witches' Sabbath~わすれじの村~
少しずつ夏が近づいて来ましたね! コロナウィルスも少しずつですが確実に収まってきているように思えます。自粛は辛いなと思ってしまうと負けです! そんな皆さんに最強の食材。ホットケーキミックスをご案内しますよぅ! メレンゲと一緒に混ぜ込んで両面を焼いてからオーブンに入れると! スフレパンケーキが出来上がりますよぅ! 是非お試しくださいね!
汐緒は、カウンターで頬杖をつきながら、ブックカフェの再会の目処が立たない事に少々閉口していた。
そう、現コロナウィルスによる自粛である。店の中を掃除して、ティーカップを全て綺麗に拭き終えるともうやる事が無くなった。
店の外でも箒がけをと考えて外に出た時、声をかけられた。
「すみません。お水だけでも飲めないでしょうか?」
愛らしい少女と少年が汐緒に尋ねる。
このあたりでは見た事のない顔である。汐緒は二人にこう言った。
「紅茶でも飲んでいくかや?」
アルコールで手を消毒をしてもらった後に、お店にクローズのプレートをかけて、テーブル席に案内した二人に汐緒は問う。
「セイロンでいいかや?」
「おかまいなくなのです」
「うん、俺も大丈夫」
そうでありんすか、と汐緒は本の形をした紅茶缶。ティーティブックのセイロンを入れる。そしてチェイサーにエスプレッソのダブル。
「おまちどおさまかや」
「いい匂いですね。ここはカフェなんですか?」
「ブックカフェかや、あちきはここの店長代理の汐緒でありんす。じゃあ少しだけご静聴お願いするでありんすよ」
★
森の中に迷ったトトとレシェフはその中にある小屋で出会った魔女のような格好をした不思議な女性、バレッタと出会います。
そんな彼女と共に『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』を読み合って楽しんでいたはずでした。
バレッタが「次いこうか?」そう言った瞬間。
三人は何処かの国に入る関所前の小屋の中にいました。
「これは、どういう事でしょうか? 確か珈琲色の少女からお話をと思ったあたりでしたが・・・・・・」
トトさんは困惑です。
瞬きと共に違う場所にいるのですから・・・・・・それにバレッタはウィンクをして語ります。
「いいじゃない! この世界感でお話しましょ。身体の再生はできても髪の再生はできない。それは女の子の命だから・・・・・・かしら?」
今だトトとレシェフが困惑しているのに、バレッタはお構いなしにくたくた、くすくすと笑います。
そんな三人が滞在している小屋に一人の身重の女性が入ってきました。
「ごきげんよう。貴方達も”わすれじの村”へ行くのですか?」
トトは、それっぽいネーミングが飛び出してきたなぁと考えて微笑みます。今ここが何処かのかは分りません。
恐らくはバレッタの何らかの力でやってきた場所なのです。
「”わすれじの村”ですか? そこはどんな場所でしょうか、マダム?」
「あら、知らないのかしら? ここは未練のある者だけが入国を許された国なのよ。私、旦那に逃げられちゃって、そんなかわいそうな人達に優しい国だって聞いたからこのお腹の子とここで暮らそうと思うの」
レシェフは少し考えます。
ここは『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』の世界感に少し似ていますが、明らかに感じる狂気感が全くの別物なのです。
それなのにバレッタはお構いなし、妊婦の女性のお腹に触れて優しく微笑む。
「元気な子が生まれるといいわね。貴女も少しお話きいていかない? とっても綺麗で少し残酷で楽しいお話があるのよ」
魔術が使える少女がいる村にやってきたウルフとシープの物語をバレッタは楽しそうに語ります。
時折トトのタブレットのイラストを指さして可愛いでしょうと微笑みます。
「小説でよくある民族信仰を絡めたお話かしら?」
妊婦の女性は意外と面白いところをついてきます。伝統ともお家芸ともいえる、物語の登場人物がとある地域の神様や英雄などと間違えられるタイプのお話です。
「えぇえぇ、そうよね。神の狼と書いてジンロウ。実は日本のオオカミも大神から来ているからその派生かもしれないわね。大抵こういうお話はペアと離ればなれにしようとしたりするのよ」
「わかるわぁ」
