェックとなった。周りにいた人たちは驚いていた。
「お父様の雷速攻が破られるとはびっくりだわ」
「俺もアーティックも一度も勝てなかったのに、まさかお前の息子が破るとは」
「ある意味自慢の息子だぞ。なんせ、オークナイトも倒すくらいだからな」
「それは今王都でも噂になっているくらいだ。だが、倒したのがこんな可愛い子供だったとは思ってもいなかったからな」
「王都の噂では2mを超える大男だとか、年配の魔法使いだとか色々と噂が飛び交っていましたから」
「そんな事させたのか!?」
お爺様だけがなんか常識的な意見を言ってるけど、この世界では生き残るための訓練が正常なのだと思う。
現に父様や伯父様もなぜ怒るって顔をしている。そして、二人がお爺様を見つめると。
「私は10歳の頃、オーガと三日三晩戦わされたな」
「俺の時は1週間サバイバル生活をさせられたぞ」
何その脳筋訓練法は?すこしびっくりしてお爺様を見るとまるで当然という顔していた。
「おぬしらは、練習がきついと言ってサボっておっただろうが」
「その尻拭いをするのはいつも私でしたが」
「それはワシのことか?」
「そうですね。幼少の頃より教育係であった私がそう言う対処をしなくてはいけなかったのですから」
「うぐ!」
「お二人が生まれた時も教育係になったのも懐かしい事です」
「「ぶっ!」」
「お二人ともなかなかな人材ではありましたが、あの時の失敗は・・・」
「イングス!それは言わないでくれ」
「頼む、息子の前では言わないでくれ」
なるほど、イングスさんはある意味メイド長以上に実家ではかなり家族と同等な関係だったのか。
しかも、知られたくない事まで把握してるから。ある意味、当主より上みたいになっているのだな。
だから、上目線だったんだなと俺は思った。
「父様やお爺様の失敗した話は聞きたいですね」
俺が意地悪っぽくいうと、あわてて止めようとする3人と話をしようとするイングスさんの攻防が始まる。
俺もすこしおかしくて笑っていると、伯母様もかなりツボだったのかおかしそうに笑っている。
なんとも、微笑ましい家族なんだと俺は心底うれしく思った。
つづく
SSO知識
「ウォーデュエル」
チェスをベースにした戦争対戦ゲーム。
通常チェスと似た駒と追加で「シーフ」「アーチャー」「ランサー」を追加してある。
ボードもチェスと同じのと100面ボードも使う、配置も横一列から古城組といったいろいろと置き方をすることで戦略がさまざまになる。
では次回もお楽しみに。




