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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第四章 特別編・書籍版『婦好戦記~最強の女将軍と最弱の巫女軍師~ 作・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ』宙出版
29/90

低年齢層が楽しめる作りってなんだろう?

よっしゃー! このコーナーをみんなのみんなのアヌお兄さんが一ヶ月間、登場やでぇ!

いきなり、セシャトさん、ブログ担当。東京組がコロナで自粛要請指示もあり、西のワシ等に業務譲渡しとるんやけど毎週。ワシ、ばっすん。そして時々シア姐さんでミーティングしながらふしぎの運営、くそ面倒いけど一ヶ月頑張るでぇ! 唯一東で業務があるヘカさん、ワシ等の西に来てええんやで!

「ワシ、すたみなソバにかしわ握りな!」

「にしん蕎麦にバッテラを、あと剣菱。一二三さんは何にするっすか?」



 あれから、二人は僕を連れて一軒のそば屋にやってきた。

そばか・・・・・・。



「一二三さんはおそばは嫌いっすか? すみませんっす。アヌさんソバ清くらいソバが好きな人なんすよ」



 なんだったか? 落語の演目の一つだったな。アヌさんはどうも西の人の色が濃い。大阪か京都か・・・・・・ソバ好きという事は・・・・・・



「アヌさんは京の方ですか?」

「分かるかぁ一二三少年! せやで! まぁ、ワシの上方語聞けばすぐに京弁て分かるけどな! で、こっちのばっすんは居留地、港の神戸出身や。一二三少年は何処出身やねん!」

「僕は・・・・・・何処だろう・・・・・・」



 記憶が曖昧だ。そんな僕の頭をぐりぐりと撫でながらアヌさんは今だメニューを頼んでいない僕の代わりに店員にこう言ったのだ。



「おい! おっさん! おっさん! 天ぷらソバとサイダー持ってきてんか!」



 天ぷらソバ5円に対して・・・・・・サイダー10円。そんな贅沢をと思ったけど、アヌさんはおちょこに入れたお酒を飲むのを待ってる。



「とりあえず! 一二三少年とワシ等の出会いにかんぱーい!」



 酒盛りならぬソバ盛りがはじまったのだ。



「それにしても、白装束の巫女なぁ~もう少し時代が進んだら狙い撃ちやな」

「どういう事ですか?」



 アヌはすたみなソバの卵の黄身を潰してそのおつゆを飲みながら、目をつぶってそのおいしさを表現する。



「この時代はまだ原始的な殴りあいが多かったかもしれへんねんけど、これからもう何百年か立って婦好さんの国滅ぼした周が衰退した頃からのメインウェポンが飛獲物。ボーガンが登場しよる」



 片目を瞑ってアヌさんが指を向けてバン! というのが妙に愛らしくて僕は笑ってしまう。



「このなんでもそうやけど、古代の戦争は思ったより人が死なへん。それを政治的に行っているのかは知らんけど、一定のルールを持ってたわけや。中国人ってイメージは大分イカれてるけど、そこはやっぱり文化の国やって思うわな」



 日本の多くの文化は中国から来ている事は誰しもが知っている事だが、戦争の仕方まで当初は似通っていた。



「じゃあこの時代のメインウェポンはなんなんですか?」

「そんなん決まっとるやろ」

「そうっすね。馬術っすよ。作中でも、白装束の巫女を斬らせて血と油で武器の切れ味を落とす旨の事を書かれてますから、斬るより叩く。叩くより、刺す。だとすれば、馬上からのリーチで攻める方が圧倒的に強いっす。一二三さんの話では殷帝国の技術力は頭一つ抜けていて鬼公軍はチャリオットを増産する力がないんす。ここは実に中華民族らしくて面白いっす」



 色々叩かれそうなので割愛するけど、パクりが上手いのは実は中国ではなく我が国日本だったりするんだよね。パクるだけじゃなくて、パクった物以上の物を作っちゃうんだけどそれは一重に我が日本帝国の技術力の差とまとめておくのがいいかな? バストさんが、バッテラをつまんで美味しいそうに食べながら語る。



