文芸部の選んだ作品は? 高校生の限界について
ふふふのふ^^
皆さんからお中元が沢山届きます! お茶や珈琲やお菓子、それにピクニックに持って行けそうなランチボックスセットなどですねぇ!
実は、新キャラクターさんが・・・・・・もう直・・・・・・
奪われてしまった。今日を生きる為の食料を・・・・・・明日を生きる為の金子を・・・・・・誰が望んだこの結果だ? 業の花を咲かせたつもりはない・・・・・・幾年生きてきたかは分らぬが、私は北溟でもこんな悲劇に見舞われた事はない。
荒れ狂う僕の中より愛猫よ
★
「はーい、お前等ちゅうもーく」
文芸部部長、満月さじが黒板にタイトルを書く。
『隠者と図書室塔の少女 著・祥之瑠于』
「なんだったけなぁ! このフランとか、ハーミットとか・・・・・・私知ってる気がすんだよな」
文芸部の紅一点。茜ヶ崎理穂子は何か想いだそうとそう言うのだが、同い年の後輩。大熊ミハイルこと、ミーシャが言う。
「去年くらいから公開されて、完結してますから、茜先輩。何処かで読まれたんじゃないですか?」
「う~ん、違うんだよなぁ~めっさ昔に読んだ事ある気がすんのよ。中坊の頃に・・・・・・誰かと・・・・・・でも、んなわけねーか」
「はいはい、理穂子サマ。その頃は公開されてませんから、自分は他と違います的な厨二はいいから、フランについてどうなんよ? 同じギフテッドのお前的にはよぉ」
フランは座学よりも実技を求める。それを聞いて理穂子は少し考える。
「ガキは探究心は強いけど、じっとしてらんねーからだろ? 私とは違うだろ? 私は死ぬ程本があったら十年でも二十年でも籠もってられる」
学園の図書室の本を端から端まで読もうとしている茜、小学校六年間、中等部三年間、高校になって現在二年。いまだ六割強。これだけの時間をかけて7千冊弱、学園の大型図書館の三分の一にようやく届くか届かないか・・・・・・理穂子のその行動は異常。要するにフランは年相応の子供の行動だと理穂子は言いたいのだ。
それにポンと手を叩いて成る程とさじとミーシャは納得する。図書室から抜け出したフラン。理穂子は十七才で同じような事をして、フランとは違い謝罪の言葉は絶対に述べない。
「成る程なぁ、確かにフランは素直な良い子だわ・・・・・・でもこんなショタが一人でいると、変な奴に狙われるわけだ。ここで何か感想あるか?」
少し考えてから、ミーシャが感想を述べた。
「そうですね。セーラの物語第一幕は終わりましたから、次はフランあるいはハーミットへの導入にここで新章開始って感じでしょうか?」
ミーシャにさじは異世界ファンタジーに関してはどちらかと言えば明るい部類である。意外と面倒なのが、一つの物語を終えた後、次の話へ繋げる物語をいかに自然に持っていくか・・・・・・
「まぁ、Web小説の宿命的な部分はあるよな。本作に限らず、どうしても唐突な導入になる。その為に一端フランを軟禁、そして脱走という下準備から出来る限り物語の景色が変わらないように手法は凝らしてあるんかな?」
Web小説は常にリアルタイムで動いているので、まだセーラの母親の為に薬を作るクエストの頭でいる。これが実際の本なら、その話はその巻で終わり。次の巻ではわりと唐突な展開でも受け入れられる。何故なら、同じく作品でもそれは別物だからなのだ。しかし。Web小説は別物ではない。同じライン上で動いている物語である為、あたらしい景色へ入るのはどうしても違和感を覚えるのである。
「でもよ。とりあえず。フラン助けに森いかねーと! って頭にとりあえずなってね? 私はさ、セーラの母親の心情がリアルだなって思うわけよ・・・・・・これは私ら高校生じゃわかんねー事かもしんねーけどさ。自分の子供の事ももちろん、体裁や、周囲についても心配してるじゃん?そういの私らの作品では限界あるよな」
