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ガチャ55 飛龍の巣 潜入開始 

「ようやく、辿り着けたか……」


 森から出てきたばかりのリュウは朝陽に眩しさを覚えつつ、大山脈を目の当たりにしていた。

 山脈の裾野は大陸の端から端へと延びており、地図通りにリーデンブルグ王国と獣人族の国を二分する形となっている。

 

(まったく、馬鹿げたデカさだな……。端が見えんぞ)


 リュウは千里眼も使って遠方を覗いた。大陸の先が霞んで見えなくなる範囲まで裾野が広がっており、思わず溜め息をつく。

 上を見上げると標高の高い山がいくつも点在していることがわかる。その中でも、山脈の中央には抜きん出て峻険しゅんけんな山が存在しており、威風堂々と直立していた。


(山頂が、雲より高くまで延びてるなんてな……)


 雲を突き抜け、天をも貫く頂き。山頂付近の山肌は氷河に覆われて白銀に染まっている。麓から頂上へ向かって緑から白銀へと色彩が変化していく様は、立ち込める幻想的な霧も相まって、荘厳な景観となっていた。


(恐らく、この一番高い山が、霊峰フェンロンなんだろう。……ユグドラシルの自然は、凄まじいな)


 リュウは暫しの間、ユグドラシルの自然が誇る美しさに感嘆し見惚れていた。視線を霊峰の麓へと移しつつ、再び千里眼を発動。師匠リィオスの言葉を思い出しながら高難易度ダンジョン"飛龍の巣"の入り口を探し始めた。


「……見つけた」


 小さな声でつぶやいたリュウは洞窟が大きく口を広げているのを見つけ、身体中から紫電を放出。秋風が銀髪を揺らす中、獰猛な笑みを浮かべていた。


(ここからでも感じ取れるくらいに、強いモンスターがいるみたいだ。修行には持って来いの環境。腕が鳴る)


 リュウは洞窟に入るべく近づきながらも、洞窟近辺の観察を続けている。


(リィオスは、最上階にワイバーンがいると言っていたな。開けた場所があるという話だったし、この洞窟が飛龍の巣だとするなら、上の方にそういう場所があるはず。無駄足は避けたい。ここから、確認できないか?)


 洞窟入り口から上方へと目線を動かし、時には霊峰フェンロンを俯瞰するように見ていった。


(……ん? あれじゃないか?)


 霊峰フェンロンの左側の斜面に、大きく切り立った断崖があった。重厚な絶壁の合間から、瀑布の如く流水が吐き出されている。だが、滝から流れる大量の水は、あまりの高度から落下するため、大地に着く前に空中で霧散しているのだった。

 断崖の位置は洞窟の入り口から大きく左上方に外れているが、岩壁の所々に穴が開いており、洞窟が上まで続いていることをリュウに感じさせる。


(ウォールランで行けたらいいんだろうが……。一歩ごとに使用MPが増えるというのを考えると、無謀だな。何キロも走れるわけがない。ダンジョンを地道に進めるしか手は無さそうだな)


 そう思いながら歩み続けていたリュウは、洞窟の入り口に到着。生物を誘うような雰囲気を醸し出す大穴を見やり、口の端を上げた。


「首を洗って待ってろ、ワイバーン。……潜入、開始だ」


 朝陽を鈍く反射する銀髪を揺らしながら歩き出した青年は挑戦的な独白と同時に、巨大な洞窟へと飲み込まれるように入っていくのだった。



 リュウが巨大な洞窟へ入ってから半日が経っている。

 入り口から分岐する道もなく、リュウはひたすらに直進してきただけだったが、すでに相当な距離を歩いていた。入り口から届いていた明かりはすでに半減しており、リュウの周囲は随分と薄暗くなっている。


「……見にくいな」


 洞窟内は岩壁に空いている穴から入る光が入るのみであり、所々明るい場所がある。しかし、光を取り込めるような穴はそれほど数が多いわけでもないため、視界が悪いのは当然のことであった。

