カルテ307 眠れる海魔の島(後編) その36
「というわけで、後ほどそのハイ・イーブルエルフさんから莫大な金銀財宝が届いたおかげで、フィジオ村は復興どころかそれまで以上に発展を遂げ、両親も裕福になって立派な家を建て、寝たきりだったお祖母ちゃんも栄養のある良い物食べてすっかり元気になっちゃって足腰もしゃんとして、動き回れるようになったんです!
現在両親とお祖母ちゃんの三人は島の山頂にある神殿までお参りに出かけてるんですけど、私はあいにく村のお祭りの踊りの練習があるので出かけられず一人でお留守番していたら、急に病気になっちゃったってわけなんです! んもー、ひどいと思いません? ちなみに今、村でもこの風邪がちょっと流行ってるんですよ!」
リーゼは涙と鼻水交じりに、本多に現在の自分の苦境を訴えた。
「お婆ちゃんまだ生きとったんですか!? てっきり亡くなったものと思ってましたよ! それにしてもインフルエンザが流行しかけているってのは聞き捨てなりませんね。この世界にとっては大打撃でしょうから、ここにあるさっきの内服薬皆あげますから、村人の皆さんに配って飲ませてください。しばらく皆島から出ない方がいいでしょうね。そうすれば感染が大陸中に広がるのを未然に阻止できます」
本多はてきぱきと感染予防対策についてリーゼに説明した。
「何から何までありがとうございます、先生! いっそ私の友達全員ここに呼んできて、先生に処」
「おっそろしいことを言わないでくださいよ! ハーレムラノベでもそこまでしませんよ!」
背後にセレネースの気配を察知した本多が悲鳴を上げる。
「あれ、でも確か以前そちらの世界で耳に挟んだ噂だと、村に津波が押し寄せるのを食い止めたのは、伝説の魔女だったそうですが……あれって別の村の話ですか?」
「いえ、このフィジオ村であっていると思いますよ、先生。父は約束通り、『伝説のマゾが村を津波による壊滅から救った』と皆に話しました。つまり、それがいつの間にか……」
「ひでえ落ちだ!」
本多の禿頭の内部に、「♪チャンチャン」という効果音が鳴り響いた気がした。




