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ガチャ62 レベル100超えの怪物

 洞窟内の密林に入ると粘り気のある独特の空気が肌に触れリュウは不快そうに眉間へしわを寄せる。

 奥へと続く道は複雑に生えている樹木の枝や蔦があちこちに絡まっており、通る度に手足が引っ掛かりそうになる。加えて、極端に成長した巨大な葉が鬱陶しさに拍車をかけていた。


(邪魔だな……。ある程度、切り払いながら行くしかないか)


 リュウはフレイムタンを抜き、目の前の枝や蔦を切り裂きつつ前へ進む。湿度が高く湿っている枝葉が幾重にも重なっているエリアはフレイムタンに炎を纏わせ、切っては燃やしを繰り返しながら歩みを進めた。

 襲いかかってくるブラックバットを撃墜しながら進んでいくと開けた場所に湖のような大きな溜め池があるのを発見する。

 澄んだ水が溜まっている池の周囲には、ダーティーモープが喉の渇きを満たすために集まっていた。周囲の警戒を終えたダーティーモープ達は安心して勢いよく水を飲み始めている。


(3体か。油断している状態だし、距離もある。MPを消費することになるが稲妻投槍ブリューナクなら枝や蔦も突破して倒せるか。久しぶりに魔石とショベル爪を手に入れられるな……)


 リュウの身体から雷魔力が放出され、紫電が虚空に不規則な線を引いていく。

 空中には必要な殺傷力を持たせた雷槍3本が浮上した。

 口角を上げたリュウは、右手を前に突き出し、投槍の合図を出す。


「――貫け、稲妻投槍ブリューナク…………なにぃ!」


 稲妻投槍ブリューナクを発射したと同時に、先ほどまで水を飲んでいたダーティーモープ達が姿を消しており、リュウは驚愕した。


(発動に気がついていたというのか? いや! 違う!)


 放たれた雷槍がダーティーモープのいた場所を通過しようとしたその時、目には見えない何かに轟音を鳴らしながら突き刺さった。


「……フシュ――――ッ!!」


 唸るような怒声が聞こえた方向にリュウは視線を動かした。


「……大きいな」


 呟くリュウの瞳には巨大な大蛇型モンスターが映っている。

 池から覗く体の横幅は2メートルほど。体長については見ている範囲だけで7~8メートルほどもある。

 竜のような顔の大半は、人間を丸呑みにできそうなほど大きな口が占めていた。

 恐ろしい口顎には無数に鋭い牙が生え並んでおり、先ほど姿を消したはずのダーティーモープのショベル爪が牙に引っ掛かって僅かに覗いている。

 驚異的な威力と鋭さを持つショベル爪であったが、大蛇は噛み砕くのではなく、そのまま顎を数回動かしショベル爪を喉奥へと送り込んだ。ショベル爪は液体が蒸発するような音を立てながら消えていってしまう。


(いとも簡単にショベル爪を腹に収めやがった……)


 餌を喰らった大蛇は、口から白煙を上げながらリュウを睨む。まるで、次はお前を飲み込むのだといわんばかりに。

 

(……気が付かれたか!)


 呆然としていたリュウだが、気取られていると感じどのような攻撃が来ても即応できるように体制を整えた。しかし、大蛇は強者特有の濃厚な殺気を放ちつつもその場を動かない。

 明らかに格上。そんな相手がただただその場から動かないでいることに強烈な違和感をリュウは感じていた。


 密林の溜め池にひりつく様な殺気が渦巻く。

 未だに両者動かず。

 

(何かしようとしているな? ダーティーモープも知らない間に横やりを入れられて飲み込まれたんだ。厄介なスキルを確実に持ってるはず。アイツが止まっているのはこちらにとっても好都合。今のうちに、鑑定させてもらおうか)


 リュウは動く気配のない大蛇型モンスターに鑑定をかける。


―――――――――――――――――――――――

名前 ドラゴンワーム

種族 ワーム族

レベル 112

HP 1813/1813

MP 123/189

筋力 425

魔力 235

耐久 640

敏捷 574

器用 156

幸運 31


スキル

【迷彩鱗lv8】 

強酸アシッドブレスlv6】

【硬化lv3】

【再生lv7】

【HP増加lv2】

【進化の系譜】

【魔力感知lv1】


魔法

加護

―――――――――――――――――――――――


(レベル100超えだと! クソが。硬くてタフなうえに再生能力もあるのか! 稲妻投槍ブリューナクが当たってダメージを与えたはずの場所を再生してやがったんだな。生半可な攻撃じゃ隙を与えることにしかならなさそうだぞ!)


 下層の主であろうドラゴンワームのレベルとステータスの高さに驚いているリュウ。しかし、さらに信じられない光景を見ることになる。


「……何!?」


(姿が消えていくだと!)


 目の前にいたはずのドラゴンワームがニタリと醜く嗤い、密林へと徐々に溶け込んでいく。リュウは驚愕しつつも、戦闘中にドラゴンワームの居場所を見失わないために気配察知を発動させた。


(……気配察知に反応しない? 気配遮断の効果もあるのか。厄介だな!)


 このままでは先ほど飲み込まれたダーティーモープと同じ末路を辿ることになる。瞬時にそう直感したリュウは近くにあった大きな樹木をウォールランで駆け上がった。


(クソッたれ! まずはあの迷彩鱗を剥がさなきゃあ勝負にもならずに嬲られて終わりだぞ!)


