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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第五章『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』
43/90

Get on a ride~気づくは矛盾、知るは地獄~

さて、緊急事態宣言が解除された事で、ふしぎのみなさんからいろいろな物が届きました。一番はグラム数千円はするお茶を二十本程頂いたのはありがたいですねぇ! 私、珈琲やお茶を一日に何杯も飲みますので、中々お財布事情が大変な事になってまして^^

少女と少年は困りました。

偉そうだけど、とても優しい黒髪の女の子とはぐれてしまいました。右も左も分らない街ですが、警察も街ゆく人もとても親切です。

そんな二人は黒髪の少女を探しつつ目的の古書店を目指します。そんな時、リンゴ飴を囓りながらやってくる満面の笑みの子供がいます。



「こんにちは」



 少女は挨拶をしてみました。すると子供はリンゴ飴を後ろに隠してから挨拶を返します。



「おぉ、いい天気だの! ん? 貴様等・・・・・・旅人かの?」

「そうだよ。君は?」



 少年に聞かれたので子供は答えます。



「私か? 私は神様だっ! これも何かの縁だの、ジローに連れていってやろう。そうだの、道中の暇つぶしに森に迷い込んだ二人の男女の話でもしてやろうかの」



 そう言って神様はウィンクをすると話し出しました。



                    ★



 バレッタはトトとレシェフにレモネードを淹れてくれる。何処かの工芸品らしい豪華な紫のグラスに注がれたそれを飲みながらトトは少し目を瞑ってから語る。グラスを見て、冷たいレモネードの味を楽しむように・・・・・・



「このあるガラスの村、何故でしょうか? 晴れ時々ブタを思い出しますね。ご存じですか? ゴミ捨て場でガラス瓶を食べて身体がガラスになってしまう人々のお話」



 トトの話を聞いてもバレッタにレシェフは分らないという顔をしてみせる。本作と直接関係があるわけではないが、小学三年生の主人公が適当に書いた日記が真実になってしまう児童文学なのだが、これが意外と不気味だったり、考えさせされるものがいくつかある。



「そうねぇ、トト君。私はとある資料館を思い出したわね。日本人の子供なら一度は勉強するところなんだけれど・・・・・・さすがに考えすぎかしら?」



 レシェフはレモネードをぐびぐにと飲みながら目を瞑る。

 そしてバレッタに尋ねる。



「炭酸水はないのかい? ボクには少し甘ったるすぎるよ。バレッタの言う事は分らなくはないけど、実に考えすぎだね。もし、そうなら中々に冒険しすぎだよ」



 レシェフはいつのまにか、裏レシェフに変わっていた。そんなレシェフにバレッタは冷蔵庫からペリエを取り出してからこう言った。



「微炭酸のソーダ水だけれど、いいかしら?」

「あぁ、悪いね」



 シロップの多すぎるレモネードをソーダ水で薄めてそれを口に含むレシェフ。まだ濃すぎると思ったのか何度か薄めて気に入った味になったところで、レシェフは二人に質問する。



「人さらいと盗賊の違いって何さ?」



 それにバレッタが簡単に分りやすく答えてくれた。



「仕事か、そうじゃないかの違いかしら? 盗賊に捕まっても人攫いに捕まっても陵辱されて売られるでしょうけど、盗賊はその時売れればいい。売れなければ奴隷か、あるいは殺してしまえばいい、人攫いはいかに高く売れるかという事に関してはやっぱり違うんじゃないかしら?着飾って、化粧をして、なんならちょっとした宝石くらいは身につけさせてくれるかもしれないわね」



 そんな人攫いを撃退した後にウルフは人攫いを前に人食ショーを見せつける。シープとウルフは人攫いのアキレス腱を切断してしまう。

 それに関してレシェフは面白そうに話す。



「二度と歩けなくしちゃってるんだから殺してるも同然じゃないか、中々に残酷だね」



 レシェフの話に補足をするようにトトは語る。



「保険があるわけでもないですからね。子供が二人だけで旅をする事が出来る世界です。それは安全か? というと真逆です。本来そんな事はありえません。それだけ自由であるという事はそれだけ法体制が緩すぎるのかは分りませんが、冒頭のサーカスからして、まともな倫理や基本的人権が守られるとも思えません・・・・・・ポケモンマスターを目指す旅に近いかもしれませんね」



