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57.リライト

『どうするおつもりですか?』

『少し魔法的なものを試してみるつもりだ』

『魔法的なもの?貴方の能力には、魔法はありませんよ?』

『たしかに、スキルのような直接的な魔法は俺の手持ちにはないな。だが、俺には[エレメンタルの魔素炉]がある』

『「[エレメンタルの魔素炉]ですか?」』

「「?」」

彼女達やフレイオン達も、それぞれが俺の言葉に首を傾げた。


『そうだ。[エレメンタルの魔素炉]の効果は強力な回復能力だけじゃない。世界元素を生み出し、それを消費することによってこの世界の理を書き換えることが出来る』

『ああ!【リライト】を使うつもりなのですね!』

『【リライト】?』

そんな単語は、説明文にはなかったはずだが?


『たしかに説明文にはありませんでしたね。【リライト】というのは、魔法と同じ今対象となっている技術かつ現象の名称です』

『へぇー、【リライト】という名称がついているのか。なら、これからはリライトとよぼう』

『そうしてください。……それで、リライトをお使いになるのですか?』

『そのつもりだ。…これは一応聞いておくんだが、リライトに呪文や魔法陣は必要なのか?』

『必要はありません。ですが、あった方がリライトの安定性は増しますから、創作することをオススメします』

『そうか。どうするかな?』

『迷われるのなら、創作してください。それと、リライト関係の通常スキルもこの機会に一緒に獲得しておきましょう』

『リライト関係の通常スキル?魔法関係ならわかるが、リライト関係の通常スキルなんてものがあるのか?』

魔法なら一般的なんだろうが、リライトなんて能力をこの世界の人類種達が獲得出来るのだろうか?出来ないのなら、必要性のない通常スキルは存在していないと思うんだが?


『人類種達には獲得不可ですが、リライト関係の通常スキル自体は、普通にありますよ』

『そうなのか』

人類種達に獲得不可ってことは、この世界の誰もが獲得出来ないってことだろうに、スキル自体は存在しているのか。なんでだろうな?


『上の方々のご趣味ですね。リライトは明確に存在していますから、それに対応する通常スキルは必要だろうからと』

『そういうものなのか?』

『そういうものらしいです』

『そうか。……それで、そのリライト関係の通常スキルというのは、どんなのなんだ?』

『だいたいは魔法関係と被った内容のものになります。魔法とリライトの差は、消費するものと自由度の違いが大半ですからね』

『消費するものと自由度の違いねぇ。消費するものは魔力と世界元素の違いだとして、自由度の違いというのはどういう意味なんだ?』

『そのままの意味ですね。私(この世界)の魔法は定型文や固有術式、魔法陣等が基本ですから、その枠組みから外れるような事象はほとんどありません。逆にリライトは、理自体を書き換える為、事実上不可能がありません。なんでもありです』

『…なんでもあり。それはそのまま、なんでもありということなのか?』

『そうです。心の向くまま、気の赴くままに、想像を、夢想を、幻想を、空想を、願望を、妄想の類いでも現実にすることが可能なのです』

『随分と風呂敷を広げてるな』

『たぶんですが、貴方の言っている風呂敷よりも広いと思いますよ』

そう言われても、俄かには信じがたい。だが、彼女がそう言うのなら、それが事実なのだろう。


『そうか。なら、早速実際にやってみるとしよう。通常スキルの獲得は、条件と交換のどちらだ』

『SP交換の方です。転生プレイヤー限定パック Volume6を交換してください』

『Volume6か。1からそれなりに飛んだな』

前回の通し番号を思い浮かべると、間に四つのスキルパックが存在しているはずだ。

『番号的にはそうですね』

『ちなみにだが、その間の四つは何のスキルパックなんだ?』

『ええっとたしかですね、Volume2が初期の攻撃系通常スキルの詰め合わせで、Volume3が初期の魔法系通常スキルの詰め合わせ。Volume4が初期の防御・探知系通常スキルの詰め合わせで、Volume5が初期の回復系通常スキルの詰め合わせスキルパックだったはずです』