賛否両論ある言葉に、作者は経験した事しか書けないと誰かが言った。それは半分正解で半分不正解。知識や経験した事に関しては鮮明に書けて知識が無い事や経験した事がない事に関しては色が見えにくい。作品に関して文章力以上に個性が見える物がある。
理穂子の言う。自分達には限界があるという事。それは大人の精神状況や見ている景色。そして理穂子はそこからセーラの行動理念や、動かし方について語る。
「私達がセーラを書いたら多分、もっとセーラ中心に描写をする事になる。あるいはセーラの心情を意識しかねない・・・・・・違うか? 本作はセーラは主人公でありながら、神の視点で見られている」
理穂子は自分でそう語りながら、この物語をやはりどこかで、昔読んだ事があった気がする。そしてそれは同時におかしい。理穂子のギフトの一つに、超絶記憶というものがある。理穂子は一度経験した事を絶対に忘れない大脳障害をもっている。その自分が覚えていない事・・・・・・それはやはり、気のせいだったのかと次のページをクリックする。
「妖精の王って言うとさ、俺たち世代なら茨の精霊・・・・・・あるいは、マレフィセントあたりが一番イメージに出てくるよな!」
茨の精霊。和名。眠れる森の美女。そしてディズニーでも有名なマレフィセント。人間の王と離別し、邪悪なる魔導に落ちたその人物と、本作の精霊王のイメージをかぶせて読んでしまう。
「なんだっけ? 理穂子がやってる美男子ばっかりのゲーム」
「ツイステか? あぁ、いるなそういや・・・・・・でも今、関係ねーだろ? しっかり、このサリエル・・・・・・なっだっけ? ミーシャとか詳しいよな?」
同名の天使は知識にはあった。邪眼の天使。死の託宣を与える者。ドラクエのザラキの語源にもなった。ザラキエル、サラキリエル、サリエル。いずれも死を呼ぶ者を意味する。
「神の持つ死の毒性。そのアバター・サリエルの事だと思うんですけどね。クレオパトラは乳首を毒蛇に噛ませたとかでその名前は一躍有名になりましたよね」
もし、サリエルがそれらの神性を持つ神、あるいはその使いであれば精霊王と呼べる存在よりも上位種になるのだろう。そのサリエルが不快感を示すという事は・・・・・・が、どうでもいい事で文芸部は盛り上がった。
「おいミーシャ! ハーミットの本名ミーシャじゃーねかーか! なぁ? ミハイール!」
「あぁ、本当だな。ミハイール!」
学生あるある。名前をいじり倒すというそれに、ミーシャは乗ったら負けだと物語について語れば彼らは乗ってくるだろうと続ける事にした。
「実際、1日で王位って剥奪されるものなんですかね?」
「言葉の目の当たりにするなよ馬鹿ミーシャ」
「そうだぞクソミーシャ。王と名乗れる期間が1日しかなかっただけで、なんのかんの引き継ぎやら政に関わる連中が動いて弟君が王サマになっただけだろ。ゴロがいいから一日王だろ? なんか実際にこういう奴いそうだよな」
さすがに王位というわけにはいかないが、似たような境遇の存在は探せばいるかもしれない。実にリアリティを感じる。
「何かモデルはいるのかもな」
三人はセーラとは別の意味でハーミットを嫌いになる事はない。むしろ、好感度が上がったくらいだった。色々違いはあれど、この文芸部の三人は皆はみ出し者。
「おっ! ハーミットの神術。ここで効いてくるんだな。いいじゃん! この伏線、いい伏線だなこれ!」
文芸部部長、満月さじの言う良い伏線。忘れていてもすぐに思い出せる今回のような伏線。かたや悪い伏線は、それが回収できたのかどうか不明であったり、作者の頭の中で完結してしまっている伏線。実は、商業作家でもやらかしてしまう事があるこの伏線という技法。使いこなすのは難しい。
