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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第六章『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』
48/90

技名を叫ぶ? 叫ばない? 食べ物と趣味嗜好

ボンディにスマトラ、もちろんキッチン・ジローにさぼうる。私達がよくミーティングで食事をするお店もどんどん開いており嬉しいですよぅ^^

私はスイーツを買いに行くのは銀座なんですが、お昼と夕食はだいたい神保町のお店で済ませております! 是非神保町に遊びに来たらグルメを楽しんでみてくださいねぇ^^

「メンチをメインにしてミルク帆立コロッケをサブでのせるんな!」



 キッチン・ジローにおける古書店『ふしぎのくに』の基本スタイル。はじめてキッチン・ジローに入店し、メニューに困った際は参考にしてほしい。

 セシャトはあえてメンチを食べずにミルク帆立コロッケを二つとチーズケーキを頼む。秋文とうたかねは量が多いので半分こする事にした。


 そう。そして作品考察の時間である。



「プレートメイルよりも皮の鎧の方がいいって、僕は少し納得がいきませんね」



 上品にうたかねはナイフとフォークで帆立ミルクコロッケを一口サイズに切り分けるとそれを口に入れて租借。ヘカは大きな口をあけてキッチン・ジローの伝家の宝刀であるメンチカツにかぶりつき、うたかねの言葉に反応する。



「逆に考えるんよ」

「逆ですか?」

「鎧なんて、実際戦場では大して役に立たないんよ! 知ってるん? この項目でレイルが古びた道具屋で話しを受けてるんわプレートアーマーの事なんな西洋の鎧と言えば分かりやすいん。これも、中国の魚鱗燐も日本の甲冑も戦闘においてはたいした役割はもたないんよ。防空ずきんみたいなものなん」



 ヘカは語る。鎧というものは乱戦時の被弾に対して致命傷を免れる為程度にしか役にはたたない。何故ならクロスボウや石弩で射られれば即死するし、槍、鉄製鈍器で殴られれば骨折や内臓にダメージを受ける程の致命傷。



「多少の防御は捨てて身動きを生かしているレイルさんの方が賢いという。お店のギムジーさんの言ってる事が正しいという事ですか?」



 秋文は豚汁とご飯を美味しそうに食べてヘカに聞く。本来食事中に話しをするのはどうか? というマナーの話をする大人はここにはいない。むしろ、食事を楽しみ、そのテンションを持って作品を楽しむ事に昇華するランチミーティングに近いのかもしれない。



「ふふふのふ! では皆さん、戦場で甲冑を捨てた方がいます。歴史上でも有名な武将。平教経さんです」



 言わずと知れた猛将。平教経・・・・・・よく紗那王は生き延びる事ができたなと言える程の化物である。ある意味挑発的な意味あいがあったのかもしれないが、彼は飛獲物による長距離射撃から、素早い身のこなしで有名な八艘飛びの紗那王を同じように追いかけ追い詰めたと言われている。



「さすがに、ノーガードというよりはレイルさんのようにある程度の防具は身につけていた方がいいでしょうね。なんせバスターブレードを持たれているので、それだけも大変な重量ですから」



 セシャトはフォークをブンとふるとチーズケーキにそれを刺して、大きく切り分けそれを一口。



「はっひゃあ! 甘いですねぇ」



 ご飯も豚汁も秋文と半分こしても、わりと量の多い定食にうたかねは口を拭き、本作を楽しむにあたり語りたい事を頭の中でまとめていると、秋文がメンチカツを飲み込んでから三人に質問をする。



「大きな武器とか兵器ってなんであるんでしょうね? 物語だと格好いいで終わると思うんですけど、実際は身の丈に合わない大きな物って使いにくいじゃないですか」



 秋文の言う事は、案外的を得ている。世の中何でも小型化しているのだ。それは兵器や武器の類いとて相違はない。

 それに関して、セシャトはどう答えようかと思っているとヘカがあたりまえだろ? という顔で酷い隈のある瞳で秋文を見つめる。



「そんなの決まってるんよ。格好いいからなんな・・・・・・というのは半分なん。大きい物を見ると昔の人は強そうとか怖いとか思うん。大鑑主砲主義ってやつなんな」



 大きな剣や刀、大きな大砲、大きな戦艦。そういう物は実在するがさして大きな成果をもたらすことは少ない。元々、戦いや戦争なんていうものは命というチップを使った政治でしかないので、相手の心を折れさせれば勝ちみたいなところがあった。



