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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第二章 『短編作品ピックアップ第一期 箸・各種チーム』
17/90

『沈黙の弾丸 箸・タツマゲドン』

花粉症襲来ですよぅ! ヘカさんのおウチにお見舞いに行きました! リアルヘカさんはル・クルーゼの商品が好きなようで、お鍋とか食器とかが全部ルクルーゼで揃えられており驚きましたよぅ!

あと、結構近いです。百合っ子なのではないかと私は疑っています。花粉症、はじまったばかりですが、皆さん病院に早めに行ってくださいね!

 おいおいおいと、大友は焦る。信じられないくらいのオーラを放つ男性と、小学生くらい男の子が店にやってきた。今までは店員の耽美秀麗な男子に目を奪われていた女性客達が、その男性が美味しそうにケーキやココアを食べる様に見惚れていた。



「君は大友君だね」



 大友はその人物に見覚えがあった。少しだけ編入で三年生に入ってきた重工棚田グループの総帥。



「クリス先輩?」

「そうそう! で、こちらが僕の妹のボーイフレンドで、僕の親友である倉田秋文君さ。ここで面白いWeb小説の話が聞けると聞いたんだけど、どうやら今日はトーカーがいないんだね?」



 トトも汐緒もいない。今日は一人で午前中大友がまわし、午後からは学校の生徒達がくるハズ。それを伝えるとクリスは ほほ笑む。



「よし、じゃあここの食事代で手を打とうか?」



 こんな場所の食事代、クリスからすれば息を吸って吐く程度の話なのだが、それは口実なのだ。目の前の少年を愛でるようにクリスは大友のつけているインカムをつけるとこう言った。



「さぁ、今日いらしたお姫様方々。本日は僭越ながら、僕が一席設けさせていただくね! 今日は多分君たちが普段読まないような作品『沈黙の弾丸 箸・タツマゲドン』とても素直な作品を書く作家だ。とりあえず読んでみようか?」



 はじまりは、少し昔のアメリカ映画のはじまりのよう、そして確実に海外仕様ではない内容が飛び出してくる。



「グロック18、いい銃だね。僕はどちらかと言えば銃はリボルバーの方が好きなんだけどね。絶対ジャムらないし、ただスピードローダーを使って装填するとよく教官に怒られたものさ」



 クリスは三発ずつシリンダーに入れる真似をする。この店内に誰一人としてそれが某国の東洋人部隊における銃の扱い方である事を知らない。



「ハンドガンカスタムは基本肘で固定する程度なんだけど、カービンキットは馬上や船上で扱いやすいように拳銃を固定するためつくられた物。今は短自動小銃の事を言うんだけどね。でもこの作品のは多分日本の戦争ゲームで生まれた魔改造品……それがまた物語を作る上では映えるよねぇ!はい、じゃあここで皆にワンポイントね! 自動小銃。アサルトライフルや大型サブマシンガンだね。これを使っている連中相手に同じくアサルトライフルで襲撃する。正しいよ。よく映画とかだとハンドガンなんかで無双しちゃったりするよね? あれは中々難しい。手数の問題、威力の問題。色々とあるんだけどね。一番は心理的恐怖だね。小規模の環境なら米国の警察が採用していたショットガンサイガなんかが一番手早く制圧できるかもしれないけど、ハンドガンはダメだ。あれじゃあやりきれない」



 そう言ってオートマチックショットガンを撃つフリをする。それは子供の男の子が鉄砲の玩具で遊ぶように端正な顔立ちをした青年がそんな幼い表情をすれば母性本能は無理やり引き上げられだろう。そんな中大友は質問する。



「なぁ、小国くらいの力を持ったギャングなんているの?」



 銃を持つポーズを止めるとクリスはふむと頷く。



「まぁ、この作品に出てくるギャングはもうテロリストだね。でも昔フランスなんかで警官隊と銃撃戦をしたギャングなんて一個小隊くらいの力は持ってたらしいよ。さてここで、突入した彼らは近接戦闘を開始する。さぁ、ここで問題だ。近接戦闘で最も強い武器はなんだろう?」



