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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第六章『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』
52/90

三者三様の感想

さて、皆さんロイズのポテトチップチョコレートはご存じですか? ポテチを食べたい時、チョコレートを食べたい時どちらもカバーしてくださいますよぅ! ダンタリアンさんやヘカさん、シアさん等は全然食べてくれないんですが、とーっても美味しいです! 私はこれとチョコチップの沢山入ったアメリカンマァムと一緒に珈琲を飲むのが大好きです!

 ヘカはペンギンの着ぐるみパジャマに着替えるとふぁああと欠伸をしながらベットで横になる。



「物語はラストダンジョンに向かうんな? ここで秋文君と一二三君は何かに気づかないん?」



 レイル達は怨敵、ブラッドの牙城までとうとうやってきたのだが・・・・・・一二三少年はルームサービスで持ってこさせた紅茶を飲みながらヘカに答える。



「クインテットに今だなっていない事ですか?」



 秋文は考えていた事に対して「あっ!」と反応。それにニワトリの着ぐるみパジャマを着ているセシャトはふふふのふと笑う。



「そうなんです! アルマさんが参加するのはいつなのか実に気になりますねぇ! ラストダンジョンは教会墓地のカタコンベのようですねぇ! カタコンベといえば地下墓地の・・・・・・これは小学生のお二人には少し衝撃的な映画でしたねぇ・・・・・・」



 B級映画大好きのヘカと欄に連れられてヘカのマンションでアサイラム映画をマラソンで鑑賞会をつい最近行っていた。映画好きならすぐにアレかと思うかもしれないが、紛れもないクソ映画なので閲覧はオススメしない。ヘカやセシャトという創作物に対して異常なまでに愛を持って迎えれる特殊な訓練を受けた人間だから楽しめるだけなのだ。

 それに対して、『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』は安心と安全の面白さを読者に与えてくれる。



「まぁ、あれなんな! この第四章のタイトル”明かされる真実と、その先に待つ結末”これは所謂オチの先出しというやつなん」



 昔のアニメタイトルでよく使われたタイトルがオチになっているそれなのだが、しっかりと本作はぼかしてあるので、何が明かされる真実であり、その先の結末はなんなのか? 創作の作り方として、この類いのタイトルを使うと、しっかりとタイトル負けしない伏線回収をしていく必要がある。



「ふふふのふ! ヘカさん達が大好きなアサイラム作品は、何一つ伏線回収をしませんからね! タイトルの過剰演出、そして全く関係のない物語。本作とは真逆の作品形態にありますねぇ!」



 秋文はセシャトとヘカが、なにやら大人の会話をしているように思えていた。全然分らないその内容に一二三少年は呟いた。



「もし、この作品がアサイラム映画なら、ブラッドを追い詰めるのは残りの十分とかで、それまでは、町中をうろうろしたり、本当にどうでもいい事をクインテッド・・・・・・いえ、下手すれば誰か一人が行っているだけかもしれませんね」



 一二三の唐突な意見に、セシャトとヘカが固まる。



「一二三君、分ってるんな! タダのショタじゃないん! でもオリジナルは違うんよ! カタコンベで吊された干からびた人間、そしてレイルたんの記憶に、ブラッドの過去と、ブラッドが手に入れたアポクリファなんな・・・・・・」



セシャトは読んでいて一つの事を思い出した。自分自身でもある程度の答えはあるのだが、それを確信に変える為、ライターであるヘカに質問する。



「ヘカさん、最近は不老不死という設定が使われなくなってきましたよね?」



 不老不死、実際のカルト教団であり、日本最大の異教徒とともいえる比叡山の最澄も完成させたく研究を繰り返してた錬金術の奥義。

 その答えはシュレディンガーの猫と同じで不可能の証明なわけなのだが・・・・・・昭和の後期~平成の中期では究極のチートと呼べるものがこの不老不死であった。



「最近はチートのバーゲンセールなんな? 不老不死くらいでは誰も驚かないん。この作品がハイファンタジーに近い作品なんけど、某ファンタジーラノベの巨匠は、異能も魔法も存在しない世界で不老不死のラスボスを出したんな。あれは痺れたん。もしかすると、本作も何処かで影響を受けてるんかもしれないんな。いくつか類似点が見られるん」