妊婦の女性とバレッタは姉妹のように、意気投合します。
この異様な空間内ではあるけれど、トトとレシェフも考察に参加しなければなんだか悔しくなってきました。
「ここでのウルフ君のイケメンっぷりがたまらなくないですか? 良かれと思っての行動。それがこの村のそこはかとなく感じる狂気をくすぐります。作品の作り方としても、なじみのある展開をウルフ君やシープちゃんと共に体験できるところが実に僕は好きです」
トトの語りにレシェフはやや羨望の眼差しを見せます。
こんな異様な場所でもトトはまともに物語のお話をするのですから・・・・・・レシェフは自分の中にそう呼ばれる存在を落とされているだけのただの女子高生です。
こんな奇天烈な事には慣れていません・・・・・・ですからもう一人のレシェフに助けを求めました。
目を瞑り、そして目を開けます。それはキスをするように、抱きしめ合うように・・・・・・ゆっくりとまどろみの覚醒のようです。
「停まれば停まる、歩けば歩く。ウルフが甘いと言ったチョコレート、一体なんなのさ? って君達なら予想はするだろうけどね」
裏レシェフの登場です。そして彼女は饒舌に語ります。このある縋る村に関しての彼女なりの見解をです。
「胸クソ悪くなる話だけれど、日本のとある未解決事件がこの村みたいなんだよね。状況証拠、犯行時間からどう考えても犯人を不特定多数の人間が見てそうなんだけど、証言が二転三転するのさ、何処かに大きな嘘があるなって、警察も報道関係も一般人も感じてはいるんだけど、結局迷宮入りさ、最強の犯行は集落にいる全当事者がグルだってね」
実にいい落としどころでしょう。
シープは聖女ではありません。彼女は彼女なりの見解を持って語りますそこが実に物語りとして清々しいのでしょう。
「じゃあさじゃあさ、まとめる前にパーツから見て取れる事を語ろうよ。私さ、案外シープちゃんがイラちなところなんかが可愛いなぁって思っちゃうの!」
バレッタはレシェフの話を聞いてから食いつき、話を広げます。この章でシープはの本来の姿が少し垣間見れます。
そして彼女の人間らしさのような部分もです。妊婦の女性は楽しそうにそんなお話に耳を傾けるのでトトは一つ思い出したように語る。
「鉛弾がまだ人間用に利用されている事・・・・・・ですね。ですので本作の世界感は僕等の時間軸で言うところのおそらく1800年代から1900年にかけてくらいでしょう。一番世の中が面白かった時代ですね。まだ化学では解明の出来ない不思議な事も沢山あったでしょう。もしかすると、ウルフ君にシープさんが本当に国々を渡り歩いていたかもしれませんね」
だなんてトトが言うものですから、一言本作で語られる話についてバレッタが言及します。
「人間ではないシープちゃんは神に縋るのをやめなさいと言っているけど、君達。そんな神様の類いの存在はどう考えるのかな?」
「僕は神様の子供ですから、殆ど人間ですよ」
そういうトトは少し困惑しています。そして誰しもが回答を期待してしまう裏レシェフは目を瞑って語ります。
「神は縋るものじゃないか? ボクは少なくともそう思うよ。人間は弱く、愚かだから宗教なんてものを作ったんだろ、それそのもは悪くないや。この村のリリシアは神に縋ったんじゃなくて、神という免罪符のせいにしたまでさ、これはある種宗教の悪い一面を語る物語だったね。皆まで言わせて欲しくはないんだけどね? ボクやトトは知ってるんだよ。神様ってのは大食らいで少しばかり書に詳しいだけの無能なちんちくりんである事をね」
それにトトはクスっとウケます。なんの事だかわからないバレッタと妊婦の女性は顔を見合わせて疑問符を浮かべるばかりです。
そんな中、小さなトラブルが起きました。妊婦の女性の陣痛が突然始まったのです。
「痛い痛い、う、産まれる」
こんな想定外の状況、トトもレシェフも動けません。それにバレッタはてきぱきと動きます。
「子宮口を確認するよ。あぁ、これ産まれるね。しかも逆子だ。二人はお湯と綺麗な布を用意して」
手際よくバレッタは妊婦の出産に付き合います。少々大変な出産ですが、無事産まれました。ですが赤ちゃんは泣きません。
トトにレシェフは目を丸くして心臓はドキドキ、どうしようと思った時、産まれたばかりの赤ちゃんのお尻をバレッタは叩きました。
”おぎゃああああ!”
