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お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話  作者: 湯島二雨
第8章…推しとデート

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柚希とデート④

 柚希とのデートはランチタイムに突入した。

執事が邪魔してくるイベントがあったが、そんなもんかき消すくらいデートが楽しすぎて大満足だ。

デートはまだ午後もある。当然午後も楽しみ尽くす。


柚希と一緒に昼食中。お昼ごはんを食べる柚希もとても可愛くて柚希を眺めてるだけでお腹いっぱいになりそうだ。

ニヤニヤしそうになるのを堪えながらコーヒーを飲む。



「柊斗くん、牛の乳搾りやってるみたいだよ!」


「ブフォッ!!」



漫画やアニメでお約束のように、コーヒーを噴き出してしまった。

乳搾り……なんていやらしい響きなんだ。柚希の唇からそんないやらしい言葉を出されたら、エロいことを意識しないなんて無理だ。

脳みそに精子が混入している俺は案の定柚希の乳を搾る妄想をしていろんな意味で1人で盛り上がるのだった。



「どうかな? ごはん食べ終わったら乳搾り行ってみない?」


「もちろんいいですよ、行きましょう!」



昼食後、俺と柚希は牛の乳搾りコーナーに行った。


牛だ。乳牛だ。ホルスタインだ。でかい。

やはり乳もすごい。どんだけ搾れるんだろうかこれ。


牛をこんなに近くで見たのは初めてでちょっとワクワクする。


飼育員さんの指示に従い、まずは柚希が乳搾り体験を行う。



「わー、牛さんおっぱいすごいね」


柚希もすごいよ……巨乳の女の子と巨乳の牛が揃った光景、壮観である。


「ホラ柊斗くんも見てよ牛さんのおっぱい。すごいよね」


「は、はい……すごいですね……」


ごめん、そんなこと言われたらどうしても柚希のたわわな胸の方に視線が行ってしまうんだが。



「よし、じゃあ搾るぞ……! ヤバイ、緊張する……!!」


柚希は恐る恐る牛の乳首に手を伸ばし、そっと握った。


「……ッ……」


ちょっ、握り方エロい。

棒状のモノを握る柚希を見て強制的に柚希に握ってもらう妄想が脳内で始まった。


あぁっ、にぎにぎしてるのエロすぎる。手の動き指の動きが何もかも搾り取ろうとするエロさだ。

そして勢いよく牛乳が噴射される光景は、汚れきってる俺にはもうアレにしか見えなかった。



「すごーい! 白いのいっぱいドピュッドピュッって出てるね!」


そして柚希の言葉が淫語にしか聞こえない……『ドピュッ』って表現がもう完全にアレやろがい。ヤバイ……このエロさはヤバイ……



いいかげん落ち着け、柚希は至って真面目に健全に動物と触れ合っているんだ。

柚希ルートではこれからもエッチなイベントがたくさん起こるだろう。できる男はこのくらいじゃいちいち動じないぞ、しっかりしろ。

深呼吸しろ、精神統一しろ、心の中で座禅を組むのだ。



ビュッ!!


「きゃっ!?」


「!!!!!!」



牛の乳が勢い良すぎて暴発して、柚希の顔に白い液体がぶっかけられた。

わっ、お色気系作品のお約束の展開じゃねぇか。何の捻りもなく直球でぶっ込んできた。少しはなんかこう捻れよ。



「牛乳でベトベトになっちゃった……」


「俺が拭きますよ」


「ごめんね柊斗くん……」


「気にしないでください。ジッとしててくださいね」



できる男アピールをしたい俺はサッとタオルを取り出して柚希の顔を優しく拭いた。


大丈夫、精神統一をちゃんとして今は落ち着いている。柚希の顔に白い液体がぶっかけられてても俺は乱されない……!



ツゥーッ……


「―――!!!!!!」



白い液体が流れて、柚希の谷間にトロリと滴り落ちた。

それを見た俺はあっさりと精神壊れた。



バキッ!

俺はとっさに自分の顔面を殴った。



「どうしたの柊斗くん!?」


「いえ、気にしないでください」



危ない危ない……今のは殴らなきゃ耐えられなかった。

これは試練だ。柚希を幸せにするためには余裕と自信をつけなくてはならないのだ。




 よし、柚希をちゃんと拭いてキレイになったし、次は俺が乳搾りやる番だ。

ちょっとでも気を抜いたら柚希の乳を搾りたくなっちまうところを必死に気を引き締めた。


牛の乳首に手を伸ばす。



「ンモーッ!」


「わっ!?」


牛は明らかに嫌がってる素振りを見せた。

やっぱり俺は動物に嫌われているようだ。ウサギだけじゃなく牛も露骨に態度変わったから勘違いではないことがほぼ証明された。


でもせっかくだからちょっとだけ、1回だけでもいいから乳搾らせてくれ。

頼む、本当にちょっとだけだから。先っちょだけだから。大丈夫、絶対痛くしないから。俺おっぱい星人だから。おっぱいへの愛は誰にも負けないから。前世で風俗に行った時もおっぱいを優しく丁寧に扱いすぎてキモがられたことあるから。


嫌がる牛の乳首が揺れる。なんとか掴もうとする。



「モーッ!!」


ズシン!


「ぶほっ!?」



牛に体当たりされて尻もちをついた。



「わーっ!? 柊斗くん大丈夫!?」


「すいませんお客様! 大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫です……」


柚希と飼育員さんに心配されて、俺は苦笑いしながら立ち上がる。



「おかしいですね……この子普段はすごくおとなしいのに……乳搾りを嫌がるなんて初めてですよ……」


飼育員さんは牛をなだめながらそう言った。


「いえ、俺が無理に触ろうとしたのが悪いんです。すいませんでした」


飼育員さんにも牛にも頭を下げた。

おとなしい動物にも殴られるくらい俺は嫌われているのか……これは相当だな。

まあ牛だってれっきとした女の子だ。女の子の乳を無理やり触ろうとしたら痛い目に遭うのも当然である。反省しなきゃならないな。




 乳搾りは諦めて、俺と柚希は別の場所へと移動中。


「柊斗くんなんで牛さんに嫌われちゃったんだろ……私納得できないな」


「まあ仕方ないですよ。乳搾りはできなかったけど楽しかったので大丈夫です」


ふれあい系はもうやめよう。この世界で動物と仲良くなるのは諦めた方がいい。



ワーワー


キャーッ



……!?

ん!? なんだ!? 動物園が急に騒がしくなった。悲鳴のような声が聞こえてくる。一体何なんだ。



「ど、どうしたんだろ……」


「何かあったんですかね……」



柚希が不安そうにしている。

俺がしっかりしないといけない。


飼育員さんがこっちに走ってきた。



「危険です! 避難してください!! ライオンが檻から脱走しました!!」


「!?」



ライオンが脱走!?

つまりこのへんをうろついているということか。


漫画とかだとわりとありがちな展開だが、実際に当事者になってみると恐怖がやべぇな。足が震えてきそうだ。すくんで歩けなくなりそうだ。


しかしそうはいかない。柚希がいるから。普段情けない俺でも今だけは強く気高くありたい。



「ガルルル……」



いた……ライオンが俺たちの前に姿を現した。

でかい。威圧感もハンパない。

百獣の王の名は伊達ではない。


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