 リュウは僅かに眉を寄せ、舌を打つ。


(マジックアイテムでもスキルでもいいが、暗いところでも対応できるようになる何かが必要だな)


 リュウがそう考えながら群生している苔を時折踏み潰しつつ歩いてると、分かれ道にぶつかった。


(このまま一本道だったら楽でよかったんだが……。そうそう甘くはないか。さて、どちらにいくべきかな)


 左右の道はそれぞれ高低差が無く、先は薄暗くて見通せない。

 どちらが上層へ向かっているのか、リュウには判断がつかなかった。

 

(これだけの情報じゃあ、動きようがないな。生物がいる方に、とりあえず向かってみるか……)


 リュウは気配察知を目を閉じつつ発動させる。中途半端に入ってくる視覚的情報を遮断し、なるべく遠いところまで探れるように集中していく。


(左側から微弱ながら複数の反応有り、か)


「……左だな」


 リュウは気配察知を切り目を開けた。自然と止まっていた呼吸を再開し、左側へと続く道へ足を向け歩き出す。

 岩が敷き詰められて出来ている通路を行くこと数十分。リュウは闇の中で立ち止まる。

気配察知に反応があったのは間違いだったのではないか。そう思うほどに、リュウは何にも出会わなかったからだ。


(おいおい。警戒しながら歩いているとはいっても、それなりに歩いただろうが。どうなってる?)


 リュウが再び気配察知を発動させようとした瞬間。頭上から幾つもの羽音が聞こえたと思うと、天井から黒い物体が落下するようにリュウへと近づいてくる。


(気配察知には赤の反応……。モンスターか。弱々しい魔力だが、見えないというのは厄介だな。……仕方ないか)


 リュウはバックステップで黒い物体を避けつつ、MP温存のために控えていた雷魔法を発動させると瞬時に決めて詠唱する。

 

「照らせ、雷光」


 まばゆい雷光を発する球体が、リュウを包んでいた闇を切り裂き、複数の黒い物体の正体を炙り出す。


蝙蝠こうもりか? それにしてはでかいな)


 黒い物体の正体は、全長50センチほどもある大きな蝙蝠型のモンスターだと判明する。蝙蝠達は突然強烈な光を浴びて目を潰され混乱して様子だ。

 リュウにとって強さを感じることのできない相手であったが、初見ということもあり、念のために鑑定することにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 ブラックバット

種族 蝙蝠族

レベル 8

HP40/40

MP5/5

筋力 14

魔力 6

耐久 11

敏捷 91

器用 5

幸運 2


スキル

【吸血lv1】

【超音波lv3】

【暗視lv2】


魔法

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(ランクEってところか……。7~8匹いるか? まあ、だいたい予想通りだ。この程度なら楽勝だな)


 ブラックバット達は潰れた目ではなく、発達した聴覚と超音波スキルを使いリュウを補足し、吸血しようと口を広げて飛び込んでいく。


 対するリュウは、フレイムタンを鞘内で走らせ、斜め上方に斬り上げた。


 近づいてきていたブラックバットの内、数匹が紅刃に巻き込まれ真っ二つになり地へ落ちる。


 後続のブラックバット達は仲間が減っていることに気がつく暇もなく、返すように振り下された魔法銀製の刃の餌食となり絶命。


 戦闘開始から1分も経たずにブラックバットは全滅した。


(ブラックバット程度では何匹倒してもレベルなんてあがらんだろうな。弱すぎる。経験値は本当に微々たるものだろう。

 最後にレベルアップしたのはオーガを倒した時か? 森でも結構戦ったんだがな……)


 そう思っていたリュウは、久しぶりにエネルギーが身体中を駆け巡っているのを感じて驚いていた。


「これは、レベルが上がった時の感触だな」


(森で戦闘していた分の経験値が溜まっていたってことか。……幸先がいいのは単純に嬉しいもんだな)


 予想外のタイミングでレベルが上がり、リュウは口角を上げつつ、ステータスを確認しようとするのだった。

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