『全部初期のって、ついているんだな』

『そうですね。まあ、通し番号が一桁のスキルパックですからね。そこまで圧倒的な通常スキルは入っていませんよ』

『なるほどな。だがそうなると、Volume6も初期のリライト系の通常スキルの詰め合わせスキルパックなのか?』

『そうなりますね』

『なら、中期、後期の通常スキルパックも一緒に獲得した方が良いか?』

『それは今は無理です。さすがに中期、後期ともなると、交換に必要なポイントが洒落になりません。今の貴方の手持ちポイントでは、全然足りませんよ』

『そうか、それは残念だ』

一気にリライト系の通常スキルをコンプリートとかは無理か。


『なら、他のスキルパックを一緒に覗いてみようかな?』

『それは構いませんが、SP交換ではスキルパックのパック名しかわからない仕様ですよ?』

『それでも構わない。よさ気なスキルパックがあると良いな』

『Volume6を交換した後の手持ちのポイント残高を考えると、そこまで高いのは無理ですよ』

『わかってる。これはまあ、コレクター思考ではなくてショッピング系の思考だからな。それに今回目星をつけておけば、これからポイントを貯めるのが楽しくなるからな』

『そうかもしれませんね。それならどうぞ、ショッピングを楽しんでください』

『ああ』

彼女にそう言われた後俺は、[並列思考]を使いながらSP交換を始めた。



『良いのはありましたか?』

『ああ、いろいろとあった。ただ…』

『ただ?』

『スキルパックのパック名がちょっとな』

『パック名がどうかしましたか?』

『いやな。転生プレイヤー限定パックや種族限定パック、属性限定パックとかの類いはわかるんだが、なんで怪物パックや神敵パック。破滅パックなんてあれな名称のスキルパックがあるんだ?』

『そちらもあの方々のご趣味ですね。あの方々、わりと凝り性なんです』

『…そんな理由か』

『そんな理由です。それで、よさ気なスキルパックはありましたか?』

『あ?ああ、いくつか見つけた』

『どんなパックですか?』

『こんなのだ』

俺は彼女に、自分が見つけたスキルパックをいくつか示した。


『神話シリーズのヒュドラパックに、蛇種・竜種・龍種混成ランダムパック。属性ランダムパックですか?』

『そうだ』

『なんでこれらをチョイスしたんですか?Volume1の時みたいに、通常スキルがそれなりにかぶると思いますし、ハズレも多そうですよ?』

『だろうな。まあ、最終的には統合されるんだから、完全に無駄っていうわけじゃない。それに、カードゲームのパックならランダムなのは当たり前だからな。当たりが入っているかいないかはギャンブルだ。今回は運試しと、通常スキルの穴埋め的な感じだな』

『貴方がそれで良いなら私は構いませんが、ポイントは足りそうですか?』

『ああ。ここ数日の成長でポイントはそこそこ貯まっているし、ランダム系なせいか必要ポイントも割合低めなんだ』

『それはよかったですね。でしたら、今から交換してしまいますか?』

『そうする』

俺はスキルパックを指定し、交換を選択した。


【合計750SP交換します。よろしいですか?YES/NO】

YESっと。


【SP交換が完了しました。通常スキル、特殊能力を獲得しました。近似の能力が確認されました。近似の能力を統合します。プレゼントパックが届いています。獲得した能力は、以下のものとなります】


【通常スキル】

[光陣][高速詠唱][多重詠唱][並列詠唱][合唱][想起][遅延起動][時限起動][任意起動][分裂再生][眼光][吐息][並行思考][星霊体][執念の神毒][ブレス][竜気][逆鱗][竜脈接続][龍気招来][潜影][波渦][雷鳴][空閃]


【特殊能力】

[術式構築][神意代行][三頭悪竜][這い寄る混沌][仮面の悪魔][円環の蛇][楽園の蛇][予言されし悪神][聖域]


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