「これまたいい伏線回収だな。フランは騎士の家の落ちこぼれか! いいじゃんかよ。この文芸部に来たら可愛がってやんのにな」
これに関してはさじも頷く。落ちこぼれという者は三パターンある。無能すぎて弾かれるか、有能すぎて弾かれるか・・・・・・あるいは理解が追いつかず弾かれるか・・・・・・
「学校や会社組織は、動物の群れと同じでよ。人と違う奴を弾く傾向があんのな? 三流は右へ倣えで組織に従って、二流は私らみたいに弾かれる。で一流は組織も二流の私らや三流の肩を並べている連中も馬鹿にしながら笑顔で一緒につきあえるのな? こいつらを本当の意味で、サイコパスってんだ。フランはまぁ、私らと一緒で二流だな。能力はあるけど、上手く立ち回れない」
しししと、理穂子にさじは同族を愛でるように笑う。フランのピンチだと言うのに、妙に他人とは思えずに作品を楽しむ。そんな二人こそサイコパスなんじゃないだろうかと思いながらミーシャは黙って続きを読もうとした時、下校のチャイムが鳴った。
「おっ、もうこんな時間か・・・・・・じゃあ今週はこの作品を読み込む事な! で、感想文書く事! セシャトさんに提出する作品はそれって事でよろしく。腹へったし、吉牛で牛皿でも食ってかねーか?」
さじの誘いに、ミーシャは頷き、一番の腹ぺこである理穂子は頷こうとして、何かデジャヴする。フランのような少年、いや・・・・・・もしかするとセーラのような少年・・・・・・誰だ? 誰だった? 名前は?
「おーい! 理穂子サマ? 何黄昏れてんすかぁ?」
さじがそう言うが、何かを思い出そうとしている理穂子は「黙れ! さじ坊」と睨み付ける。理穂子は記憶をたどる。いや、たどる記憶がない。なので、可能性のピースを足していく。脳細胞に刻まれているかすかなヒントをサルベージするように・・・・・・霞んで見えない部分は自分の妄想力でカバーする。少年、あるいは少女。年の頃は近いが年上じゃない。即ち年下。その人物と遙か以前に本作の話をした・・・・・・ような記憶があった事に仮定する。その人物は自分の名前をどう呼んだ?
暮れゆく茜色の空を見て、理穂子は赤という漢字を思い出す。そしてその中国読み。
「ちい・・・・・・ちぃだ! おい! この学校に赤って書いてちぃ、って後輩・・・・・・留年ミーシャ。そんな奴いねーか?」
「ぼ、僕留年じゃないですって」
「んな事どぉでもいいんだよ! いんのか? いねーのか?」
わりとグローバルな生徒が多い。さじと理穂子の学年にもハーフやら外国製の生徒は沢山いる。ミーシャもハーフだし、ミーシャなら分るかと淡い期待をしたが、首を振るミーシャ。
「いやぁ、さすがによそのクラスの事までは分らないですよ」
「使えねーな! とりあえず松屋いくぞ松屋」
誰一人、吉牛じゃないんだ? とは突っ込まない。たらふく牛丼を食べて、気分をよくした理穂子だったが、翌日、学生全員を調べたが・・・・・・赤なんて生徒の在籍は、現在はおろか、過去にも存在しなかった。
「おいおい、どういうこった・・・・・・」
珍しく教室の自分の席で理穂子はシャーペンの芯を延々と出しながら、スマホで『隠者と図書室塔の少女 著・祥之瑠于』を読みながら考える。窓の外に泣きそうな顔で走っている古書店『ふしぎのくに』におけるセシャトさんの弟か妹らしい神様と名乗る子供が走っている姿を見つけた。
文芸部さんは、図書室の本を7000冊ほど読まれており、断言しています。
端から端まで図書室の本を読んだという人はほぼ間違いなく不可能であると、文芸部さんは友人付き合いも家族との団らんもほとんどかかわらずに読み続けて11年間で8000冊に届かないほどだそうです^^ 私で2万冊くらいでしょうか?
『隠者と図書室塔の少女 著・祥之瑠于』よくよく考えると文芸部さんはセーラみたいですねぇ!
次回もお楽しみに!




