考えるななん! 面白いと感じるのが最高の感想なん!
3月は去るといいますが、古書店『ふしぎのくに』よりマスクの配布がありました。全員に二十枚ほどでしたが、どうやって購入したんでしょうか? ダンタリアンさんあたりが何か動いてくれたんでしょうか? ふしぎです。ここ最近、コロナショックにプラスして、私が大量の作品データを消去してしまった事で、実は大混乱継続中なんですよね・・・・・・ですが、フレッシュな気持ちで頑張りますよぅ!
木人とハチドリは二度見する。
あのヘカが、いまや高身長の妖艶なお姉さんとしてそこにあるのだ。
「Nドラッグ。般若湯とかヴェーダとか、あるいはナノマシンか、いずれにしても、滾るんな! エナジードリンクコレクターのヘカも一発キメてみたいん」
今までのヘカが言えば、馬鹿で済んだかもしれないが、今のヘカが言うと、妙にエロい。某外国人が多いクラブにいるようなそんなヘカ。
ヘカは頭から羽ペンを取り出すと蓮華微笑を見せる。
「やるんな! この秋葉原に巣くうあの妖怪をやっつける助っ人を呼ぶん! 木人ちゃんは物語のキャラクターに会いたいって言ってたんな? ハチドリちゃんは、オリジナルを見て腰を抜かすといいん!」
木人とハチドリは、Nドラッグではないが、エナジードリンクカクテルをキメたヘカが大分ヤバい方に入り、そしてこのヘカなら本当に奇跡の一つや二つ。そう、あの大食らいの白い少女を呼び出すような事もあるいは・・・・・・そう思った。
「фцумновн(Web小説疑似書き出し)」
ドドーン!
「「きゃっ!」」
稲妻がそこに落ちる。
まばゆい光に木人とハチドリは小さな悲鳴を上げ、そしてヘカの大きさがやや縮む。腰ほどあった髪の毛もセミロングほどに落ち着いた。
「ヘカの大好きなあとり・・・・・・なん?」
白い髪にやや挑発的な金色の瞳。そして、恐らくはヘカ、木人、ハチドリと不良少女達にとっては天敵とも言える少女がそこに立っていた。
「貴女達は? それにここは何処ですか?」
「うほーー! ヘカ殿! 鳰! 鳰がいるよぉお! 我が輩てっきりあとりんが呼び出されるとばかり思っていたのだが」
ヘカは昼間に見える白い月を眺めながら絶対嘘とバレるような事を言ってのける。
「この場合は、あとりたんじゃなくて、鳰たんの方が適任とヘカは感づいたんな!」
勝手に話を進めるヘカ達にややイラ立ちながら鳰は言う。
「誘拐および略取で逮捕しますよ?」
逮捕という言葉を聞いてヘカと木人があからさまに嫌な顔をする。そんな状況でヘカはやや育った胸を突き出して鳰にこう言った。
「鳰たん。ヘカは鳰たんのお姉ちゃんなんな!」
「貴女のようないかがわしい姉を持った覚えはありません」
ヘカは汐穹臣氏の創作としては自分の方が一日の長がある事を長々と語ったが、それに対する鳰の対応は死ぬ程ドライだった。
「言っている意味が、全く分りません。薬物の疑いすらでてきましたね」
「キメてるのは薬物じゃないん! エナジードリンクなん!」
このままではらちがあかないと、目の前にそびえ立つ壁を指さして木人とハチドリが鳰に助けを求める。
「成る程、あの怪異を」
「あれは外宇宙の侵略兵器ヌリカベだぞ! 鳰」
「宇宙人と? ありえません。イザナミの観測でもむこう数千年は他惑星の生命体と遭遇できないと言われています」
そう言って心底あきれる鳰。そんな鳰に木人とヘカは真上を指さす。それにつられるように鳰を上を向いてフリーズする。
「あれは・・・・・・」
ゴチャゴチャしているが確かにそこには宇宙船。無意識に自分の頬をつまむ鳰にヘカは語る。
「におたんは、少しばかり物事を本質で捉えすぎなんな! ただそういう造形、嫌いじゃないん! ナンバー1より、オンリー1なん! あとりたんは万人に受けるヒロイン象なん、そして鳰たんは、好きな人はとことん嵌まるヒロイン象なんな!」
実際、あとりは前回も語ったが老若男女に愛されるキャラクターとして書かれる。また鳰は女性に愛されやすい造形がなされている。と、そんな事を本人の前で言おうものなら・・・・・・
「喧嘩売ってるんですか?」
「・・・・・・違うん! とりあえず鳰たんにはこれをやるんよ! はいなん!」