 本作のブラッドの設定は、その古き良き作品に通じるところがある。逆に言えば、不老不死ネタはある種のテンプレートが古来より完成している事も使いやすさであるのだが・・・・・・昭和、平成と大抵不老不死の術は未完成でそこに隙が生じ成就には至らないというのが顛末である。



「身体を取り替えるという物も比較的不老不死のタネにはありがちですよね! ブラッドさんはそうまでして求めた物、ここから本当の盛り上がりがはじまりますからねぇ! では、少し甘じょっぱい物をいただきませんか?」



 さっきあれだけ食べたのにまだ食べるのかと一二三少年はやや引いた目でセシャトを見つめる。そんなセシャトと目が合うとニワトリの着ぐるみパジャマを着たセシャトは一二三少年に微笑む。



「・・・・・・ッ!」

「お待たせしましたよぅ! ロイズのポテトチップチョコレート・キャラメル味です!」



 リアルミーティング時にセシャトが全種類を持ってくる事で有名なカロリーの暴君。ロイズのポテトチップチョコレート。お茶請けとしてはお手頃価格でお腹も膨れ、オヤツやブレイクタイムにはオススメの一品であるが・・・・・・食べ過ぎには要注意である。

 それを開けてホテルに備え付けのお皿に盛るとセシャトはふふふのふとそれを見て満足そうに微笑み、そして語る。



「読者さんとしては予想だにしない・・・・・・いえ、ある種予想していたかもしれませんね! なんと、ブラッドさんはレイルさんではなく、皆さんの兄貴さんであるイザクによって討伐されてしまいます! 結末は実に興味深い方向へと加速していきます! 所謂連戦ですが、殆ど情報無しで吊されていた遺体と思われる方、レイルさんの瞳に使われていた呪物がレプリカであったという事。さて、ここは正直にご質問しますね? どう思われますか?」



 セシャトはニコニコと三人の読者にテラーとして質問をする。あらゆる作品は全ての読者をカバーしきれない。

 万人に読まれる本を書く事は出来ないと、芥川龍之介も宗教論者であり、作家でもあるC .Sルイスも・・・・・・なんなら今を生きる西尾維新も語る。


 ここには三人の読者がいる。

 ヘカ、自身も作家として雑誌のコラムを手がける自称人気Web小説作家、不定期に某マルキューでショップ店員をしていたりするらしい・・・・・・。そしてもう一人、ただ単純に物語りを読む事が好きな小学生、倉田秋文、時折核心めいた事を発言する。ノーマルな読者。

 また文脈を読み理論的に組み立て読み進める大人びたショタ。一二三少年。

 セシャトはここで、古書店『ふしぎのくに』の読書会を始めるのである。



「僕は、ブラッドとの戦いがこれ終わりなんだ・・・・・・って思ったけど、やっぱりそうはいかなかった事にわくわくしてます! 古代の英雄と、現代の最強の戦士のラストバトルに目が離せません!」



 きっとこのように楽しませる組み立てであり、きっとこう楽しんでくれる事が正規のルートなんだろう。そして同じく作家としてのヘカは語る。



「ロマサガの系譜みたいなんな? あれは頭にもってきたりするんけどな。それにしても、風呂敷のたたみ方が急すぎるんな。一応の伏線はあったんけど、ここでは弱すぎるん。ブラッドの絶望感と悲壮感の方が半端じゃなかったんな! むしろ、ブラッドは良いキャラしてたん」



