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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第九章 『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~ 著・三ッ葉きあ』
76/90

外国の人の感じる感じるギャップと久々のトトさん

さて、最近ですがダンタリアンさんとシアさんとカラオケに連れていかれました。実は私はカラオケとかあまりいかないんですよねぇ。ヘカさんとショッピングやお茶をすることが多いのですが、びっくりしました。

シアさん、凄いお歌が上手です。檄・帝国華撃団。いまだに耳に残りますねぇ。

 アメリカの夏の風物詩を知っているだろうか? 日本では少々考えられないが、十二歳くらい迄の子供が街中でレモネードを売っている。

 一杯、一ドル。それを買って飲むと夏が来たなと思うのだ。

 そんなレモネードを女の子が売っているお店でだけ購入する少年が一人。



「トトお兄ちゃん! こっちも美味しいよ!」

「はーい! とても美味しそうですね!」



 そう、我らが古書店『ふしぎのくに』神様大好き、女の子大好きな。甘えん坊の末弟、トト。

 銀髪に褐色。そしてその甘いマスクはアメリカンマダムだけではなくおませなアメリカのティーン達にも引っ張りだこだった。

 もはや20杯以上のレモネードを飲んでいるトト。そんなトトは今回、ホームステイをすることになっている。ネイティブアメリカンの語り話を学びに来ていた。

 そしてその家でおじいさんと一緒に住んでいる幼女・テトラ。



「トト! 他の女の子のレモネード飲んじゃだめ!」

「う〜ん、テトラさん。それは中々まずい表現ですね! さて、ただいま戻りました!」



 森の伐採を仕事にしている年齢を感じないテトラの祖父は紙袋に入ったハンバーガーを見せて笑った。



「今日も何か面白い話を聞かせてくれないか、トト」



 テーブルにつくと、テトラが作ったアメリカンサイズのコブサラダと、お爺さんが購入してきたハンバーガー。炭酸飲料にコーヒーを用意するといつもトトが話してくれる物語を待っていた。



「そう……ですねぇ。では僕の姉的なセシャトさんがとてもオススメする作品があるのですが『Rabbit mark Slayer form KIA MITUBA』という物語です」



 暗殺者という名称を聞いておじいさんは怪訝な表情をする。そして一言「テトラ、今日はお部屋で御本でも読んでなさい」



「嫌よ! トトのお話を私も聞くわ! じゃないとトト、他の女の子のレモネードを買いに行きそうだもの」



 にっこりと微笑んだトトは語る。



「お爺さん、実は暗殺者といえど、この作品はそうですね。どちらかといえばコミカルなブラックジョークと風刺めいた表現が多く、スラングという程、酷くもなく日本では十分ティーンが楽しめます」



 当方の海外メンバー、魔女と忍の石山合戦のメンバーは語る。暗殺者などの単語があるだけで、海外では敬遠される。が、実際に内容を読むと、ギーク。向こうのオタクというより、映画好きに好まれるような表現の使い回しが多いとのことだ。



「知り合いが殺されたというのに、なんという冷静な連中だ……」



 簡単にキャラクターの説明をすると、怪訝な表情をする。それはトトには想像もつかないような感想だった。続いてテトラが語る。



「カートゥーンのキャラクター設定みたいね」

「そうだな……トト、続きを話しておくれ」



 潤が炎を扱う事、不死身に近い異常回復力を持つ事。そんな話を聞いて、お爺さんはつぶやく。



「DCコミックスや、マーベルヴィランのようだな」



 そうなのだ。特殊能力を持つ者というのは長らくアメリカでは敵だったのだ。力のないヒーローが、異能力を持つ敵を完全懲悪したり、ディズニーもなんの力もない主人公やヒロインが、魔女や悪魔に機転を聞かせて退治するという物が多かった。

 最近になってようやく日本の設定を逆輸入する形で異能力を持つ主人公が台頭してきたと、名出し禁止のライターは語る。



「ちょっと見て! おじいさん! 凄い! とてもすごいわ!」

「こりゃ驚いた。サークルか」



 そう、本作の作者。

 ヘカさん曰くモンエナ部の三つ葉きあ氏は知っての通り特徴的で素敵なイラストを描かれる。



「あはは、きあお姉さんはプロってますからね! でもおじいさん、サークルじゃないんですよ!」

「なんだって! こんなマンガもかけて、こんなアートもできてか……日本人、恐ろしいの」



 海外では作品作りを複数人、サークルで行うことがしばしある。アメコミ等もそうだ。日本でいうところの高校や大学の文芸部系サークルのように協力をして一つの作品を仕上げていく。

 が、日本人の創作家は一人で作品を作り上げる。なんなら同人のサークルという物も個人で行われる場合の方が圧倒的に多かったりする。

 これも海外の人からすれば脅威なのだ……が、最近は中国や韓国の方々のレベルに押されつつあるの事実であり、研鑽が足りなくなってきたのかもしれない。



「うむぅ、中々のカルチャーショックですね。では次のページはキャラクター紹介になりますので、一旦ゆっくりと見ていきましょうか? 皆さんと同じアメリカ出身の水無さん、あざといといえばセシャトさんも中々ですよね! そして、マッドサイエンティストの杉山さん。カッコいいおじさん。おじ萌えを体現したイラストも素敵ですね!」



 絶対に言ってもわからないトトの話だけれど、テトラは紹介のイラストに釘付けになる。トトはいち早く、テトラは本作の虜になりうる素質があるなとそんな事を考えながら、第三章のショタ泰騎とショタ潤の会話よろしく、テトラに聞いてみる。



