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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第六章『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』
49/90

温泉での飲食の限界点・人を殺した心境

さて、スマホとiPadとアップルウォッチを古書店『ふしぎのくに』から全員に支給をされました。本来はもっと大きなイベントに使用する為の資金だったんですけどね。今年はとりあえず頑張ってまた別の年にイベントを行って行ければと思っています。

 東京の某リゾートスパホテルにやってきた一向。途中でお菓子やジュースを少し買い増してチェックイン。



「お待ちしておりましたよ若」



 ホテルの支配人が直々に出迎えにやってくる。そして若という呼び名。セシャトとヘカはうたかねに注目するとうたかねは支配人に微笑むのである。



「もう、やめてくださいよ! 支配人。その呼び名、困ります! それより、こちらのお二人の宿泊もお願いしていいですか?」



 セシャトとヘカを見て支配人は頷く。



「これはこれはお綺麗なお嬢様方だ。是非、当ホテルのスパからお楽しみいただければと思いますよ!」



 温泉、古書店『ふしぎのくに』女子達は温泉が大好きなのだ。ヘカは温泉の中で飲むエナジードリンク。セシャトは温泉にケーキと紅茶のセットを持ち込んで楽しむ事を至高としていた。



「セシャトさん! はやく行くんよ! 温泉なん! 温泉で心と体を癒やすんよ!」

「分りました! 分りましたから! 引っ張らないでください!」



 そんなセシャトとヘカを見送るとうたかねは秋文に話しかける。



「じゃあ僕達は部屋で作品の続きを楽しもうか? 秋文君」

「う~ん、そうだね。あっ! どうせなら僕達も温泉で話さない?」



 まさかの申し出にうたかねは少し考える。そして顔を真っ赤にしてから秋文の前で手を前にして拒絶する。



「だめだめだめ! 秋文君」

「どうして?」



 どうして? と言われるとうたかねは言葉を濁していたが、秋文は勝手に理解した。うたかねを見て額に触れる。



「秋文君・・・・・・何を?」

「うたかね君、具合が少し悪かったんだね。ごめんね! じゃあ部屋で一緒にセシャトさんとヘカさん待ってようよ!」

「あー、うん。僕の事はいいから、秋文君は温泉楽しんでおいでよ! ね? 食事の準備でも僕はしておくからさ」

「でも・・・・・・」



 いいからいいから、行ってきてとうたかねは秋文を温泉に半ば無理矢理押し出すと、部屋に備え付けられた冷蔵庫の中からトマトジュースを取りだしてそれに口をつける。



「・・・・・・ふぅ、一緒に温泉か」




 温泉、女湯。

 そこでヘカは軍服ゴスをぽーんと脱ぎ捨てるとバスタオルを身体に巻く。そして温泉に向かって走って行く。そんなヘカに遅れてセシャトも髪の毛を上げると同じく温泉に向かう。



「はっひゃああ! 素敵な露天風呂ですねぇ。さて、他のお客様もいない事からプレオープンか何かなんでしょうか?」



 広い露天風呂にヘカとセシャトは二人っきり、ジップロックに入れたipadを持っていく。そして先ほど注文しておいたワンホールケーキにビスケット、そして紅茶。お洒落なシャンパングラスに入ったエナジードリンク・モンスターエナジーにレッドブル。それをお盆に載せて湯船へと入る。


 ※某リゾートスパで実際に温泉にこの持ち込みをお願いしたところ2018年時点では快く承諾いただけたが、現在以降は可能かは不明な為、このリゾートスパが何処か特定出来た場合もコロナウィルスなどの影響でサービスの大幅な変更がなされている可能性がある為、確認をお願いしたい。


「では、ヘカさん。久々に二人で作品考察を楽しみましょうか?」

「悪くないんな!」



 シャンパングラスを摘まみ、ヘカはその中のエナジードリンクを一口飲むと語る。



「一番厄介な敵はあれなん。魔王とかルール無視の大きな力を行使できるものなんよ。そして次は政治的なプロパガンダとかを盾にする見えない力なんな・・・・・・そしてブラッド、要するにテロリスト、これはその次くらいにややこしいん」



 本作最大級のクエストブラッド討伐。ブラッドについては何度かその情報が開示されているわけだが、死の商人、ニゲーター、そして当然行き着く先はテロリスト。現時点で、二人が話す話中では目的があってのテロかは不明であるがストーリーはしっかりと動き始める。



「緩急クエスト。転結クエスト、まぁ実に普通の作品の動き方なんな?」

「そうですねぇ! 普通だからこそ読みやすいという事なんですけんぇ・・・・・・しかしこの温泉の中で食べるケーキはたまりませんねぇ!」



 ホールのケーキをナイフで好きな大きさに切り分けてフォークで喰らう。そして、口直しに珈琲を一口。はっきり言って異常としか思えないその温泉の入り方だが、ヘカとセシャトしかいない事でその空間は保たれる。



「さてヘカさん、この回で名も無き悪人をレイルさんは斬り捨てます。ようやく、自らの持つ力と技が人の命を奪う物であり、それを行ってしまったわけですが・・・・・・このお話で感じるところはなんですか?」



 ヘカは少しだけ目の隈が取れているようだった。温泉の効果なのかは分らないが、なまっ白いヘカの肌に血色も戻っている。



「そう・・・・・・なんな。はじめて人を殺すという童貞を捨てたレイルは、案外普通なんな。実際人を殺すという事を経験した戦士や剣士、侍達は歴史上の手記などで数日は食事の味がしなかったとか、食べられなかったとか、少し精神にキテる節があるん。でもレイルは楽観的に物事を捕らえ、あまり深く感じない性格を生まれつき持っているという設定がしっかりと生かされてるん。人間性を失っているわけじゃないん。確かに少し思うところがあるんけど、それはそれ、いまはいまなんな。中々読ませてくれるん」