 ガンスリンガーな作品が好きな少女達もいる。ナイフだ銃だと色々と意見をクリスに答え、クリスはうんうんとどの意見も否定しない。



「素晴らしい。君たちは、いつここが戦場になっても戦える勇敢な姫騎士達だ。30メートル付近のCQBなら自動小銃、10メートル前後なら小型サブマシンガン、それより近ければハンドガンにナイフ。CQCの距離なら手の中に収まる釘くらいの暗器かな?」



 そう言ってクリスは何もない手を見せてから手を握ると銀色の何かを女性客達のテーブルに配っていく。その一つを大友は拾うと呟いた。



「フィンガーチョコレートだ」

「そう、フィンガーチョコレートさ。これじゃあさすがに人は殺せない……とか思っちゃう人もいるんだよね」



 は? って呟こうとした大友の首にフィンガーチョコレートのビスケット部分を首に向ける。じわりと血がにじむ大友。



「ビスケットの割れ目でも皮膚は切れるよ。これがキャンディーなら確実にやれる。そう、今。ここにいるお嬢様方は凶器を目の前にしている」



 そして狂気的な目で女性客達を見るが、その表情ですら女性たちは全身で感じる。今、何処にでも売っているチョコ菓子が殺しの道具に見えるようなそんな空気の中でクリスは言う。



 殺し合え!

 ではなく。



「でもフィンガーチョコレートは食べるのが一番だよねー! さぁ、読み直そうか、ジェイクさんは淡々と敵を殲滅し、そしてクリアしていく。そうだね。ゲームでも進めるように、特筆すべき部分があるとすれば、この作者は擬音語を使う事を恐れていないね。うん、いい事だ」



 擬音語。小説において非常に大事な表現方法である。が、ある時を境に擬音語をよしとしない風潮も一部語られる。



「あぁ、なんだっけ? キンキンキンってやつだっけ?」



 大友が何処かで聞いた情報を語る。それにクリスは微笑して見せた。そしてスプーンでコーヒーカップを叩いてみた。

 キーンという音が響く。



「実際に剣と剣をぶつければキンキンって音がするのにね? 実にリアルだ。それを語彙力がないと言ってしまう。とても悲しい事だよ。だけどさ。自動小銃を撃った時の音なんて、ガガガガガか、バララララかのどっちかだろう? 二人のガンマンは、あれよあれよというままにギャングの一組織を壊滅に追い込んだ。さて問題だ。それは可能だと思うかい? 多勢に無勢という言葉が僕達の日本にはあるよね?」



 新選組がスリーマンセルでパトロールするのは三人で斬りかかればどんな剛の者でもまず負けないというアレである。



「ここにいるお嬢さんと大友君はアメリカの面白いことわざを知っているかい? サバンナで一番恐ろしい猛獣は何か?」



 皆口々にライオンだ、ラーテルだ。象だなんだと口々に語る。そのどれをもクリスはさえぎらずにうんうんと頷く。それに大友が冗談を言った。



「ティラノサウルスとか?」

「成程、いい線をみんないってるね! 答えはライフルを持ったハンターだよ。フルサイズ弾を持ってすれば象だろうとティラノサウルスだろうと即死するよ。空手というものは子供が大人に勝てる格闘技だと言われている。銃は子供が大人を容易く殺害できる道具なんだ。そしてそれを動く標的に当てられる。そう、それを上手く使える傭兵と、バカスカ撃つ事しかできないギャングだ。鼻から勝負は見えてるよ。僕達日本は素晴らしい事に銃社会ではないから信じられないかもしれないけど、わりと銃社会では日常茶飯事さ」



