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お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第12章…俺は海で働く

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彼女のポロリを阻止した結果、他の女の子がポロリした

 俺は何度か目をゴシゴシと擦って、流されてきたものをもう一度ちゃんと見た。


三角形の布……紐……この形はどう見ても、女性用水着の上の部分……

絶対になくてはならない大切なもの。女性の身体に装着されてないといけないもの。それが今、俺がいるところに流れてきた。どう考えてもポロリしている。



……いや、待て。待て待て待て。落ち着け。

すぐそばにいる柚希を見る。柚希の上半身には、はち切れそうな胸を支えるビキニがちゃんとある。ちょっと乳がはみ出してるけどそれは元から。ズレたりもしていない。


そもそも柚希の水着は白ビキニだ。流れてきたこれは黒ビキニ。それに柚希の白ビキニは至ってシンプルなものだが、流れてきたこれはフリルがついている。柚希の水着とは形状が違う。

それに、この水着は柚希の水着よりサイズが小さい。誰がどう見てもハッキリとわかるくらい大きさに差がある。


これは柚希の水着ではない。大丈夫、柚希は無事だ。柚希はポロリしていない。

よかった……



…………

いやよくねぇよ!! じゃあ誰のだよこれ!?

身元不明の水着が突然俺の前に現れた。周りを見渡してみても水着が流されて困っているような女性は見当たらない。誰のものか全くわからなくて怖い。

なんなんだよこれ。どうすればいいんだ? 俺は混乱した。



スーッ……


あっ、ほっといたら水着が流されていってしまう。スルーするわけにはいかないよなこれ……たぶん困ってる人がいるだろうし……


仕方なくその水着を指で摘むように持ち上げた。知らない女性の水着を持ってるこの状況……下手すりゃ水着泥棒だと思われるかもしれない。どうしよう本当に困ったぞ。



「どうしたの柊斗?」


「ハッ……」



浮き輪で浮きながら遊んでいた柚希がこっちを見た。彼女の前で他の女の水着を持ってる今の状況、すごくマズイ気がする。こんなに暑いのに俺の全身はサーッと冷えていく感覚がした。



「ちっ……違うぞ柚希! これはたった今流されてきたんだ! 決して俺が誰かの水着を引っぺがしたわけじゃないぞ!」


「ん? うん。大丈夫、わかってるよ柊斗。柊斗はずっと私のそばにいたんだし、誰かの水着を取ったりしたわけじゃないことくらいちゃんとわかってるから。

全く疑ったりなんてしてないから落ち着いて柊斗。大丈夫だよ柊斗……よしよし」


誰のかわからない水着を拾ってしまってパニックになっていた俺を柚希は優しく撫でて落ち着かせてくれた。柚希の愛で俺はすぐに落ち着けた。



「と……とにかく、水着がなくなって困ってる人がいるはずなんだ。今すぐ探して水着を返してあげないと……」


「うん、そうだね。もちろん私も探すの協力するよ」


「それで、すまんがこの水着は柚希が持っててくれないか? 男が持ってると嫌がられると思うから」


「うん、わかった」



柚希に水着を渡し、持ち主を探す。

しかしどこを探せばいいのかわからない。気がついたら俺の目の前にあったからどこから流れてきたのかもわからない。

わからないけどこの海水浴場を徹底的に探すしかない。探しながら俺は考える。


マジで誰がポロリしたんだろうか……柚希がポロリしそうになった直後だし、偶然とは思えないぞ。


まさか、これも神様の仕業? 俺が柚希のポロリを阻止したから、代わりに他の誰かがポロリしてしまったのか!? 他の誰かにお約束お色気展開を押しつけたのか!?

