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カルテ496 エターナル・エンペラー(後編) その64

(そのことは知っていたけど、そういや蜘蛛と言えば……!)


 テレミンはさっき通って来たばかりの青い洞窟のことを自動的に連想した。あの9個も入り口がある部屋の謎が解けたのは、正しくクモのおかげだった。カルフィーナ神のお告げにあった一文の「細き蜘蛛の糸の先に」が鍵だったのだ。あの広く丸い部屋とそれよりも小さめの前室を合わせると、雪だるまみたいな形をしていた。そこに部屋から伸びる九本の道を描いていけば、答えは自ずと明らかになる。つまり二つの円形の部屋はそれぞれ蜘蛛の頭部と体部を表し、通路は蜘蛛の八本足と、尻から垂れ下がる糸を意味していたのだ。よって先に進むべき正解の道は、蜘蛛の糸、すなわち一番真ん中の道だと導き出されたわけである。


 また、かように洞窟が蜘蛛の形を模していると解き明かしたからこそ、蜘蛛の意匠をトレードマークとするメイロン博士と結びつけることが可能だったのである。


「実は、地底のはしごを降りた後にですね……」


 彼はここにたどり着くまでの事の顛末を洞窟の主の前でつまびらかに語った。


「ほう、あれを推理したというわけか。運命神の助言があったとはいえやりおるのう」


 そっぽを向いていた骸骨はようやくテレミンを正面に捉えてしかと見た。彼なりに少年を認めたという証であろうか。


「でもあの道に行ったら結局腐ったあん畜生のゾンちゃんたちのパーティー会場に乱入しちゃったじゃないのよー。んもー、犯されるかと思って大変だったわよー。頼むからもうちょい教育しておいてよねー。教育っていっても性教育の方よーん」


 ゾンビよりも脳みそが腐ってそうな緑モヒカンがまたもや余計なことを口走り、ただでさえ寒い室内の空気が凍りつく。


「彼奴ラニソノヨウナ貴様ミタイナ趣味ハナイノデ安心シロ。テイウカ貴様本当ニモウ死ネ。因ミニゾンビハ全テノ道ニ待機サセテアッタノデ、ソノ少年ハ別ニ悪クナイ。彼ノ選ンダ道コソガアソコカラ唯一ニシテ無二ノ私ヘ、ソシテエターナル・エンペラー様ヘ至ルルートデアッタノダ」


 満月の月光で出来た影のように骸骨の背後にたたずむ青ローブが久しぶりに口を開き、イレッサを腐すと同時にテレミンを褒めた。


「ま、そういうことじゃて。しかしまさかあのクレバスの底から客人が来訪するとは夢にも思わんかったがの。その歳にして、お主はすでに慧眼の持ち主じゃて。誇るが良いぞ」


「へへ……、いやあ、それほどでも……」


 骸骨翁もいたく感心しているそぶりを見せるため、テレミンはうっかり調子に乗ってしまった。

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