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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第四章 特別編・書籍版『婦好戦記~最強の女将軍と最弱の巫女軍師~ 作・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ』宙出版
35/90

文字の意味を引きこもりが考えてみた!

おはようございますっす! サクさんとメロンパンチャレンジ。なる遊びがおべりすくとヘカさんとレシェフさんの中で流行ってるっす。簡単に要約すると、ミーティング中にシア姐さんが堅いメロンパンを食べたいと話したのが切っ掛けなんすけど、サクサクするメロンパンが昔あったらしいんすよね。サクさんが好きそうとレシェフさんが言った事で、学生サクさんは多分ほぼ毎日メロンパンを食べているという勝手な設定が出来上がって、ミーティング前に時計回りに毎回、簡単なサクさんとメロンパンのショートショートを提出するという遊びがこの一月続いてたんすよね。最終話はシア姐さんが締めてくれたんすけど、サクさんが、生徒会室に早く到着して朝食にメロンパンを食べていたら、婦好生徒会長登場。「一口もらっていいか?」とパクりと食べて、サクさん、赤面エンドという。なにこの少女漫画の冒頭みたいあ終わり方でした。レシェフさんのメロンパンチャレンジは狂ってたので、勉強になったっすね!

「商王に神の魂がなぁ・・・・・・これは変な意味ちゃうねんけどな。古代や歴史上の王と呼ばれる連中にはこういう似通った部分あるねんな。一二三少年知っとるか?」



 なんの事だろう・・・・・・僕は分らないので首を横に振る。するとアヌさんは八重歯を覗かせてから馬車の外を見る。アキハバガラまで馬車で3時間。ゆっくりと揺られながら僕等は婦好戦記の話をする。そんな中で商王についてアヌさんが語る。



「商の国、せやけどワシ等は覚えやすいから殷やな。この時代は史実だけで判断すると、王の冠位はわりと低いんや。まぁ宗教感が色濃いからの、主神と、先祖神やら自然神やらがおって王。この時代やから武丁か? 古代エジプトみたいに王が神。ヨーロッパみたいに神の末裔が王族っちゅー考えでもないわな」

「日本はどうなんですか?」

「そら、タブーやけど、神が帝やっとんのが日本や。それは今はええわ。商の祖神。天乙。こいつ歴史考察から考えるとちょっと気触れてたかもしれへんねん。結局失脚して後の殷ができるわけやけどな。それと同じで微王もまた神、あるいはそう思う人格をもっとるわけや。今も昔も、少しおかしな奴を天使や神と崇める連中がおるからな。また、そういう連中はワシ等とは違うもん見とったりする。今風に言えば、ADHDってな。一二三少年の語る話がそれらの隠語やと、少しばかりおもろなってこーへんか? せやけど、ワシとばっすんはそこはそこ、ただのファンタジーとして読み込むんやけどな」



 途中で売られていたバナナを食べながら、バストさんが外の風に当たりながら言う。



「言葉も文字も、通じればそれでいい。織田信長の言葉を聞けば、文字に神格を持っていた人はどう思うすかね? 自分達も当たり前に使ってるからなんとも思わない事っすけど・・・・・・」



 どうだろう? サクはよく思わないかもしれない。でももしかすると・・・・・・もしかするかもしれない。



「そら微王と婦好は面白い! 言うて喜ぶやろ」



 きっとそれが王、将の器を持つ者なんだろう。僕等は文字も言葉も知っている。それを使えば遠い別の文化圏の人達とだって意思疎通が出来るんだ。



「言葉や文字は、この当時の人からすれば、魔法みたいなものなのかもしれませんね?」

「そうっすね! そして、自分達もまた今から魔法の国みたいなところに行くっすよ! ほら、見て見るっす!」



 電気の町。アキハバガラ。凄い! 電球が一杯。まだ町でもぽつぽつとしか見た事がないのに、こんなに沢山。



「電気街の元締めや・・・・・・目あわすな! こっち来るぞ。あと耳ふさげぇ!」

「えっ?」



 僕をアヌさんとバストさんが挟むように耳をふさぐ。二人が言うアキハバガラの元締めという人は両手を挙げて、乱した洋服を着た桃色の髪の女性。



「だーんたーりあーーん!」



 なんだなんだ? なんか叫んだ。肩に蛇を乗せたへんてこな女性。自信満々な表情と共に美人のハズなのに可愛いというイメージが来るのは何故だろう?



