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お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第13章…泊まり込みで働く

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ホテルに泊まる②

 部屋も素晴らしいし、部屋に持ち込まれてきた夕食もすごくおいしいし、バイトの俺にも好待遇で経営者さん超太っ腹だ。すごくありがたい。


「おいし~!」


浴衣姿でおいしそうに食べる柚希も可愛すぎるし言うことなし。

浴衣姿の柚希初めて見れたなぁ。俺の健康に効く。柚希の浴衣姿を眺めているだけで寿命が伸びそうなので今のうちにいっぱい堪能したい。



「柊斗~」


「どうした?」


「えへへ」


名前を呼んだだけか? 柚希の『えへへ』でしか得られない栄養もあるから何度でも呼んでくれ。

柚希は酒も飲んで少し酔ってテンション上がってきた。可愛い。



さらにトコトコと赤ちゃんのような歩き方で俺の隣まで来る。



「柊斗~」


「……っ!」



肩がはだけて、谷間もちょっと見えてて、太もももチラッと見えてる。

このちょっと露出がある感じがたまらない。浴衣最高すぎかよ。



ぎゅっ


抱きついてきてくれた。いい匂いと柔らかい感触が俺を優しく包み込む。



「柊斗、好き……」


「―――~~~……!!!!!!」



直球すぎる愛の言葉を、耳元で可愛い声で囁かれて俺の脳髄は蕩ける。

俺も柚希を優しく抱きしめて、首筋に顔を埋めて甘える。


バイトなんてほっといてずっと柚希とこうしていたくなってしまう。バイトしてるから宿を提供してくれたのであって、ダメだし無理なのはわかっているが、それでもずっと甘えていたいと心から願う。



「柊斗……」


「どうした?」



「……柊斗は、私とエッチしたい?」


「したい」



酔った柚希はお色気展開のアクセルを全力で踏み込んで急加速した。

あまりにも剛速球の直球すぎてキャッチャーをやったことある俺も捕れない。


心臓が止まるくらいドキッとしたはずなのに、俺は脊髄反射的にごく自然に『したい』と即答していた。自分でもビックリするくらいあまりにも早い返答だった。

普段はヘタレで限界オタクでうまく喋れないことも多いくせに、こういう時だけスッと言葉が出るんだな。これじゃ俺ががっついてるエロ大魔王みたいじゃねぇか。事実だけど。



「ふーん、したいんだ?」


妖艶な瞳でからかうように言ってくる。もっとそういう目で見てほしい。



「そりゃそうだろ、好きなんだから付き合ってるんだから、シたいに決まってる。どうして急にそんなことを聞くんだ?」


「だって……森山さんが変なこと言うから……私も、意識しちゃって……」


森山さんとは店長さんの友人の、ホテルの経営者さんの名前だ。

セックスという言葉を出されて俺も強く影響を受けたが、柚希もそうだったようだ。

柚希もセックスを意識しているという事実が、俺の性的興奮をもっと昂らせる。



俺と柚希は見つめ合う。言葉を交わさなくても通じ合えるくらい、熱い視線が交わる。

赤く染まった柚希の頬と潤んだ瞳は、酒のせいだけではない。



……もしかして、誘ってる?

俺の勘違いだったら恥ずかしすぎるし、童貞の俺にはうまく判断ができないが、なんかヤれそうな雰囲気ができている……ような気がする。


ホテルの部屋で2人っきり……ヤろうと思えばいくらでもヤれる。

経営者さんは仕事さえちゃんとすれば何しててもいいと言っていた。部屋をかなり汚すとかじゃない限り、柚希と好き放題あんなことやこんなことができる……今夜、ずっと……



ゴクリと喉を鳴らす。目の前に、柚希の豊満な胸が。もうそれしか見えない。

当てられたり押しつけられたりしたことはある。顔を埋めたりしたこともある。しかし、俺のこの手で触れて揉んだことはまだない。ラッキースケベでうっかり柚希の胸を鷲掴みにしてしまった……なんて経験もまだない。


触りたい。揉みたい。揉みしだきたい。

揉んだらどれだけ柔らかいだろう。俺の指がどれほど沈み込むだろう。きっと、いや間違いなく俺の手のひらでも収まりきれないであろう圧倒的なボリューム。


脳内で柚希の胸を揉むシミュレーションを始めてしまって、妄想では我慢できなくなる。実際に感触を得たくてもう制御できずに止められなくなる。



そっと柚希の胸に手を伸ばしていく。あと数センチで触れられる。

そこで、柚希の手のひらが俺の手をそっと包み込んだ。



「うん、私も柊斗とエッチなことしたいと思ってる」


「あ、ああ……」



「でも、()()まだダメ」


「ッ……!?」



……あれ、お預け? 焦らしプレイ?

