Road of fate~その踏切の音は~
皆さん、ケーキ食べていますかぁ? まだ東京は緊急事態宣言は解除されていませんが、ケーキ屋さんは沢山空いていますよぅ! この前、私もホールでケーキを頂いてしまいました! はやく、ダンタリアンさんやヘカさん達とお買い物や古本屋めぐりをしたいですねぇ!
踏切、ファンファンファンファンと鳴る踏切。
その向こうで、自身満々な自分がこちらを見ている。第三ボタンまで開けて下着が見える事もお構いなしに、彼女はニヒルに笑う。
あぁなりたかった。絶大な自信を持つ自分の姿、同じ顔、同じ服装なのに、なんであの子はあんなにも可愛くて、格好いいんだろう?
踏切、ふぁん・・・・・・ふぁん・・・・・・ふぁんと頭が痛くなるような音が反芻される。頭が痛すぎてわらけてくる。そんな踏切の先で、今時分。天然記念物みたいに制服をきちんと着こなしたボクにそっくりな少女がこちらを心配そうにみつめている。どこかで間違わなければ、ボクもあんな風に綺麗で、知的な素敵な女性になれたのかもしれない。
無い物ねだりは馬鹿がやる事だ。
そう・・・・・・ゆっくりと、私は・・・・・・ボクは・・・・・・君は、貴女は・・・・・・ゆっくりと目覚めるのだ。あの幸せを探す読書会に仲間はずれにされないように・・・・・・背中が見える距離にいたいんだ。
起床。
「おはようございます。レシェフさん・・・・・・うん、表レシェフさんでしょうか?」
トトの問いかけにレシェフはぽかーんとトトとバレッタを見つめてから目覚めた時に皆がいう言葉を述べる。
「ぐっともーにん」
「おはようレシェフちゃん、丁度閑話の話をしていたのよ!」
「キノの旅でいうところの『優しい国』でしょうか?」
「あぁ、あれを読むとグリッケン博士を思い出すだぎゃ」
日本の火山を舐めすぎて死んだ世界的高名な研究家である。またフランスの有名な研究家も同じく雲仙普賢岳で命を落としている。
元々古来から火砕流の恐ろしさは知識としては皆持っていたかもしれないが、この平成での事件が火砕流という自然災害の恐ろしさを世に知らしめたと言っても過言ではない。
「キノの旅のモチーフは恐らくヴェスピオ火山だとは思いますけどね。恐らくはポンペイ最後の日を作者なりのアレンジにした物語でしょう」
三人は想像する。生きとし生けるものを瞬時に灰に変える神の息吹。いや、それはこそ惑星の息吹なのかもしれない。
さて、そんな中でトトはバレッタとまだ寝起きのレシェフに質問をする。
「自由とはなんでしょう?」
シープが、ウルフがそして一人の男が考えた一つの真理。それをバレッタとレシェフは目を瞑ってから答える。
「身勝手なありさまの事でしょうね」
「何もしなくていいとかでしょうか?」
さて、皆はどう思うか? それに答えはあってないようなものである。そんな二人にトトは仏教用語を語った。
「天上天下唯我独尊。いつのまにか、この言葉は自己中心的という意味に変わりました。時代と共に言葉の意味は変化し続けます。そして我々はそんな言葉を使って遊びます。言葉遊びだったり、言葉の・・・・・・いいえ文末を読んだり、理解できると面白い、あるいは怖い話という物が本作『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』の強みでしょう。時代が変わると作品内容の読み捕らえが変わる可能性はあるかもしれませんけどね。さて、僕を含めて、ここにいる皆さんであれば興味があるんじゃないでしょうか? 仮装生活。仮想ではなく、仮装、さぁ読み込みましょうか?」
トトの話を皮切りにバレッタが差し込んだ。
「青いバラ、昔は絶対に作る事ができないと言われていたバラには存在しない色素・・・・・・遺伝子組み換えという技術を持って人間はバラを進化させたわね。自分の思い通りになる世界、仮想生活。そんな生活ができるのなら、飽きるほど作品の世界に入りたいものね?」
異様に科学力の発達した村で、ヴァーチャルな生活をはじめるウルフとシープ。本来の小説であれば、何がどうなった? とツッコミどころ満載なのであるが・・・・・・
「ロードムービ物の強みだぎゃ! 村や町といっているけど、ある種の異世界いきゃあね。にしても、旅人は無料ちて、この村破産しゃーとね?」
外の人や地域に宣伝をしてもらう為という名目でわりと旅人へのサービスが優れている。わりとこれはリアルで、北海道にあるある街が、これに近い事をして破産した事はわりと有名である。
「ふふん、そうね。でもこの村は仮装生活という甘く、夢みたいな生活。そして本来は重課金させる事を目的としたサービスを売りにしているから、メロンを配りまくったあそことは趣向が違うわね・・・・・・結末は・・・・・・面白い事になるけれど。それにしてもウルフ君は仮装生活においては味を楽しむ事ができるのね。それはさぞかし嬉しいでしょうね。三大欲求の一つが満たされるという事は一つの幸せだもの。そしてこの世界は、分泌をプログラム化に成功した世界という事なのね」
現在、人類が挑んでいるジャンル。感情、感情とはありとあらゆる脳内の反応を数値化し、それら反応に対して分泌される反応を代価的に作り上げる事。
「所謂、フルダイブってやつですね」
「そうです。現在、いえ、あと一万年後でも不可能と言われている技術です。そしてこの仮装生活の村。よくよく考えると増えすぎた人間のよりよい処分方法を感じてしまうんですよね」
