表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第10章…推しはよしよししてくれる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/79

複数ヒロインでも俺は一途を貫く




―――




 朝、目が覚めた。

山で修業してた頃とは比べものにならんくらいとても良い目覚めだ。


俺は初めて柚希の部屋に泊まった。感想は神としか言いようがない。

柚希の部屋、癒し効果がすごいぞ。超体力回復したぞ。しかも部屋全体がいい匂いで目覚めた後もいい気持ちだ。

まあ、このいい匂いは股間に悪いというところもあるが。


スマホを見るとまだ朝早いな。早起きするのは健康に良いみたいだしまあいいか。



ベッドに寝る柚希を見る。柚希はまだスヤスヤと眠っている。


ああああああ!!!!!! 推しの寝顔……!! 可愛すぎる。呼吸してるだけで可愛すぎる。

目の保養目の保養……尊すぎて俺はつい手を合わせて拝んだ。



……そして……

仰向けになっていてもたわわな乳の膨らみがハッキリと確認できて、仰向けだからこそ柔らかそうな感じを表現していて、俺の股間を貫くように刺激した。


さらにパジャマがはだけて肩が露わになって、ブラジャーの紐がないことに気づいてしまった。

柚希、今ノーブラなのか……!! 女の子って寝るときノーブラなのか!? 童貞の俺にはわからない。


さらにパジャマを留めているボタンが引っ張られて外れそうになっている。もし外れたらたわわな乳がポロリと零れ出てしまう……

ヤバイ……パジャマの中身を想像してしまって股間が……



「―――んー……」


「!!!!!!」



柚希の声がして心臓が縮み上がるほどビビり、俺はとっさにその場で正座した。

柚希の閉じられていた瞳がゆっくりと開いていく。朝日に照らされながら目を覚ますその瞬間はスローモーションに感じるほど美しく、しっかりと目に焼きつけた。


おい俺、柚希がお目覚めになったぞ。ちゃんと気を引き締めろ。俺は落ち着いたオトナの男になるのだ。


目覚めた直後の柚希はまだ寝ぼけてて瞳がとろーんとしていた。

あ、ダメだ、可愛すぎてどうしても俺のすべてが緩んでしまう。原作では見られない柚希の姿がたくさん供給されて天に召される。



「あ……おはよう柊斗くん~」


俺が起きてることに気づいた柚希は無邪気な笑顔を見せた。

無防備すぎる。俺は彼氏ではあるが、目覚めてすぐに目の前に男がいたら少しは警戒した方がいいのではないか。



「おいおい、俺のことは呼び捨てで呼ぶんじゃなかったのか?」


「あ、そうだった! ごめん寝ぼけててつい……やり直させて、コホン。

おはよう、柊斗」


「ああ、おはよう柚希」



起床時から柚希がいる生活……しみじみと噛みしめる。さっきから何度も気持ちが昇天している。


柚希はムクッと起き上がり、パジャマの隙間から谷間がチラリと見えて俺は慌てて目を逸らした。




 柚希は着替えるみたいなので俺は部屋を出た。

よし、朝食の準備をするか! 前世で寂しく1人暮らししていた経験を活かすぞ!

柚希と比べるのは失礼なくらい俺の料理の腕は大したことはないが、そこそこはできるぞ!


冷蔵庫から卵を取り出し、卵を割ろうとする。



「あれ、何やってんの柊斗」


着替えを終えた柚希がやってきた。服可愛すぎるだろって。


「朝食作ろうと思ったんだが」


「えっ、大丈夫だよ、私が作るよ」


「しかし、俺も何か手伝いたいんだ」


「じゃあ一緒に作ろうか」


「ああ!」


一緒に朝食を作り、一緒に食べた。幸せ。



「行ってきます!」


「行ってらっしゃい」



柚希は大学に行く時間までまだ余裕があるみたいなので、俺が先に家を出る。

笑顔で手を振ってくれた柚希が最高に天使。女神。どんなときでも元気が出て、俺はスキップしたくなりそうな気分で道を歩く。




 柚希の家を出発してから5分後。

俺は早くも柚希の家に帰りたくなっていた。


帰りたい、柚希に会いたい、寂しい……

学校に行きたくねぇ、ずっと柚希と一緒にいたい……


ついさっきまで幸せの絶頂だったのは何だったんだ。登校中の俺はかつてないくらいどんよりと気分が落ち込んでいた。


柚希の家からだと学校も遠いな。仕方ないことだが。

まあ登校中ならまだマシだな。おそらく俺にとっては、《《学校に到着してから》》がもっと大変なことになると思われる。



「あ、栗田君」


「……龍崎さん……」



登校中、梨乃に会った。


あ、この通学路の曲がり角……

ここは転生後に梨乃と初めて会った場所だ。ここでまた会うとは……



「聞いたぞ。小雀さんとは完全に別れたそうじゃないか」


「あ、ああ……」



別れたというか、最初から付き合ってないというか……

しかし学校の連中から見れば柊斗と苺はほぼカップルって認識だったか。


学校では苺と付き合ってたけど、捨てた……ということになっているんだろう。



「栗田君、せっかくだから一緒に学校に行かないか?」


「いや、ごめん」


「え!? ちょっと……」



申し訳ないが、俺は柚希以外の女の子と2人きりみたいな状況は避けたいんだ。

俺はスタスタと歩いていくが、梨乃もそれについてくる。



「どうした栗田君、機嫌悪そうだな」


「別に悪くないぞ」


機嫌が悪いわけじゃない。柚希依存症なだけだ。



「最近は弓道部の練習も見に来てくれないし、私は寂しいぞ栗田君」


「ごめん、もう弓道部に行くことはない」


「そ、そうなのか? 私何か悪いことしただろうか……」


「そうじゃない。これは俺の問題だ」



あからさまに梨乃が悲しそうな表情をしていて、心がズキッと痛い。


でも仕方ないんだ。俺はもう柚希とくっついた。彼女がいる以上中途半端に他のヒロインのイベントを踏むべきではないんだ。


苺に言ったように、梨乃にもちゃんと言わないといけないな。



「龍崎さん……キミは俺の好きな女の子を知っているよな?」


「え……あ、ああ……」


「俺は今、柚希と付き合っている」


「……!! ……そ、そうか……

……まあ、草野球の時になんとなくそうなるんじゃないかって予感はしてたよ。そうか、栗田君ついに彼女ができたのか。おめでたいことじゃないか」



梨乃は素直に受け入れて祝福してくれた。

無理して笑顔を作って祝福する姿、原作でも見た。最終回直前に勝った苺を祝福し、その後1人で泣いていた梨乃の姿を思い出す。


ギュッと心臓が締めつけられる。やっぱり失恋した女の子はできる限り見たくない。



「……じゃあ、そういうことだから」


「…………」



梨乃はそれ以上は何も言うことはなく、俺も梨乃の顔を見れなくてさっさと彼女から離れた。



苺をフって、梨乃もフった。

周りの男が知ったらぶっ殺されるようなことをした。


すごく贅沢でもったいないことをしているのはわかっているが、仕方ないんだ。


あとは桃香だけか……

怖くて近寄りがたいけどほっとくわけにはいかねぇよな……たぶん桃香も知っているだろうし遅かれ早かれ接触する可能性は高いと思うが……




 学校の教室の前まで来た。

苺をフったこと、梨乃の耳に入っているということはほぼ間違いなくクラスメイトもみんな知っているだろう。


正直クラスに入るのは怖いが、入らないわけにはいかない。

ドアをガラッと開けて、俺は教室に入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