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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第九章 『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~ 著・三ッ葉きあ』
77/90

で、あるからして作品は楽しみ方があるのである

さて、東京のメンバーが最近体調を壊しています。実は第3の作品公開予定となっていますよぅ!

その作品は私が、構想をお手伝いさせていただいております。一言お伝えすると、今までの古書店『ふしぎのくに』系列の作品ではないものとなります。最高傑作ではないかと私は思いますよぅ! あれっぽいな! と思われるかもしれません。ふふふのふ。

「豚汁? ボクはスパゲッティがいいよ」


 女子高生は入店するなり、セシャトにワガママを言ってのける。マナーのなっていないその女子校にいろは不快感を露わにする。



「貴女、何かしら?」

「は? 中京の古書店『あんくくろす』店主・レシェフだよ。ザ・ビースト」



 いろはの事を知っているこの女子高生。何だか分からない不気味な雰囲気を放つその女子高生。一触即発の状況でセシャトが顔を出した。



「あら! レシェフさん。いらっしゃいませ!」

「セシャトさん。スパゲッティを用意して、あと炭酸ジュース。なければ買ってきて、ボクがこの子の相手をしてあげるからさ」



 レシェフは古書店『ふしぎのくに』にパスタの買い置きストックがなくなり、神様が本日の早朝に炭酸飲料を飲み干しているのを何故か知っていた。セシャトは財布を持って「では少しコンビニに行ってきますので、お待ちくださいねぇ! お留守番! お願いしますよぅ!」とウィンクをして外に出ていく。



「ほんと、あざとっ……で? この店に何の用? ここの連中はボクが苦しめるんだよ。あの馬鹿社長には手出しをさせない」



 睨みつけるレシェフにいろは下唇を噛む。



「『ウサギ印の暗殺者 著・三ツ葉きあ』をセシャトさんと一緒に読みたかったのよ! ヘカちゃんにこの作品が仲間内で一番好きなのはセシャトさんだって聞いたから……総帥は関係ないわ」

「どうだか、ウサギ印か、ボクは少し物足りないよ」

「は? 喧嘩売ってんの? 爆殺するわよ?」

「本作は、全年齢向けに抑えてあるからね。情景描写とキャラクターの掛け合いはどちらもいい比率だし、ラノベとしてはしっかりしている。だからこそ、ボクは表現の制限が作品の完成を妨げていると思うね」



 これに関してはどうだろうと賛否両論あるところである。本作の完成度からしてこのままじゃなければ現在のファンは離れる可能性はあるし、しかし、性的描写、暴力描写のリミッターを解除した場合。強烈な読み手がつく可能性はあるのだが、二度程、それら描写でバンさせているレシェフさんの意見は何処かぶっ飛んでいるので気にしない方がいい。



「アンタ、あれね? 厨二病発症させた読者でしょ? いるのよ。キモかったり、グロかったりすればそれだけで評価するイカれた連中」

「そうでもないよ。これでもボクは作品を楽しんでいる。倖魅の能力なんて面白いじゃないか、プログラマブルロジックコントロール機能その物だよ。何かしらのネットワーク機器を同じ配線下に繋がっていればこの機能は現実に存在する。ラグのない人間がそれをになえばほら不思議、インスタント量子コンピュータの出来上がりさ」



 そんな機能に関してはいろはも当然知っているが……違う意味で引いていた。そう言う事じゃないのだ。物語のキャラクターの特殊能力という物は……



「そんな現実の物理法則の話じゃないの! 貴女、古書店の店主をやっていてそんなことも分からないの?」



 多数の作品を読み過ぎると起きうる読書の落とし穴がこれだ。正直、その背景なんてどうでもいいのだが、レシェフのように理論づけて話をしてしまう。



「君はどうやらこの作品に陶酔しているようだ。ザ・ビースト」

「……しているわね。この作品はある種、家族というテーマが見えてくるもの。いろはは物心ついた時から家族なんていなかったからこの作品に惹かれているのかもね。レシェフさん、貴女のご家族は?」



 本作は面白おかしくストーリーを組み立てているが、そこはかとなく感じるか弱いガラス細工のようななんとも言えない不安定な暗い物を感じさせる。物語の設定時期や時代背景からして数年から十数年前のハズなのに、妙に風土的古さや、時代への想像観念がズレている部分がある。幼少期に倖魅が監禁されていた等になるのだが、これをまさか昭和初期や刀を刺していた時代ならいざ知らずという話をしていたところで、レシェフさんは某事案の直近数年から十数年前に起きた事件をケースを持ってきた。


 まさに、倖魅と似たような理由で家族に監禁されていた子供がいた。深い闇というものは案外、時代変わらずにどこかで今も蠢いているのだろう。



「ボクに家族? いるわけないだろ。ゴミ同然に扱われて、突然美味しい食事を与えられたと思ったら、祭壇で死ねときた……ボクは人間も人間が崇めている都合のいい神も宗教も大嫌いだ」

「ちょ、ちょっとレシェフさん? 何を言っているのかしら……」



 レシェフは母屋でセシャトが淹れていたアイスコーヒーを冷蔵庫から取り出すとそれをジョッキに淹れてガブガブと飲む。



「ボクは家族という言葉が大嫌いなんだ! それより、千葉県に誘拐組織だってさ。怖っわ……泰騎が持っているナイフのサイズ感はいいね。これはいいナイフだ。丁度いいサバイバルナイフだ。丁度、脾臓や腎臓を破壊できるサイズだね」

