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セシャトのWeb小説文庫2020  作者: 古書店ふしぎのくに
第二章 『短編作品ピックアップ第一期 箸・各種チーム』
13/90

『最強エルフの女暗殺者は奴隷少女との明日を見る 箸・綾瀬アヤト』

最近、ミルクパンとホットサンドメーカーを買いました。寒い日はお家から出たくないですよね! これらを使いお部屋のでのハッピーホットスイーツライフを楽しみますよぅ! 寒い日は寒い日の楽しみ方をしていきたいですねぇ!

「ほぉ、成程なぁ汐緒ガキが体調不良かぁ」

「そうなんだよぉ、トトさんは旅行中で汐緒たん、お店に出れないから今俺が学校終わったら毎日店入ってんの」



 ブックカフェ『ふしぎのくに』の開店前。カウンターに立つメイド服の少年大友は西の古書店『おべりすく』からやってきたアヌとバストに今までの経緯を話す。



「なんか面白いWeb小説二人はしらねぇ? もう俺の知ってるネタが無くなってよぉ」



 アイスコーヒーを飲みながらアヌはバストと見つめあって頷く。



「大友さん、いいお話があるっすよ!」

「大友でいいよ。バスト兄さん。あと面白い話って何アヌさん?」

「このがきゃあ! ワシにも兄さんつけんかい!」

「で? 何」



 アヌがため息をつくと牙を見せてからゆっくりと話す。



『最強エルフの女暗殺者は奴隷少女との明日を見る 箸・綾瀬アヤト』



「タイトル長っ! へぇ暗殺者の話なんだ。暗殺者なんて、消し屋の銀次くらいしか知らねぇわ!」

「夜桜銀次とか、大友。お前一体いくつやねん? まぁその銀次を福岡で死体にした奴もまた伝説の暗殺者やな。とにかく会話文が多いやろ? 短編でストーリー展開していくのには、勢いも大事やからなぁ! 後の事を考えずにこの一本で終わらせるからよう纏まっとる。短編の強みやな」



 アヌの話にバストはうんうんと頷く。今までは長編や中編の考察が多かった為、大友は成程なぁと考えてから二人に質問した。



「なぁ、このアイズさんって超強いんだろ? 熟練の冒険者がどのくらいか分からないけど、比べる相手か?」



 大友の疑問。作品設定にもよるが、web小説の主人公は基本的にもう少し異常な水準のキャラクターが多い。

 それに対してアヌが語る。



「よぅ考えてみ。侍と忍者っておるやろ? あれって役目がちゃうねん。侍は軍人や、忍者は諜報と暗殺が仕事やな? パーティー組んでダンジョン潜るんやったら、アイズはもしかすると熟練冒険者には勝たれへんかもしれへんな? 逆に熟練冒険者っちゅーやつは不意打ちのヒットマン相手には簡単に命を落とすかもしれへん。この世界に勇者みたいな英雄がおるんか知らんけど、結構リアルな設定なんちゃう?」



 アヌの言う通りなのだろう。本作のアイズは暗殺者という本業もさることながら、単独戦闘能力も集団戦闘のプロ、冒険者に匹敵すると語られているのだ。



「この作品ってアレっすよね。レオンとか思い出すっすね」

「あぁ! 分かる。完全に異世界物なんだけどな。レオンっぽいよな」



 あのジャン・レノの代名詞みたいな映画。殺し屋レオンと大人びた少女マチルダとの日常。そんな作品を三人は思い出しながら語る。



「そういやあの作品のキャッチコピーって凶暴な純愛やったよなぁ? アイズも、過去の自分とレンを重ねて彼女を守ろうとするわけや。これもまた一つの凶暴な純愛なんかもな」



 奴隷の少女レンという本作のヒロインであり、作品ストーリーの肝の部分ともいえる。実に分かりやすく、キャラクターの設定も把握したところで感情移入をする時間も与えてくれる。