 トトの口から面白い単語が飛び出した。バレッタには理解できない事だったが、レシェフはトトが言いたい事に関して覚えがあった。



「公式が病気じゃないか」



 簡単に説明をすると、小学館が発売したポケモンの小説が何をどうしたらそうなるのか? 古書店『ふしぎのくに』のメンバーでもチームにいたのではないかと思わせる程、カオスな内容が書かれているのである。

 義務教育を終える前に10才で旅に出た子供達がポケモントレーナーを挫折し、学歴も職歴もない人々の受け皿がない事が社会問題になっていると、そう公式で書かれている。



「えぇ、本来旅というものは責任が伴うという事なんです。ウルフさんとシープさんは元々いた環境もあいまって、明日は我が身という事をよく知っています。ですから、逆に優しすぎるかもしれません。殺さずをモットーにしているからかもしれませんね? レシェフさんなら殺さずに相手を封じ込めるとすればどうしますか?」



 レシェフはレモネードを飲むのを飽きたようで、砂糖菓子をキャンディーみたいに口の中でゆっくりと溶かし転がしながら語る。



「目を潰す、声帯を切る、耳の中の器官を潰す」



 何も見えず、聞こえず、喋れず。生きている事すら絶望させるようなそんな仕打ちをレシェフは行うという。そんな危険と隣り合わせの冒険者であるウルフとシープはかつての知り合いに出会うのだ。



「物語はとても面白い方向に進みますね。ある種、シープさんとウルフ君の親の登場です。子が親に刃向かうのは容易な事ではありませんから、それも精神的に追い詰められている状況、PTSDを発症してしまいます」



 レシェフは冷蔵庫の中から岩桃を見つけるとそれを器用に果物ナイフで皮を剥ぐ。そして四等分に切り分けたそれをレシェフはさらに細かく切って上品に食べながら二人に同意を求めるように話す。



「それにしても、ブルって動けなくなるって、怪物と化物なのに悲しいもんだね。だから見世物小屋に入れられるのさ」



 作中でも述べられている。

 ウルフはラビットを殴って、シープを連れて逃走する事ができる力がある。

 ができない。



「それはねレシェフちゃん、自尊心の崩壊、パブロフの犬理論かな? 私達は猛獣相手には捕食されるしかないけれど、折にいる猛獣相手に毎日鞭を打ってごらん、一ヶ月もすれば猛獣と同じ檻に入ると猛獣の方から逃げ出すわよ。本当に恐怖すると、生物はどうなるか分るかしら?」

「わからないね! ボクは恐怖した事がない。虐げられた事は・・・・・・うん、大いにあるけれどね」



 バレッタは身を小さくして丸くしゃがむ。遺伝子に組み込まれた自身を守る動き。動物も人間も同じなのだ。

 頭を守って小さくなる。



「でもさ、猛獣はいずれ牙をむくよね? シープのように、一度解き放たれた、人喰いの獣は実に危ないぞぉ! チャンパーワットの虎、ううん。そうだ三毛別羆事件ってのもあったな。あれは酷かった」



 そんなレシェフにバレッタは頭を撫でる。驚くレシェフだが、バレッタは撫でるのをやめない。そして微笑む。



「猛獣とウルフ君にシープちゃんとは違うわ。彼女は人間という名の化物なの。そして彼は人間という名の怪物なの」



 二人は人間であると、化物も怪物も付加価値でしかないとバレッタは語る。作品の心理に・・・・・・作品のタブーに、トトはもうぬるくなったレモネードを口につけて、バレッタに尋ねる。



「これはようするに、人間が幸せを探す旅だと皮肉と風刺を交えているという事ですか? 二人はラビットさんに対して、やはり何処か恐怖以外の感情も捨て切れてはいませんよね?」



