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カルテ261 エターナル・エンペラー(前編) その6

「ふーむ……」


 夜目の効くダオニールが手庇を作って瞳を細める。


「ええっ、こんな夜更けに登山者ですか? あまり聞きませんね」


 フィズリンが不安そうに眉をしかめた。


「僕たちも人のことは言えないんだけどね……」


「良かったわ、大コウモリに変身していないで」


 一行が好き勝手に思い思いの発言をしているうちに、前方から氷を踏みしめる独特な足音が近づいてきた。



「うう……夜の山ってこんなに寒いんだね……もっと着てくれば良かった……」


 護符師の黒ローブをまとった少年ことシグマートが、雪渓の上をそろりそろりと歩きながら身を震わせる。


「まったく、どこぞの腐れ大根さえいなければ、わざわざこんな真夜中に旅をしなくても良かったのにな」


 彼の前方で白金の髪の妖精族ことミラドールが愚痴をこぼす。


「あらー、全部あたいのせいにしないで頂戴よー。フシちゃんがいればこんな山ぐらいひとっ飛びだったのにー」


 最後尾のフードを被った腐れ大根こと緑色のモヒカン頭のハイ・イーブルエルフのイレッサが文句を唱える。


 シグマート、ミラドール、イレッサの三人は、ファロム山のお告げ所を目指して深夜の登山に勤しんでいる真っ最中だった。


 あの壮絶を極めた新月の夜のグラマリール学院長一味との激闘後、赤き獅子のマンティコアことフシジンレオは体調を崩してしまった。背中に突如出現した後体内に消え失せた赤毛の謎の女性のことを尋ねても、「はて、その間我輩は完全に意識を失っており、夢の世界でちちびんたリカちゃんと戯れておったので、申し訳ないがまったくわからんのう……」などとはぐらかすばかりだったが、とても疲れている様子で、だるいだのなんだの言って、ボーっとしていることが多くなった。


 その間イレッサたちハイ・イーブルエルフの一行は複数のアジトを転々とし、符学院の暗殺集団との遭遇は幸いなことに一度たりともなかったのだが、このままでは逃げ回るだけのジリ貧生活で、なんとしてでも逆転の目を掴みたいとのイレッサの主張もあり、一行となし崩し的に行動を共にしていたシグマートたちも参加して協議が行われた。


 長時間にわたる議論の結果、運命神カルフィーナの御座所へ赴き、今後の打開策を聞きに行くこととなったが、嫌われ者のイーブルエルフが聖地に行くと何かといざこざの原因となるため、シグマートとミラドールが代表に選ばれたが(フシジンレオは体調不良のため泣く泣く辞退)土壇場になって、「やっぱりあたいも行きたいわ! フード被っていくから大丈夫!」とイレッサがごね出して駄々っ子状態になったため、一応リーダーでもあることだし、絶対ナンパとかしないという条件付きでメンバーに加わることと相成った。


 というわけで、符学院に追われる身でもあり、更には厄介者もいるため、なるべく人目を避けて主に夜間に行動していたのである。

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