「これ、取り返しにきたんだよね?」

「あっ! 『婦好戦記 著・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ ヒストリアノベルズ』!」



 僕が盗られた本をこの人が持っている。という事は・・・・・・



「ワレが犯人か? ダンタリアンの姐さん」

「んんっ? 桃色と朱色に彩られた淫靡なる壁色(265ページ抜粋)。アタシを表現しているようじゃないか!」



 ダンタリアンさんの朗読は続く。なんだろう。優しい、激しい。そして、不思議と声が出なくなる。



「サク君はあれだね! 元気さんだな。アタシなら永遠に引きこもっていて太陽の下なんかいかなくても問題ない引きこもりだからね。知ってるかい男性諸君! 宮刑は、君達の大事な息子を縄で縛って壊死させるのさ、痛いだろうねぇ? 辛いだろうねぇ? よく陣痛の痛みは男の子には分らない、男の子の息子の痛みは女の子には分らないって言うだろ? これ実は一緒なんだよね。そもそも同じ生き物なんだからさ。男と女。役割が違うだけ浅ましい生き物さ、文字を作るか・・・・・・実に罪深いなサク君、そしてそれを命じた微王君はさ」



 違う。この人じゃない。この人は、僕から本を盗った人じゃない。今までのみんなの考えを否定するわけでもなく、肯定するわけでもなく、楽しんでいる。



「呂鯤君、所詮は人の子か、アタシなら殺した相手が枕元にたったら、それはそれは嬉しくて、毎日ご飯三杯は食べれるよ。呪いは脅迫さ、脅迫はサイコパスは通用しない。この時代の人々は実際信心深かったろうし、当然なのかな? サク君の文字作りからして日本人がいかに優れた人種であるかが分るとは思わないかい?」



 アヌさんとバストさんが黙る。僕にも分る。今はこのダンタリアンさんのペースなんだ。僕等は何故かオリジナルの書籍を持つこのダンタリアンさんに読み聞かされている。



「音で文字を作ったからすか?」

「そうさ」

「それは、元々漢字のベースがあったからやろ」

「そんな事関係ないよ。文字に意味なんて持たす必要は言葉でいいんだ。もちろん、呪術的要素、マウントを取る為の冠位的要素。漢字を作った中国文化は優れていたよ。それも認めよう。アタシが言いたいのは、こんな正直どうでもいいと思われる事。文字を作るという事に焦点を集めている事を評価したいのさ、それも命がけだよ。はっきり読者はふーんという感じで読むだろうね。でも実際歴史に気持ちを同化させてごらんよ。そしてこれは日本語で書かれているからこそ意味が分る。これはメリケンの英語でもダメだ、もちろん大陸の漢字でもダメだ。全ての表現が出来る唯一の文字、日本語だから出来ることさ。凄いだろ? 文字という奴はさ」



 ダンタリアンさんの瞳に色が消える。何を見てるんだ。

 この人、僕等を見ていない。



「マジでか・・・・・・同化を越えた同化。感応しとる。ワシらも」

「はじめてっすよ。見えるっすね」



 集団催眠なのか、僕等は今の時代の中国から歴史が退行していくのを見る。中華が統一され、そして統一される前の小競り合い。サクが作った甲骨文字を薬にして飲んでる人。さらに歴史が巻戻る。

 誰だろう? 婦好、サク? そしてもう一人の女性を画いた旗を掲げて戦争をしている人達。戻る。

 戻る。

 時代は戻る。



「おいおいおいおいおい! でたらめすぎるやろ!」



 アヌさんの叫び。

 僕等は、今。一人の少女が疲れてすやすやと眠る場所にいる。それは多分、いや僕には分る。彼女はサクだ。

 文字を作り疲れ、婦好に思いを馳せしばしの休息中なのだ。



「さて、アレだね。やらしー事し放題だよ二人とも」

「やらんわボケっ!」

「しねーっすよ」

「じゃあ、アタシが頂きマンモス(死語)。ぐえっうう・・・・・・サタさ、くるし」



 蛇がダンタリアンさんの首に巻き付きしめる。そしてダンタリアンさんはその蛇を無理矢理剥がすと地面に投げつける。

 すると一人の男性に変わった。

 癖毛でやる気のなさそうな男の人。



「まったくダンカス。お前のゲスっぷりに正直、殺したくなるな」

「まぁまってよ! サタさん、君達大人の男が三人もいるわけだよ? そして眠っている美少女がいるわけだ。やる事は一つじゃないか」



 それにアヌさんとバストさんが閉口している。サタさんは誰の了解も取らずに勝手に煙草を取り出すとそれに火をつけた。



「成る程な。死ね。お前の性癖は微王にこそ相応しい。寝所にでも行ってきたらどうだ? サクはいわば、神様じゃないか、文字を生む神様。不浄な目で見るのはやめろクソ悪魔め」

「そうかそうか、君は元々文字の神様だものね。今はアタシの引きこもり仲間」



 ジュ!



