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95.新たな……

「ここが教会だよな?」

「間違いありませんよ」


俺達は空き地から少し歩き、空き地から見えていた教会に移動した。


「にしても、まんま教会だな。この世界は神殿とかじゃないんだな」


俺は目の前にある西洋風の教会を見上げ、そんな感想を口にした。

故郷のイメージがあるせいか、教会というのは新しいものだという感覚がある。逆に神殿だと、かなり古い時代のものだというイメージがあった。


「管理神の方は、貴方のイメージ通りの神殿ですよ。こういう教会なのは、信仰神達や邪神悪神達の方です」

「うん?信仰神達はともかく、邪神や悪神達まで教会なのか?」

「そうですよ。発生した時期を除けば、どちらも人に望まれて存在を開始していますから。当然、祈りの場所は荘厳な感じで建てられています」

「なるほど」


そう聞くと、当たり前といえば当たり前の話しか。


「じゃあ、この教会は偽装なのか?たしかこの国の人々は、表だっては信仰神を信仰しているんだよな?」

「そのとおりです。地上にあるのは、ある信仰神を奉った教会ですが、地下には管理神達を奉った神殿がちゃんと存在しています」

「そうなのか。…ちなみにだが、表だって信仰されている信仰神の名前はなんというんだ?」


話しの流れで興味が沸いたので、彼女にちょっと聞いてみる。


「ここで信仰されている信仰神の名前ですか?秩序と万物の神、エレメンタルです」

「エレメンタル?それって…」


彼女の答えた信仰神の名は、俺にとってはやたらと馴染みのあるものだった。


「私の端末の名称ですね。私の端末であるエレメンタル達は、本来はここの信仰神を形成する為に使われるはずの祈りの力を、私の端末を生み出す為に流用して顕現させた存在なんです」

「うん?ここの人達って、管理神達に祈りを捧げているはずだろう?なんで、信仰神に祈っているんだ?フリだけで良いだろう?」

「まあ、そうなんですが、それは大人達の話しです」

「?」

「つまり、今言っている祈りの源は、まだ隠し事なんて出来ない子供達のものなんです」

「子供達?……ああ、なるほどな」


彼女の話しに疑問を覚えたが、出所を聞いてすぐに納得がいった。

たしかに子供に隠し事をさせるのは難しい。ついつい口を滑らしてしまう可能性があるいじょう、子供達には最初、管理神達じゃなくて信仰神、エレメンタルへ祈りを捧げさせるわけだ。


「まあ、そういうわけです」

「ふむ。そういえば、エレンの端末はエレメンタルターミナルだけなのか?他の種類を見たことがないんだが」


俺は彼女とは一ヶ月程度は行動を共にしているが、オリジナルのエレメンタルはエレメンタルターミナルしか俺は見たことがなかった。


「そんなことはありませんよ。ターミナル以外にも、何通りかの種類が存在しています」

「そうなのか?」

「はい。貴方はユニット作成で味方を増やせたので、こちらには戦力として回す必要がなかったんです」

「それもそうだな。それで、ターミナル以外にはどんなエレメンタル達がいるんだ?」

「そうですねぇ?ターミナル以外ですと、属性エネルギー体の精霊型エレメンタル。エレメンタルスピリットや、半属性エネルギー体の妖精型エレメンタル。エレメンタルフェアリー。竜型の対界敵殲滅端末、エレメンタルドラゴンなどがいますね。もっともエレメンタルドラゴンの方は、祈りの量が少なくてまだ稼動は出来てはいません。私(この世界)の存続をかけた最終決戦までには、なんとかロールアウトしたいと思っています」

「そうか。なんなら俺が手を貸そうか?最終段階に入ったことで、[ゲームプレイヤー]の性能が軒並み向上しているんだ。今ならユニット作成で、自前で繁殖出来る存在も作成出来る。つまりは、一つの種族を確立させられるんだ」

「そこまでの性能を得ていたのですか!それなら是非お願いしたいです」

「了解だ。それなら、この国を豊かにする傍らにやっていこう」

「はい」



「さて、それではそろそろ依頼に行こうか」

「はい」

「うん?」

「どうしました?」

「いや、ちょっとな」


俺達が教会に入ろうとした直後、俺はマップ上に気になる反応を見つけた。

また異世界存在の反応。しかも、またアビスやルスト達みたいに設定を知っている奴ら。

これには何か理由があるのか?