白と黒の丸い石をぽいぽい放り投げる。それを慌てる事なくキャッチする鳰。さすがの運動神経にハチドリは目を輝かせ木人は「ほぉ」と驚く。
「これは・・・・・・碁石ですか?」
「ハマグリで作ったお江戸の古い碁石なん。におたんなら上手く使えるん」
セシャトの古書店の中にあった囲碁セット。誰も碁打ちなんてできないので、ヘカがもらったそれ、白と黒で作品とのシナジー効果が高いかとヘカは思っていたが、それ以上に大技物であるその碁石は神秘具としての性能が高かったらしい。ドライな鳰もややテンションを上げてヘカに言う。
「これはいいものですね。馬鹿さん」
「馬鹿じゃないん! ヘカなん! でも気に入ってくれて良かったん! さぁ行くん! ヌリカベ退治なん!」
木人は作品のキャラクターと共闘する事に瞳孔を広げ、喜びを表わすが誰も気づかない。木人は走りながら鳰に言う。
「鳰、遅れるな」
「私に指図しないでください」
とは言うものの、鳰は木人に合わせて走る。助走をつけた木人は急に止まると手を組む。それに鳰は木人の組んだ手に飛び乗り木人は鳰を高く飛ばす。
それに続くように木人もジャンプ。
「去死吧(死ね)!」
ヌリカベに木人は鎖分銅を放り投げるが、密度の高いコンクリートにはじかれる。舌打ちする木人を横目に鳰はヘカに渡された碁石を三つ鳰は力を込めて打ち出す。
「散!」
鍛鉄の分銅で壊せない密度の高いコンクリートのヌリカベだったが、鳰が力を込めた碁石で穴を穿つ。それに見とれるヘカと木人、そして・・・・・・
「あっはっは! あーっはっは!」
馬鹿笑いをしながらハチドリは、ヌリカベの前に立つ。そしてヘカを見てきらきらした目でハチドリは八重歯を覗かせる。
「ヘカ殿、我が輩。この未開惑星の事はてんで分らなかったが、一つだけよく分ったものがあるぞ! これは心理ではないか?」
また何をアホな事をハチドリは言うのかと、そう思っていたヘカだったが、ハチドリはボールペンのような何かを持ちながら、指を銃のような形にしてヌリカベに向ける。
「『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』は格好いい。可愛い。そし面白い。要するに、そう思えて読めるのだ! それでいいんだろ? うだうだ変な事を考えず。無心で楽しむのだ!」
ヘカに木人は驚く。
その通り。
それは作品を楽しむ上での基本であり至高。小さな子供の心が成長して少し物事が分るようになった時、彼ら彼女らが興味を持つものは格好いい物、可愛い物。意識に感性に語りかけてくれる事を好む。
そして、ハチドリにとって『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』はそうだったのだろう。
「ハチドリちゃん、正解! やっちゃうん! ハチドリちゃん!」
「いけ、ニィア」
ヘカと木人の激励。
そして、鳰が・・・・・・
「任せましたよ。ハチドリさん」
ハチドリは目を丸くする。鼻水が出そうなくらいテンションが上がり、そして弓を引くようなジェスチャー? ポーズを取る。
「未開惑星における、中規模騒乱罪により、公務執行。コスモライフル照準・はっしゃだぁああ!」
ヘカと木人と鳰はハチドリばかり見ていたが、上空に止まる宇宙船から放たれる光、あっ、そっちから出るんだと思うが、鳰が貫いた部分からコンクリートのヌリカベを完全に破壊し、その中心には・・・・・・大きなタコみたいな宇宙人。
その姿にヘカが、木人と鳰の考えを代弁する。
「か、火星人なん!」
それに驚くハチドリ。
「さ、さすがヘカ殿だ。宇宙人の人種識別まで」
H・G・ウェルズの火星人象が120年の時を得て証明された。ハチドリのコスモライフルはどうやら兵器ではなく・・・・・・コンクリートを全て元の場所に戻し、火星人を逮捕する為の手錠。火星人はハチドリの宇宙船に連行されていく。
そして、ハチドリは目に涙を浮かべながら、いや、滅茶苦茶泣きながら三人に別れを告げる。
「えっぐ、ひっく・・・・・・我が輩、このぉ、ど田舎すぎる未開惑星での仕事がぁ・・・・・・終わったのだぁ・・・・・・帰らねばならぬ。ヘカ殿、『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』を教えてくれてありがとう。木人殿、助けてくれてありがとう。鳰、これからの頑張って欲しいのだ。そして、最後に皆、これを見て欲しい」
