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カルテ727 石剣のバレオン その28

「確かにヒントを考えるってのは出題者側としては難しいものかもしれませんね。僕もたまに長谷川式認知症スケールっていう、いわゆる呆けの程度を調べる検査をお年寄りに対してするんですけど、いくらヒント出しても皆間違えるんで困っちゃうんですよ……ってあまり関係ないですね。ところでその剣にはめ込まれているメダイオンの女性は一体どなたですか?なんか少女みたいですけど……」


「おおっ、よくぞ聞いてくれた! これぞうちの可愛い可愛い愛娘のセレニカちゃんだよ!どうだ、すっげえ可憐だろ! 造らせるのにすっげえ金かけたんだよ!」


 ここぞとばかりにバレオンは親バカぶりを発揮した。


「へー、あなた、娘さんに自分の剣の名前を付けたんですか?」


「逆だよ逆! むしろこっちの方が後から造ったんだよ!」


「なるほど、ま、普通に考えりゃそうですよね。でもお陰で二つ目の理由がわかりましたよ。その娘さんのメダイオンを固定するためですね? 謎は全て、じゃないけど解けたっ!」


 本多はわざとらしく恰好をつけながら、右手を前に突き出して人差し指をビシッと黒剣に突きつけた。


「ハハッ、正解だ! たとえ戦場だろうが吹雪の中だろうが愛するセレちゃんと一瞬でも離れ離れになりたくないため、無理言って刀身に埋め込んでもらったんだよ! うおーっ、マイハニー、愛しのセレちゅわーん!」


 ごつい剣士は熊のような髭面をジョリジョリと剣に当てて頬ずりしたため、髭が削れ落ちるかと思われたほどだった。


「へーっ、そいつはすごいですねー。こっちの世界でも家族の写真っていう肖像画みたいなものを肌身離さず持ち歩く人はけっこういますし、お気持ちはよくわかりますよー」


 同じく親バカである本多は彼のことを手放しで褒めたたえた。


「おお、そうか! わかってくれるか!」


「しかしあなた、見た目と違って子煩悩なんですねー、ま、僕の方が負けてませんけど。娘が小さい時はいつもいっしょにお風呂に入って、三十分くらいはいろんなゲームをしたり歌を歌ったりして遊んでやったもんですよ。お陰で風呂上りはいつもヘロヘロでぶっ倒れそうでしたけど」


 本多は遠い目をしながらかつての懐かしい思い出を物語っていた。

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