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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第七章『隠者ハーミットと図書室塔の少女 著・祥之瑠于』
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異世界設定の本場 面白い物語は食が進む

日曜日はヘカさんか、ダンタリアンさんとコメダ珈琲さんでモーニングを取ります。ふしぎのくにに少し後ろ盾がつきまして、色々とお店で優待が受けれるようになってきましたよぅ! コナミスポーツに通ったり、映画を格安で見れたり、古書店『ふしぎのくに』の営業さん達は本当に頑張ってくれています^^ ですが、私達は影。絶対に表舞台には出てきませんよぅ!

「で? 神様はその犬に追いかけ回されてたってのか? ヴァッカだなぁ!」

「理穂子、貴様ぁ! 私が・・・・・・私がどれだけ恐怖をしたか貴様には分るか? あの猛獣、私を・・・・・・私を食みよったんだぞぉ!」

「お菓子ばっか喰ってるから甘い匂いがしてんだよ神様は、そういやさ、神様って『隠者と図書室塔の少女』って読んだか?」



 神様は髪を少し触れると、ポンと本を取り出した。



「すげぇ手品!」

「手品ではないわ! 馬鹿ぁ! これは私の奇跡でな!」

「はいはい、奇跡奇跡。ネイサンってハーミットと昔からの付き合いだったんだな。ようやく繋がったな? 学園長できるのも、ある程度の裁量権があるのも王宮入りしてたからか」



 理穂子に買ってもらった唐揚げを囓りながらベンチに座り、脚をぶらぶらさせて神様は語る。牙を見せてご機嫌に大きく口をあけて再び唐揚げを囓る。



「妖精とハーミット、お互い未知との遭遇だのぉ! むかぁし私も妖精共の園に行った事があったが、意外とあいつらややこしくてのぉ、まぁそれは今はどうでも良いか、妖精とは妖しの精、人を化かす、妖かす、所謂妖怪的側面があるからの。だから人を助けてもくれる」



 神様は空になったカップの中にあるカスを食べていると、理穂子が新しい唐揚げを渡してくれるので「おぉ!」と眼を輝かせる。大食らいの二人。サクサクと唐揚げを食べながら理穂子はなんとなく神様に尋ねる。



「なぁ、神様。日本ってヤバイくらい妖怪やら妖精っているじゃねーか? でも海外の妖精って少なくね?」



 日本人と海外の人々との大きな違い。皆さんは妖怪や妖精を何匹言えるだろうか? 5匹以上言えるだろうか? 言えたのであればおめでとう。世界ランカーだ。海外の人は妖怪、妖精の類いをあまり知らない。ドラゴンやワイバーン、ピクシー、意外な事にゴブリンなどを把握している人々は所謂ギーク。海外版オタク連中クラスである。


 現在は日本の作品に触れている海外の人も多いので一概には言えないが、ファンタジー設定の本場は、なんと言っても我が国。日本だったりする。



「まぁ、意外と日本は信心深いからの、八百万の神の国・神道、なんにでも命が宿るカムイの考え方、あらゆる事に魔除けを見るキジムナーの考え。貴様達の国。日本とはその成り立ちがファンタジーみたいなものだからの。海外とは厨二としての歴史が違いすぎるのだ! 貴様もそうであろ?」



 神様がそんな風に言うので、理穂子はケッと神様を馬鹿にしたような顔をして神様に抱きつく。神様は理穂子の胸に頭を押しつけられながら何が起きたのかと思ったが理穂子にこう言われる。



「全くちんちくりんが生言ってんじゃねーよ! 肉まんでも食いにいこーぜ。成る程なぁ、モンスターとか妖怪って私らが一番知ってたのか・・・・・・気に入ったぜその考え方! で、神様は妖精の泉についてはどう思うのよ?」

「輝石病を治す為にハーミットが求めた物。そして妖精の命を代償にした呪い・・・・・・まぁあれだのマンドラゴラしかり、妖精は実際。呪術の素材としての価値も高いとよく物語ではいわれておるな。妖精の命を結晶化したものを賢者の石と言ったりするしの」

「賢者の石ってオリハルコンの事じゃねーの?」

「同義として使われる事もあるし、賢者の石をアカシックレコード、オーパーツとして考えられる事もあるの、ここではいかにして妖精、リナリアの姉が人間を忌み嫌うようになったか、だの? 理穂子、お前はどうだ? 妖精の泉を売ろうとは思わんか?」