「でも、奴隷って結構日本人には未知の身分っすよね?」



 バストの意外な発言。大友を除き、バストもアヌも古書店『おべりすく』の店員でありながら作品を書くライターという立場である。そんなバストが奴隷は未知の身分であると言う。



「どういう事ですかバスト兄さん」

「大友君。日本に奴隷制度ってあったっすか?」

「いや、ないけどなんとなく分かるでしょ?」



 アヌが勝手に店の冷蔵庫からコーラーをグラスに注ぐとライムを絞って入れる。そしてそれを飲みながらバストの話を聞く。



「多くの日本人は、奴隷という身分にある種の信仰のような、期待感を持っています。奴隷から主人公になったり、奴隷からヒロインや主役級に格上げされたり、いい意味で偏見の目がないんすよ」



 本来奴隷と言えば、迫害の対象であり、不浄や禁忌を孕んだもので、今だ身分階級が根強く、それでいて奴隷制度を持っていた国々としてはこんな扱いには中々ならない。



「どういう事ですか?」



 大友の疑問符が並ぶ頭を見てアヌがコーラを飲み干すとタバコに火をつけて咥える。



「アヌさん、ここ禁煙」



 チッと舌打ちをしてアヌは携帯灰皿に咥えたばかりのタバコを捨て入れると話し出した。



「ようするに日本産の奴隷キャラっちゅーのは、実は日本の作品固有の身分やっちゅー事やねんな。ゴシック・ロリータが全然海外関係ないみたいに、大友の着とるメイド服が全然欧米関係ないみたいにな」



 大友は普段、この店と本来のバイト先で着慣れたメイド服の制服を見てこう叫ぶ。



「えっ! マジで!」



 短編の作品から、まさか普段のファッションについて語られるとは思いもしなかった。この西の古書店『おべりすく』の二人と話すのは普段のメンバーと話すよりも面白い。大友はまだ回転時間まで十分に時間が取れる為、タブレットで出前館とウーバーイーツとをにらめっこしてから宅配ピザを頼んだ。



「飯食っていくでしょ? ピザ頼みました」

「ワシ、宅配ピザよりコストコのフードコートの方が好きやねんけどなぁ……まぁええわ! じゃあ最後までそれ食いながら話そか、”アイズ”姐さんことイレーネはエルフやねんってな。悪そうな貴族のオッサンと、サモン・プリーストみたいなこれまた悪そうな奴との最終局面や! さぁ、大友。異世界で一番強い攻撃はなんや! 言うてみ」



 剣、魔法、弓と色々考えるがやはり異能ともいえる魔法が最強なのではないだろうかとふと考える。



「魔法使いじゃね? だって遠くからも攻撃できるし、なんか普通に物理でやりあうと無理げーじゃん」



 アヌはバストが入口まで取りに行ったピザを一切れ齧りながらそれをコーラで流し込む。そして答えた。



「ぶっぶー! 答えは銃に決まってるやろ! 詠唱する必要もなく、魔法よりも速い。そして殺傷能力は物理の剣も槍も越える」

「ずっりー! そんなの異世界じゃねーじゃん」

「はぁ? ワレ異世界行った事あるんかボケぇ!」



 二人が言い合っている中で、バストはもふもふとピザを食べて語る。



「魔法剣。なんというパワーワードでしょうね。この魔法ってわりと禁種の魔法だったりするんすよ」



 大友はそれにはさすがにバストが言う話をにわかには信じられなかった。



「嘘だぁ!」

「異世界作品。それもハイファンタジーでもローファンタジーでも舞台と演者の関係が強いんすよ。この作品でも役職のような物が存在しているっすよね?」



 言われてみれば、冒険者や暗殺者。ソーサラー。あたりまえと言えばあたりまえなのだが、職種による得手不得手みたいな物が前提条件として存在している。



「まぁ、よく勘違いされるんすけど、これをテンプレートって言うんすよ。似たような異世界転生系作品の事をテンプレートって皆勘違いしてるんすけど、あれはただのオマージュっすね。で話は戻るっすけど、剣士が得意とする剣と、魔法士、魔法使い等が得意とする魔法。本来これらは対極の力なんすよね? 最近はチート主人公が多いのでどっちも強力な力を持ってる事が多いっすけどね。で、その対極の力を扱おうとすると、魔法士と剣士の協力が必要なんす、それは合体魔法だなんて昔は言われて起用されてたんすよ」



