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カルテ377 ライドラースの庭で(後編) その47

「さて、話を元に戻しますと、今回の件に関係ある方の『王の病』ってのは、僕の世界のイギリスって国とフランスって国で今から千年ほど前から二百年ほど前の間に行われていたある儀式と関係のある病気です。その頃、王様は神様から特別な力を授かっているなんて言われてまして、とある病気の者に触れるだけで治すことができたんです」


 ビクッとジオールの太い眉が震えた。


「ローヤルタッチなんて呼ばれていたそうですねー。戴冠式の日によく行われたそうで、記念に御利益のある特製金貨を貰えることもあったそうですから、当日には病気の農民たちがお城に押し寄せたそうですよ」


「へー、面白いっスね~。それこそいわゆる触手療法ってやつっスよね~」


「お前本当の本当に触手大好きだな!」


 ノービアが昔話でも聞くように騒ぎ立て、それをブレオが横から突っ込むが、ジオールは心臓が胸の中で上下運動をしているようで気が気ではなかった。よもや、こいつのいう「王の病」とは、まさか……。


『それで本多先生、お話の途中失礼しますが、その病とは具体的にはどのような症状があるんスか?』


「恐れながらアホの口癖がうつっておられます、ライドラース様あああああああああ!」


 どこで聞いているのか知らないが、なんとライドラース神までもが口を挟んできたため、ジオールの鼓動は今や手のつけられない暴れ馬のごとしで、叫びつつも今すぐにでもダッシュで居室に帰りたいほどだった。


「おっとライさん、じらしていたわけじゃないんですがごめんなさいねー。こいつは首から耳の後ろにかけて、大きくて醜い腫れ物が出来る病気なんですよー。ひどくなると痛みを伴うことがありますが、症状的にはその程度で、発熱などはほとんどないようですね。ちなみに片側だけに出来る場合が多かったそうですよ。」


『……ほほう、それは大変興味深いですね』


「ー!」


 ジオールは鼓膜をつんざくほどの絶叫を上げたい気分だったが、寸前で喉元で飲み込み事無きを得た。


「はいはいはい、質問質問質問っスー! いったいなんでそんなちんちくりんなものが出来るんですかー!? 親の因果が子に報いっスかー!? それとも悪魔の呪いかなんかっスかー!?」


 恐れを知らぬ黒尽くめの傭兵が、手刀のような勢いでシュパシュパ挙手し空間を切断した。

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