ハチドリはボールペンのような何かを見せる。それを見る三人。それはピカ! と光り、光った後にはハチドリの姿はない。
鳰は言う
「私は・・・・・・一体ここで何を? とか言えばいいんですか?」
そう、三人はハチドリが見せるボールペンのような何かを向けられた瞬間目を瞑った。あまりにもベタすぎる記憶消去装置。
使い古されて、無意識に反応した。
「まぁ、あれなんな。ハチドリちゃんは最後までハチドリちゃんだったん。鳰たん、ありがとうなんな!」
そう言ってヘカは鳰に抱きついた。それを見た木人が一言。
「ずるい」
そう言って鳰に同じく抱きつく。
「痴漢行為で逮捕しますよ?」
そう言う鳰の口元は少しばかり緩んでいた。そして光り、薄くなっていく鳰。作品世界から呼び出した鳰がその場からいなくなり、ゾンビのように徘徊していた秋葉原の人々も元に戻った。
「仕事は以上だな。報酬は欄姐姐にあとで請求しておく」
木人はそう言ってその場から去って行く。ヘカはまた一人になった。どうしようかなと思った時、神保町に戻って『『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』』を読みながらスマトラでカレーでも食べようかと思った時、またしても占い師を見つける。
そしてヘカは占い師のところに向かった。
トン!
ヘカは無言でモンスターエナジーを置く。
「ヘカちゃん、やったね?」
「うん、やったんな。ヘカがここに今いる事は不思議な縁なん。お母さん、お父さん? ううん、汐 穹臣たんが描いてくれなければヘカはこんな狂った世界で楽しくおかしく生きてはいなかったん。ありがとうなんな」
「どういたしまして」
ヘカは普段よりも少しだけ成長した姿で占い師にこう言った。
「この姿のヘカも描く!」
「いや、忙しいよ」
「じゃあ、せめて『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』はやく書くんよ。少なくとも、ここに大ファンが更新を待ってるんよ。あと、遠くの宇宙からあとりたんもどきの宇宙人とか」
「・・・・・・考えとく」
「作品は、楽しむ為にあるんな。そこでは考察や推測なんて、付加価値でしかないん。だから、ヘカはこう言うん。『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』はめたくそ、面白いん!」
「ありがと・・・・・・ふふっ」
ヘカが普段よりちょっとある胸を張ってそう言うので占い師は吹き出した。愛すべき馬鹿。ヘカ、名前があるだけの脇役をここまで濃いキャラクターにしてしまった事にはトリガーである自分にもやや責任があるかと・・・・・・
「ヘカちゃん、カレー食べに行こうか? 奢るよ!」
「スマトラなんな!」
「ボンディーだよ。分ってないなぁ~」
「ヘカの事も、續たんに描かせるん! ちょっと胸を盛ってなんな!」
「そんなの無理だよ! 代わりにカレー大盛りにしてあげるから」
「まぁ、それで手を打つん」
ヘカは占い師と手を繋いで神保町に向かう。その表情は、普段みせないような子供が親に甘えているようなそんな表情で・・・・・・
「カレー屋で『モノアト』談義なんよ」
「作者相手に? のぞむところだよヘカちゃん」
ヘカはもう一度だけ、聞こえない声でこう言った。
”ありがとうなんな、素晴らしい作品を生み出してくれて”
『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』本日をもちまして、一端ご紹介を終了させて頂きます。そして、最終話でも語ったように、面白い。それだけ感想はいいんです! それを越える感想や考察はありません。私達は興味を持って頂くためにあらゆる方向から作品を読み取ります。時にはネガティブな事もあえてあら探しします。それは一重に、穴が開くほど読み込めるという裏返しでもあるんですよぅ! 是非、白も黒もある本作を読んでくださいねぇ!




