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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第三章『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 箸・汐 穹臣』
26/90

分りやすい伏線と分かりにくい伏線なんな!

コロナウィルスで政府の方々が色んな事を考えられていますね! 私達古書店『ふしぎのくに』はとりあえずの一時金として一人3万円の支給がありました。中々外に出られませんが、皆さん一緒に耐えましょうね!

 秋葉原に巨大な壁が現れてから早一時間。特に動きを見せないので、ゾンビのように徘徊している人々を避けながら現地へと向かう。



「きっとこれが鵺達ならかっこよく退治していくんな!」

「無駄な戦闘は体力を奪う。物語と現実を一緒にするのはよくない」

「木人ちゃんは分ってないんなぁ! ここで神秘具とかを使うんよ!」



 作中の日本の伝統的な道具という物そのものをそう言った仏教で言うところの法具にしてしまうあたりが、本作のセンスが光る一面である。それをやっぱり理解できないのはハチドリ。



「えっ? なんで昔の道具がそんな魍魎とか化物退治に使えるのだ?」



 新しい物の方が性能がいいじゃんねとアホ面で言うハチドリにヘカはため息をつきながら語る。



「まずは、子供の昔の玩具から考えるんな? メンコにビー玉におはじき、剣玉にゴム跳び。なんでも音が鳴るんな? 音が鳴る物は邪気を払うん。実際は知らない人が近寄ってこないようにという意味もあったんかもしれないん。古来からある物は、道具としての利用と二面性を持っている事があるん。この行灯もそうなん。今でいうところの電灯代わりだけでなく、元々は火炎信仰から来てるんよ。日本の伝統的な物は殆ど、信心深いんな」



 ヘカの言っている事と作品がクロスしているのかは別として、さらに補足すれば古い物。日本では古来より九十九信仰もよく考えられている。

 百年使った道具には魂が宿るだったり、100歳(20歳)生きた猫は化け猫になる等。古い物にはある種の畏れのような物を抱いている。

 2019年の一月作品の考察時にも語ったが、日本の神道は面白い事に恐ろしい物をも祭り上げて神にしたてる癖がある。



「邪を滅するは魔か・・・・・・チベット仏教やヴァチカンだな。それにしてもこの作品の面白いところが超科学という物にさらにもう一足踏み込んだ認識を作品の世界感のベースにしているところだな」

「超科学なん?」

「あぁ、オカルトをオカルトと一言で言ってしまうとそれまでだが、それらを証明、あるいは仮定する事を考えた学問だ。世界にも実は超科学を学べる大学が何処かの國に唯一存在している。超科学側面と科学側面は全く違うものだが、合わせ鏡のような部分も存在する、それらのホライズンが交わるものが十前とやらの得意とする複合科学なんだろう」



 木人がそう語るのにヘカは成る程と理解するが。ハチドリは当然わからずに地団駄を踏む。自分だけが仲間はずれにされたあの感じに近いのだろう。



「我輩にもわーかーりーやーすーくぅー!」



 ヘカはため息、木人は口の端が僅かに緩む。



「例えばの話だ。十前のような奴がいれば、例えば魍魎に効果的な伝説の武器が一つあったとするだろう?」



 うんうんとハチドリは頷く。



「それを科学的側面、超科学的側面から解析し、同じ物を無限に複製できたとすればどう思う?」



 例えばの話だが、物語としては実に夢がない。されど、現実的には考えられる事である。ヘカと木人が言いたいことは・・・・・・



「学、知識とは刃よりも強い力という事だ。それと同じでしっかりと統率された組織もまた強い。(おれ)やヘカは警察という連中とはめっぽう相性が悪いからな。あいつらは無能に見えて、それでいて中々に鋭くややこしい」



 ヘカと同棲している欄は世界的指名手配、そしてこの木人はこの日本に不法滞在、不法就労をしている。中国本土においては大量殺害者として、日本からの引き渡し要請を受けている。最後のヘカ、神保町界隈では個人騒乱として警察から目を光らされている。



「本作は、もちろん物語だから魅せるように描かれてはいるが、実際の警察組織も鵺達のように案外フットワークが軽く、そして横の繋がりが異常に強い。警察組織というものもよく分ってるな」



 それにはヘカが褒められたように目を瞑って腕を組む。



「まぁ、伊達にヘカのお母さんじゃないんな! そしてサメがやられているのを読むんは、スカっとするんなぁ!」



 ヘカは自分達の生みの親である神様が、ジンベイザメを依代にしている事から、ことサメという生物に関して苦手意識があった。



「ヘカ殿、木人殿。サメがあとりの名前を呼んだぞっ! しゃべりやがった!」

「ほんとに神様なんじゃないん? というのは冗談なんな! そもそも化物は喋らない。だけど、謎多きあとりたんをサメの化物は呼んだん。ハチドリちゃんは気になるんな?」



 さすがに死ぬほど鈍いハチドリでも気になって頷いた。



「これを伏線って言うん。大きくわけて分りやすい伏線と、わかりにくい伏線とがあるんな? 今回は、どう考えも謎を残してくれてるん分りやすい伏線。いわば作者が最低限読者の頭の中に入れておいて欲しい情報なんよ!」



 仕掛けという物に関しては読み手の木人より書き手のヘカの方が分りやすい。気づくと後ほど得したような気持ちになったり、最悪そこが分らなくてもストーリー展開において混乱が起きにくいものを、わかりにくい伏線として配置されていたりする。数学的に考えると、エンディングから逆算して物語を構成していくので、伏線も張りすぎると後々回収がやっかいになるのがそういう理由からである。

