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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第九章 『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~ 著・三ッ葉きあ』
78/90

そうだ! 蒜山高原に行こう

いきなり寒くなってきましたね?

この前、ヘカさん達とチョコフォンデュをしました^ ^

暖かいスイーツが美味しい時期は嬉しいですねぇ!

やはり、この時期のスイーツといえば、焼き芋ではないでしょうか?


皆さんのベストホットスイーツ教えてくださいね!

「蒜山高原やぁ!」


 古書店『おべりすく』の本日は慰安旅行の代わりに車で数時間で向かえる蒜山高原、そしてその牧場へと向かっていた。アヌのベルファイアにシアとバストと三人でドライブ。



「しっかし、シア姐さん。六甲牧場や淡路牧場やのーて、わざわざ蒜山に何しに?」



 日本一のソフトクリームに六甲牧場が北海道を二位に抑えて一位に選ばれた事を関西の人は実はあまり知らない。

 そして同じ牧場でも淡路牛乳、六甲牛乳よりも……関西の人は蒜山高原の牛乳が最高級だと信じている人が多い。


 何故なら何故か蒜山高原の牛乳はスーパーで何故か瓶で売っているのだ。


「旅行がなくなったからな、それより、ズーム会議で話出てたやん『ウサギ印の暗殺者 著・三ツ葉きあ』アンタら好きやろ? 行くまでに話ぃや」



 そう言いながら、イカ煎餅を齧るシア。



「きあ姐さんの作品なぁ……セシャトさんが好きやねんな。しっかし潤の腕を欲しがる従業員って中々ぶっ飛んどるのぉ! ワシの腕とか姐さんにばっすん、欲しい?」



 当然、いらないと首を振る二人。そこでシアが呟く。



「シリアルキラーのトロフィーみたいやな」



 それはPCoにいる全員サイコパスじゃないかとシアはいいたげにイカ煎餅をバリバリと食べる。そして……プシュ!



「くぅ! やっぱ車の中で飲むビールはちゃうわぁ!」



 エビスビールに喉をならすシア。そんなシアを横目にバストはお酒の相手をする。



「カッカッカ! 咲弥とシア姐さんやったらええ勝負しそうやな!」

「は? どういう意味やそれ?」

「いやぁ……強烈な姐さんって事ですわぁ……」

「プロポーションの整った女の子が、潤の周りには多いんやってぇ! そらウチやと勝たれへんわなぁ? なぁ?」



 シアは着物がよく似合う。要するにそういう事なのだ。酒の力も相待ってややシアの機嫌が悪くなる。そこでバストが助け舟を出した。



「シア姐さん、本作って実際のところどういう位置付けの作品なんすか?」



 クーラーボックスから新しいビールを取り出すとそれに口をつけながらシアは少し考えて語る。



「S Fを挟んだ。オカルトコメディがベターちゃうか?」



 ぐっぐっぐとビールを飲み干すとシアは言った。



「それにしても咲弥、こっわ……ほんまこわいな。結婚する義務を与えるってどんだけ重い女やねん」



 君がそれを言うのかとバストもアヌも思ったが絶対に口に出さない。少年趣向を持つ咲弥は作中のヴィランとしても中々に良いキャラクターをしている。自分が悪い事をしているという、歪んだ事を言っているという事をミリも理解していない。



「ちゃうな、読者にそういう風に読ませてきよる。ほんまええキャラしてますわぁ」

「あれや、潤や泰騎は造形したキャラクターとしてはほんまに良くできてるわ。それらに絡ませるには、よく言うけど、この主役連中よりも熱量を持ったキャラクターを用意せなあかんねん。それにしても次から次にキャラが立つ連中登場させよんね?」



 飲み干した缶ビールをゴミ袋に入れると、シアは外を見てアヌに止まるように指示をする。



「デミカツ丼食べていこか? 奢ったるわ」



 カツ丼という食べ物がある。岡山のカツ丼をご存知だろうか? 愛知の味噌カツ丼、一般的な卵とじのカツ丼。それらとは一線を画す岡山名物。カツ丼にデミグラスソースと生卵が乗っている。



「ごちになります」

「あざっす! 姐さん」



 目に入ったカツ丼屋さんに入り、シアがカツ丼を三つ店主に注文する。



「大将、カツ丼三人前頼むわぁ!」



「いらっしゃい! おっ、お嬢ちゃん、お兄ちゃん二人とドライブかい? いいねぇ」



 小さいシアを見て、三兄妹の末っ子に思われたのだろう。超絶機嫌が悪くなるシア。



「シア姐さん、ほらほら、黒髪泰騎やでぇ! うわぁ! えらい男前やなぁ!」



 バストは大将にかくかくしかじか話をする。それに大将は頭をかきながらシアに出したカツ丼には生卵が二個。



「うわぁ! シア姐さん、卵二つやん! ええなぁ、ほな。冷めん内に食いましょ!」



 おべりすくの食事は丼もの率が極めて高い。早い、美味い、安いの三拍子が揃ってるというのもあるのだが、彼ら、彼女らは食べながらミーティングをすることが多いからというのが強い。