「まぁ、時代なんな。理にかなってなければ淘汰されるん。だから、レイルは経験を積み、他の化物揃いの連中に追いつこうとしているんな。そして作中で書かれてるんけど、レイルの立ち直りの早さは、他のメンバーにも劣らない長所と書かれてるん・・・・・・ここは作者以上に読み込める内容なんよ。セシャトさんは分るん?」



 えっ? 私ですか? とセシャトは指名されたので少し考える。ヘカが何気ない一文から読み取り、感じた感想。



「命のやりとりをされる方ですから、とりあえずやってみようの精神が必要なんでしょうか?」



 仕事や学校では、その時々の最大パフォーマンスを得る為に、じっくりと確実な手段を選び目的に向かう事を必要とされる。されど、突然の事態に対して、悠長に考えている時間が無い場合、運と機転と恐れない第一歩を踏めるかどうかが出来る者を必要とされる。

 そう言う意味ではレイルのこの特性は、手に入れた義眼の異能よりも彼にとって最大パフォーマンスを誇る武器と言えるのかもしれない。


 実のところ、将にもっとも必要な感性と精神構造を既にレイルはこの時点でナチュラルに持ち合わせている事になる。

 セシャトは珈琲を四人分注文する。

 珈琲に合う物は甘いお菓子だけではない。揚げ物やカレーライスの後の珈琲の美味さを知ったらそれはもうやみつきになるのだ。

 うかたねはミルクのみ、秋文は氷砂糖を二つにミルク。ヘカはミルクをドバドバと入れて、そして氷砂糖をざばざばと入れる。



「ヘカさんは砂糖の大量に入った珈琲が好きですよねぇ!」

「珈琲は、中世以前から親しまれてきたエナジードリンクなんな。脳を振わせるには大量のカフェインに大量の毒(砂糖)なん」



 超、甘党のセシャトはどれだけの砂糖を入れるのかと秋文とうかたねは期待していたら、セシャトはブラックのまま香りを楽しみ、そして語る。



「ここで一つ! 皆さん、必殺技名を名乗るのはどう思いますか?」



 実際に、剣術にも武術にも技名という物は存在する。なんならスポーツでもそうだが、技名あるいはその名称が存在する。

 が・・・・・・それをわざわざ言う事は現実世界においてほぼほぼない。よく考えると技名を名乗るという行為に関してそれは何なのか・・・・・・砂糖なのか珈琲なのかが混ざり合った謎の液体をどろりと飲み干すとヘカは語る。



「とあるラノベは、声帯を持って魔法を成す作品があるんな。その魔法という設定は中々よく出来てるん! スペルを唱える事でその技が発言するんな。作品における秘技や必殺技も似たようなもんなん・・・・・・作品的にはなんな・・・・・・リアルで必殺技を名乗る奴は馬鹿か天才かのどっちかなん」



 レイルは狂戦士の瞳というチート以外にキバオレ流なる特異な剣術を学んでいる。むしろ、彼のスペックの大半を占めるのはこの武術なわけで、謎多き異能狂戦士の瞳よりもレイルにとってはアテに出来るものである。



「作品を選びそうですね。アドベンチャーを主とした作品であれば必殺技等を通して技名を名乗るのに違和感を感じませんよね・・・・・・ですけど、不思議と『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』においてはイザクが言うように、技名を名乗るのはなんだか滑稽に思えます」



 うたかねは食事を終え、口元を再び上品に拭きながらそう話す。要するに作品とその特色によって現実に戻されるかそうでないかの温度感も関わってくるので一概には言えないのだが・・・・・・これはそういう虚を上手く使った手法とも言える。