「ぎゃあああ熱い! 何するのさっ、サタさん!」



 サタさんは煙草の火をダンタリアンさんの額で消した。

 ヤバい、この二人なんかヤバいよ。



「うるさいなダンカス。サクが起きるだろ。灰皿がなかったんだ。君の額が丁度いいだろ」

「そーなんだぁ! ってなるわけないでしょ? 乙女の柔肌に、サクちゃんの文字の中に”媧”って文字混ぜちゃうぞ!」



 大声で騒いだから、目の前のサクが起きる。それに僕とアヌさんとバストさんは目を丸くして驚き、サタさんはため息。



「おい、ダンカス」

「はいはい」



 ダンタリアンさんはサクさんの前に行く。



「ん、んん。貴女達は・・・・・・」



 サクさんの頬に手を触れ、ダンタリアンさんは声色を変える。ダンタリアンさんの獣みたいな目の瞳孔が開く。



「サク、私の目を見ろ。これは夢だ。お前が作る文字がいつか、気が遠くなる未来に、誰しもが読み書ける。だなんて、夢物語すぎるだろうか? そんな夢だ。だが、私は信じている。お前なら出来る。次目覚める時はそうだな。花園を散歩するのもいい。何か茶でも興じるのもよいな。なんなら、我が寝所で共に昼寝でもするか? だから今は目を瞑り、休め。よいな?」

「・・・・・・はい、婦好様」



 ダンタリアンさんは凄い格好いい顔でサクさんにそう言うと僕等の方に振り返った。



「ふぅ・・・・・・やばかったね!」



 この人・・・・・・もう何がなんだか分らないや、サタさんはサクさんに毛布をかけてからもう一本煙草に火をつけると再びダンタリアンさんの額に火を・・・・・・



「あっっうう! それ、DVだからねっ!」



 ふと景色がアキハバガラに戻る。

 そんなサタさんは煙草を咥えながら語る。



「ダンカス。ネタバレはよくない。サクがいかにして文字を作ったのか、どんな気持ちでそれを想ったのか、それは僕達の心の中でいい。いや、読者自身で考えればいい事だ。漢字は、それ一つずつに意味と物語がある。今の大陸の人間はそれを殆ど知らない事が少し悲しくもあるけどね。でもそんな事より、文字が使われ続ける事に意味があるんじゃないかな? 誰とも知らない思い出は生き続けるんだ」



 凄くサタさんがいい事を言っているけど、ダンタリアンさんはひょうたんのお酒を取り出すとそれをガブガブ飲んでから笑う。



「でもさ。忘れられる事でその物語と意味は死ぬよね」



 凄い嫌味だ。それにサタさんは答える。



「馬鹿お前は? 使う者がその文字の意味と物語を更新すればいい。サクはその第一歩。歴史の礎を作ったにすぎないんだ。もういいだろ? ダンカス。その本を盗んだ娘と一二三君を会わせてあげなよ」



 ダンタリアンさんは、「ちぇっ」と一言呟くと、僕の手に『婦好戦記 著・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ ヒストリアノベルズ』を返してくれる。



「ありが・・・・・・わわっ」

「ぎゅう!」



 ダンタリアンさんが僕を抱きしめる。なんだろ? 桃みたいないい匂いがする。変な事をされるのかと僕は思ったけど、ダンタリアンさんは僕の耳元でこう言った。



「そろそろ、起きる時間かもね。寝ぼすけ、一二三君。いや、ひ・ふ・み君。そこのアヌさんとバストさんと別れる事と、あの娘ともう一度会う事。選びなよ。君はどっちを選ぶ?」



 僕はアヌさんとバストさんを見る。アヌさんは頭をかきながら、バストさんは頷く。僕等のこの旅がもうじき終わる事を意味していた。

 僕は、この二人と別れたくない。

おいっす!アヌやでぇ、『婦好戦記 著・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ ヒストリアノベルズ』職場用に三つこうてん。ワシ、文章関係の仕事しとるからな。職場のアホ共にありがたく読みなさいとオススメしとるわけや。ワシもサイン本買いたかってんけどなぁ。でも、ふしぎのメンバーがみんな買ったら、他のファンが買われなくなるっちゅーのも分んねんけどなぁ。不要不急の外出控えとんねんから、それくらいええやんな? えっ? 一二三姐さんとワシが恋仲になるんを阻止した? じゃあ、ワシとばっすんと一二三姐さんで三仲になったらええやん! 次回、一二三少年はワシ等を選ぶのか? それとも、あの帰ってきたあざーとすを選ぶんか、そして最終話は今までとは違った趣向が色々あるから必見やでぇ!

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