「一二三さんの話を聞くと、その本はどちらかといえばわりと低年齢層が楽しめる作りかもしれないっすね」



 僕はそれに少しばかりの衝撃を覚えた。低年齢層に向けた作品とバストさんは言う。そしてアヌさんはかしわにぎりを半分割って「少年くうか?」とか言ってるし・・・・・・



「なんでや! って顔しとるな一二三少年。簡単な話や。この作品、内容はそんなに難しい事書いてないねん。分るか? 正直歴史ものとしては大きく物足りん。それは史実ベースよりも物語ベースでパワーバランス割いて書かれ取るからな。歴史ってはっきり言って好きじゃない奴からしたら眠い。わかりやすいもんは需要がある。だからこそ、逆にガキ共はあきひんねん。小学校の図書室とかにあっても全然読めるレベルや。難しい事書いてるのがええ本やないねん。分りやすいっちゅーのも大事やわな。多分な、同時期に出た作品も全部その色があるわ。こういうのをとっかかりに得て、ガチガチの奴を楽しむようになるんかもな」



 中々にアヌさんとバストさんの判断基準は面白い。難しい事を書いている物が優れた物ではないという事。ざっくりと分るという事の大事さ・・・・・・人の学習は深層意識に残るかどうかで決まるって何処かで聞いた事があるような。



「一二三少年の話を聞くに、新人が酒をついでまわらなあかんとか、ブラック企業やないかぁ~! のぉばっすん!」



 ばしばしとバストさんの背中を叩きながらご機嫌なアヌさん、えっ? お猪口二杯の日本酒でこんな感じ?



「アヌさんお酒好きの下戸なんすよ。元々頭はいい人なんすけどね・・・・・・恥ずかしいところすまないっす! どうして、この本を一二三さんからその怪盗が盗んだのか・・・・・・考えてるっす。はっきり言って面白い作品っすよね。自分、なんかデジャヴするんすけど、まぁそれはいいっす。心当たりはないんすよね?」

「・・・・・・はい」

「まぁ今は沢山食べて栄養つけるっすよ! サイダーと天ぷらそばは啄木セットっすから! 物書きが必ず一度は食べてみる組み合わせっす。自分は思うんすよ。婦好さんは強すぎるっすね」



 強すぎる。戦争が? 何がだろう。バストさんはちゅるちゅるとにしんソバを楽しみながら目を瞑る。作品を創造しているんだろうか?



「強すぎるというのは?」

「キャラが立ちすぎるという事っすね。これは永遠の課題っす! これだけ魅力的なキャラクターを造形できるのは凄いっす! 大前提っす。印象に残るからこのキャラクターを舞台で踊ってもらうのに、他の縁者や舞台装置のギミックが大変なんすよね。原作の時はサクさんとの温度感がちょうどよかった・・・・・・って何言ってるんすかね? 自分、この作品を知ったのは今日がはじめてですし」