「レイルさんって、なんだか出る作品を間違えたみたいなノリですよね・・・・・・レイルさんが技名とか言ってても全然おかしくないんですけど、イザクさんにつっこまれる事で読者である僕達はそっか! って思っちゃいますもん」



 秋文の感想。

 そう、レイルが頑張って、少しカッコをつけて戦っているシーンに関して読者は恐らく何も思わずにそういうものだと思って読み進めるのだろうが、イザクによるなんとも普通の、それでいてシャープがツッコミが実に新鮮で面白い。

 よくよく考えればシリアスシーンなのである。


 出られなくなった局所空間、そして疲れる事も躊躇する事もない、化物魔機との戦闘中、そんな中で明らかに空気の読めていない温度感のレイルとイザクの高次元のノリツッコミ。皆が作品を楽しみ同化した事でセシャトは一端のまとめに入った。



「挙げ句の果てにはレイルさんは、イザクさんを恋敵かもしれないと警戒すらしてしまうんですよね! このお話で重要なのは二つです。アルマさんの事が少し分ります。どうやら彼女も何か大変ですよねぇ! そして、そんな情報が分りつつ、ここではレイルさんとイザクさんの距離感がぐっと近づきます。よほど天邪鬼な読者さんでないかぎりは、読んでいて気持ちのいいお話ですねぇ!」



 一章で大まかななキャラクター紹介を終え、物語もようやくエンジンをかけるところに伏線とキャラクターとのかけあいを絡め、最競のクインテットというタイトルの回収もゆっくりと進めて行くところがにくい。

 そしてバトル物が大好きなヘカは虚ろな瞳をより深淵の輝きをみせて語る。彼女がこんな風に目を見開く時は心から楽しんでいる時なのだ。



「レイルは、よく分ってるん! 代償のない力なんてないんよ。使えるものは使う。それでいいん古来から日本人は妖刀みたいな代償のある力という設定が好きなんな!」



 日本人は元来儚い物が好きなわけで、国花の桜がいまやメジャーとなったが、元々は梅の詩が詠まれる事が多かった。そして、その儚さに合わせるのが信じられない事に楽観的なレイルという元気が取り柄で、それなりに少し抜けている少年。

 主人公像としてはやや古めかもしれないが、ベターで、嫌われにくいタイプの主人公像とも言える。


 人気のチェーン定食屋だけあり、食後にあまり長々といすぎるのも店に迷惑かとセシャトは頃合いを見てからこう言った。



「それでは皆さんそろそろ場所を変えましょうか? カレーライスならもう少し長居できたんですけどねぇ! ふふふのふ」



 ヘカはハァとため息をつく、うたかねと秋文ははてなという表情を見せ、どういうタイプのギャグなのか、はたまた深い意味があるのかと思ってセシャトを見つめるのでセシャトは微笑んでから語る。



「元々神保町のカレーライス屋さんは本を読みながらカレーライスを食べる事を推奨してたんですよぅ! サンドイッチ伯爵のポーカーゲームにサンドイッチ、葛飾応為が浮世絵を描く時に食べていたいなり寿司、そして小泉八雲さんが読書をしながらカレーライス。食べ物と趣味嗜好は密接につながっています! 私はもちろん! Web小説に珈琲ですよぅ!」



 そう言うセシャトはこのままカフェに三人を連れて行きそうな雰囲気であったが、うたかねがホテルのチェックインの時間がそろそろだと言うので、一行は今回の読書のメイン会場でもある高級なホテルへと向かった。



「私達は四人ですので! 読了のカルテットは古本の街を往くですねぇ!」



 何も面白くないセシャトの語りに、閉口してしまう三人だったが、うたかねと秋文は空気を読むのでヘカが言った。



「セシャトさん、それ全然面白くないし笑えないん!」

『最競クインテットは最果ての街を往く 著・斉藤タミヤ』あえて木曜日の公開にしませんでした!

土曜日、できる限り多くの人に本作を知っていただこうと思いまして、ミーティングにて土日公開に変えてみましょうという新な取り組みですよぅ!

 一冊の文庫本として、非常に良く纏まっており、楽しめる本作をご一緒に今月は楽しみましょうね!

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