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迷宮リザルト



「拝見いたします。――ほう、こちらは守護者の物で?」


「そうだ。キジフェイ直送だぞ」


「お預かりいたします。店内をご覧になってしばらくお過ごし下さい」


 きらびやかな店内を見て回る。やはり魔道具装飾品よりは安いな。極めて高い物も多数あるが。

 あ、ミジットが固まった。マズイ。


「魔法効果のある装備にしないと装飾品だらけになるぞ」


「む、い、いや、わかってるさ」


 ネックレスの前で固まっているが、せっかく身に着けるなら装備効果のある方がいいに決まっている。

 当然、「これが欲しいのか?」なんて買ってあげることもない。



「お待たせしました。中程の物は、ダイヤ1、エメラルド2、ルビー1、小振りな物はダイヤとオパールですね。いずれも迷宮産の本物に間違いありません」


 小振りな物は15階層の野良宝箱の物だな。そして鑑定額は?<ドルルル>脳内にドラムロールが鳴り響く。


「合計で金貨32枚になります」


あー、そんな物かー。


 …い、いや、違う!日本円にすれば320万円。すごく立派な大金だ。金銭感覚がおかしくなってしまっている。悪い傾向だ。


「わかった、それで頼む」


宝石の金額交渉などできない。大通りに店を構えてるんだ。信用するしかない。



 店を出て、さりげなく通りを歩く。


 今、懐にはパーティ資金の白金貨5枚大金貨5枚と金貨が数枚ある。自分個人のサイフは別にしてだ。ドキドキだ。街を歩く人がみんな自分を狙ってる気がする。

 だが、あわてる必要はない。妙な行動をすれば逆に目立つ。いつも通りの平常心で普通に歩くのが一番なんだ。


「アジフ、手と足が同時に出てて、ヒジとヒザが真っすぐだぞ」


そんなハズでは!?


 

 試練を乗り越えてやってきたのはミジットおすすめの魔法武具店。キジフェイ常連のおすすめなので安心だ。


「店主、迷宮武具の鑑定を頼む」


「おや、ミジットさん。また迷宮へ行ったんですか?」


ニヤリ、とミジットは笑みを見せ、白金色の冒険者プレートを出した。


「おお!Cランクプレート!ついにキジフェイを攻略されたのですね!おめでとうございます!」


「ああ、ありがとう、そんなわけで今回は守護者の宝物もあるからな、よろしく頼むよ」


 ミジット先生の常連っぷりがとどまる事を知らないな。なんて頼もしい。

迷宮で手に入れた武具を並べていく。

15階層の短剣

20階層の靴

25階層の盾

そして迷宮守護者の短杖、片手半剣、マントだ。


「ほほう、豊作ですね。買取りしない場合は鑑定料に大銀貨1枚いただきますが、よろしいですね?」


「かまわない、頼む」


「では鑑定にかからせていただきます」


 店主は店の机の上に丸められた布を広げた。布には魔法陣が描かれ、円の外側に小さな丸が一つと30cmぐらいの丸が2つ描かれている。魔法陣の中にまずは短剣を置くと、小さな丸に小さな魔石を置いた。Fランク魔石だな、ウルフ、いやラビットかも。