「テトラさんはお菓子といえばなにが好きですか?」

「どら焼き」



 まさかの斜め上のお菓子がきた。そしてテトラは「わぁ」とお爺さんは「こりゃ上手だ」とショタ潤のイラストを見て長いため息をつきつつも、泰騎の性癖の悪さにお爺さんは少しばかり閉口する。

 日本では普通すぎるやりとりかもしれないが、案外アメリカは性教育にデリケートなのだ。泰騎のような性に正直でオープンすぎるのはテトラの教育上悪いとそう考えるおじいさん。

 そしてトトに語る。



「案外、子供の誘拐ネタや飲酒に関してはこっちでは割と厳しんじゃよ」

「最近は日本でも結構厳しくなったみたいですよ。特に、男の子の性的搾取に関してはある種、女の子を標的にした物より、注意が必要なんですって」



 トトが何も悪びれる様子もなくそう話すので、お爺さんはやや呆れながら話を聞く。



「泰騎の誕生日シーン、一見するとほのぼのしておるんじゃがなこれもアウトだ」

「このシーンがですか?」



 飲酒シーン。これがあると、色々とアメリカは州によっては五月蝿いらしい。最近日本で二人乗りシーンがアウトになったように、表現の自由と作品創作は戦い続けているのである。



「いい意味で、この会社は日本らしいの」

「そうなんですか?」

「あぁ、ステイツの会社はパーティーは会議室や社内では基本行わないんじゃ、メリハリをつけるという意味で当然パーティールームかホテルの食堂を借りる。じゃが、日本は会社内。時にはオフィスで宴会を始めるだろ? この作品のようなアットホームな雰囲気、ワシらは憧れるんじゃよ?」



 そう、意外も意外。アメリカ人は飲みニケーションをあまりしない。昨今日本の居酒屋がブームになったのも有名だが、あれは日本独自の文化だったりする。



「泰騎、一丁前にウィスキーか、気に入った。いい樽で作った物があるんだ。トト一杯付き合わんか?」



「あはは、僕は未成年なので、紅茶でお付き合いしますよ」



 そう言ってお爺さんは古いアードベッグを持ってきた。トトはお酒には詳しくはなかったが、それがサラリーマンの初任給より高い酒だという知識程度は持っていた。

 それをロックアイスの入ったグラスに注ぐとお爺さんは掲げる。



「泰騎のバースデーに!」

「えぇ、同時にきあお姉様のバースデーに!」



 そう、作品のキャラクターの誕生をお爺さんは祝っちゃった。これは同化現象の一つ。自分もその作品と一体感を生みたいというそんな少し恥ずかし行動だが、アメリカ人ならではの行動だったのかもしれない。

 ちなみに本紹介時、作者の三ツ葉きあ氏の誕生日をしれっと祝うトトがいかにキャラクターとはいえ男性への興味がないかがみて取れる。



「トト、私もこの会社に将来勤めたいわ!」

「あはは、もしあるなら僕も」



 本作に限らず、作品内で展開される企業は本当に魅力的だ。もちろん、嫌な事もあるし、それらを作品は描かれる事がないから魅力的なわけだが、実はこういう表現は、世の中のニート削減に役立っている。

 自分もこんなふうに働いてみようかなと思わせればそれは勝利であり、まったくその気はなくとも、社会貢献できているのだ。



「このあたりの泰騎さんは、実にかっこよくないですか? 本能知略型主人公の本領発揮です。お爺さんはウィスキー、僕は紅茶、テトラさんはホットミルク、ここを楽しむのはチョコレートですね」



 トトはレモネードを大量に昼間飲んでいただけでなく、お茶請けを購入していたのだ。あまり日本では馴染みがすくなくアメリカでは有名なお土産チョコレート。



「ギラデリのボンボンを買ってきました」



 そのチョコレートにテトラは目を輝かせる。お爺さんもウィスキーに合うチョコレートをかじりながらしばらく休憩。



「また物騒な……マフィア潰しとは……日本の子供の情操教育が心配になってくるの……」



 鬼滅の刃でも少し問題になったが、日本の作品はやや表現が強烈である。我々日本人からすれば、至って普通なのだが、暴力表現は国によってはタブーな場合が多い。そして思い出したかのようにお爺さんは語る。



「そういえば、少し前。この近くの大使館が爆弾を設置されて大変な事件が起きたんだが、名も名乗らない東洋人が全部根こそぎ、解決してくれてな。きっとあれはジャパニーズ忍者だったんじゃないかと言われている」



 トトはズームのミーティングでこの前、セシャトや神様が似たような話をしていた事を聞いたのだが、まさかなと思った。だって、その人物もまたWeb小説のキャラクターなのだ。

 西の古書店のアヌもその人物と会った事があると言っていたし、トトは江戸川乱歩の言葉を思い出す。

 うつし世は夢、夜の夢こそまこと。



「はは、忍者だとかっこいいですね」

「ワシもテトラも先祖は日本人の忍者と言われておるからな……かつてフロイラインの魔女の少年と旅をしたと聞いておる。テトラはご先祖様から名前をもらっておってな」



 トトは紅茶をズズっと飲んで、そしてほっぺたをつねった。

 夢でも見ているのかなと……お爺さんの言う事もだし、テレビで軽快にキャスターが語っている日本の企業を宣伝する番組にどこぞの社長だという雅弥という男と、そのマネージャ秘書の男性が紹介されていた。

『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~ 著・三ツ葉きあ』本作ですが、実は私が一番よく読ませていただいていたWeb小説なんですよねぇ。まさか、その作者のきあさんとこんなにも仲良くなれるとは思いもしませんでしたねぇ。皆さんと同じ時代を生きて、出会う事ができて、楽しく創作を行える今の環境ってよく考えれば奇跡ですよね!

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