 恐ろしい事に、シープとウルフは、ラビットなるサーカス時代の知り合い。いや、飼い主に対して嫌悪や恐怖、そんな物よりももっと崇高な感情を読者は何処か抱いてしまう。ラビットを退けた二人に対して読了後に読者が抱く感情は一歩。

 親に抵抗したに過ぎないようななんとも言えない気分になる。二人は喜ぶわけでも、後悔するわけでもない。

 ただただ、安堵しそれ以降の事は考えないようにしている。



「実に、素敵で人間の感情をよく理解している描写に思えないかしら? ここは見事じゃないかしら?」



 確かになぁとトトとレシェフは同じく深い同化に入る。そんな中で、トトは自らと近しい存在であるレシェフに聞いてみた。



「逆に本作で何か指摘できる部分はありますか?」



 これは、テラーとしては一番聞いてみたい感想でもある。それにバレッタはう~んと考えてからこう言った。



「この世界はオートマのバイクしかないのかしら?」



 本来、オートバイは踏み込み式か蹴り上げ式である。そしてしっかりとした描写はないが、恐らく蹴り上げ式のバイクであろうと思われる。



「あぁ、それですね・・・・・・キノの旅でも最大の矛盾の一つです。蹴り上げ式は初見の感覚では絶対に運転できません。まぁそこは、考えない方が無難ですね。逆に言えば、ヘカさんはこちらに関して、シープさんは何処かで知識を持っていた可能性を考えられるので、キノの旅よりは整合性がとれると仰っていました」



 バイクは自転車と同じ感覚で乗る事はできる。但し、オートマに限る。蹴り上げ式も踏み込み式もそもそもの初動操作を知らなければ動かない。両手片足を使っての同時操作は自転車には存在しない運転方法なのである。



「ボクのこの身体の持ち主は原付一つ運転できないからな。ボクはこれでもカフェレーサーを乗っていた事が何十年か前にあったんだぜ、確かにバイクの操作は無意味に難しいよな」



 そんな話をしていると、バレッタは二人に微笑んで語る。



「じゃあ二人は魔法の箒には乗った事があるかしら?」



 乗りたい! トトとレシェフは猫みたいに瞳を丸くしてバレッタを見つめる。まさか、この魔女はあの夢アイテムを持っているのか・・・・・・そんな期待の眼差しで見つめるとバレッタはこう言った。



「私はないわね」


                     ★



「神様、このゲーム動かないよ?」

「それはあれだの、アクセルを戻して、左のクラッチレバーを握りながら、左足のつま先でギアを踏み込むと良いぞ!」



 ガチャン。少年は神様に言われたように操作をすると、モニター映った景色が動き出します。それに少年は少し楽しそうな顔を見せました。



「よし! 中々やるではないか! 次はクラッチレバーを握って、さっき踏み込んだギアを上に蹴り上げてギアを上げてみよ!」



 神様は少年と少女を連れてゲームセンターにやってきていました。神様の手持ちのお小遣いで唯一豪遊できそうな場所でした。少年はオートバイの古いビデオゲームを指さして乗りたいというので神様がレクチャーして今にいたります。



「昔の自動車ゲームもそうだったが、今と違って操作方法がリアルすぎての、ウチのアヌという者はゲームセンターで練習して免許を取ったらしいぞ」



 少女は呆れながら、ゲームに興じる少年と神様を見つめ、手の中にあるプリクラ。先ほど、少年と神様と撮影したそれを見ながら呟きます。



「神様さん。森の魔女と、少年と少女はどうなるんですか?」

『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』皆さん、楽しんでいますか? 本作はスタートラインの始まりが良かったです。極力矛盾というものを排除されて作られているので、是非とも学んでみてくださいね! 今回におけるオートバイの操作方法ですが、シープちゃんがとっても博識ですから、ここがミソですねぇ! 実はオートバイを最大7台所有していたアヌさんの講習を受けて、確かに初見では乗れませんねぇとライターさん達も頷いていました。

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