 店主が30cm程の円に両手を置くと、魔法陣と魔石が光り、魔石が黒い靄となって消えてしまった。


「ショートソード:鋭さ微上昇、丈夫さ微上昇ですね。なかなかの品です。買取りで金貨5枚といったところでしょうか。確認されます?」


 お、幸先いいな。


「確認ってどうやるんだ?」


「今の鑑定を今度はご自身でやってもらうんですよ」


「おお!鑑定できるのか!是非やってみたい!」


疑っている訳ではないが、これは是非とも体験したい。


「ハハハ、では魔石を置きましたらその円の中に両手を置いて下さい」


 店主が魔石を置くのを待って円の中に両手を置くと、魔法陣と魔石が光り、視界にステータスと同じ様に文字が現れた。


ショートソード:アイアン

オプションA:鋭さ微上昇

オプションB:丈夫さ微上昇

耐久:23/23


「おおおお~」


「納得していただけました?」


「ああ、眼福だった。ミジットも見るか?」


 首をふると、逆にたずねてきた。


「いや、私はいい。それよりもアジフ、そのショートソード使うか?」


「いや…ショートソードには丈夫さよりも鋭さが欲しいな」


「私が使うにも、ちょっと大きい。店主、そのショートソードは買取りで頼みたいが、店売りなら金貨7枚は行くんじゃないか?2枚は抜きすぎだろ」


「いえ、物は7枚でもおかしくないですが、こちらのお客さんの言う通りショートソードの丈夫さ上昇は人気がないんですよ。6枚でないと売れないですね」


「む、そうか。ならそれで頼む」


 多少手持ちが増えても財布は緩めぬこの厳しさ!見習いたいものだ。



他の物も順調に鑑定していき、最終的な鑑定結果はこうなった。


靴:敏捷小上昇

盾:鋼盾

  頑丈中上昇

短杖:ダーク・スタッフ

   魔力を通すと少し落ち着く:知性小上昇

マント:春陽のマント

    耐寒小上昇

剣:木漏れ日の片手半剣

  アンデッド特効小:頑丈小上昇:鋭さ小上昇


マントと剣はミジットが、靴と杖は自分の物とした。

盾は金貨24枚で売却となった。

今回の中でも特に剣は秀逸と言っていい逸品だ。アンデット特効は滅多に出ないそうだ。

 もうレイスだって切れる。自撮り棒の出番はなくなってしまった…

まぁ、普通は聖水持って行くのだけど。


失ったバスタードソードの代わりに買ったのがこの剣だ


ロックブレイカー:地属性特効小:上昇さ大上昇:軽量化微補正


お値段金貨43枚の両手剣だ。

 そう、両手剣を選んだ。迷宮下層で両手剣の手応えがよかったので、武器種変更に踏み切った。盾はその為に売ったんだ。


 付与魔法効果に対してお値段はかなりお得だが、両手剣は魔法効果が付きやすいからだ。あと、少しまけてもらった。


 迷宮のお宝分けが済んだので、ここで一度清算する事にした。換金した分を2人で分けると、一人辺り金貨294枚となった!

 剣を買ったので少し減ったが、20階層までの階層主の分はもらっているので、それ程減っていない。これが迷宮か…!冒険者の人生を狂わせるはずだ。


 しかし、これが全て収入になるわけじゃない。まだボロボロになった防具を仕入れなきゃならない。全て魔法の品で揃えれば金貨が全て吹っ飛ぶ選択もあるんだ。


「店主、防具も見せてもらえるか?」


「かまいませんが、迷宮の防具は店よりも物との出会いが全てです。買うとしても店を一回りしてからの方がいいですよ」


迷宮防具はサイズ調整がないので、品ぞろえが全てって事か。


「なるほど、では一回りしてみるよ」



 周辺の魔法武具店を全てぐるぐると回った結果、買ったのは頭防具だけだった。


矢避けの鉢金:風の加護:頑丈微上昇

 

 お値段金貨29枚。性能の割に値段が高いのは人気があるからだ。

迷宮産の魔法防具は数が少なくほとんどが金属製で、しかもとても高い。一部だけ金属製にしても装備のバランスが取れないので、王都に戻ってから工房で作りなおす事にした。


 なお、ミジットは正気を疑うほどお金をばらまいていた模様。さっきと別人のようだ。見習いたいと思ったあの時の気持ちを返して欲しい。



 一通り買い物が済んだ頃には辺りはすっかり暗くなってしまっていた。ミジットは荷物を抱えているし、大金も持っているので一度宿に戻ってから酒場へ繰り出すことにした。



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