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お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第9章…推しの家に住む

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また推しの家でお風呂タイム

 うつ伏せで倒れる俺に傘を差してくれる柚希が現れた。


「!!!!!!」


下から柚希を見上げると、柚希のピチピチの白い太ももをじっくり堪能できる絶景が広がっており、さらに柚希の短いスカートの中身がチラリと見えてしまった。

俺は慌てて立ち上がった。立ち上がる気力もなかったはずだがスッと立ち上がれた。


決してワザとじゃないし決して覗き込んだわけではないが柚希のパンツを見てしまった。白だった。


というか柚希はメイド服だった。以前も見たメイド服だ。



「柚希さん、なぜここに!? それとその格好は……!?」


「私は今バイト中だけど……お客様の呼び込みしてたんだよ。さすがに天気がすごく悪くなってきたからこれから店に戻ろうかと思ってたところだったの」



え!? バイト!? 店!?


落ち着いて周りをよく見てみると、目と鼻の先に柚希がバイトしてるメイド喫茶がある雑居ビルがあった。


いつの間にか柚希のバイト先に来ていたとは……天気が悪すぎてどのくらい走ってきたのかどこを走っているのかわかってなかった。



「柊斗くん……大丈夫?」


「え、えっと、大丈夫ですけど……」


「一体どうしたの? こんなところで倒れてるなんて……」


「えっとそれは、えー……大きなワケがあるといいますか……話すと非常に長くなるといいますか……」



うーん、なんて説明したらいいのか……どこからどう説明すればいいのか……わからなくなって頭がパンクしそうだ。

まずいところを柚希に見られてしまったな……


柚希は傘を差しながらスマホをちょっと操作していた。



「今店長に確認したんだけど、台風が来るから店を閉めることになったんだって。だから私もう帰るけど、柊斗くんもウチに来る?」


「えっ!?」


「話すと長くなる大きなワケってのも気になるけど、とりあえずまずは私の家に行こう。柊斗くんびしょ濡れじゃん、早くしないと風邪ひいちゃう」


「いや、それは……」



俺は決して悲劇のヒーローではない。自業自得のただのバカなんだ。

柚希に助けてもらうなんて俺にはそんな資格はない。



「……私の家行きたくないの?」


「いやそんなわけないじゃないですか! ……でも俺は……」


「柊斗くん最近私の家に遊びに来てくれないよね……私寂しかったんだよ? 遠慮しないでおいで。ね?」


「っ……!!」



上目遣いで俺を見ないでくれ。甘い誘惑で溶けそうになってしまう。


父親に家を追い出されてからは一度も柚希の家に行ってない。

俺今ホームレスだからな。そんなのが入ったら柚希の家を汚してしまうだろう。



「……気持ちはすごく嬉しいですけど……俺は大丈夫です。俺のことなんてほっといていいですから」


「……ふぅん」



柚希はそれだけ言って、なぜか傘を閉じた。

柚希の美しい身体、似合ってる可愛いメイド服が大雨で濡れていく。



「ちょっ、柚希さん!? 何やってるんですか傘を差してください!」


「濡れてる柊斗くんをほっとくくらいなら、私も一緒に濡れるよ」


「わかりましたすいません! 柚希さんの家に行きましょう、ありがとうございます! だから今すぐ傘を差してください!」


「自分はどれだけ濡れても平気なのに、私が濡れるのはダメなんだ?」


「当たり前ですよ! なんで柚希さんが濡れる必要があるんですか!」


「ふふっ、柊斗くんは優しいなぁ」


いや違うだろ、優しいのは柚希の方だろうがどう考えても。こんな優しい柚希を俺のせいで風邪ひかせたりなんかしたら、俺は首を吊った方がいい。



「じゃあ私着替えるから、柊斗くんもちょっとメイド喫茶においでよ」


「は、はい」



柚希は私服に着替えて、相合傘をしながら柚希の家に向かう。

相合傘か……以前も同じことあったな。また柚希に助けてもらってしまった。




 柚希の家に到着した。


「さあ柊斗くん、早く服を脱いでお風呂に入って。風邪ひいちゃうから」


「え、その……」


「それとも私に脱がしてほしいのかな?」


「いえそうじゃないですけど……!!」



家に入ってすぐ、風呂場に押し込まれた。

俺は言う通りに服を脱いで風呂に入る。


あの時と全く同じだな、雨で濡れて柚希の家に来て、風呂に入って……

あの時から俺は全然成長していないということか。


待てよ、あの時と同じということは、まさか……!!



