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カルテ451 エターナル・エンペラー(後編) その18

「ふぅ、やっと終点到着ね。意外と何も出くわさなかったけど」


 はしご段から手を離し軽やかに地底に降り立ったルセフィが安どのため息を吐く。先ほどはちょっとは虚勢を張っていたのだろう。


「全く長かったよ! しかもはしごがとってもボロボロでいつ折れないかと冷や冷やしたよ!」


 続くテレミンが手袋についた鉄サビを払い落しながら不平をこぼしまくる。


「確かにひどかったですね。いっそこのまま山を下まで降りることが出来たら楽なんですけどね……」


 彼の傍らに着地した人狼が頭上のフィズリンに手を差し伸べながら相槌を打つ。


「さすがにそこまで深くないでしょう、ダオニールさん。それに私たちは下山組だからいいけど……」


 フィズリンは上に目をやり言葉を選ぶような話し方をした。


「そうよー、せっかく寒い中苦労してお告げ所に向かうためにここまで登って来たっていうのに、下降するのはまっぴらごめんよー。んもー、あんまり穴を突き進むから思わず勃起しちゃったじゃないのよー」


「疲れているのにわけのわからないことを聞いて更に疲れさせないでください、イレッサさん!」


「ぐぎい!」


 何時いかなる場所でも息をするように下ネタを吐く腐れ大根を落下してきたシグマートが鉄拳でどつく。


「公衆の面前でやめろ、二人とも! しかしこれで何とか全員無事降りたな……で、ここは一体何処だ!?」


 しんがりを勤めるミラドールが、熟練のハンターの眼で周囲を油断なく見渡した。


「……」


 一行も自然と無口になって集まり、彼女に倣って安全確認を行った。そこは直径10メートル程度の円形の空間だった。ゴツゴツとした岩壁が周囲を取り囲み、例の青白く光る苔がまばらに生えているため地下でもほのかに明るく、松明やランプなどの必要は無さそうだった。彼らが苦労して下って来た古いはしごは壁沿いにあり、その反対側の壁に、奥へと進む入り口がぽっかりと開いていた。


「……奥から水の匂いがします。池か何かあるのかもしれませんね」


 人狼の指摘に一同は身構え、特にイレッサはいつぞやの大ダコを連想して渋面を形作った。

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