「多重債務みたいになるんな! 終わりが変わらないのに、伏線はりすぎると伏線回収できなくて、打ち切りくらうか、大幅に改訂をくらってキャラ物作品が気がつけばバトル物に変わってるなんて、週刊少年ジャンプなんかではよくあるん。伏線は読ませる為に張るわけなんな? だから、わかりにくいより、むしろ分りやすい方がいいん」



 ヘカがエナジードリンクを飲みながらヘカは満足した顔で語る。



「鵺も二心抱いているように見せて、これでみんなの事を考えていてイケメンなんな。でも確かにまさぎたんの言いたい事も分るん」



 それにはハチドリがアホ毛を動かしながら同意した。



「アレだろう? 一騎当千の組織作りをなさい! かなめ捜査官が言ってたぞ!」

「ちょいちょい出てくるけど、その人誰なん? でもそうなんな。鵺を中心とした現行チームは確かに強力なん。ブレインがあまりにも優秀すぎるん。でも、誰もが同じ事を出来るような組織の方が潰しがきくん。それは警察だけじゃなくて、どんな仕事でもなんな! ヘカも手伝ってる古書店”ふしぎのくに”も販売、運営、接客、手入れと、セシャトさんがいなくても一通りヘカも神様もトトさんも出来るんな」



 ヘカはそんな事を言うが、実際殆ど仕事をしない。むしろ客に帰れオーラを全力で送る。ヘカはふと、本作に関して思い出した事を語る。



「こーいう、サイバネティクスと妖怪ものを絡めた作品は定期的に公開されるんな。古い物だと六十年以上前に新聞で連載された魔界転生、平成前期だとサイレントメビウス、中期後期だと喰霊や屍姫。ガンツなんかもそうなんな」



 要するに、日本人は妖怪物が好きなのだ。定期的に水木しげるのゲゲゲの某が放送されるのもそういう意味合いが強い。この科学が発展した時代だからこそ、その時代時代における最新流行を取り入れた妖怪物が展開されているのかもしれない。

 ヘカの話を聞きながら、確かに最近の物語はやや小難しい設定を付加価値に与えてくれるものが増えた。それは一重に読者の知識や目が肥えてきているという事も関わっているのだろう。

 昔は設定を用意する必要が無かった。



「妖怪は夜に出てくるものとか、森の中に出てくるものとかだな。でも最近は何故そうなるのかという設定が必要になってきたものだ・・・・・・それらを現代科学やらで代用してしまって物語りをすすめ、深みをつける。実は随分昔から使われてきた手法だったのだな・・・・・・実に興味深い」



 木人は納得し、そして指を指す。

 巨大な壁。

 ハチドリ曰く、ヌリカベなる侵略兵器を見上げる場所にやってきた。それはそれは荘厳な風景だった。まさに巨大な壁が不自然にそびえ立っている。



「ニィア、どうするんだ?」



 木人の質問に対して、ハチドリは目を輝かせる。そしてボールペンのような道具を見せる。



「こんな未開惑星のゴミみたいな素材であるコンクリートなんか、我が輩のバトルシップのでばらばらにしてやるもんね!」



 空が明るく照らされる。そして上空から我が物顔で現れるのは、それはそれはハチドリが乗ってきたんだろうなと思える厨病をこじらせたような、とりあえず格好いい部品をごちゃごちゃつけた宇宙戦艦が出現した。



「秋葉原によくいるんな! 良かれと思ってごちゃごちゃ改造しまくったクソスポーツカーに乗ってるチャラ男とオタクなん」



 グサっ!

 そして木人の追撃。



「あー、そうだな。モノアトのスタイリッシュさが、ニィアには足りんな。まさにお洒落に目覚めたはいいが方向性が独特すぎるオタク男子のようだ」



 グサグサっ!

 ハチドリは顔を真っ赤にして怒る。



「我が輩のバトルシップは強いんだぞっ! こんな未開惑星なんか、我が輩のバトルシップの主砲フレスヴェルグで一発なんだからなっ!」



 大きなレンズから爆縮されるエネルギー、ヘカと木人はその様子を見て、これは本気でやべぇやつだと直感する。



「まつん!」

「まてまて、早まるな死ぬぞ!」

「もう死なば諸共だ! 我が輩、ここまで辱められたのは産れてこの方7回目だ」



 ジュポン!



「ふぐうぅ!」



 ヘカはハチドリの口の中にエナジーバーをぶち込む。ふぅとヘカはポシェットからモンスターエナジーと激強打破、そしてアリナミンゴールドαを取り出す。



「ハチドリちゃん、妖怪退治に戦艦を使うなんて無粋なんな? ここにはキョンシーみたいな木人ちゃん、そして厨病を発症したある意味妖怪のハチドリちゃん、そして魔女のヘカなんな? あと一人、いればカルテットなん。妖怪物は四人が相場なんよ。白を呼ぶん! そして、これが最後の読書会なん!」



 ヘカはエナジードリンクにカフェイン剤に、栄養ビタミン剤。それを一気飲み。ヘカの中でそれらが化学変化を起こし・・・・・・

 ヘカの背が伸びる。140cmなかったヘカが180近い長身の女性に変わり、声もやや低くなる。髪の毛も腰まで伸びてヘカは妖艶に嗤う。



「久しぶりにハイパー化できたんな! これで、呼ぶんよ! 」

『モノクロームアトラクト~白黒世界で彼らは踊る〜 著・汐 穹臣』さて、いよいよ紹介小説もクライマックスです! 妖怪絡みの作品は色々と想像してしまいますよね! 今回ヘカさんが語ったように、本作にも知ってもらいたい伏線と、気がつけば楽しい伏線がちりばめられているかもしれませんよ! あなたのフェイバリット楽しみポイントを探してみませんか?

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