 人間は欲深い、それはもちろん学生である壊れた天才・茜ヶ崎理穂子もまた違いない。それに理穂子はニヤりと頷くとウィンクをして指で少しというジェスチャーをする。



「私なら少しでいい。あとは分析して同じ物を作ればいいじゃない? そうすれば、泉をとらずとも大もうけだ。そして、妖精の泉の価値が下がって巷で買えれば、妖精達を脅かす事もない。一石二鳥だろ?」



 神様は理穂子に買ってもらった大きな肉まんにかぶりつくと、美味そうに眼を細めてから頷く。



「本当に貴様はひねくれた考え方をしよるの?」

「そうでもねぇさ。私はそれなりにお金も宝石も好きだからな、でもそれよりも好きな事は天の理と地の自明を証明する事かもな」



 茜ヶ崎理穂子。頭がよすぎて手に負えない問題児。何度か暴力事件も起こし、学校では授業に殆ど出席しない落伍者の烙印をおされている。だからこそ、小説を書く。自分の理解しえない世界を創造し、そしてその想像の中で戯れる。



「まぁ、私としてもどうせなら、ハーミットみてーな超イケメンか、リナリアみたいな可愛いフェアリーとこうして完食したかったけどな」



 神様はでっかい肉まんをぱくぱくと食べ終えると手を出す。それに理穂子はもう一つ肉まんを手渡す。



「私で我慢せい! にしても悲しいかな、妖精という存在は人間の事が好きな事が多いからの。素直で嘘がつけない妖精。なぜ滅んだか知っておるか?」

「知らない・・・・・・というか、妖精とか実際に」

「ナチスが乱獲していなくなった・・・・・・その後にあやつら馬鹿だからサリンを作りおった。で妖精は絶滅・・・・・・教科書には乗らなんだ歴史であろう?」



 理穂子は食べている肉まんを落としそうになりながら、真顔で聞いた。



「マジ?」

「くくっ! 貴様も素直な女子だのぉ! 私の作り話だ」

「んだよ! 全く驚かせやがって呪術ってさ、リアルに法律で禁じられてるよな?」

「まぁ、呪いは犯罪だからの。丑の刻参りなんてしたら脅迫罪で捕まるぞ」



 呪いで人は確実に死ぬ。死なずとも具合が悪くなる。呪いをかける方法を教えよう。君を呪っているとそう言うだけだ。ツイッター界隈も呪いで溢れている。そしていきすぎた呪いは警察が動き、もちろん逮捕される。やめよう呪い・ゼッタイ!



「妖精の血を瞳になぁ・・・・・・輝石病の元が妖精でその解毒もまた妖精。難儀な話だな。毒を喰らわば皿までってか? 笑えねぇな」



 二人で何個の肉まんを食べたか分らないくらいは食べて、理穂子はスマホ画面を神様は自ら取り出した疑似文庫を見つめる。



「あれだの、恋程治せる病もないという事だの。恋煩いにきく薬は昔からないからの、それが妖精の粉であろうと血であろうとの」



 色恋に関して理穂子は超がつく程、ウブである。なんなら、少女小説も少女漫画も甘い甘い恋愛物を好む程度には好物であるが、自らそういったものが好きだと言えば、笑われるだろうし、むぅと静かに物語りを読む。



「しっかしさ、死んじまったらさ、病気治った意味なくね?」



 そういう事なのだ。ハーミットは遅すぎた。多くの犠牲を払ったというのに、手にしたものは綺麗な王の遺体。いや、少なからず救いがあったとも言えるかもしれないが、勝ちか負けかの話をすれば、ハーミットは負けた。