 僕もだ。バストさんと同じで、僕はこの作品を別の視点から知っている。なんだろうこの気持ちは・・・・・・



「セキさんって中々いいキャラクターっすよね!」

「みんなのお母さんですからね」

「でも、なんか死亡フラグを感じんねんな・・・・・・こういうええおばちゃんが、マジでどうでもええ事で死んでもうて心折れる展開とかなぁ」



 アヌさんが復活した。そして僕をじっと見つめる。



「な・・・・・・なんですか?」

「よう見たら、一二三少年。中々綺麗な顔しとるなぁ!」

「アヌさん! ただでさえ、自分とアヌさんが衆道的な目線で見られてるんすから! やめてくださいっす!」



 バストさんとアヌさんは滅茶苦茶仲良しだ。でもよく周りを見ると女のお客さんが二人を面白そうに見つめてる。もしや・・・・・・アヌさん。



「婦好軍のメスガキ共が婦好に恋いこがれとるやろ! それと一緒でばっすんもワシの事尊敬しとるから恋こがれとるのと一緒やろ!」

「ちげーっすよ! そうそう、アヌさんに聞きたかったんすけど、サクさんめっちゃイジめられるじゃないですか?」

「せやな! 同じキツネでもウチの店長はイジメかっこわるい! 言うてワシ等の事虐めよるよな・・・・・・キツネとか死ねばええねん」



 一体だれの事を言っているんだろう。アヌさんの獣の耳みたいな癖毛が弱々しく下向く。これもどういう原理なんだろう。

 丈の短い制服を着て配膳をしているものすごく綺麗な店員さんをアヌさんは手を上げて呼び止める。



「おぃ! 大友ぉ! いなり寿司や」

「えっ? なになに、俺の?」

「アホか! こんな昼間から何ワレは下ネタぶっこんどんねん!」



 ばちこんとアヌさんが綺麗な店員さんの頭を殴る。それには僕も黙ってはいられなかった。



「アヌさん、女の子を殴るなんて最低です!」

「は? こいつ男や、それも無類の女好きや、そして女よりも女の格好した自分が好きという救いようのないやっちゃの」



 三角巾をうまいこと髪型にマッチさせたつけ方をした綺麗な店員さん、それも男の子の大友さんは大皿に沢山のいなり寿司を載せてもってくる。



「ほんと、あの全然売れてない古書店でよくこんな贅沢できるよなアンタ等・・・・・・で、そっちの子供は何? 誰?」



 大友さんは僕の顔とくっつきそうなくらいまで近づく。凄い綺麗で、すごいいいにおいがする。本当にこの人男の子なの?



「あぁ・・・・・・成る程ね。そういう事か、でなんで君はこの形を持ったBLと一緒にいるの?」



 僕は大友さんにも話した。本を取られた事。それを聞いて大友さんは、僕等に出したいなり寿司を一つひょいと食べてから話し出した。



「う~ん、あんまりオススメはしないんだけど、あそこ行ってみたらどうかな? 人形町の方なら犯罪者も沢山いるよ。あそこ何回か俺も勧誘されたんだよな。まぁ、断ったけど」



 人形町って・・・・・・まさか。



「吉原っすか、確かにあそこなら盗人の一人や十人はいるっすね。あそこの花魁も自分達あんまり相性がよくねーんすけど・・・・・・」



 アヌさんはぱくぱくといなり寿司を食べる。甘めのお寿司やおにぎりが好きだという事は僕はここ数時間で分った。アヌさんはお茶で喉を潤すとこういう。



「ある意味、吉原は女ばかりの軍隊や、しいていえば婦好軍や」

「いや、全然違うっすよ」

「ワシ、思うねん。その本の手がかりが吉原にあるんちゃうかってな!」



 アヌさんの目がギラついてる。あっ! でもそのおかげで、銭湯にはいかなくて済むかもしれない。



「おい! 勘定や大友ぉ!」

「うるさいよアヌさん。他のお客さんに迷惑だろ?」



 丈の短い振り袖的な制服を着た大友さんとしばらく絡んだ後、上気した表情の大友さんにアヌさんは20円の支払いを済ませて僕等は人形町に・・・・・・



「よっしゃ! ソバも喰うて腹もいっぱいやし、銭湯行くか!」



 人形町に・・・・・・



「えっ? アヌさん、今なんて言いました?」

「最初にも言うたやん。銭湯に来まっとるやろ! 毎日昼と夜に銭湯行って汗流す。これがワシの楽しみの一つやさかいな!」



 覚えてた。バストさんに助けを求める目をおくってみるも・・・・・・



「自分もアヌさん程じゃねーっすけど、銭湯大好きっす。疲れもとれますから、一二三さんも行きましょうっす!」



 い、いやダメだ!



「なんや一二三少年。小さいから見せとーないんか! そんなんかまへんかまへん!」



 かまへん! じゃないんだよぅ!

おべりすくの三番手、バストっす。特別編・書籍版『婦好戦記~最強の女将軍と最弱の巫女軍師~ 作・佳穂一二三 画・マキムラシュンスケ』宙出版 皆さんは購入したっすか? 実は自分、ふしぎから配られた物。そして自分で購入した物と誰かに貸す用で三冊持ってるっすよ。あと一冊くらい買ってもいいかもっすね。

 また、同時期に出たヒストリアシリーズも全部購入したっす。これらは本編にも書いた通り、小中の図書室とかにおいててもいいかもしれねーっすね。背広アヌさんが、この前ルクアイーレの下にある串カツ屋さんで、同席した教員の人にオススメしてたっす。

最近コロナの影響で外食が難しくなってきたので、シア姐さんの家かアヌさんの家で食事会が多いっすね。実はアヌさん、滅茶苦茶料理上手っす。魚を一匹買ってきてお造りとかしちゃうっす。本編の羊裁判(神判)についてアヌさん的見解が面白いんすよね。

次回も是非楽しんでくださいっすね! 大正獣に事件の嵐っす!

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