 昨今で一番新しい情報としては、アジアの誘拐組織二十名程に元軍人達で構成された民間団体が、現地装備でたった三人で組織壊滅。誘拐された子供達の救出を成功。



「この作品で、傭兵の二人は面白い事を言っているよね? 大暴れした後はどうなるのかってさ、手元のお皿、失礼」

「あっ、お願いします!」



 クリスは作品の話をしながら手際よく、顧客の食器を回収していく。そして食洗器があるにも関わらず簡単に洗剤で手洗いをしてから、食洗器の中に入れる。



「なんていうか、クリス先輩。あざっす!」

「いやいや、こういうお店屋さんで一度働いてみたかったから楽しくてしかたがないよ!」

「なんなら暇な時手伝いにきてくださいよ」



 大友の言葉に対して、クリスはクスりと笑うと、それを首を横に振り断わる。仕事が忙しいとかそんな理由かと思っていたがクリスは語る。



「どうも僕は、この『ふしぎのくに』と呼ばれる住人達とは相性が随分悪くてね。彼らがいない時であれば大歓迎だよ」



 キッチンでカチャカチャと料理を始めるクリス。大友はこの店に手伝いでやってくる人は何の遠慮もなく材料を使ってくれるなと苦笑する。

 女性客達ではなく、クリスが作ったその料理はクリスが連れてきた少年。倉田秋文。彼の為に作った料理はボロネーゼ。



「秋文君が好きなスパゲッティ料理はミートソースと聞いているんだけど、合っているかな?」

「はい」

「では、こちらをどうぞ」

「い、頂きます」



 クリスの作ったプロの料理人が作ったと見まごうその料理。それを食べて秋文は笑う。子供らしい微笑みで……



「おいしいです」



 と。それにクリスの口元は緩む。それはどうやら、どういたしましての笑みではない。



「秋文君程の読者なら、この作品についてどう感じるかな? 率直な感想が知りたい。チープでばた臭いかい?」



 秋文は一口食べたボロネーゼの二口目を口に運ばず、ゆっくりと感想を語る。



「僕は、あんまり銃とか暴力とかは好きではありません」

「うん、だろうね。僕が話はじめた時に難色を示す表情をみせた。だけど、同時に作品を読み始めた君は楽しそうにしていたね」



 頷く秋文は続けた。



「この物語は、僕達の理想の海外が描かれているんだなって思いました。こんな人に僕はワクワクします。こんな人がいたら心強い。憧れる。これは、ある種異世界の人なんだ。僕達、日本人が憧れる洋画の主人公です」



 クリスは口笛を吹いた。そしてキッチンに戻ると、クリスは日本人におなじみのミートソーススパゲッティを持ってくる。



「素晴らしい! マカロニ生まれのボロネーゼはコぺパンの国よりこの日本にやってきて、ミートソースに変わった。そう、ミートソースは至高のスパゲッティだと僕は思うよ。僕達、日本人の舌にはね。そう、この作品は、日本人が作った。日本人の為の理想の欧米人がどんぱちする爽快な作品なんだ。やはり、盟友・秋文君は素晴らしい」



 そう言ってクリスは秋文のテーブルにおいてある食べかけのボロネーゼの皿をもってキッチンに向かう。



「クリス先輩それどうすんの?」

「捨てるよ。不要な物さ」



 そんなクリスの手を掴んでから大友は言う。



「勿体ないから俺が食べるよ。絶対うまいじゃんそれ」



 クリスは「そうかい?」ととぼけた顔をして大友にそのお皿を渡す。そしてクリスは頷く。



「実にこの古書店に関わらせるのが勿体ない少年だ。大友君。じゃあ、今までのお話を踏まえた上で再び『沈黙の弾丸 箸・タツマゲドン』を読み解いてみようか? お客様方も、君の朗読をお待ちのようだ僕はお客様に食べていただくスパゲッティを調理しよう」



 今日は客入りはいいけど赤字だなと大友はタブレットを持つと何度か発声練習をしてから朗読をはじめた。

『沈黙の弾丸 箸・タツマゲドン』本作はとても素直な作品です。といいますより、タツマゲドンさんの描かれる世界観や物語は一貫して、そういう作りが多いです。文章作品としては非常に入りやすく、分かりやすい。そして丁寧に造形されています。そんな中で爽快感や、緊張感を愉しんでみてくださいねぇ!

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