トトが倫理的にこれ以上はという顔をするので、ここで一番の年長であるバレッタが肩代わりにした。
「そうね。ウルフ君とシープちゃんはどう思ったのかしらね? あれは、村を名乗る臓器工場よ。本来、お金を得る為に臓器を手放す人がいるように、あの村に居続ける為に臓器を、身体を・・・・・・いいえ、心まで何処かに忘れてしまう。そんな村ね。あの世界への最大の皮肉をウルフ君は言ってくれるじゃない」
ニセモノはつまらない。
それにはどんな意味があるのか、単純にヴァーチャルな生活がつまらないと言ったのか、あるいは・・・・・・。
「作り物、ニセモノの幸せだったってことです?」
確かに、シープが少しばかり戸惑うくらいにはウルフはあの世界で生を感じ、愛を思い出し、そして幸せをかみしめていた。
「脳は、快感に対して弱すぎるの。ウルフ君はもしかしたら、もう少しあそこにいたかったかもしれないわね。でも、そのもう少しをしてしまったら、もう戻れなかったかもしれないわ」
スマートフォン依存症について語ろう。今、この情報をスマホで見ている者。スマホを持っている者。1時間の内に十回はスマホを見ている者。
アルコールやオピオイド系の依存とは違い、身体に悪影響を物理的に及ぼす事は少ない。その依存症の正体は、学び、情報源である。
「人間は意識的、ううん。遺伝子レベルで何かを学ぶ、知るという事に対する強烈な依存を持っているの。それはトト君、なぜだか分るかしら?」
さて、なんだろう? それはウルフやシープの二人とは違う、村々に生きる人々から読み取る他なかった。
「なんでしょうね。生活をするため・・・・・・平たく言えば生きていく為でしょうか?」
「う~ん、及第点ね。無知は恥というくらいに、情報にありふれた世界、あんな小さな手のひらサイズの機械で、人間の生涯を簡単に越えてしまう情報に溢れている。パソコンと言えば、とっつきにくいオタクなイメージを持っていた人も、電話とパソコンがひとつになったガラパゴス型デバイス。スマートフォンへのアレルギーは限りなく少ないわ。今までゲームなんてしなかった老人が電車で、カフェで、取り憑かれたようにスマホでゲームをしている瞬間なんて見た事ないかしら?」
レシェフが高校に行く時、トトは買いだしに行く時に何度となくそんな人々を見てきた。それはまさに・・・・・・
「それは脳だけになってしまった人達ね。もう人類はスマホを手放せない、スマホを使用するのが従量制になっても多分支払いをするでしょうね。スマホ税、日本国でも法案に上がった事は有名よね?」
仮装の村は、依存と依存の後に待ち受ける事。そして、人類の行き着く先を風刺しているように考えられなくもない。人が大勢いすぎるなら、持つ者は持たざる者から健康な臓器を買い取り、持たざる者はそれを譲る事になるだろう。
人権も倫理もぶっ飛んでしまった終の世界。
食料危機を、水不足を迎える世界は・・・・・・新型の強烈なウィルスの蔓延に見舞われた世界は・・・・・・いつかそんな末路をたどるのかもしれない。
「生きるのも死ぬのも、ニセモノよりも本物の方がいいわよね。だから、ウルフ君は生きているその手で生きているシープちゃんの手をぎゅっと握ったの。とてもイケメンじゃない? 二人は結果としてはメロンを叩き配ったあの街みたいな末路をたどりそうなこの村を後にするの」
あの街は、実に世界の縮図に近いかもしれない。日本国において、未来を見据えたとある破綻した街。
「終わりというものは唐突に来るのかも知れませんね。ウルフさんとシープさんの旅に関しても、唐突に・・・・・・僕は少しばかり気がかりな事があるんです」
トトは、楽しく『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』を読み合っている中で、バレッタを見つめる。
バレッタはトトが自分を見て、何を言いたいのか薄々と分かり始めていた。バレッタはトトが用意してくれたホットチョコレートにチュロスをつけて一口。
「う~ん、おいしいわね」
「バレッタさん、僕等を閉じ込めているのではなく、貴女は僕等を何かから守ろうとしてくれているのではないでしょうか?」
トトとレシェフはここに軟禁されているハズだった。それにレシェフは目を丸くする。そしてトトに向かって叫ぶ。
「トトさぁん! とろくしゃあこといわんじゃんね!」
「事実ですよ。だから裏レシェフさんは、引っ込んだんじゃないでしょうか? どうでしょうかバレッタさん?」
バレッタは子供みたいにチェロスをほおばると、これまた子供みたいに美味しさに満足してから頷いた。
「魔女の家に迷い込んだ男の子と女の子。男の子を太らせて食べてしまおう! だなんて、そんな古くさい事を魔女はしないの! 面白い物語を美味しいオヤツを食べながら語って、満足するまで・・・・・・ね? 続き読もうよ、愛らしい二人の物語をね?」
ファンファンファン! レシェフの中で、踏切のあの音が聞こえたような気がした。
『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』読みました。というメッセージを頂いております! 是非とも作者さんにお伝えしてあげてくださいねぇ^^ ミーティングでは私達のふしぎのくに内でも考察などにばらつきが出て、とても皆さんで語り合うのに適した作品ではないかと思いますよぅ! 是非、そんなうるしぷを皆さんも考えて一緒に旅に心を馳せてみてくださいねぇ!