ガララッ


「お背中流してあげるね、柊斗くん」


「!!!!!!」



あの時と同じように、今回もバスタオルを1枚巻いただけの柚希がバスルームに入ってきて俺は心臓を鷲掴みされるくらいドキッとした。


あの時と違うところがあるとすれば、バスタオルの柄だ。



「どうかな柊斗くん。クマさんの絵がプリントされたバスタオルにしてみたよ。可愛くない?」


可愛い。柚希が。


ごめん、確かに可愛いバスタオルなんだろうけど柚希の谷間にしか視線が行かなくてこれ以上見たらまずいと思い慌てて目を逸らした。



というわけで今回もこの前と同じように背中をゴシゴシと洗ってもらった。

優しく丁寧にゴシゴシと洗われる。


「柊斗くん、気持ちいい?」


「っ……気持ち、いいです……」


可愛い声で耳元で囁かれる。これだけで何度でもシコれそうだ。


洗う動きが進む度に、心臓の鼓動が激しくなっていく。

この前一緒にお風呂に入った時は、柚希が素っ裸になって俺の背中を豊満な乳で洗ってくれる、という極楽の行為が行われた。


まさか、今回もそれが行われるかもしれないと思うと俺の下半身が期待でいっぱいになる。



「柊斗くん、前も洗ってあげるよ」


「えっ!?!?!? 前を!?」


「うん。前回は柊斗くんの前を洗ってあげるの忘れてたからね。今回はちゃんと洗ってあげようと思ったの。ね、こっち向いて」



前というのは、その、俺の顔がある方で、男のアレが生えている方で、そっちを柚希に向けろというのか。

腰にタオル巻いてるとはいえ、それは……かなりわいせつ行為だぞ。

タオルでごまかせないくらい大きくなっている。これは見せられない。



「……それとも、私がそっちに行った方がいいかな?」


「えっ!? いえ、そういうわけじゃ……」



俺が言い終わる前に、柚希は俺が向いている方向に移動し、股の間に膝をついて座る。

俺はとっさに股間を隠す。柚希は察してくれたのかそこに言及してくることはない。優しい。


俺の正面に、こんなに近くに、柚希が……

柚希しか見えない。特にタオルからチラリと覗く谷間が俺の心臓を焼くように狂わせる。



「柊斗くん、さすがに正面から向き合ってたらバスタオルは恥ずかしくて外せないかな……ごめんね」


「いえ、もちろんわかってますよ!!」


あの時の柚希は酔ってたからな。さすがにシラフでスッポンポンになるわけないよな。期待した俺の下半身残念だったな。


ちょっ、怒るなよ俺のイチモツ。これでいいんだよこれで。

正面の柚希が素っ裸になったら俺はいろんな意味で逝く。残念な気持ちもなくはないが当然バスタオルは巻いたままにするべきだ。



「じゃ、前の方も洗っていくからね」


「は、はい……お願いします」



背中と同じように、胸板や腹のあたりも洗ってもらう。

くすぐったいけど彼女の優しさがやはり気持ちいい。



「あれ……? 柊斗くん、この傷どうしたの?」


「傷……? ああ、これは……」


俺の胸板に切り傷があった。心当たりはある。



「あ……肩とか腕にも傷が……」


傷は胸だけじゃなくいろいろなところにあって、裸で洗ってもらってる今の状況ではバレないわけがなかった。


山の修業でついた傷だ。

猛獣と戦ってつけられた名誉の負傷……と言いたいところだがそんなわけはなく、木の枝で引っ掻いてしまったりとか虫に襲われたりしてできた傷だ。



「この傷はですね、その……山で修業してたので……」


「修業!? なんで……?」


「その、本当に大きなワケがありまして……あとで話しますから」


「それでケガは大丈夫なの柊斗くん!?」


「大丈夫ですよ、全然大したことない傷ですし、もうほとんど塞がってますし、傷に沁みたりとかはないですから」


「でも山って変なバイ菌とかいっぱいありそうで心配なんだけど……」


「腫れたりとか異常はありません、大丈夫です」


「そっか。大丈夫ならいいんだけど」



ああ、柚希に心配かけてしまった。


俺の理想では修業でムキムキの強靭な肉体を手に入れて、柚希に『ステキ! かっこいい!』って言われる予定だったんだけど。


現実はそんなに甘くない。いくら頑張ってもこんな短期間で都合よくムキムキになったりはしない。


柚希に褒められるどころか心配させてしまって、俺は本当にダメだ。

前世がゴミだったんだから運動神経良いイケメンに生まれ変わってもそう簡単にいい男になれないのはわかってるけどさぁ。


結局今回のお風呂タイムも前回と同じように全く余裕がなくてビンビンのギンギンだったし、俺は全然成長してないってことを証明した。


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