泣いた!
トトとレシェフは手を合わせて喜びます。綺麗な布で包んで赤ちゃんを、出産を終えた女性にはさらしを巻いてバレッタは寄り添うように、関所まで付き合います。
「ねぇ、本当にこの国にいくの? とめやしないけど、はっきり言ってやめた方がいいよ」
「ここは私と赤ちゃんが幸せになれるから」
そう言って関所に入っていく女性ですが、すぐに悲鳴が聞こえました。何事だろうと思った時、産まれたばかりの赤ちゃんが放り出され、女性だけは関所の奥に、そして思い門はがちゃんとしまったのです。
「わすれじの村。産まれたばかりの赤ちゃんには未練なんてないから入国できないのよ。あれは、馬鹿正直で愚かな女のお話だね」
トトは真顔でバレッタに伺います。
「あの赤ちゃんはどうなるんですか?」
「あの赤ちゃんは・・・・・・さぁ、どうなんだろうね。じゃあ戻ろうか」
バレッタの言葉を無視してトトは赤ちゃんの元へと走り出します。ですが、ここは虚構の世界です。トトが赤ちゃんの元にたどり着く前にあのバレッタの住む森の小屋でした。
裏レシェフはその状況を冷静に、トトは少し辛そうな顔をしている中、バレッタはいつも人懐っこい表情を二人にみせてからこう言うのです。
「じゃあ次よもっか!」
★
「なんとも救いのないお話なのです。その”忘れじの村”何処にあるんですか?」
「15世紀のイングランドあたりでありんすな。お茶の方のおかわりはいりゃせんかえ?」
カウンターから汐緒は可愛らしい二人に頬杖をついてそう言うと、少女の方は微笑んでそれを受ける。
「そっちの男の子の方は甘い物は苦手かや?」
「う~ん、俺は、お腹いっぱいだから」
「そうでありんすか、二人はどこかに行く途中かりょ?」
汐緒の質問に少女の方がこう答える。
「この近くに、古書店があると聞いたのです」
「神保町は世界一の古書店街でありんすからなぁ~、店名とか分らないかや? だいたいお得意様だから連絡もとりょうよ?」
元蜘蛛の大妖怪とは思えない手際で汐緒はタブレットとスマホを見せる。少女は指を鼻に手を当ててから少し困った顔をした。
「そんなに沢山古書店があるのですね・・・・・・分る事は甘いお菓子が好きな店主さんというだけなんです・・・・・・これだけでは分らないですよね?」
「あぁ、セシャトさんでありんす! 案内してあげりょ」
なんだか、汐緒のコミカルさに少女と少年はどっと笑いが漏れた。
『怪物少年と化物少女が“幸せ”を探す物語 著・北澤ゆうり』今回は本作の世界感に入ってみる事にしましたよぅ! それにしても私を訪ねてきている方は誰なんでしょうね^^
皆さんは何処まで本作を読まれたでしょうか? 私はもう何回ループしたか覚えていませんよ!
ヘカさんが本作は特に大好きで、よく推されていました!