 前の興奮が抜けきれず、次のイベントへの頭の切り替えができない読者。これはどちらかと言えば読み魅っている時に比較的起きやすい現象である。

 例を挙げると、アニメの一期は良かったが、二期はダメだと批判する視聴者のアレである。ある種舌というべきか感性が肥えている読者程この考えに陥りやすい。


 そして・・・・・・ミスター理論武装。

 一二三少年である。



「成る程、これは神にも近いカルキとの死闘というよりは、レイルという主人公の答え合わせに近い展開なんですね・・・・・・興味深いです・・・あっ、兄さん達からのラインだ。ちょっと失礼します」



 犬とラーテルのスマホケースに入ったiPhoneを持って一端部屋から出て行く一二三少年。セシャトとヘカは一二三少年が電話をする声の相手が酔っ払っていたが、何処かで聞いた事のある声だったような気がしたが、そこは気にしない事にした。

 セシャトはウィンクすると話し出す。



「皆さん、三者三様の楽しみ方をされていますね! 全部正解です。そして、他の皆さんの楽しみ方も考えてみるのも面白いかもしれませんね! 秋文さんのようにブラッドさんという強敵の後に待ち構えている真の強敵。これは日本ならではの演出です。これをボスラッシュと呼びます。今では海外にまで逆輸入される演出で、少年の心を忘れていた方々には胸に刺さるようです! コシューマーゲーム時代によく使われ、小説でもその時代のラノベで引用されていました。そしてヘカさんの読み方ですが、ここも面白いですね。確かにブラッドさんの方が、メンタル的も今際の時もなんとも言えない気分にさせてくれる良キャラです。その気持ちの中に現われた真の倒すべき敵。確かに野暮に感じますね! ですが、期待しようじゃないですか! カルキさんはどんな風に私達を楽しませてくれるのか!」



 あざとく、鼻に指をトンと当ててからウィンクする。そんな事をナチュラルにやってくれるものだから、秋文は見とれ、ヘカは死んだ目でセシャトを見つめる。



「セシャトさん、ニワトリの着ぐるみパジャマでそれは強烈にSAN値を減らされるん」



 セシャトはヘカにそう言われながらもふふふのふと微笑んで説明を続ける。彼女は今、作品を紹介するテラーとして作品に、読者達に同化している。



「そう、そして一二三さんのお考えです。これは、レイルさんの総仕上げ、レイルさんという主人公が何者だったのか? という事への総発表の場なんです。はっきり言って、他の三人のお仲間よりレイルさんは技能や経験で劣ります・・・・・・ですが、唯一カルキさんを追い詰める事が出来る条件が伏線として開示されました。一つはキバオレ流の剣技ですね! カルキさんに対する天敵の技能です。そして、ブラッドさんに与えられた呪物、これで瞬間的とはいえカルキさんに追いつく事が可能です。そして・・・・・・レイルさんはもう死んでいるかもしれないという事で、死を恐れない事です」



 ヘカがピクりと反応する。当初、ヘカは語った。イザクは生きる事で弱くなる可能性があると、言葉通りならその逆を行くレイルは・・・・・・



「神にも等しいカルキに並び立つお膳立てができたんな・・・・・・純粋な者が良い者とは限らないん。レイルは最初から最後までいい主人公だったんな」



 ヘカは余韻を感じながらセシャトがもってきたチョコレートポテトチップを鷲づかみ口の中に放り込んでもしゃもしゃと飲み込む。



「ただいま戻りました」



 一二三少年が先ほどまでの冷静さは影を潜め、年相応の子供のように、なんなら雌のような表情で戻ってくる。



「一二三少年はブラコンなんな!」

「ぶ、ブラ・・・・・・違いますよぅ! 兄さん達は大阪の方に住んでいるので中々会えないから、こうして連絡がくるのが楽しみなんです」



 ヘカは野暮かと思ったそれがブラコンなわけなのだが・・・・・・一二三少年も戻ってきた事でセシャトはウィンク。そして首からぶら下げている金色の鍵を取り出した。



「では、皆さんお休み前に少し夢を見ましょうか?」

『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』盛り上がってきましたねぇ! レイルさんの行く末はどうなるのか・・・・・・次回、6月の紹介小説完結ですよぅ!


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