 密林に樹が軋む音が連続して木霊する。リュウは太い枝を見つけては飛び移っており、的を絞らせない動きをとっていた。


稲妻投槍ブリューナクが刺さった時には姿を現したな……。攻撃が通れば迷彩が解けるといったところか? しかし、狙って当てるのはかなり難しいぞ。稲妻投槍ブリューナクでの面制圧はできないこともないが、かなりのMPを消耗する。それで仕留められないとなると問題だ。……これしかない、か!)


 一瞬の内に考えを巡らせたリュウは枝から枝へと飛びながらフレイムタンを納刀。

 流れるようにホルスターへ手を伸ばし、魔弾の拳銃を引き抜き、弾倉を振り出す。

 グリードムントの指環から多めにMPを込めた魔弾を取り出し装填。弾倉を振り入れる。

 

 殺気消サイレンサーしで延長された銃口が標的のいない空間に向けられた。


(当たるまで、何度でも繰り返してやる!) 

 

 リュウは立体的な機動をしつつ、無差別に6連続で魔弾を発射。

 当然のようにドラゴンワームには当たらなかったが、殺気消サイレンサーしの効果で威力を増大させた魔弾は大木を数本貫通していく。

 撃ち終わり再装填をしていたリュウは視界の片隅に空間の揺らぎを見た。


(攻撃が当たるのを嫌がって大きく後退したな!)


 リュウは樹上から揺らぎのあった左奥方向に銃口を向け連続でトリガーを引いていく。

 密林に乾いた発砲音が6つ。

 間断なく撃ち込まれた疑似メタルジャケット弾が揺らぎを見せつつ後退していくドラゴンワームへ着弾。


「……シュッ!」


 攻撃が直撃し、迷彩が解けるとドラゴンワームが憤怒の形相をしてとぐろ巻いていた。

 鱗が数枚剥がれる程度のダメージであったものの、餌だと思っていた相手に攻撃を2度も食らったのだ。

 密林の覇者としてのプライドが許さない。そう告げるように重厚なプレッシャーを放ち、口の両端から白煙を出しつつ、ドラゴンワームは怒りの咆哮を上げた。


「……ギュアアアアアア!!」


 リュウはドラゴンワームの咆哮に負けじと全身から魔光圧気エーテルグラストを放出。触れただけでダメージを負いそうなほどの圧力を感じさせる紫電が広域に展開された。


(モンスターにもプライドがあるとでもいうのか? 

 面白いじゃないか。

 だが、勝つのは俺だ!)


「上等!」

 

 もはや姿を隠す気もないドラゴンワームは、舌を動かし威嚇しながら、とぐろを巻いた状態で全身を収縮させていく。


(あの動き! やばいぞ!)


 リュウが危険を察知して回避のために枝を蹴った瞬間、ドラゴンワームは樹上にいるリュウへ向かって飛び跳ね、体当たりを仕掛けた。

 想定よりも早い動きに虚を突かれたリュウは、避けきれず空中で体当たりを食らい、吹き飛ばされる。

 

「……ぐッ」


 吹き飛ばされたリュウは全身を樹で強打してしまう前に、空中で反転し樹の側面に着地。そのまま地面へと一足飛びで降りて、よろけつつ口に溜まった血を吐き捨てる。


 ドラゴンワームはリュウが飛んで行った直後、空中で姿勢を変え、尾を近くの樹木へと伸ばし上手く衝撃を殺しながら急停止した。

 再び全身を収縮。 

 触れるもの全て全をミンチにしてしまいそうなほどの大質量の巨体が、密林の太い枝をぶち折りながらリュウ目がけて突っ込んでいった。

 

(このままでは回避が間に合わん! ……やるしかない!)


 リュウは覚悟を決め、魔力を一気に消費した。

 激しくスパークを起こす魔光圧気エーテルグラストが一瞬で体内へ収束。

 探索中、新たに習得した雷魔法を極限まで短縮させた詠唱で発動させる。


「……轟纏雷ごうてんらいぃ!」


 リュウが詠唱を終えるとほぼ同時にドラゴンワームが目と鼻の先まで接近していた。

 密林の覇者は邪な表情を見せつつ、下半身をうねらせ、リュウを潰そうと尾を叩きつける。

 仕留めた。そう思ったドラゴンワームは魔力の濃い上質な餌を食せると涎を垂らしつつ、尾をどかす。

 しかし、そこには陥没した地面があるだけだった。


「……フシュシュ?」


 ドラゴンワームが消えたてしまった上質なリュウを探すため首を周囲へ巡らせていると、濃密な魔力反応が急接近しているのを感知した。

 ダーティーモープとの戦闘経験から不意打ちの危険性を学習していたドラゴンワームは、今回の餌はダメージを与えられる攻撃があることを思い出し、全身を硬化させた。 

 

 その瞬間、全身を紫紺のオーラで包まれたリュウがドラゴンワームの真横に出現。身体をその場で捻り、半回転させながら炎剣を抜刀。


「焼き切れ、フレイムタン!!」


 解放の言葉と共に噴き出した炎がドラゴンワームの硬化した鱗を高熱で焦がし、魔法銀製の鋭い切っ先が分厚い肉を斬り裂く。


「……ギュィイイアアアアア!!!」


 胸元から鮮血を飛び散らせているドラゴンワームの、怒りと痛みの混ざった絶叫が密林に響き渡った。

お読みいただきありがとうございます。

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