ここでまさかの()()をされて、俺は物欲しそうにしながらもシッポを振ることしかできない。



「今はバイト期間中だしバイトに集中してほしいし、疲れてるだろうからゆっくり休んでほしいの」


……んー……うーん……!!


俺、柚希には逆らわないよ。柚希がそう言うならそうしたいよ。

だが、俺はもう完全に発情スイッチオンしてしまった。この溜まりに溜まりまくったものを発散寸前でストップさせられては、この情欲をどこにぶつけたらいいかわからなくて超もどかしい。逆立ちして身体を捩りまくりたいくらいもどかしい。


バイトに集中してほしいって話なら、ここでセックスしまくった方がスッキリして集中できると思うんだが。

疲れてるからどうこうって話なら、どんなに疲れてようが好きな女の子とのセックスは完全に別腹なんだけど。超余裕なんだけど。あまりにも元気なんだけど特に下半身が。


正直に言うと、俺のためを思ってくれているというのなら今ここですぐにヤらせてほしいというか……



「ご、ごめんね柊斗……」


「え、いや……」


「ううん、本当にごめん。私の方から誘うようなことしといて柊斗の期待を裏切っちゃった。

バイト中だから休んでほしいってのは言い訳で、実際には私がヘタレなだけだから。情けないお姉さんでごめんなさい」



別に謝る必要はないんだが……お色気攻めするのに恥ずかしがり屋だったり、誘って来たのにしおらしくなったり、そんな矛盾したところがすごく可愛くて好きだから全然構わないんだが。

俺が露骨にガッカリしてる顔をしたから気を遣わせてしまったか。



「私も、柊斗が望むならいつでも身体を捧げるつもりだったんだけど……いざそういう時になったら緊張しちゃって怖気づいちゃって、もう少しだけでいいから心の準備をさせてほしいというか……」


「あ、ああ、そういうことなら俺のことなんか気にせずにいくらでも心の準備をしてくれ」



そうだ、セックスOKとはいってもいついかなる時でもヤっていいというわけではない。タイミングはすごく大事。柚希の気持ちもすごく大切にしなくてはならない。


それなのに俺は脳が精子に支配されて、『今すぐヤりたい! 今じゃなきゃイヤだ!』ってことしか考えられなかった。反省しなければいけない。


それに柚希が心の準備をと言っていたが、俺だって準備しなくてはならない。バイトしに来た俺は避妊の準備とかしてるわけがなく、ちゃんとしなければいけない。だからどちらにせよ今ここでするのはよくない。

柚希が止めてくれてよかった。そうじゃなかったら俺は暴走して無責任に欲を撒き散らしていただろう。柚希を大切にしたいと言っておきながらちょっと気を抜いたらすぐこれだよ。好きだからこそ暴走するんだろうがそれじゃダメだ。

俺はまだまだ認識が甘い。柚希を大切にするためには、自分が思っているよりもずっと自分自身が性獣だということを肝に銘じておかなければならない。



「柊斗の海のバイト、1週間だって言ってたよね?」


「ああ、そうだよ」



「じゃあさ、1週間後……バイトが終わったらシよう」



「!!!!!!」



バイト最終日もこのホテルに泊まることができる。その日の夜は、バイトから解放されて思う存分羽を伸ばすことができる。


記念すべき俺の初体験、ヤるとすればその日が一番ちょうどいい。



「それじゃダメかな?」


「ダメじゃない。わかった、そうしよう」


「1週間も待たせるの申し訳ないけど……」


「大丈夫、焦らされるのもそれはそれですごく燃えるから。

じゃあ1週間後ってことで約束しよう。すごく楽しみにしてるよ」


「うん、約束ね」



柚希は笑顔で俺と指切りをしてくれた。

可愛さと癒しと焦らしが混在したエロい指切りだ。


この指切りで俺は切り替えた。バイトのモチベーションが超上がった。この1週間、死ぬ気で頑張る。



バイトが終わったら、ついに柚希と……


大丈夫、それまでは絶対に我慢できる。柚希のためだから。身体目当てじゃないから、世界一大切だから。

ついさっきまで柚希のおっぱいに無我夢中になって暴走寸前だった俺が言っても全く説得力がないけどさ。説得力がなくても大切なものは大切だ。


この漫画は少年漫画だ。原作では苺とくっついたがキスまでしかしていない。

それ以上は未知の領域。原作よりもさらに先に進んでみせる。


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