「確かにのぉ、まぁそこはどう考えるかは読者によるところではないかの?」



 神様が何かを言いかけていた時、ワンワンと声が聞こえる。その鳴き声を聞いて神様の顔色が悪くなる。



「お? どした神様」

「あやつが来よる! 私からまた食べ物を取ろうとしておるのだ! 理穂子、なんとかせぇ!」

「あぁ?」



 理穂子が見つめる先、赤い毛並みの犬が元気よく走ってくる。その犬を見て、それが訓練中の介護犬である事を瞬時に理穂子は理解した。



「よぉーしよしよし」



 理穂子は犬を撫でて可愛がる。犬も理穂子に甘えるようにぺろぺろと理穂子を撫でる。それにおのずと笑いがこみあげてくる。



「なんだよコイツ、すっげぇ人になれてんじゃんかよ」



 訓練中の介護犬と少しばかり遊んでいると理穂子の後ろに隠れている神様に理穂子は言う。



「神様も触ってみろよ。あれだあれ、人間と妖精は相容れぬものかもしれないけど、人間と犬の付き合いは長げぇからな」



 神様は恐る恐る犬を撫でる。そして犬は気持ちよさそうにすると神様をぺろぺろとなめるので神様はくすぐったそうに笑う。



「これ! 舐めるでない! 汚いのぉ」



 とは言うが、案外悪い気持ちじゃないようにしていると、一人の女性がかけよってくる。



「ごめんなさい。お嬢さん達」



 年齢を全く感じさせない美魔女。恐らく中国系の女性と思われる人、この見習い介護犬の飼い主だろうか? その女性が二人に迷惑をかけた事を謝罪する。



「いいっていいって、可愛かったし、お姉さんも美人だし、私達は全然迷惑なんて受けてねーよ!」



 案外人当たりのいい理穂子に神様は少し開いた口がふさがらない。さらに信じられない事を女性に言われる。



「お姉さん、だなんてもうおばあちゃんに近い年よ。五十も後半だもの」



 えっ! と理穂子は声に出してしまった。どう見ても三十路前後にしか見えない。それに神様はこしょこしょと理穂子に耳打ち。



「は? 漢方のなせる技? ふざけんなよ神様。そんな物、妖精使った薬とかじゃねーとできねーだろーがさ!」



 理穂子と神様の会話の途中で女性は笑う。それも目に涙を浮かべて、一体どうしたのかとそう思うと女性は話しだした。



「昔、おばさんに可愛い、可愛い息子がいたのよ。その子がふさぎ込んでいた時、通っていた古本屋さんがあってね? 毎日そこに通って帰ってくると、そんな妖精の出てくる物語のお話を聞かせてくれたわ」

「ふぅーん、じゃあお姉さんも一緒に物語り読むか?」



 小一時間ほど、女性と神様と理穂子は物語を読みあい話し合った。そして腕時計を見て、女性は何か用事を思い出したらしい。



「あっ、私そろそろいかなくちゃ。行くわよ。ちぃ」



 介護犬見習いはちぃと呼ばれ、ワンと鳴くと少し名残惜しそうにその場を後にする。理穂子は女性に尋ねた。



「なぁ、お姉さん、息子さんの名前は?」

「息子は、恥ずかしいわね。この子と同じでちぃ、赤と書いてちぃよ」

「聞いていいか? 息子さん、亡くなってるの?」



 少しだけ辛そうな顔をして女性は言う。



「もう、何十年も前、中学生の夏に、勇気を出して学校に行って、でも学校に入れなくて、その日は暑かったの・・・・・・熱射病。今でいう熱中症で倒れて、見つかるのが遅かったのね。貴女達も気をつけてね。これお礼」



 五百円玉を渡された。それで何かを飲めとそう言うのだろう。理穂子は五百円玉を神様に渡すと言う。



「ちょっと、神保町までダッシュしてくるわ。神様はそれで豪遊しとけよ」



 そう言って凄いスピードで走り去る理穂子。神様は五百円玉を見つめてから呟く。



「五百円で豪遊などできるわけなかろう。愚か者めが・・・・・・駄菓子屋に、いくかの」


『隠者と図書室塔の少女』本当に面白いお話ですよねぇ^^ おべりすくさん達も自分達が紹介小説をしたかったと仰っていました^^

さて、物語は次回で完結? するようですが、回収できるのでしょうか? そして、様々な異世界ファンタジーものの設定。多くは日本で確立したものです! そう考えると不思議ですねぇ

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― 新着の感想 ―
[一言] うええええええええええ?ななな……!そんな……!赤くん……!るうさん泣いちゃう……頑張って学校に行ったのに……!行ったのに……!ええーーーん!悔しい悲しい!助けに行きたい!学校行かないでって…
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