 ヘカ、一応はコラムなどの依頼を受けて書くライター兼、自称天才人気Web作家を名乗る彼女がそう語るので、セシャトはふむと頷く。



「狂戦士の瞳を扱いきろうと自戒をかけますが、どうなるんでしょうね? 大きく強い力はそれ相応の代償をはらむ物ですから・・・・・・実に先を読む事に心躍りますねぇ! はむっ」



 ヘカがチラりと見ると、ホールのケーキがもう半分程食されている。この銀髪の女は糖質関係に限り、狂戦士の胃袋を保有しているんじゃなかろうかとそんなくだらない事を考えながら、空になったシャンパングラスをお盆に戻すともう一つのシャンパングラスを手に取った。



「レッドブル、翼をあたえるん!」



 ヘカが毎日致死量とも言える程の量を飲むエナジードリンク。それをゆっくりと味わいながらヘカは語る。



「ヘカ的には、この夢の中。あるいは謎の空間の話ってあれなんなアンニュイな気分になるん。でもアレなんな。女戦士あるいは指令が、テロリストおよび敵将を討てなかったという設定も昔っからの古き良き伝統なんな・・・・・・あの麻薬漬けの主人公が自分の師匠であり女性だった人の敵を討ちに行く話を思い出すん」



 セシャトは何の話だったかなと思い出す。あぁ、ヘカがこのまえアマゾンでブルーレイを全巻買って、マラソンで神様達と観ていた物かと・・・・・・



「あっ! ヘカさん、あのブルーレイの代金立て替えてましたが、まだ頂いていませんよ!」

「ある時払いの催促なしなん! セシャトさん、お金の事で揉めるのは一番ややこしくなるんよ」



 何を! とセシャトは言い返そうかと思ったが、肩までのヘカの髪の毛が長くなっている。そして頭の高さがセシャトと変わらないくらいに・・・・・・

 声のトーンがやや低くなったようなヘカに見つめられるとセシャトは喋れなくなった。そう、普段見飽きているくらいに見ているヘカなのだが・・・・・・綺麗なのだ。元々どちらかといえば可愛い顔をしているヘカだが、奇抜な服装に不健康な顔から可愛いというより、それら全体像をもしてヘカと呼べるような造形だったのだが・・・・・・そんなヘカは語る。



「いい感じの後付け設定の加え方なんな? アンニュイな気分にしておきながら、それが本当の事なのか、夢なのか・・・・・・分らない。なんなら執筆中の方向転換時に突然物語の方向性を変える事もできる保険なんよ。これを分岐伏線とかヘカ達は言ってるんな」



 伏線を張るという言葉があるが、元々の結末に対して持っていると理解が深まる知識として広く知れ渡っているが、このヘカの言う分岐伏線というのは、作者側やライター、編集その他大人の事情で作品の方向性を変える際にその話や設定を入れる事で、半ば無理矢理にでも別方向に作品の流れを持って行ける手法である。

 よく某週刊誌で使われているので探してみるといい。



「あん、ちょっとぉ・・・・・・熱いんなぁ、あふぅ」



 ヘカはなんだか見てはいけないような物を見ている気がしてきた。ヘカが喘ぐとセシャトは何故か目のやり場に困る。



「セシャトさん」

「は、はい!」

「なんなん? まぁいいん。ケーキ一口欲しいん!」



 あーんと口を開けるヘカ・・・・・・いいや、エロいお姉さんそれにセシャトは小さく切り分けたケーキを口の中に入れてやる。



「うまいんな! それどこのケーキなん? ざぎん?」

「はい、銀座ですよぅ!」

「アンリシャルパンティエ?」

「いえ、資生堂本店です」

「ふーん、まぁ今度欄ちゃんに奢らせるん。それにしても視点移動したんな。もう少しレイルの視点を楽しみたかったんよ。そろそろ、ガキ共がセシャトさんを待ってるんよ! 出るん」



 そう言ってシャンパングラスをお盆に置くとざばんと上がる。

 セシャトは空いた口がふさがらない。目の前には高身長のナイスバディな誰だか分らない女性がいるのだ。



「へ、ヘカさんなんですか?」

「何言ってるんセシャトさん」

「こ、声まで変わって!」



 脱衣所に戻るヘカとセシャト。セシャトは一体何が起きているのか分らないでいると、ヘカは全身が映る鏡を見ると目を懲らす。



「信じられないくらいの美女がいるん、ヘカが世界最高の美少女なら、この人は世界最高の美女なんな・・・・・・」



 ヘカはいつものそんなくだらない事を言って汗をぬぐうと下着を・・・・・・・・・・・・



「セシャトさん、ヘカ成長期なんな。下着が小さくなったん」

「違いますよぅ! ヘカさん、なんだか別人になってるんです!」



 ヘカはセシャトから借りた化粧水をつけながら、鏡に映る長髪、長身の自分を見て怪訝な顔を

する。セシャトとは別の驚き。



「何処かでこの人に会った事があるんな」

『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』さて、何処まで読まれましたか? 1日で全部読み終えてしまうくらい本作は面白いですが、ゆっくりと時間をかけても楽しめる作品でもありますよぅ^^ 

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