「だーかーら、アンタ。何考えて作品よんでるのよ! 確かに、ナイフは刺して回す事に意味があるけど、そこまで考えている描写じゃないわよ……多分……」



 いろはもまた重犯罪者故に、分野ではなくとも刃物で相手を殺す確実な方法は知識として知っていた。腹部を刺して、そのまま回す。複数の臓器を同時に修復不能に傷をつけてやれば医者でも助けられない。が、三ツ葉きあ氏のイラストに限らず、なんなら他漫画家や小説のラノベで描写されている道具にそこまでの意味を追い求めてはいけない。参考資料として使われているだけであり、レシェフが言うような意味は大抵はない。



「そうでももないと思うよ。この作者。あの腹立たしい、クソゴスロリの知り合いじゃないか、作品への熱量が違う。小物一つに対しても、泰騎との対比を考えて、いやこの場合は泰騎がが黄金比だからその持っているナイフが概ね暗殺に適したサイズに描写されてるのかもね」



 そしてレシェフが話す、ややこしく、いろはをイラつかせる。それがレシェフ、作品を斜め上から楽しむ読者。



「潤、撃ち外さないという理由付けがあるけど、心臓即射はどう思う? ねぇ? 君のところにもいるだろ? 沢城女史」



 いろは何も喋らない。どこかの軍医だったとか、諜報員だったとか噂は聞くクリスの秘書、沢城。彼女は射殺について語ったことがあった。ロングレンジの場合はヘッドショット、からのハートショット。そして今回の潤のような描写、ショートレンジの場合は腹部への一撃、心臓へのニ撃目。そして最後は念の為の倒れた相手へヘッドショット。



「でも潤は大型ハンドガンじゃない。殺傷能力は極めて高いわよ?」

「君はバカだな。潤は確実に命を取りに行けるブザービーターなんだろ? そうさっさと言えばいいのに、馬鹿だなぁ。君じゃボクを爆殺はできやしないね」

「ムキー! アンタなんでそんないちいち腹立たしい事言うのよ!」



 レシェフは腐っても古書店『あんくくろす』の店主の片割れである。作品を真っ直ぐに楽しむ事も当然知っている。知っている中で彼女なりの作品の楽しみ方を持っている。



「これはボクの読み方だよ。十人十色。読み手が十人いれば感じ方や楽しみ方が全部違ってもおかしくはないだろう? もし、君が君と同じように作品を楽しめと言うならば、それはもう作品を楽しんでいるんじゃないんだ。流行りにのっているだけだよ。まぁそれも悪くはないさ。流行から心の一冊になることもあるだろうし、おや。ボクみたいな子がやってきたね……いや、違うかボクはこんなに馬鹿じゃない」



 水無、いろは実はこのキャラクターもかなり好きなのである。それを馬鹿とは何事か! と叫んでやりたかったが、確かに少しおバカな子なのだ。

 そして、このおバカな部分がまた魅力的であったりする。当方では『か水無様』と呼ばれている。



「貴女は蛇は好き?」

「うん好きだよ。愛らしい顔をしている」

「私も好きよ」

「ザ・ビーストなのにかい?」

「……そうよ。獣なのにね」



 二人は静かな間を楽しむように見つめ合う。お互いが何を考えているかなんてことは分からないが、それは同じ作品を楽しむ同士のように……



「泰騎は最初から最後までいい主人公だね。さすがはあの人間でありながら人間を少しやめてしまった人間の弟子だよ。普通に格好いいね。ボクはこういう主人公の作品を読みたいのさ、いてくれれば安心するこれは大事だ」



 突然レシェフがデレた。いや、作品を普通に褒めた。そして巻末の四コマや、キャラクター紹介を見ながらレシェフは呟く。



「彼らがいれば、真っ先に重工棚田を潰してもらいたい物だよ」

「どうかしら? もしかすると来店する客に摩訶不思議な幻影を見せるという、貴女達の方が狙われるかもしれないわよ?」



 同化。

 お互いの職場を標的にされるんじゃないかとそんな事を夢想する。それにレシェフは笑った。



「知ってるか? ボクを含めて古書店の連中は腕力も知力もはっきり言って凡人以下だよ。十分あれば壊滅さ、それに対して君らは黒いこともしているだろ? だから狙われるなら君たちだね」

「あら、世界的指名手配の欄に、殺人人形の木人まで囲って涼しい事を言うのね。十分に狙われる価値はあるわよ」



 二人は微笑む。お互いの脳内では色々なコラボ作品が始まっているのだろう。作品の楽しみ方とは人それぞれだが、夢小説もまたその延長線上にある。二人のテンションが上がってきたところでガラガラガラと扉が開かれる。誰かがきたと二人は強く警戒。



「ふへぇ! パスタ麺が全然売られてなくて大変探しましたよぅ!」



 あっ! 忘れてた! セシャトさんは疲れた顔でパスタ麺と炭酸飲料を二本持って帰ってきた。

 いろはは一息ついて話の続きをと思った時、目の前のレシェフの表情から邪悪さが消える。



「あっ! また寝てました? 私、何か変なこと言いませんでした?」



 そこに普通の女の子がやや慌てていた。

『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~ 著・三ツ葉きあ』レシェフさん登場回ですね! 実は皆さんほぼオールスターで登場しています。その心は? なんでしょうか! レシェフさんは家族に関わる作品を書いているのに家族が嫌いなんですね! 作品の楽しみ方は人それぞれでは次回お楽しみに!

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