 作中では対イレーネ用に用意したウォルターの装備と準備を前に窮地に陥る彼女だが、切り札ともいえる”シャドウブレード”にて勝負を決める。



「イレーネは一人で使ってるけどね」



 大友のセリフにバストは頷く。



「イレーネさんは大友君達人間と違って、少なくとも二百年以上も前から生きてるんすよ! 魔法か剣かどちらかが得意ならその十倍かけて利き手を増やして両利きにするくらいの時間はあったんじゃねーすか? 元々奴隷として生きてきた彼女っすからね! 特にそのあたりを語られていないので、そこは読者の想像におまかせしますってって事っすかね?」



 利き手を変える話を作品の読み方に持ってこられるのは大友には斬新だった。やはりバストの話は面白い。そこで大友はバストにさらに聞く。



「イレーネが使った猛毒ってなんだと思いますか? 即効性があるにしても、強すぎでしょ!」



 異世界、異能力と大友もさすがにここでヘルプバイトで働く中で本作の展開は面白いが、まさかの毒という武器をイレーネが使い決着する事に少々の疑問を浮かべた。



「ほんま、大友はアホやのぉ! さっき話したやろ? 異世界最強の攻撃は銃や。じゃあ一番、暗殺者が人を殺した物はなんや? そんなん毒に決まってるやろ。ここまで速攻性があるんやから、ダブンとかサリンとかそっち系ちゃうか? 触れたらだいたい乙や。これを勝手に想像すればええねん。化学式なんて知らんイレーネでも、長い寿命の中、長々と調合した結果。地上最強の猛毒兵器作ってもうたんかもしれへんしな」



 事実ドイツが化学兵器を生み出した時も似たような流れで、偶然マスタードガスから、ついにはサリンという非人道的兵器を生み出すに至った。



「でさ……この最後のとーとつな百合展開何?」



 バスト、アヌ共にその正確なる答えを持ち合わせてはいない。いくつか当然鑑みれる部分もあるのだが、今までと違い大友を納得させうる説明はない。



「大友君、〇〇とはなんだったのか! という驚きの展開手法ってものがあるんすよ。オチの部分、所謂結をまさかこう持ってくるのかみたいな?」



 さすがのバストも説明に困る。そこで一応先輩にあたるアヌを見るとアヌはピザを食べ、そして大友に提案する。



「おい、大友。この店の男用の制服どこや?」

「えっ? あれ」



 指さすのは大友が来ているメイド服。



「お前は頭沸いとんか? じゃなくて汐緒ガキとかトトさんが着とる制服や」



 大友がそれを持ってくると、アヌは服を脱ぎそれ着替える。そしてもう一着をバストに渡した。



「ほれバッすん」

「なんすか?」

「ワシみたいにええ男と、まぁワシには劣るがそこそこええ男のバッすんがおんねん! 今日の開店は東京の雌ガキ達が忘れられへん日になるんや!」



 そう、店を手伝おうと言うのだ。大友からすれば僥倖。礼の言葉を述べようとしたが、流された事に気づく。



「ちょっと、百合の件についてはどうなんだよ?」

「ええから、今日のお客さんに読み聞かせる『最強エルフの女暗殺者は奴隷少女との明日を見る 箸・綾瀬アヤト』でも読み直しとけや」



 タキシードを着た男二人とメイド服をきた少年は開店した入口で接客をはじめる。

『最強エルフの女暗殺者は奴隷少女との明日を見る 箸・綾瀬アヤト』本作は短編集等に掲載されていそうな一作ですね! タイトル的には読者視点、あるいは口伝者視点なんでしょうか? 紹介小説でも語られますが最後のオチがちょっとびっくりしますね! 是非、異世界系が好きな方は楽しめると思いますので読んでみてくださいね!

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