「マップに異世界存在の反応がある。しかも、また設定を知っているタイプの奴らだ」

「危険な存在ですか?」


俺の言葉を聞いたエレンやノルニル達管理神達が、異世界存在に対する警戒心をあらわにした。


「一応危険なタイプじゃない。変異なんかを起こしておらず、知っている設定のままならそう害はない」

「そうですか」

エレン達は、ほっとしたように一息ついた。


「うん?一応?それは、変異していない場合も付きますか?」


一息ついたエレン達だが、すぐに俺の言葉の単語の一つに気がついて、慌てた様子で俺の方を見てきた。


「変異していない場合でもつくな」

「ちなみにそれはどのような…?」

「そうだなぁ?まあ、悪戯とか、天災とか、天災だな」

「…悪戯はともかく、なんで天災を二回も言うのです?異世界の文化にある、『重要なことだから二回言った』とか言うやつですか?」

「いや、別にそういうわけじゃない。ただたんに、マップ上に映る反応が三種類あったから、一応個別に危険性を言ってみただけだ」

「……三種類。いよいよ私(この世界)に侵入して来た存在の数が、十種類を超えてしまいそうですね」

「十種類?…アビス、ルスト、シュピーゲル、それと今回の三種類。六種類じゃないのか?」

「…それは貴方が出会った数です。貴方が出会っていない種類の異世界存在達が、まだ他にもいるんです」

「なるほど、そういうことか」


俺は納得がいって、一つ頷いた。


「それで、その異世界存在達はどういった者達なのですか?」

「そうだなぁ?一言でまとめるなら、今回の開拓で役に立ちそうな相手だ」

「そうなのですか?」

「ああ。彼らの名はそれぞれ、ニュムパ、ガイスト、ドラッヘ。異世界の言葉で意味は、妖精、精霊、竜」

「それって…」

「さっき貴方が言っていた、エレメンタル達の型と同じタイプの異世界存在ということだ」

「…ああ、だから悪戯と天災が二つということなんですね」

「ああ。ニュムパは善人や労働者を手伝い、時には悪戯を仕掛けて困らせる。悪人に対する仕打ちは少々苛烈だな。ガイストは自然に宿り、元素を調整する。しかしいったん怒らせると、自分の司る元素を用いて天災を引き起こす。ドラッヘは、力そのものであり、自然現象や竜脈の顕現だ。その存在そのものが自然の猛威と言えるな」

「…私の端末であるエレメンタル達よりも酷いような…?」

「まあ、そこは異世界の存在だからな。異世界の。俺の故郷の創作物や古い物語だと、こういう設定はわりとオーソドックスだったんだがな」

「…はあ。そういうものなのですね。あの、先程開拓の役に立ちそうな相手と言っていましたが、それはどういう意味ですか?」

「言葉のとおりだな。ニュムパは人助けをしてくれるし、ガイストは自然環境を安定させてくれる。ドラッヘは防衛戦力として当てに出来るし、自然の代弁者になれる。俯瞰視点の管理者よりも、身近な管理人の方が自然の異変には気がつきやすいはずだしな」

「ふむ。たしかにそれは、開拓に役立ってくれそうな能力ですね」

「だろう」

「そういうことでしたら、ヘッドハンティングに参りましょうか?さすがに危険性が低くても、放置しておくのはマズイですし」

「そうだな」


俺は彼女にそう返事をした後、分体を一つ出して教会に向かわせた。

これでこちらは問題無い。

あちらの分体で俺が教会で手続きを行う。


「さて、それじゃあ俺達はヘッドハンティングに行こうか?」

「はい」


ここで俺達は二手に別れた。俺、エレン、アビスクイーンは、荒野にいるニュムパ達に会いに行く。

残ったノルニル達管理神とダンタリオンは、分体の俺とお祓いと地鎮の交渉・実施をする。


俺達はこういう役割分担をした。



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