だとしたら神様の所業が極悪すぎる。他の人は関係ねぇだろ、何巻き込んでんだよ。



いや、関係ないことはないかもしれない。柚希の代わりに誰かをポロリ役にしたとしたら、他のヒロインの誰かがこの海に来てて、ポロリ役を押しつけられてしまったのかもしれない。


モブの女性にポロリをやらせるとは思えないし、今さら新キャラヒロインを登場させるとも考えにくい。原作に存在しないキャラも登場してるし新ヒロインの可能性もなくはないんだけど、柚希とくっついたあとで新ヒロイン投入されても困るんだが。今さら他の子に靡くとでも思ってんのかクソ神様は。こんなんじゃ当て馬ですらねぇよ。


そうなると、苺、梨乃、桃香……この3人の誰かがポロリしてしまったのか? 確証はないが、ラブコメ的に普通に考えてヒロインの誰かという可能性は高い。

3人のうちの誰なんだ……


さっきも言ったがこの水着は明らかに柚希のより小さい。ヒロインの中で柚希が一番胸が大きいんだからそりゃそうだろって話だけど、とにかくこの水着の持ち主は巨乳ではない。ということは桃香ではない。


でも苺よりは大きい。この水着は巨乳ではなくても確かに膨らみはある。だから苺も違う。

となると残るは……



「……あの~……」


「わっ!?」


「あ、栗田君……!?」


「龍崎さん……」



いきなり下から声がしたんでかなりビックリした。

下を見たら、梨乃が現れた。


水深が1メートルくらいしかない浅いところだが、梨乃は頭部だけを海面から出してそれ以外はすべて海の中に潜って隠している。すごく恥ずかしそうにしている。


水着の持ち主は梨乃だったか。そしてこの様子だと、やはり上半身は何も身に着けていない状態……水に潜っているとはいえ、海水は透明なんで見ようと思えば簡単に身体が見えてしまう。



これはマズイ!!

俺はすぐに後ろを向いた。見てない、見てないぞ。本当に見てないぞ。

こんなに必死に見てない見てないって言うと本当は見ただろみたいに思われるだろうけど、本当に見てない。波の動きとか光の反射で本当に見えてない、セーフだセーフ。

他の女の子のラッキースケベシーンとか絶対に見ないぞ。それを見るくらいなら柚希の胸を見るぞ。



「あの、大変言いづらいのですが、このへんに水着が流されてきたりしませんでしたか……?」


「あ、これのこと?」


「あ、それです、ありがとうございます……!」



俺は後ろを向いてるから会話しか聞こえないが、柚希が持ってた水着を梨乃に返したんだろう。ポロリ事件解決だ、今度こそよかったよかった。



「水着を拾ってくれたのは柊斗だから、お礼なら柊斗に言って」


「えっ……」


ちょっ、柚希……別に柚希が拾ったってことにしてよくないか?

俺はこの前梨乃をフったから、非常に気まずいんだが……お互いあまり話したくないと思うんだよ。



「……あ……ありがとう栗田君……」


「い、いえ……」


気まずいけど梨乃は俺の背中にお礼を言ってくれた。



チャプッ……ピチャッ……


水音が聞こえてくる。おそらく、梨乃が水着を着けている音。

音を聞くのもよくない気がして俺は少し離れた。



「もうこっち向いてくれても大丈夫だぞ栗田君。気を遣わせてすまない」


そう言われて振り向くと、さっきまで海に浮かんでいた水着を着けた梨乃の姿があった。


「ところで龍崎さんも来てたんだな」


「私はこの海でビーチバレー大会があると聞いてそれに参加するために来たんだ」


「ビーチバレー?」


「ああ、1時間後に始まるけどよかったら栗田君たちも参加するか?」


ビーチバレーか……柚希と一緒なら出てみたい気持ちはあるが……


「俺はバイトで来たからそろそろ仕事に戻らなきゃならないんだ」


「そうか、なら仕方ないな」



「あ、私ちょっとだけ出てみたい」


柚希が手を上げてそう言った。


「本当ですか? 大歓迎ですよ武岡さん」


「うん、よろしくね龍崎さん」




 柚希がビーチバレーの大会に出ることになった。

俺は監視員の仕事に戻ったが、正直柚希が気になって仕方ない。ゴミ拾いなどの仕事をしながらチラチラとビーチバレー大会の様子を見ていた。



! 柚希が試合に登場した!

梨乃と一緒のチームになったようだ。


ビーチボールが飛び上がる。柚希がジャンプする。



たゆんっ


ぷるんっ



揺れるHカップ。

真面目に仕事をしなければいけないのに、柚希の胸に見惚れずにはいられない。


ハッキリ言って柚希はかなり下手だったが、可愛さとエロさでMVPを贈呈したい。


灼熱の太陽と揺れる巨乳で、俺のすべては焼き尽くされて悩殺された。


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