稽古中に
ついに始まった俺も考えていなかった、ダンジョンを見張りながらの実戦稽古。まず言い出したイザベル、そして修行ができないかもと不安になっていたシーナが模擬戦形式での稽古を始めた。
「はあっ!」
「えい!」
一応直前に剣でのみの稽古を行う事を互いに確認しており、お互いに退かない攻防を繰り広げている。
だが真剣で稽古をしている為、お互い踏み込まないギリギリで見応えのある攻防をしているのだ。これは相当に技量がないとできないことだ。2人とも俺に弟子入りした当初と比べると相当に上達しているな。
「あいつらやるな、スピードなら俺も負けそうだぜ」
「そうね、でもあなたのパワーは師匠すら上回っているし、それは私達じゃあ対抗できないもの」
「まあ、師匠は俺が得意な槍でもかなわなかったし、あれはヤバすぎるぜ」
「ふふふ、私の幻惑スキルをあんな形で打ち破るからね、なんというか、本当は私達の師匠をやっているのがもったいないくらいね」
え?みんなの師匠をやっているのがもったいないくらいだって⁉この言葉に俺が戸惑っていると更に発言を続ける。
「だってそうでしょう、元々勇者パーティーでその勇者ってやつが難癖付けて追い出したんでしょう」
「そうらしい、師匠はその辺あまり話したがらないが」
「どうもその勇者さん、今はクエストもなかなか達成できなくて、更にパーティーメンバーが離脱したそうよ」
「マジか⁉師匠を追放してからロクなことがねえのを見ると、元々かなり師匠頼みのパーティーだったんじゃないのか?」
上手くいっていない噂は聞いていたが、まさか更にパーティーメンバーが離脱していたなんて、あいつがマルスがあのハーレムを自ら崩すとは思えないし、そうすると誰かが自らの意思で離脱したのか?
「まあ、師匠はそれでも冒険者を続けることは選ばず、あの村に移住して暮らすことに納得はしているようだけどな」
「それはそうだけど……私達がヴァイツ家の復興を目指しているわけだし、少しはたから見ると歯がゆい部分はあるわ」
「まあ、それなら俺達が少しでも強くなって、俺達を弟子にとって良かったと思ってもらえりゃいいんじゃねえのか」
嬉しいこと言ってくれるな、冒険者には未練がないからこそ、みんなをきっちりと育てないとな。