 ちなみにシア姐さんは女子会だったり、他地方の人が関西にきた時とかは、凄いいいお店に連れて行ってくれるロリババア……おっと誰かきたようだ。



「ドタバタ具合も、なんか懐かしいノリやねんな……アヌ、あんたも思わへん?」

「いやぁ、まぁ……九十年代の作品をそこはかとなく感じますけど……恵未ちゃんとか最近はあまり見なくなったいいヒロインの一人ですわぁ」

「あぁ、わかるわぁ。こっち遊びにきたらなんでも食べさせたいくらいには可愛いキャラクターしとるよな?」



 アヌとシアが、あの作品のあの娘ににていると色々と話しているが……全くついていけないのは、バスト。  



「この、咲弥を潰していいか? と聞く泰騎さん、痺れるっすね!」



 そう、主役ならではの言葉の強さ。昔の古いスラングを使えば、咲弥終了のお知らせというやつだろう。

 これは読者は安心し、そして次のページをと捲りたくなるのである。そんな状態でシアが本当にシラフに言った。



「あのバカな重工の社長。泰騎が潰してくれへんかなぁ?」



 心からシアは、クリスを嫌っていた。自分の大好きな神様を狙うあの青年に死の鉄槌を与えてはくれないかとそうシアは言うのだ。



「いやぁ、泰騎とあの社長さん、案外仲良くなりそうやからなぁ……お互い、狂気的な一面を持ってるけど、妙に頭が回るし……幼いし」



 そう言いながらアヌはデミカツ丼をシャクシャクと食べる。初めて食べたわけではないのだが……



「ほんま美味いな……これ考えたやつ天才やろ」

「これ、お子さんとかは間違いなくこのカツ丼の方が好きっすよね?」



 洋食を嫌う子供はいないだろう。ハッシュドビーフにトンカツが乗っているようなそれを三人は食べ終える。その土地の物を食べるという楽しみは旅の醍醐味……不味ければ不味いでそれも思い出となるのだが、日本は基本的にどこに行っても食べ物は美味しい。



「じゃあ、ラストスパートといきましょか?」



 支払いをシアが終え、お子様に見られた事を根に持っているシアをどうにか宥めてアヌとバストは蒜山高原へと車を走らせる。



「さっきアヌさんは咲弥さんとシア姐さんが良い勝負って言ってましたけど……どちらかと言えば泰騎さんの方が似てるかもしれねーっすね。妙に嫉妬深いところとかあぁ……ああ、痛いっす……」



 バストはシアに思いっきり頭を掴まれる。そしてミシミシと万力のように握力を決められれば頭蓋に響く。



「姐さんストップや! ばっすん、死んでまう! 堪忍やでぇ!」



 ドン! シアはアヌの運転席を蹴り飛ばす。それはそれはご立腹なシアだが、確かに泰騎とシアは立ち位置は似ている。お互い一支部の長であり、普段はそこまで全面には出てこないが、ここぞの頼れる感は半端じゃない。シアはそれに咲弥の狂気感も備えているのでややこしいのだが……そんな中でアヌは場を和ませようと話した。



「これ、すごないですか? 泰騎が当てた宝くじでボーナス支払いでっせ! シア姐さんも宝くじあててワシ等にボーナスとお年玉くださいやぁ!」

「贈与税かかるやろ。アホか? 寝言は寝ていいや?」



 ぐさりとアヌにダメージが返っていく。そう、経営者であるシアは事銭計算は早い。



「しっかし、潤はドライやなぁ? ウチら、泰騎とはまぁまぁ話あいそうやけど、潤が来たら何言ってもウケへんやろうし、正直苦痛で地獄やろな?」



 シアは七本目の缶ビールを開けてからそうはなす。それにアヌは「わかるわぁ! 阪神の話とか無視されそやもんなぁ」とか言う中で……バストは違った。



「いやぁ、自分はなんとなく話合いそうかなって思うんすけどねぇ」



 バストのその発言にシアとアヌの反応は全く同じだった。



「あぁ……」

「ほんま、シア姐さんちゃうけど、あぁ……って感じやなぁ」



 なんすかそれ……って言いたいバストだったが……



「コーンドッグっすよ! 懐かしいっすね!」

「あぁ、アメドリのアメリカ版ネームな……ほんまやな。昔はそんな名前やったな」



 かつて、アメリカンドッグが平成の初期からコンビニに並び始める前は、コーンドッグ。今でいうアメリカンドッグは屋台で人気の風物詩だった。特に関西ではいまだにその名前で稀に見ることができる。



 ちなみに、ベビーカステラ、関西の言い方。では絶対に検索してはいけない。それはアヌさんとの約束である。泰騎×潤焼きみたいな名前なのだ。



「人を食べる……か、人間の三大禁忌の一つやわな……でも、世の中には何故かカニバリズムを起こす連中がいる。それは、異常性癖のひとつなんやろな……若い体を取り入れると若がえる……これ実はリアルやねんで」



 もちろん、作品内のように食べるわけじゃない。人工透析のように自分の血を抜いて、全て若い血に変える。ほぼ間違いなく、一時的に若がえる。

   


「レシェフさんとかが好きそうな話題っすよね?」

「まぁ、近親相姦と人食、殺人。レシェフさんの頭の中はリアルにそれしかないからなぁ……」



 そう、リアルレシェフさんはいつ犯罪を起こすか分からないおつむをしている。それに閉口する三人。丁度四章を読み終え、話おえたところで、蒜山高原に到着した。



「つきましたよ! シア姐さん、ばっすん!」



 あの、超美味しい、蒜山高原の牛乳が飲めると、シアはテンションを上げて、神様へのお土産をと考えていた。そこですれ違った人物達。


 機械人形の少女、明らかに堅気ではない空気を撒き散らす美女、そしてハーフの青年。三人はシア達の目の前で嗤った……


 ざ……ざざ……ザザザ。

『ウサギ印の暗殺者 著・三ツ葉きあ』

 天使禁猟区とかを思い出す本作、シア姐さんの家で何故かパスタを茹でるアヌ、お酒の相手をするバストに絡むシアの酒癖は悪く。本作のミーティングの後、シア姐さんは言った。

『明日、蒜山高原いくで!』

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