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お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第13章…泊まり込みで働く

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ホテルに泊まる③




―――




 夕食後、温泉に入る。

このホテルは混浴もあるようだが、とりあえず今日は俺は男湯、柚希は女湯に入った。

現在の男湯、俺以外は誰もいない。貸切状態だ。露天風呂で景色も素晴らしい。


今日はほとんど柚希と一緒にいたけど、今は1人で温泉に浸かってじっくりとリラックスする。

さっきまで性的興奮しすぎておかしくなっていた俺だが、温泉がすごく気持ちよくて少しは落ち着けた。



「ふぅー……」


本当にいい湯だ。温泉が良すぎてちょっと悟りを開けた気分だ。

ホラ、目の前に観音様が見える……ような気がする。気がするだけ。



恋愛って、矛盾の連続だな……

好きなのに、大切なのに、メチャクチャにしてしまいたくなる。俺の色に染めて汚したくなる。


なんて、温泉でテンションハイになっている俺は痛々しいことを考えていた。



 ……山で修業して頭痛を軽減させ肉体を鍛えた俺だが、精神力の方も鍛えなくてはならないようだ。


俺は柚希を純粋に愛し、すごく大切にしたいと思っている反面、ラブコメ世界の都合で頻発する柚希のお色気に惨敗しまくっている。

1週間後に柚希とセックスする約束をした今、このままじゃいけないのはわかっている。


柚希に興奮するのは大変よろしいことだが限度というものがある。柚希と接触する度にいちいち大事なところを大きくしたり心臓が止まりかけたりする現状。こんな状態で柚希とセックスしたら身体中の血管が破裂して死ぬんじゃないか。


とにかく少しは慣れろ、エロ耐性をつけろ。

これから柚希と付き合っていくためにはもっとエロに慣れて余裕を持って接することができるようにならないと。それができねぇならもう心臓が持たない。


大丈夫、今の俺には観音様が見えている。柚希のおっぱいへの愛はそのままに、もっと精神力を鍛えて自信と余裕を持った男になるんだ。


温泉でリラックスしながら瞑想を始める。精神統一だ、集中集中……



「柊斗、いる……?」



「!!!!!!」


ドキッ!!!!!!



柚希の声が聞こえてきて心臓が飛び跳ねる。

観音様がもう見えなくなってしまった。俺集中力なさすぎ悲しい。


俺の背後に仕切りがあって、その向こうが女湯。

柚希がそこで裸で入浴している。女湯の方から声をかけてきてくれた。

声が近い。仕切り越しに柚希がそばにいる。意識しないわけがない。


落ち着け……もうすでに何度か一緒にお風呂に入っている仲だろう。なんでこんなに乱されるんだ。

いやしかし、姿は見えないが声だけが聞こえるというのもそれはそれで妄想が捗ってすごく興奮する。



「あ、ああ、いるぞ!」


必死に平静を装おうとするが声が裏返ってしまった。


「あ、そばにいるんだね柊斗」


「ああ、そばにいる……」


やはり仕切りの向こうのすぐそこに裸の柚希がいる……近くにいることを再確認して心臓の鼓動が加速する。



チャプッ……


「ッ……!」


温泉に浸かっているんだからチャプチャプと水音が聞こえるのは当然だ。でもその水音が俺の鼓膜をこんなにも狂わせた。


露天風呂の景色、静寂、そして柚希の声、水音……

ああ、エロい……自宅の風呂とはまた違ったエロスの世界。ここで精神力を鍛えるのは俺にはあまりにも荷が重かった。

俺は悶えながら顔面を湯に浸けた。




 風呂から上がり、マッサージチェアに座りながら柚希が来るのを待つ。

温泉で柚希と少し話しただけでいろんな妄想が捗ってしまいのぼせてしまった。落ち着くのに時間がかかりそうだ。



「柊斗、おまたせ~」


落ち着く前に柚希が来て俺の心臓はまた跳ねた。



お風呂上がりで浴衣姿の柚希が最強に可愛すぎる……

湯上がりの女の子ってなんでこんなにエロいんだ。論文書けそうなくらいの極上のお色気じゃないか。


柚希とセックスする前に少しでも柚希の色気に慣れたいと思っていた俺だが、浴衣と湯上がりな柚希を見て早くも慣れるのは無理だなと悟った。


いや、弱気になってどうする、こうなったら荒療治だ!

俺は周りをキョロキョロ見渡して周りに人がいないことを確認し、勇気を出した。



「なぁ、柚希」


「ん?」


「ちょっとだけでいいから、抱きしめてもいいか?」



柚希の色気に慣れるための荒療治として、直球にも程があるお願いをした。

恋人じゃないと絶対に許されないお願いだ。恋人だとしても時と場合によっては嫌がられるお願いだ。


今のままの俺じゃ暴走しすぎて柚希を傷つけてしまうかもしれない。その可能性が1ミリでもあるのなら俺はいてもたってもいられない。


柚希は少し照れたが、迷う素振りも見せずに両腕を広げた。



「もちろんいいよ。おいで、柊斗」


天使の笑顔で俺を誘ってくれる。俺は自然に身体が動き出し、そっと柚希の身体を抱きしめた。



「―――」


湯上がりだから暖かい……俺の心もポカポカと暖かくなってくる。

可愛い、愛おしい気持ちが大爆発してギュッとしっかり抱きしめずにはいられない。


そしてやはり、柚希の柔らかい胸の感触や女の子特有のいい匂いを強く意識してしまう。

湯上がりだからシャンプーの匂いもあって、柚希のいい匂いと相性が良くて、俺の奥の奥まで満たされる。

さらに俺の腹に押しつけられてむにゅっと形を変えた乳房と、浴衣が少し開いてチラッと見える谷間が直接、俺の股間をグッと刺激する。何よりも甘いのに何よりも強い刺激。


あっ、これ以上はまずい。俺が意識した時にはもうすでに大事な部分に血流が溜まっていっている。



俺は柚希の肩にそっと手を置きながら離れた。


「ん? もういいの?」


「いやもういいってわけじゃなくてもっとずっと抱きしめていたいところなんだが、ちょっといろいろ持たないというか」


「そっか」


柚希の神聖な身体に俺の大きくなった何かを当てるのは大変よろしくないからな。

気づいてないのか察してくれたのかはわからないが、柚希は笑顔を返してくれた。



「あ、私もマッサージチェア座りたい!」


柚希はそう言ってさっきまで俺が座っていたマッサージチェアに座る。

そしてマッサージチェアを堪能し始めた。



ウィーン……


「んっ……気持ちいい……」



…………

ああ、予測はしていたよ。本当に期待を裏切らない。

気持ちよさそうに色っぽい声を出す柚希。『ウィーン……』っていう音ももうエロい音にしか聞こえない。


前かがみだった姿勢をさらに前かがみにせざるを得なかった。




 「あっ、柊斗! 見て見て! すごいのがあるよ!」


マッサージチェアを終えた柚希が次に指差したのは、マッサージチェアのすぐ近くに置いてあるエアホッケーだった。


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